2026年負担増の社会保険料を削減!知ってるだけで得する11の方法

毎月の給料計算で、天引きされる社会保険料の金額を見てため息をつくのは、従業員だけではありません。会社(経営者)にとっても、従業員と同額を負担しなければならない社会保険料は、重いコストとしてのしかかっています。さらに、2026年4月からは「子ども・子育て支援金」の導入により、医療保険料が実質的に増額される見込みとなっており、負担は今後も増え続けることが予想されます。

「なんとかして、この負担を減らす方法はないのだろうか…」そう悩む経営者に朗報です。実は、給与の支払い方や、社会保険料の算定ルールを正しく理解し、戦略的に活用することで、合法的に、かつ大幅に社会保険料を削減する方法がいくつも存在します。

この記事では、役員報酬の設計から、従業員の給与体系の見直し、さらには加入する保険組合の選択まで、知っているだけで会社と従業員の手元に残るお金を増やすことができる、11の具体的な削減テクニックを大公開します。

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社長の資産防衛チャンネル編集チーム

社長の資産防衛チャンネル編集チーム

本記事は社長の資産防衛チャンネル編集チームで執筆、税理士法人グランサーズが監修しています。編集チームは公認会計士、税理士、MBA、CFP、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、行政書士等の資格を持つメンバーで構成されています。

1.【報酬・給与設計】支払い方を変えるだけで削減する方法

まず、報酬の「支払い方」や「名目」を工夫することで、社会保険料の算定対象となる金額自体をコントロールする方法を6つご紹介します。

①事前確定届出給与で「役員報酬」と「賞与」の比率を変える

これは、高額な報酬を受け取っている役員に特に効果的な方法です。毎月の役員報酬を低く設定し、その分を「役員賞与(事前確定届出給与)」としてまとめて支給します。なぜなら、賞与にかかる社会保険料には、以下のような上限があるからです。

  • 健康保険料:年度累計573万円まで
  • 厚生年金保険料:1回あたり150万円まで

この上限を超える賞与を支給すれば、超過分には保険料がかかりません。例えば、年収を変えずに、月額報酬を減らして賞与を増やせば、厚生年金保険料を大幅にカットできる可能性があります。ただし、事前に税務署への届け出が必要であり、支給日や金額を厳密に守らなければ損金不算入となるリスクがあるため、慎重な運用が必要です。

②従業員の「賞与」をゼロにして「月給」を増やす(年俸制)

従業員の場合は、役員とは逆に、賞与をなくして月給に上乗せする「年俸制」にすることで削減できるケースがあります。厚生年金保険料には、月額65万円(標準報酬月額)という上限があります。これを超えて月給が高くなっても、保険料は一定額で頭打ちになります。

高年収の従業員がいる場合、賞与として支払うと毎回保険料がかかりますが、月給に組み込んで上限を超えさせれば、トータルの保険料負担を抑えられるのです。(※ただし、所得税・住民税への影響も考慮する必要があります。)

③「出張手当」を導入する

出張が多い会社であれば、「出張旅費規程」を作成し、日当(出張手当)を支給する制度を導入しましょう。出張手当は、税務上「給与」ではなく実費弁償的な手当として扱われるため、社会保険料の算定基礎に含まれません。さらに、受け取る個人にとっては所得税・住民税も非課税、会社にとっては消費税の課税仕入れになるなど、メリット尽くしです。

④「非常勤役員」を活用する

家族などに経営を手伝ってもらう場合、常勤ではなく「非常勤役員」として報酬を支払う方法です。非常勤役員は、労働実態が限定的であるため、原則として社会保険の加入義務がありません。家族に所得を分散して税金を抑えつつ、社会保険料の負担も回避できる有効な手段です。

⑤「退職金」を活用する

退職金には、社会保険料がかかりません。そこで、在職中の給与や賞与の一部を減額し、その分を将来の「退職金」として積み立てて支給する形をとれば、生涯賃金は変えずに、現役時代の社会保険料負担を軽減できます。退職金は税制面でも非常に優遇されているため、老後資金の準備としても合理的です。

