オペレーティングリースの節税の仕組みと具体的な活用術

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法人の節税で「オペレーティングリース」というスキームを聞いたことはありませんか。

「オペレーティングリース」の節税は、航空会社・リース会社・匿名組合・出資者など、様々なお金のやり取りが発生するため、一見わかりにくくなっています。

しかし、支払いは一度きりで、1年目に80%程度、2年目に20%程度の損金算入ができ、リース期間満了時に100%以上の益金が発生する仕組みなので、突発的な利益を将来に繰り延べるにはとても有効な手法です。

また、オペレーティングリースには、航空機・船舶・コンテナの3つのリースがあります。

この記事では、オペレーティングリースの仕組み・メリット・デメリットを具体的にお伝えした上で、航空機・船舶・コンテナの3つのリースの違いと活用方法をお伝え致します。

1. オペレーティングリースの仕組み

1.1. 短い期間で多くの損金を計上できる

オペレーティングリースとは単純に言うと、短い期間で多くの損金を計上することができて、リース期間満了時には、それと同額かそれ以上の益金を得られるという、いわば利益の繰り延べスキームです。

例として、リース期間6年で損金と益金を簡略化した図にしました。

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このようにオペレーティングリースでは、出資した初年度に80%程度、2年目に20%程度の損金を計上することができます。つまり、2年に渡って出資金の100%を損金計上することができるということです。この損金は、物件の減価償却での損金です。

そして、リース期間満了時(この場合は6年目)に出資金の100%程度の益金が発生します。この益金はリースで得た収益と物件の売却益での合計です。

このように、大きな損金を発生させることができるのがオペレーティングリースの魅力です。しかし、リース期間満了時には出資金程度の益金が発生してしまいます。つまり、リース期間だけ利益を繰り延べしているということになります。

1.2. 仕組み図とお金の流れ

オペレーティングリースの仕組みを簡略化して図にしました。

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この図を元に、オペレーティングリースの仕組みを7つに順序立てて説明します。

  1. オペレーティングリースのスキームを作るリース会社は、物件(航空機・船舶・コンテナ)を買い上げます。
  2. リース会社は様々な投資家が出資できるように匿名組合を作り、金融機関から借り入れをして、匿名組合の所有にします。
  3. 物件を航空会社あるいは海運会社へ貸し出し、リース料を得ます。リース料が発生し、組合が運営できるようになった時点で、出資者を募ります。
  4. 投資家はリース会社が設定した出資金額に従って、1口単位で出資を行います。(1口1,000~5,000万円が相場)
  5. 出資者にはリース料と物件の減価償却が出資額分に応じて分配されます。
  6. リース期間満了時に貸出先あるいは中古市場が物件を買い上げて、その売却益が組合に入れば、その最終的な利益を出資者に分配し、組合は解散します。

この順序で、このスキームは組まれて、お金が流れています。

もしも、リース期間の満了時に物件の貸出先を買い上げてくれない場合は、物件の中古市場で売却することになります。この場合は、保証が設定されていない場合は、中古市場で販売できた時期と価格で、売却益を投資家に分配する仕組みになっています。

ただし、リース会社は貸出先に、「もしも買い上げをしない場合は、貸し出していた物件を新品同様にして戻すこと」を条件としている場合は、余程のことがない限り、

そして、中古市場で販売をして、高額で物件が販売できた場合は約束していた金額よりもより多くの売却益が発生するため、分配金も多く受け取れる仕組みとなっています。

2. オペレーティングリースの3つのメリット

2.1. 大きな損金算入率=節税効果が高い

オペレーティングリースは、数ある節税方法の中でもその効果がとても高いものです。物件をリースする際に、一括で資金を投入するのですが、なんと、その時に投入した金額の約80%を1年目で減価償却として損金算入できます。さらに、2年目で残りの20%を損金算入することができます。

将来資金が返還される金融商品でこれほど大きな損金を一度にできる商品は他にありません。

突発的な利益対策や利益剰余金による自社株価の上昇を抑える対策でも、この大きな損金算入は非常に魅力的です。

他の金融商品や不動産での減価償却でも一括して支払った金額の20~50%程度しか損金にはなりませんので、オペレーティングリースの損金算入率が非常に魅力的であることがわかります。

