女性のための保険の正しい選び方|医療保険を中心に


インターネットで「女性 保険」などと検索すると、特に医療保険について「いらない」とか、「入ると損する」などというFPさんのコラムをよく目にします。しかし、果たして、本当にそうでしょうか?
私は独身女性です。保険の仕事に長年携わっていますが、少なくとも女性にとっては、「必要ない」とは思いません。だから自分も医療保険に加入していますし、ご相談にいらしたお客様にも医療保険を提案させていただくこともあります。
ご相談いただく女性のお客様の中には、「私は主人ほど大きな保険はいらないかな」とか「私は最低限で良いかな」と、おっしゃる方がいらっしゃいます。果たして、本当にそれで良いのでしょうか?
今日は、女性にとっての医療保険選びのポイントについてお伝えしていきます。
1.私は入院するなら個室。だから医療保険に加入しています
医療保険とは、入院をしたときや手術をしたときに、その費用をカバーする保険です。
冒頭でもお話したように、医療保険が必要かどうか、という意見には賛否両論あります。しかも厄介なことに、保険業界で働く私たちの中でもこの意見は分かれます。まずはそれぞれの考え方をみてみましょう。
どちらも一理あるので参考にしていただければと思います。
1.1.十分な貯蓄があれば医療保険はいらない
「医療保険いらない派」の人の主張の最も大きな根拠は、高額療養費制度を利用すれば大して医療費はかからない、というものです。
高額療養費制度とは、「医療費が高額になった場合、ある一定限度額以上は払わなくても良いですよ」という制度です。この制度は、健康保険に加入していれば利用できます。ですから、貯蓄があれば医療費は賄えてしまうだろう、と考えているのです。
その他の理由として、医療保険は他の保険、例えばガン保険などよりも優先順位が低いという考え方もあります。詳しくは、編集長(独身男性)が書いた「保険業界で働く私が医療保険に入らない理由」をお読みください。
1.2.個室に入院したいなら医療保険はあった方が良い
これに対し、「医療保険必要派」の主張の根拠は以下のようなものです。
貯蓄が十分でない場合や、貯蓄を崩したくない場合はもちろん、高額療養費制度の対象とならないお金が心配な場合に備えるべきだというものです。
高額療養費制度の対象とならないお金といえば、代表的なところでは「差額ベッド代」です。いわゆる個室代、と思われるでしょうが、実は病院によっては4人部屋でもベッド代がかかる場合があります。
私自身も、この差額ベッド代に備えたいという思いから医療保険に加入しました。なぜなら、私は入院するなら絶対に個室が良いと思っているからです。
数年前の話ですが、急遽4人部屋に2人で入院することとなりました。私は、とにかく具合が悪く、ただ横たわっているのがやっとの状態で、痛みから眠りにつくこともできませんでした。
でも、同じ部屋に入院していた方は、食事が運ばれてくると携帯で写真を撮ったり、電話をしたりと、快方に向かっていたためなのか、とても入院中とは思えない振る舞いでした。普段なら気にも留めないようなことが、この時ばかりは耐え難いものでした。
私が個室を希望する理由には、他にも、トイレ・洗面・簡易シャワーなどの水回りが備えられていること、自分の時間で寝たり起きたりができて、何よりも気を休めて治療に専念できる環境であるということがあります。
小さなお子様がいらっしゃるママの場合には、個室であれば、気兼ねなくお見舞いの時間を過ごすこともできるでしょう。
この他にも、最新の医療を受けたい場合や入院期間が長期に渡る場合に備えたいならば、医療保険は加入しておいた方が良いとの考え方もあります。詳しくは「医療保険の必要性を保障内容と医療の現実から考える」をお読みください。
肌感覚にはなりますが、私がこれまでにご案内したお客様の中には、女性こそ個室を希望される方が多くいらっしゃいました。そして、そんな方にオススメしたいのが「女性疾病特約」です。まずは特約の内容から整理していきたいと思います。
2.「女性疾病特約」は必要か?
