船舶のリースの節税の仕組みとメリット・デメリットの全て

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法人の節税スキームを調べていると、船舶(タンカー)のリースが効果的であるという話を聞くことはありませんか。

船舶(タンカー)のリースは法人の節税でよく活用されるスキームです。

実はオペレーティングリースと呼ばれるリースで、節税スキームの中では最も歴史が古く、船舶(タンカー)のリーススキームとして、日本では1963年から存在していました。

船舶リースでは、1年目2年目の近期で大きな損金を計上して、6~10年後などリース期間が終了する時には、それと同額かそれ以上の益金を得ることができると言うものです。

近期の節税効果が非常に高いため人気がありますが、航空機やコンテナのオペレーティングリースとどのような違いがあるのかまでは理解されていません。

そして、残念ながら、会計士や税理士の方から紹介されたからと、そのメリットやデメリット、他のオペレーティングリースとの違いをしっかりと理解されずに、数千万円単位の資金を投入してしまい、資金繰り効率や節税効果の面で無駄を出してしまっている法人様をよくお見かけします。

そこで、当記事では、船舶リースによる節税を効果的に行うために知っておくべきことを全てお伝えします。

具体的には以下の通りです。

  • 船舶リースによる節税のメリットとデメリット
  • 船舶リースを活用すべき法人様とその条件
  • 船舶リースの仕組みとお金の流れ
  • 船舶リースで想定されるリスク
  • 船舶リースによる節税と保険による節税の比較

少々、長くなってしまいましたが、活用できる法人様にとっては、非常に大きな節税効果が期待できますので、ぜひご覧いただければと思います。

1. 船舶リースによる節税のメリット・デメリット

最初に、船舶リースとは何なのかをご理解いただくために、メリットとデメリット、そして船舶のリースを効果的に活用できる法人様の条件をご紹介します。

1.1. 船舶リースの2つのメリット

船舶リースを検討する際に押さえて頂きたいのは以下の2つです。

  • 大きな損金算入率(=節税効果が高い)
  • 支払いは1回のみ

一つずつ説明させて頂きます。

1.1.1. 大きな損金算入率(=節税効果が高い)

船舶のリースは、数ある節税方法の中でもその効果がとても高いものです。

船舶をリースする際に、一括で資金を投入するのですが、なんと、その時に投入した金額の約80%を1年目で減価償却として損金算入できます。

さらに、2年目で残りの20%を損金算入することができます。将来資金が返還される金融商品でこれほど大きな損金を一度にできる商品は他にありません。

突発的な利益対策や利益剰余金による自社株価の上昇を抑える対策でも、この大きな損金算入は非常に魅力的です。

他の金融商品や不動産での減価償却でも一括して支払った金額の20~50%程度しか損金にはなりませんので、船舶リースの損金算入率が非常に魅力的であることがわかります。

1.1.2. 支払いは1回のみ

生命保険や共済での節税の場合は、毎年掛け金を支払う必要があります。

しかし、船舶のリースは一括で資金を投入できます。そのため次年度以降のキャッシュを気にする必要はありません。

つまり、毎年掛け金を支払うタイプだと、次年度以降も利益がでるのか、キャッシュに余裕があるのかなどの不安が付きまといますが、船舶のリースではこのような心配はないということです。

1.2. 船舶リースのデメリット

次に、デメリットに関してお伝えします。以下の通りです。

  • 円建て商品が少ない
  • 中途解約が困難
  • 元本保証はない
  • 他のリースに比べて、売却価格の変動が激しい(海運会社の買取ではなく、中古市場での売却の場合)

こちらも簡潔に解説させて頂きます。

1.2.1 円建て商品が少ない

船舶のリースは外貨建て商品が主流です。なぜなら船舶は海外で購入してから、海外の海運会社へリースするという形になるからです。一応、円建ての商品も存在はしますが10%程度の割合です。