2.2. 支払いは1回のみ

生命保険や共済での節税の場合は、毎年掛け金を支払う必要があります。しかし、オペレーティングリースは一括で資金を投入できます。そのため次年度以降のキャッシュを気にする必要はありません。

つまり、毎年掛け金を支払うタイプだと、次年度以降も利益がでるのか、キャッシュに余裕があるのかなどの不安が付きまといますが、オペレーティングリースではこのような心配はないということです。

2.3. 好条件のリースを選ぶポイントが明確

オペレーティングリースは一見複雑にも見えますが、以下の5つのポイントをおさえておけば、好条件の案件を選ぶことが可能です。

  1. リース期間が5~7年以下であること(航空機8年、船舶7年、コンテナ5年が目安)
  2. 会社で外貨での取引がない場合は、円建て取り引きであること。外貨取引がある場合は、換算為替レートが1ドル=110円以下であること。(理想は105円以下)
  3. 物件の貸出先が大手であること(サブ・サブリースで他の海運会社が存在する場合は除く)
  4. リース期間の満了時に物件をリース先が購入することを前提としていること
  5. 1年目の損金は、出資金の80%以上であること。

一つ一つポイントをお伝えします。

2.3.1. リース期間が短いこと

大きな資金を出資するため、リース期間は短いに越したことはありません。リース期間が短ければ短いほど、リスクも少なくて済みます。

2.3.2. 円建て取引であること(外貨取引がある場合は別)

そして、海外の航空会社や海運会社へリースすることが多いため、外貨の影響を受けますので、為替の面で少しでも為替の損失を避けるには、換算レートが105円程度であることが望ましいです。物件は半年前に仕入れていることが多いため、その時々の為替ではなく、半年程度前の為替が基準となります。円高であるタイミングが半年ほど前にあれば、有利な案件が出てくると考えていいでしょう。

2.3.3. リース先が大手であること

オペレーティングリースで、もっとも大切なのはリース先が安定的に物件を借りてくれること、そして最終的に物件を買い取ってくれることです。

よって、貸出先の健全性を知ることがポイントなのですが、将来のことまではわかりません。しかし、貸出先が大手かどうか、業績がどうか、などはネットで調べてればすぐに出てきます。リース先がリース期間満了まで健全に運営しているかどうかはしっかりと調べておきましょう。

2.3.4. リース期間満了時にリース先が購入することを前提としていること

オペレーティングリースのスキームは運営するリース会社によって、最後の売却の仕組みが異なります。リース会社によってはリース先には売却せず、大きな売却益を狙って中古市場で販売することでリース満了を迎えます。この中古市場での販売は、儲かることもありますが、大きく損失を出してしまう可能性もあります。その意味でも、最終的にはリース先に一定の値段で買い取ってもらうように約束をしている契約であれば、そちらの方が安全です。

利益を繰り延べるだけでなく、投資として考えるのであれば、中古市場で販売をするという出口であれないいとは思いますが、利益の繰り延べを確実に行いたいという場合は、リース先に買い取ってもらえるような契約にしてあるものの方がいいでしょう。

2.3.5. 一年目の損金が出資金の80%以上であること

また、オペレーティングリースは、利益を繰り延べることを第一の目的としていますので、初年度に出資した金額の80%以上は損金にできなければ好条件とは言えません。案件によっては出資額の90%近く初年度に損金算入できるものもあります。

これらの条件さえ押さえておけば、オペレーティングリースの案件選びで失敗することはないでしょう。

3. オペレーティングリースのデメリット

3.1. 代表的な3つのデメリット

オペレーティングリースの代表的なデメリットは以下の3つです。

  • 円建て商品が少ない
  • 中途解約が困難
  • 元本保証がない

ここは、ぜひ押さえておいていただきたいと思います。

3.1.1. 円建て商品が少ない

コンテナのリースは外貨建て商品が主流です。なぜならコンテナは海外で購入してから、海外の海運会社へリースするという形になるからです。一応、円建ての商品も存在はしますが10%程度の割合です。

