資産は個人より法人で買え!不動産・車・自社株を法人名義にして資産を増加させる「最強の節税術」


経営者が不動産や車といった資産を手に入れるとき、「個人で買うか、法人で買うか」で、最終的に手元に残るお金は大きく変わります。同じものを買っても、持ち方を間違えるだけで、税金・維持費・将来の相続まで含めて数百万円単位で損をしてしまうことも珍しくありません。
結論から言えば、多くの資産は個人よりも法人で持ったほうが有利です。ただし、不動産・車・自社株それぞれに固有のメリットと注意点があり、そこを理解しないまま法人名義にすると、かえって資金繰りや出口で苦しむことにもなりかねません。
この記事では、なぜ資産を法人で持つと有利なのかという大原則を押さえたうえで、不動産・車・自社株の3つについて、具体的な数字を交えながら法人保有のメリットと注意点を整理します。
なぜ資産は「法人で買う」だけで有利になるのか
法人保有が有利な理由は、大きく二つあります。
「税引前」のお金で資産を買える
最大の違いは、個人は「税金を引かれた後」のお金でしか資産を買えないという点です。個人で資産を買う場合、役員報酬から所得税・住民税などが差し引かれた後の手取りで購入することになります。
たとえば所得税・住民税の負担率をざっくり50%とすると、1,000万円の車を個人で買うには、額面で2,000万円の役員報酬を受け取る必要があります。一方、法人名義で買えば、会社が稼いだキャッシュをそのまま購入に充てられます。個人の税金を介さない分、少ない元手で資産を形成できるのです。
購入費も維持費も「経費」になり続ける
もう一つは、購入後の減価償却費や維持費を会社の経費にできることです。個人名義だと、税引後のお金で維持費を払い続けることになりますが、法人名義なら節税しながら維持できます。買うときだけでなく、持ち続けている間ずっと差が出続けるため、長期で見るとこの差は雪だるま式に大きくなります。結果として、個人で資産形成するよりも手元にお金が残りやすくなります。
ただし、資産の購入にはまとまったキャッシュが必要になるほか、資産ごとにデメリットも存在します。ここからは代表的な不動産・車・自社株について、順番に見ていきましょう。
不動産を法人で持つ——役員社宅で家賃負担を圧縮する
不動産を法人で購入すると、減価償却費のほか、修繕費・固定資産税・管理費といった関連費用をすべて経費に計上でき、利益を大きく抑えられます。さらに、購入した物件に経営者自身が住む場合は、役員社宅制度を活用することで、個人が負担する家賃を大幅に下げられます。
役員社宅制度とは、会社が購入または賃借した物件を役員に貸し出し、役員は制度で定められた「家賃相当額」だけを毎月支払えばよいという仕組みです。自己負担は市場家賃の半額、あるいは20%〜30%程度で済むケースも多く、たとえば市場家賃が月30万円の物件でも、社宅として住めば自己負担が月10万円台に収まることがあります。
一方で注意点もあります。第一に、土地の購入代金は経費にできません。土地は時間が経っても価値が減らないとされ、減価償却の対象外だからです。同じ1億円の物件でも、建物部分への配分が大きいほど経費にできる金額が増え、節税効果が変わります。第二に、経営者が住む前提で購入した物件は、経営者が亡くなると社宅制度が使えなくなり、家族がそのまま住み続けられなくなる可能性があります。後継者が会社を引き継ぐなら再度社宅制度を使えますが、そうでない場合は事前の検討が必要です。
役員社宅の要件や自宅を法人名義にする判断については、社長の自宅は法人名義で買うべき?役員社宅購入の節税メリットと注意点、会社名義で自宅を購入し役員社宅制度を活用する節税スキームで詳しく解説しています。
車を法人で持つ——中古車の「即時償却」を活かす
車を法人名義で購入すると、購入費を減価償却で経費にでき、節税につながります。特に効果的なのが中古車です。3年10か月以上経過した「4年落ち」の中古車は、耐用年数が2年となり、定率法を使えば最短で1年(購入初年度)に取得価額のほぼ全額を経費にできます。突発的に大きな利益が出た年に、利益を一気に圧縮したいときの有力な手段です。
たとえば、期中に600万円の4年落ち中古車を購入し、年度当初に事業供用すれば、その事業年度でおおむね600万円全額を減価償却費として計上でき、同額の利益を圧縮できます。さらに、車検代・自動車保険料・自動車税・メンテナンス費用・ガソリン代といった関連費用も経費にできます。
ただし、これらはすべて業務使用が前提です。法人名義の車をプライベートで使うと、経費計上を否認されるだけでなく、賞与と認定されて源泉所得税まで課される可能性があります。通勤などで多少はプライベート利用が生じるのが現実ですから、会社に使用料を支払う規程を整え、運転日報で業務利用の記録を残しておきましょう。規程と記録が揃っていれば、税務調査でも根拠を持って説明できます。
なお、新車の場合は普通乗用車の法定耐用年数が6年で、経費化は6年かけて少しずつ進みます。これに対し4年落ち中古は耐用年数2年で一気に落とせるため、「今年の利益を圧縮したい」という目的なら中古車のほうが効果的です。逆に、長く乗る前提でトータルコストを重視するなら新車という選び方もあり、目的によって使い分けるのが基本です。