しかし、もともと外貨で取引をしている場合は、為替リスクをあまり気にすることなく、好条件のリース案件に出資しやすいという面もあります。一方で、日本円の商品で、さらに好条件のリース案件を探そうとすると商品が限られてしまい、タイミングを逃すと出資ができないということもあります。

1.2.2. 中途解約が困難

船舶のリースは、基本的に中途解約ができません。そのため資金に余裕がある規模の大きめの企業のための商品となります。いずれにしても、中途解約が困難だというデメリットはよく理解された上で、無理のない範囲で出資額を検討することが必要です。

1.2.3. 元本保証はない

船舶のリースは、生命保険と異なり、約束された金額が必ず返還されるという保証はありません。なぜなら、リースでの収益やリース期間満了後のコンテナの売却が100%シミュレーション通りにいくとは限らないためです。

例えば、生命保険では、保険会社が経営破綻して、買収してくれる保険会社が現れなかったとしても、生命保険保護機構という公的な機関で責任準備金(≒解約して戻ってくるお金)の90%が保証されています。(将来もずっとこの機構が保証をしてくれるかは不明確です。)

しかし、船舶のリースでは、このような救済機関が存在しないため、民間での救済を頼るしかありません。これは、出資する側からすると大きな不安の要素になっているはずです。そのため、海運会社、リース会社は慎重に検討する必要があります。

1.2.4. 他のオペレーティングリースに比べると、売却価格の変動が激しい

オペレーティングリースによる節税は、船舶以外だと、航空機リースやコンテナリースがあります。船舶リースは、これらに比べて、

「リース期間満了時の物件の売却価格の変動が激しい」という側面があります。

後ほど詳しく、後述しますが、船舶の特徴は、バルチック海運指数という数値で、船舶の需要が判断されることです。

バルチック海運指数とは、ロンドンのバルチック海運取引所が発表する外航不定期船の運賃指数です。バルチック指数は、2008年5月20日には過去最高の11,793を記録していますが、長期的には下げ傾向にあるようです。また航空機と比べて、バルチック海運指数は、非常に変動が激しいため、今後の見通しは立てられません。

その分、中古市場での船舶売買の場合は、需要が高まっていれば大きな売却益につながる可能性を秘めています。

その逆に、大きな売却損を抱えてしまうリスクも存在します。

1.3. 船舶リースを活用すべき法人とその条件

以上のように船舶リースは、非常に大きな節税効果があります。しかし、大きな資金を動かすことになるため、全ての法人が活用できるものではありません。

そこで、次に

  • 船舶リースによる節税を効果的に扱える法人様
  • 活用するとしたら検討すべき好条件のリースの詳細

をお伝えします。ここで、船舶のリースによる節税が可能かどうかを、ここでご判断いただければと思います。

1.3.1. 船舶リースを効果的に活用できる法人

以下の通りです。

  1. 突発的に利益が大幅に出てしまい、経常利益は3,000万円以上
  2. 現預金に1億円以上の余裕資金がある
  3. 事業承継で自社株対策が必要である

上記3点の条件のうち、1と2が満たされていれば、ぜひ、活用をご検討ください。3の条件は満たしていなくても良いですが、このニーズもあるのであれば、船舶のリースはさらに効果的な選択肢になります。

1.3.2. 活用するなら検討すべき好条件の船舶のリースの詳細

次に、船舶のリースを活用しようと考えている場合のリースの条件をお伝えします。以下の通りです。

  1. リース期間が7年以下であること(リース期間が5~6年であれば尚可)
  2. 会社で外貨での取引がない場合は、円建て取り引きであること。外貨取引がある場合は、換算為替レートが1ドル=110円以下であること。(理想は105円以下)
  3. 船舶の貸出先が大きな海運会社であること(サブ・サブリースで他の海運会社が存在する場合は除く)
  4. リース期間の満了時に船舶を海運会社が購入することを前提としていること(船舶の場合は価格の変動が激しいため特に重要です)
  5. 1年目の損金は、出資金の80%以上であること。