しかし、もともと外貨で取引をしている場合は、為替リスクをあまり気にすることなく、好条件のリース案件に出資しやすいという面もあります。一方で、日本円の商品で、さらに好条件のリース案件を探そうとすると商品が限られてしまい、タイミングを逃すと出資ができないということもあります。

3.1.2. 中途解約が困難

オペレーティングリースは、基本的に中途解約ができません。

一度出資したはいいものの、経営状態の悪化により資金が必要となった場合でも途中解約ができないため、キャッシュアウトすることができません。これによって、経営が苦しくなり倒産ということもありえますので、少なくとも現預金で余裕資金が5,000万円ほどなければ、安心して数千万円の出資は避けたほうがいいと言えそうです。

また、リース期間の満了前に、出資した会社が倒産してしまうことも考えられます。その場合は、法人の口座だけ活かしておいて、そこに満了時の分配金を入金してもらうことになります。実務上では、このような投資家側の倒産のリスクもありますので、中途解約は本来できないのですが、このようなことが起きた場合には、特別にリース契約の売却がなされることもあります。

この場合は、資金化を急いでいることが多いため、出資金の50~80%で取引されてしまうのが、ほとんどです。よって、中途解約は基本的にはできませんが、絶対に中途解約できないという訳ではなく、多くの場合は契約を売却して損をしてしまうということになります。

また、このリース契約の中途売買の販売先は、基本的にはリース会社が選定するため、誰にでも自由に販売できるものではないということも知っておきましょう。

3.1.3. 元本保証はない

オペレーティングリースは、生命保険と異なり、約束された金額が必ず返還されるという保証はありません。なぜなら、リースでの収益やリース期間満了後のコンテナの売却が100%シミュレーション通りにいくとは限らないためです。

例えば、生命保険では、保険会社が経営破綻して、買収してくれる保険会社が現れなかったとしても、生命保険保護機構という公的な機関で責任準備金(≒解約して戻ってくるお金)の90%が保証されています。(将来もずっとこの機構が保証をしてくれるかは不明確です。)

しかし、オペレーティングリースでは、このような救済機関が存在しないため、民間での救済を頼るしかありません。これは、出資する側からすると大きな不安の要素になっているはずです。そのため、航空会社、海運会社、リース会社は慎重に検討する必要があります。

3.2. その他のリスク

オペレーティングリースは節税を考えている法人様には非常に魅力的なものです。しかし、当然リスクもあります。例えば、以下のようなものです。

  • リース先の倒産リスク
  • 匿名組合・リース会社の倒産リスク
  • 物件が想定価格で売却できないリスク
  • 外貨建ての場合は円高リスク
  • リース物件が破損するリスク(益金が早期に発生するリスク)
  • 物件による損害賠償リスク
  • 物件を高値で販売できないリスク
  • 税制改正リスク
  • 追加出資リスク

実のところ、これらのリスクはほとんど現実化しないものばかりです。しかしながら、会社の資金を大切に扱うと言う面で、小さなリスクでもしっかりと把握しておいていただきたいと思います。

3.2.1. リース先(航空会社・海運会社)の倒産リスク

リース先の倒産や債務不履行によって、リースは途中解約となり得ます。その場合は、コンテナを中古市場で売却するか、他で借りてくれるリース会社を探さなければなりません。