医療保険には、「女性疾病特約」というものがあります。
女性特有の病気などに手厚くするためのオプションです。オプションですから、任意で付けたり外したりすることができます。また、女性だからといって、必ず付かなければならないわけでもありません。
この特約も「いる・いらない」の意見が分かれるところです。
まずは、女性疾病特約とはどんな保障内容なのかを確認してみましょう。
2.1.女性特有の病気だけじゃない、なりやすい病気や全てのガンも対象になる
まず、女性疾病特約の対象となる病気を見てみましょう。
「女性疾病」特約という名前から、女性特有の病気限定かと思われるでしょうが、実は違います。大きく分けると、女性しかならない病気、全てのがん、女性の方がなりやすい病気の3つに分類されます。以下は、ある保険会社が紹介している具体例です。
【女性特有の病気】
- 妊娠高血圧症候群
- 子宮筋腫
- 子宮内膜症
- 卵管炎
- 卵巣機能障害
- 乳腺炎
- 切迫流産 …など
【すべてのがん】
- 子宮頸がん
- 子宮体がん
- 卵巣がん
- 膣がん
- 乳がん …など
【女性に多い病気】
- バセドウ病
- 胆石症
- 尿管結石
- 甲状腺腫
- 胆のう炎
- ネフローゼ症候群
- 低血圧症
- リウマチ性多発筋痛
- 腎う腎炎
- 橋本病 …など
ただし、注意していただきたいのですが、保険会社によっては「女性特有の病気」しか対象にならない場合もあります。加入を検討する時は対象となる範囲を確認してください。
女性疾病特約は、上に挙げたような病気になって入院や手術をした場合に、通常の入院給付金・手術給付金にプラスして、さらにお金が受け取れるというものです。
たとえば、入院したら+5,000円とか、手術をしたら+5万円といったように、基本保障の上乗せとして保険金が支払われます。
しかし、女性特有の病気だからといって、倍の治療費を払わなくてはならない、というものでもありません。では、なぜこのような特約があるのでしょうか。その役割について解説します。
2.2.女性特有の病気はかかりやすい
女性疾病の対象となる病気とは、言い換えれば、女性がかかりやすい病気でもあります。
特に、子宮・卵巣・乳房関係の病気は、ホルモンバランスの影響を受けやすいものです。また、繊細な女性の体には異変が現れやすいものです。
女性がかかりやすいということは、「女性が医療保険の給付金を受け取りやすい病気」とも言えます。かかる確率が高ければ、給付金が支払われる確率も高くなるからです。
2.3.女性疾病特約で保険料を安く抑え、合理的に保障を持つことができる
以上を踏まえると、女性疾病特約の最も重要な役割は、医療保険の保険料の負担が軽くなるということことです。
たとえば、医療保険の基本保障の入院日額を1万円に設定すると、保険料は高額になってしまいます。
しかし、基本保障を入院日額5,000円にして、そこに女性疾病特約1日5,000円を付けると、女性がなりやすい病気に限って1万円を受け取れることになります。また、基本保障を入院日額1万円にするよりも保険料が安くなります。
女性にとってリスクが高い病気に保障の重点を置きながら、保険料を抑えることができるのです。
3.「3年ごとに15万円が受け取れる保険」には要注意
そのような女性向けの医療保険の中には、以下のような触れ込みで販売されているものがあります。
「3年ごとに15万円受け取れる 女性のための入院保障」
一見して魅力的ですが、その中身は一体どのようなものなのでしょうか。
3.1.年齢とともに、保険料の額も掛け捨てになる割合もアップ
下記の例をご覧ください。
【例】3年ごとに15万円を受け取れるプラン
主な保障内容
- 入院 1万円+女性疾病5,000円
- 手術 内容により40万円・20万円・10万円・5万円
- 死亡 病気死亡500万円
- 先進医療 技術料(2,000万円限度)
【18才女性の場合】
- 毎月保険料7,868円×12ヶ月×3年間=283,248円
- 総払込保険料283,248円-お祝金150,000円=133,248円(総額払込保険料の約47%が掛け捨て)
- 毎月3,701円相当が掛け捨て
【40歳女性の場合】
- 毎月保険料8,653円×12ヶ月×3年間=311,508円
- 総払込保険料311,508円-お祝金150,000円=161,508円(総払込保険料の約52%が掛け捨て)
- 毎月4,486円相当が掛け捨て
【60才女性の場合】
- 毎月保険料15,236円×12ヶ月×3年間=548,496円
- 総払込保険料548,496円-お祝金150,000円=398,496(総払込保険料の約73%か掛け捨て)
- 毎月11,069円相当が掛け捨て
この保険は15年ごとに更新され、そのたびに保険料が上がっていきます。
上記例の通り、それぞれの年齢別に電卓で計算すると、その違いがよく分かります。若いうちは、掛け捨てになる額の配分も少なくなっています。なので、割安な保険料で入院・手術・死亡など、たくさんの保障を持つことができるのです。ところが、年齢が上がるにつれて、保険料の額も、そのうち掛け捨てになる割合も増えていきます。
3年ごとに15万円を受け取れると言っても、保険料のだいたい半分以上が掛け捨てになっているのです。
3.2.医療保険は掛け捨てを選ぶべき
医療保険は、「入院時の治療費の保障が欲しい」「お金のことを気にせず最新の医療を受けたい」「老後の医療費が心配」などのニーズに応える保険です。
貯蓄したりお金を増やしたりすための保険ではありません。
もし、そういったニーズを重視するのであれば、医療保険ではなく、貯蓄機能に特化した保険を選ぶべきと言えます。
まとめ
女性にとっての保険選びのポイントについて、主に医療保険を題材にしてお伝えしました。
貯蓄が十分でない場合や個室に入院したい場合などは、医療保険があると治療費の心配も軽減されるでしょう。
また、基本の保障(入院給付金・手術給付金)を低く抑え、その代りに「女性疾病特約」を付けると、女性にとってリスクの高い疾病の保障を手厚くしつつ、保険料を節約することができます。