⑥「はぐくみ基金」を導入する

「はぐくみ基金(福祉はぐくみ企業年金基金)」は、従業員が希望すれば、給与の一部を掛金として積み立てられる制度です。この掛金分は、給与から除外されるため、社会保険料の算定基礎となる標準報酬月額が下がります。その結果、会社と従業員の双方が、社会保険料を削減できるのです。もちろん、積み立てたお金は将来、退職金や年金として受け取ることができます。

2.【算定ルール】タイミングを調整して削減する方法

次に、社会保険料が決まる「算定ルール」そのものをハックし、タイミングを調整することで削減する4つの方法です。

⑦4月~6月の残業を減らす(定時決定対策)

社会保険料は、原則として毎年4月、5月、6月の3ヶ月間に支払われた給与の平均額(標準報酬月額)を基に決定され、その年の9月から1年間適用されます(定時決定)。この3ヶ月間に残業代が多くなると、標準報酬月額が跳ね上がり、その後1年間の保険料が高くなってしまいます。「4月~6月は極力残業をしない」ように業務調整を行うことが、コスト削減に直結します。

⑧昇給を「7月」にする

もし4月に昇給を行うと、4月~6月の給与平均額が上がり、その年の9月からすぐに高い保険料が適用されてしまいます。そこで、昇給時期を「7月」にずらすのです。そうすれば、4月~6月の給与には昇給が反映されないため、保険料は上がりません。実際に保険料が上がるのは、翌年の定時決定(または随時改定の要件を満たした後)まで先送りできるため、実質的に1年近く負担増を回避できます。

⑨役員報酬を「等級の上限ギリギリ」に設定しない

標準報酬月額は、金額の範囲ごとに「等級」で区切られています。例えば、報酬月額が「51万5千円以上~54万5千円未満」であれば31等級です。もし役員報酬を51万5千円に設定しているなら、あと1円下げて51万4,999円にするだけで、1つ下の30等級(48万5千円以上~51万5千円未満)になり、保険料が安くなります。等級の境界線を意識した金額設定が重要です。

⑩入社日・退職日を調整する

社会保険料は、「資格取得月(入社月)」から「資格喪失月(退職日の翌日が属する月)の前月」までかかります。

  • 入社:月末ではなく「月初」に入社すれば、その月分の給与も満額近く発生するため、保険料負担に対する納得感があります(※削減とは少し異なりますが、無駄をなくす視点)。
  • 退職:月末日(例えば10月31日)に退職すると、翌日(11月1日)が資格喪失日となり、10月分の保険料までかかります。しかし、「月末の前日(10月30日)」に退職すれば、資格喪失日は10月31日となり、10月分はかからず、9月分までで済みます(※ただし、10月分は国民健康保険などに加入する必要があります)。

3.【組合選び】制度そのものを変えて削減する方法

⑪「協会けんぽ」から「組合健保」へ切り替える

多くの中小企業が加入している「協会けんぽ」ですが、実は、業界ごとに設立されている「健康保険組合(組合健保)」の方が、保険料率が低いケースが多々あります。例えば、IT企業であれば「関東ITソフトウェア健康保険組合(ITS健保)」などが有名です。自社の業種が加入できる組合健保がないか、一度調べてみる価値は十分にあります。

まとめ

社会保険料は、工夫次第でコントロール可能なコストです。「税金や保険料は言われるがまま払うもの」という固定観念を捨て、今回ご紹介した11の方法を検討してみてください。

ただし、社会保険料を削減することは、将来受け取る厚生年金の額が減ったり、傷病手当金の額が減ったりするといったデメリットも併せ持っています。従業員の給与に関わる変更を行う際は、必ず十分な説明と同意を得ることが不可欠です。メリットとデメリットを天秤にかけ、自社にとって最適なバランスを見極めながら、賢くコスト削減を進めていきましょう。

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