もちろんリース先の倒産によって、約束されたリース料や物件の買い上げ金額の保証はなくなりますので、シミュレーション通りの分配金はもらえなくなってしまいます。

3.2.2. 匿名組合・リース会社の倒産リスク

リース会社が倒産や債務不履行になってしまう場合は、事業収支や損益が約束通りにならないケースもあります。

海運会社の倒産に比べると、リース会社の倒産では投資家に被害が発生することは少ないのですが、全くないとは言えません。

最悪の場合では、組合運営を継続して行うために、追加出資を請求される可能性もあります。

多くの場合、リース会社が倒産した場合は、その匿名組合の運営を代わりに行ってくれるリース会社が運営を行います。

過去にリース会社の倒産があったケースでは、他のリース会社が株を買い取り、匿名組合の運営を行ってきました。

その場合は、当初の約束通りの運営がなされています。

3.2.3. 物件が想定価格で売却できないリスク

物件を買うか買わないかは、物件を借りている海運会社が決定します。

これは購入選択権といって、物件を残存価格の30~40%で買い取るという権利が会社に付与されているためです。

多くの契約では、海運会社がコンテナを約束した金額で買い取らない場合は、リース会社に新品同様にして返還しなければならないような規約が定めされています。

よって、リース先も買取をしてしまった方が負担が少ないと判断をして、リース期間満了後に買取をしないというケースは極めて少ないと言えます。

しかし、リース先も倒産してしまえばこの約束は果たせませんので、必ず当初想定していた価格でコンテナを売却できないこともあります。

3.2.4. 外貨建ての場合は円高のリスク

物件は海外で購入していますので、リース会社は外貨で支払いをしています。

外貨で支払いをしている場合は、このスキームを作成するときには、この支払いをした段階での為替で出資者へのシミュレーションを組みます。

この時点で円安だった場合は、リース期間満了時に円高となったときは、いくら約束通りの金額を外貨で分配してくれたとしても、円に換算するときに為替で損をしてしまいます。

過去のドルでの為替をみてみましょう。

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このように円高で1ドル=80円代のときがあります。出資するときの為替が1ドル=100円でリース期間の満了時に1ドル=80円だったとすると、為替だけで20%以上損をしてしまいます。

上図のデータはあくまでも過去のことなので、将来の参考にできるかは不確定ではありますが、過去の為替を参考にする限りは、オペレーティングリースのスキームを組んだ時の為替は、1ドル=110円以下でなければ、損をしてしまう可能性は高いと考えておいたほうがいいと、私は考えています。

上図でも記載しておりますが、2000年からの為替の平均は約106円ですので、理想は1ドル=106円以下でオペレーティングリースのスキームが組まれていれば、より理想的です。

これはあくまでも過去の話ですので、これからのことは誰もわかりません。

しかし、為替にはリスクもありますが、得をするチャンスもありますので、出資する場合はご自身で為替にことまで考慮に入れて出資の判断をしましょう。

3.2.5. リース物件が破損するリスク=益金が早期に発生するリスク

リース物件が事故により破損をして使用不可能になった場合などは、リース会社がコンテナに保険を掛けているため、物件価値以上の保険金が降りるようになっています。

よって、物件が事故を起こしても収益上は問題は少ないと言えますが、保険金を投資家で分配をしてリースのスキームが終了してしまうため、予定よりも早く益金が発生してしまいます。

利益を繰り延べする期間が短くなると予定通りにいかなくなるという事態も起こりますので、物件が破損するリスク=益金が早期に発生してしまうリスクと言えます。

3.2.6. 物件による損害賠償リスク

物件の不具合が原因で事故を起こし、第三者に損害を与えてしまった場合は、所有者である組合が損害を賠償することもありえます。

その賠償のリスクを保険会社が負いきれなかった場合は、投資家へ追加出資を求めることもあり得ます。

考えにくいことですが、リスクは全くのゼロではありませんので、物件の破損だけでなく、不具合によって事故を起こし、第三者への賠償まで考慮すると追加出資のリスクまであり得ると考えておきましょう。

3.2.7. 物件を高値で販売できない権利があるリスク

これはリスクという観点よりも、物件の売却で想定以上に設けることができないデメリットと言い換えることができます。

それは、物件の需要が高まり、中古市場で高値で売却ができる見込みがあっても、航空会社・海運会社が買い上げるかどうかの選択権を持っているからです。

航空会社・海運会社は市場より安く物件が手に入れられるのであれば、喜んで物件を購入します。

また、前述にも記しましたが、航空会社・海運会社は買い上げを行わない場合は新品同様にしてリース会社に返却しなければなりませんので、ほとんどの場合は海運会社が約束した値段で買い取ります。