また、車の購入にはまとまったキャッシュが必要です。資金繰りに余裕がないときは、車両代に加えて自動車税・保険料・メンテナンス費が含まれるプランも多いカーリースを使えば、多額の初期資金なしに毎月一定額を経費計上でき、経理処理もシンプルになります。ただしリースは車が自社資産にならず、中途解約に違約金がかかることや、トータルの支払額では購入より割高になりやすい点には注意が必要です。まとまった利益を一気に圧縮したいなら中古車購入、資金を平準化して手間を減らしたいならリース、と考えると選びやすくなります。法人名義での車の活用は、高級車購入は法人名義が圧倒的に有利、社長の個人所有車を法人名義にする節税術もあわせてご覧ください。
自社株を法人で持つ——持株会社で相続税評価を圧縮する
会社を設立するときに自ら出資した経営者は、自社株を個人で持っているケースがほとんどです。これをそのままにしておくと、経営者が亡くなった際、その株式が丸ごと相続財産になります。問題は、事業が順調で株価が上がるほど相続税評価額も膨らむことです。会社を大きくするほど後継者の相続税負担が増えるというジレンマが生じます。しかも非上場株式は現金化が難しく、現金がないのに高額な相続税の納付を迫られる事態にもなりかねません。
そこで有効なのが、株価が低い早い段階で持株会社を設立し、自社株をそこへ譲渡して「法人で自社株を持つ」形にしておく方法です。持株会社が保有する自社株を相続財産として評価する際には、取得後に上がった含み益の37%が控除されるというルールがあるためです。
たとえば、持株会社が自社株を1億円で取得し、その後の相続発生時に株価が3億円まで上がっていたとします。含み益は2億円で、その37%にあたる7,400万円が相続税の対象外となります。株価が上がるほど控除額も大きくなるため、会社が成長するほど効果が高まります。
ただしデメリットもあります。持株会社の設立と自社株の取得には資金が必要で、基本的には金融機関からの借入で賄うことになります。また、自社株を持株会社へ譲渡する際、譲渡益に対して約20%の税金がかかります。したがって、株価がまだ低いうちに実行すれば譲渡益への課税も小さく抑えられ、効果が出やすくなります。自社株の評価を下げる手法は幅広くあるため、事業承継の成否は「株価」で決まる!自社株評価を下げる7つのスキームも参考にしてください。
個人と法人、資産別の比較
ここまでの内容を、資産ごとに個人保有と法人保有で比較すると次のようになります。
| 資産 | 個人で持つ場合 | 法人で持つ場合 |
|---|---|---|
| 共通 | 税引後の手取りで購入。維持費も自己負担 | 税引前のキャッシュで購入。減価償却・維持費を経費化 |
| 不動産 | 家賃をそのまま自己負担 | 役員社宅で自己負担を大幅圧縮。ただし土地は償却不可・相続に注意 |
| 車 | 購入・維持費は原則自己負担 | 4年落ち中古で即時償却。関連費用も経費。私的利用は規程・日報で対応 |
| 自社株 | 株価上昇がそのまま相続税評価に反映 | 持株会社で含み益の37%を評価から控除。譲渡益20%課税に留意 |
法人で持つときに共通して押さえたい注意点
法人保有は有利な点が多い一方で、共通して意識しておきたい注意点もあります。まず、資産の購入にはまとまったキャッシュが必要になり、無理をすると本業の資金繰りを圧迫します。手元資金と借入のバランスを見ながら、購入のタイミングと規模を決めることが大切です。
次に、法人を保有・維持するには、赤字でも毎年かかる法人住民税の均等割や、税理士への顧問料といった固定的なコストが発生します。資産管理のためだけに法人を作る場合は、これらの維持コストを上回る節税・資産形成のメリットが見込めるかを事前に確認しておきましょう。
そしてもう一つ見落としがちなのが「出口」です。法人に貯めた資産や利益を最終的に個人へ移す際には、役員報酬や配当、退職金といった形をとることになり、そこで再び課税が生じます。だからこそ、入口(どう買うか)だけでなく、役員退職金なども含めた出口の設計までセットで考えることが、法人を使った資産防衛の効果を最大化する鍵になります。
まとめ
資産は個人で持つよりも法人で持つほうが、税引前のお金で購入でき、維持費も経費にできる分、長期的に手元へお金が残りやすくなります。ただし、不動産は土地が償却できず相続時の居住に注意が必要、車は私的利用の否認リスクへの備えが必須、自社株は持株会社化のコストと譲渡益課税を踏まえた早めの着手が鍵、というように、資産ごとに押さえるべき論点が異なります。
大切なのは、これらをまとめて同じ話として扱わず、それぞれの注意点を理解したうえで法人名義のメリットを最大限に活かすことです。なお、法人で持てる資産は不動産・車・自社株だけではなく、法人名義での投資信託のように、個人とは異なるメリットを持つものもあります。資産全体を法人でどう持つかという設計は、資産管理会社の設立メリットや不動産は法人で持つべきか(資産管理会社への移転)もあわせて検討すると、全体像がつかみやすくなります。
不動産・車・自社株それぞれの法人保有について、より具体的な進め方や自社に合った方法は、税理士が動画で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。