3.2.8. 税制改正のリスク

匿名組合でのオペレーティングリースは過去の判例からも損金は認められており、経理処理も明確にはなっています。

平成17年に名古屋高裁でレバレッジドリースといわれる出資額以上に損金を計上できるスキームは、是正がなされることとなり、税制が改正されてオペレーティングリースへと切り替わったという経緯があります。

現在では事実上、匿名組合での減価償却などの経理処理は認められているものの、時代の変化によって税制や法改正、会計制度の変更はないとは言えません。

生命保険と同様、オペレーティング商品へ出資してから、過去に訴求して経理処理を変更するようなことはないという見方が強いですが、これも必ずとは言えません。

また、法改正によって、匿名組合の事業を継続できないということもありえます。よって、現在は事実上認めらえているスキームが今後も必ず保証されているというわけではないということも考慮に入れてきましょう。

3.2.9. 追加出資リスク

物件の不具合による墜落や事故での第三者への賠償だけでなく、合理的な理由があればリース会社は出資者へ追加出資を求めることができるようになっています。

このため、思いもよらないことから追加出資を請求される可能性があるということはリスクとして認識しておくべきです。

融資してくれた金融機関の意思が優先されるリスク

リース会社はコンテナを購入するときに金融機関から融資を受けて、最終的に匿名組合でお金を借りることとなります。

よって、金融機関はこの匿名組合事業へ意見をすることができるようになっています。なので、様々な事柄を判断するときに融資をしている金融機関の意向が最優先されます。

これによって、匿名組合の意思とはことなる決定が金融機関の意向でなされることがありますので、この点は抑えておきましょう。

ただし、金融機関は融資したお金を回収するための意思決定をおこないますので、事業を継続することにつながる判断をしてくれるという認識でもいいのではないかと思います。

4. 航空機・船舶・コンテナのオペレーティングリースの違い

オペレーティングリースには航空機・コンテナ・船舶の3つのリーススキームがあります。

基本的にはすべて同じスキームなのですが、若干異なる点がありますので、3つのスキームの特徴を押さえたうえで最適なオペレーティングリースを選択していただきたいと思います。

下図は3つのオペレーティングリースの特徴を簡単にまとめたものです。

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それでは、ここからはそれぞれの特徴について解説致します。

4.1. 航空機の特徴

航空機の特徴は需要の高さにあります。

航空機のニーズは、世界の人口と正比例の関係にあります。そして世界人口は、毎年、高い率で増加しているため、航空機の需要が下がることは非常に考えにくいと言われています。

よって、①リースでの収益確保②リース期間満了時の物件の売却益確保の面で有利だと言われています。

下図(国連調査・世界人口グラフ参考)のように世界の人口が増えているため、航空機需要は高まっていくという見解が多く、航空会社も将来に航空機を買い取る権利を有していることは将来の航空機仕入れコストの削減につながり経営の安定化に関係するため、このスキームが成立している側面があります。

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よって、航空会社が万が一、航空機を最後に買い取らず、中古市場での販売ということになったとしても、需要が高まっているため、予定よりも高い値段で販売できる可能性もあります。

デメリットとしては、出口の場面で中古市場での売却となった場合に大幅に値下がりするリスクがあることです。航空機の需要自体は高まっているのですが、一方で航空機は非常に技術力の求められる貴重な財産としてみなされています。

もしも、リース期間満了までに最新の技術が搭載された航空機が開発され、それが世界のスタンダードになっていると最新の技術のない中古の航空機は価値が大幅に下落してしまいます。需要があるので、収益が安定している一方で技術面で勝負をしている物件であるため、技術の進歩による中古価値の下落リスクも大きいと考えていいでしょう。

よって、航空機のオペレーティングリースでは、出口では中古市場での販売になる場合は、予定よりも収益が膨らむ可能性が高いのですが、すごい技術が開発されてしまうと中古の価値が急落するリスクもあります。

利益を繰り延べることに主眼を置く場合は、航空会社に買い上げてもらうことを前提としたオペレーティングリース契約を選択することをおすすめします。

4.2. コンテナの特徴

コンテナの特徴は、出資額の低さと価格の急落リスクの少なさ、そしてリース期間の短さにあります。

コンテナの需要は、GDP成長率や交易係数(各国の品目別の調達数)で決まります。コンテナの需要は長期的には伸びてはいますが、GDP成長率や交易係数は突然下がったりあがったりしているので、リース期間満了時にぴったり需要が高まっているかを予測するのは難しいです。

しかし、中古コンテナは航空機や船舶とは異なり、価格は新品の30%程度で安定的に売却がされてきました。というのも、航空機や船舶は、高い技術力が求められる機械で、技術の進歩によっては、中古の価値が大幅に下落する可能性があるのに対して、技術力が低くても生産できてしまうコンテナは、技術の進歩による中古価値の目減りが起きにくいからです。

そして、もうひとつの特徴としては、コンテナの金額は、航空機や船舶と比較すると安価であるため、出資金額の下限も1000~3000万円程度となっており、比較的出資しやすい金額となっています。

最後に、コンテナリースの優れている点は、リース期間が比較的に短い点にあります。

コンテナは航空機や船舶と異なり、リース期間が5~8年と短いため、なるべく早く出資金を回収したいと考えている方にはとても条件がよいと言えます。

4.3. 船舶の特徴

船舶の特徴は、中古市場での販売では販売価格の値動きが激しい点(ボラティリティが高い点)にあります。

船舶リースでは、バルチック海運指数という数値で、船舶の需要が判断されます。バルチック海運指数とは、ロンドンのバルチック海運取引所が発表する外航不定期船の運賃指数です。バルチック指数は、2008年5月20日には過去最高の11,793を記録していますが、長期的には下げ傾向にあるようです。

また航空機と比べて、バルチック海運指数は、非常に変動が激しいため、今後の見通しは立てられません。よって、需要の高い時期は予定よりも大幅に利益を獲得できますが、需要の低いタイミングでは、大きな損失を被ってしまうリスクがあります。

そして、船舶は航空機同様に高い技術を必要とされる物件ですので、最新の技術が開発された場合は、中古の船舶は大幅に価値が下落します。

よって、船舶に関しては海運会社がリース期間満了時に買い上げる契約前提のオペレーティングリース契約でなければ、計画的な利益の繰り延べにはならないでしょうから、それ以外のオペレーティングリースはあまりおすすめできません。

5. オペレーティングリースの具体的な活用術

5.1. リース期間を分散して計画的な利益の繰り延べを行う

ここまでで、オペレーティングリースには3つの種類があることをお伝えしましたが、それぞれにメリット・デメリットがあります。資産を分散する意味でも、リースの期間を分けてオペレーティングリースを活用します。

比較的に少額の出資ができて、リース期間も短いコンテナを2~3口出資。(3,000万円程度)

そして、中長期の対策として、航空機あるいは船舶のリースで1口出資。(5,000万円程度)

これで、短中期ではコンテナリースのリース期間満了で、資金が回収でき、中長期では航空機・船舶のリース期間満了での資金が回収できます。

リース期間をずらすことで、将来一辺に大きな益金を計上しなくても済みますし、リース先である航空会社や海運会社の倒産などのリスクも分散できるので、比較的に安心して出資ができます。

5.2. 事業承継対策として自社株の引き下げを行う

事業承継対策で苦労することの1つは自社株対策です。

自社株を次の経営者候補に譲渡していきたいのですが、自社株の価格が非常に高くなってしまい、一辺に移行するのが困難になってしまうことがあります。特に同族会社で子孫に自社株を承継するときは贈与税・相続税の問題が大きく関わってきます。

そこで、オペレーティングリースを活用して、大きな損金を作り、一定期間だけ資産を目減りさせて、評価の低くなったタイミングで自社株を移行するといった活用方法です。

オペレーティングリースの優れている点は、営業外での損失で自社株評価を下げますので、本業の営業利益を傷つけなくて済む点にあります。営業利益は金融機関から融資を受けるときには、特に重要視される項目ですので、この営業利益を傷つけずに自社株評価を下げられることは、資金繰りの不安を解消する点でも非常に有効です。

5.3. 生命保険との組み合わせで短期・中期の利益の繰り延べを実現

生命保険は、毎年掛け金を支払うというデメリットがありますが、オペレーティングリースとは異なり、将来払い戻されるお金が明確になっているという大きなメリットがあります。

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よって、一部の突発的な利益はオペレーティングリースで、利益の繰り延べを行い、他の部分に関しては生命保険で数年間損金計上をして利益を繰り延べるという方法があります。

例えば、5,000万円の突発的な利益が発生してしまった場合は、4,000万円分をオペレーティングリースで将来に繰り延べ、1,000万円分を生命保険で繰り延べるとします。

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4,000万円分に関しては、1回の支払いで完了しますが、1,000万円分の生命保険に関しましては来期以降も掛け金を払い続けなければなりません。

例えば、生命保険は7年後に解約予定で、リースは6年目にリース期間満了を迎えるとします。来期以降は利益が出ずに、生命保険によって5年間毎年1,000万円の赤字で、合計5,000万円の赤字を作ってしまっていたとすると、6年目には4,000万円のリース期間満了の資金が回収され、4,000万円の益金が発生します。

そこで、蓄えていた赤字貯金(繰越欠損金)と相殺することで、4,000万円分の利益にかかるかずだった法人税を丸まる軽減できたことになります。

そして、7年目に生命保険を解約して発生する雑収入は再度オペレーティングリースで利益を繰り延べることができます。あるいは、解約返戻金を退職金にして利益を相殺してもいいですし、生命保険の解約返戻金による雑収入以上の繰越欠損金があれば、それで相殺してもかまいません。

現在では、生命保険の解約返戻金を年金にすることで、将来にわたって少しずつ利益を繰り延べることもできますので、突発的な利益を様々な方法で会社の資産に組み込むことができるようになっています。ただし、キャッシュに余裕がなければ、経営自体が苦しくなってしまいますので、注意が必要です。

また、一般的には生命保険での利益の繰り延べの方が安全ですし、掛け金も少額から始められるということで実際に実践されている経営者は多くいらっしゃいますが、その生命保険の解約返戻金によって、雑収入(益金)が発生してしまい、突発的に非常に大きな利益が発生してしまうという事態も起こり得ます。

この場合もオペレーティングリースを活用して、突発的な利益を将来に繰り延べさせるということも可能です。

まとめ

今回は、オペレーティングリースの仕組みとそのメリット・デメリット、そして3つのオペレーティングリースの特徴を踏まえた上で、具体的な活用術までご紹介いたしました。

オペレーティングリースは、一回の支払いで大きな損金効果を発揮することができる効果的な手法です。

しかし、すべてのオペレーティングリースがいいわけではなく、リース期間が短いことや為替の相場、リース期間満了時の出口でのリース先買取かどうかなどの好条件のポイントを押さえて、オペレーティングリースを選択する必要があります。

また、オペレーティングリースには、航空機・コンテナ・船舶と3つのリースが存在しますが、それぞれに特徴があり、一番気軽に出資できるのがコンテナのリースです。

しかし、航空機の資産価値の高さの観点などで、出資額は大きくても魅力的なリースも存在します。

これらの特徴を踏まえた上で自社の状況にあったオペレーティングリース契約を行えるのであれば、非常に有効な手段に成り得ます。

そして、具体的な活用でもご紹介したとおり、1つに資産を集中させるのではなく、オペレーティングリースを数種類組み合わせることで、将来発生する益金計上の対策とリスク分散によるリスク回避が実現できます。

また生命保険と組み合わせることで、繰越欠損金を作り出して、出口対策をすることも可能です。

今の会社の現状と今後会社をどうしていきたいかという希望を元に、自社にもっともあったオペレーティングリース活用をしていただければと思います。

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松澤 正宣

松澤 正宣

大手生命保険会社にてオフィス長を経験。
これまで200名以上のセールスに教育・研修を行ってきた保険のコンサルタント。
得意分野は資産家・経営者の税金対策。
保険の教科書の購読はSNSが便利です。