上記の5つの条件を満たして入れば、節税するのに好条件の船舶リースとなります。

なお、リース期間が5年以下の短い商品は、中古の船舶を活用したものとなります。中古の場合は、海運会社が最後買取をすることを前提としない再販市場(中古船舶の売買市場)での販売がメインとなります。この場合は船舶を何%の再販価格で保証してくれるかを確認しておかなければいけません。

2. 船舶リースの基本的な仕組み

それでは、ここからは具体的に船舶リースの仕組みを解説いたします。

2.1. 船舶リースの損金と益金

船舶リースとは単純に言うと、短い期間で多くの損金を計上することができて、リース期間満了時には、それと同額かそれ以上の益金を得られるという、いわば利益の繰り延べスキームです。

例として、リース期間6年で損金と益金を簡略化した図にしました。

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このように船舶リースでは、出資した初年度に80%程度、2年目に20%程度の損金を計上することができます。つまり、2年に渡って出資金の100%を損金計上することができるということです。この損金は、船舶の減価償却での損金です。

そして、リース期間満了時(この場合は6年目)に出資金の100%程度の益金が発生します。この益金はリースで得た収益と船舶の売却益での合計です。

このように、大きな損金を発生させることができるのが船舶リースの魅力です。しかし、リース期間満了時には出資金程度の益金が発生してしまいます。つまり、リース期間だけ利益を繰り延べしているということになります。

2.2. 仕組み図とお金の流れ

船舶リース(オペレーティングリース)の仕組みを簡略化して図にしました。

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この図を元に、船舶リースの仕組みを7つに順序立てて説明します。

  1. 船舶リース(オペレーティングリース)のスキームを作るリース会社は、船舶を買い上げます。
  2. リース会社は様々な投資家が出資できるように匿名組合を作り、金融機関から借り入れをして、船舶を組合の所有にします。
  3. 船舶を海運会社へ貸し出し、リース料を得ます。このときに海運会社との契約で、リース期間の満了時に船舶を買い上げてもらう約束をします。
  4. リース料が発生し、組合が運営できるようになった時点で、出資者を募ります。
  5. 投資家はリース会社が設定した出資金額に従って、1口単位で出資を行います。(1口3,000~5,000万円が相場)
  6. 出資者にはリース料と船舶の減価償却が出資額分に応じて分配されます。
  7. リース期間満了時に海運会社が船舶を買い上げて、その売却益が組合に入れば、その最終的な利益を出資者に分配し、組合は解散します。

この順序で、このスキームは組まれて、お金が流れています。

もしも、リース期間の満了時に航空会社がコンテナを買い上げてくれない場合は、船舶の中古市場で船舶を売却することになります。この場合は、保証が設定されていない場合は、中古市場で販売できた時期と価格で、売却益を投資家に分配する仕組みになっています。

ただし、リース会社は海運会社に、「もしも買い上げをしない場合は、貸し出していた船舶を新品同様にして戻すこと」を条件としていることが多いです。

リース期間の短い中古船舶のリースでは海運会社買い上げではなく、再販市場での売却となりますので、いくらで売却できるかはわかりません。

中古市場では、そのときの需要で船舶の価格が決まるため、高く売れることもあれば、安くしか売却できないということもありえます。

船舶の中古市場は、価格の変動が激しいため、この点はメリットでもあり、デメリットにも成り得ます。

2.3. 船舶リースで想定される12のリスク

このように、船舶リースは、近期に多額の損金を計上して、リース満了時に益金を発生させると言う利益の繰り延べのスキームです。

節税を考えている法人様には非常に魅力的なものです。しかし、当然リスクもありますので、続いて解説します。

ご覧になられるとおわかりになられると思いますが、ほとんど顕在化しないリスクです。

しかし、全くリスクがないとは言い切れませんので念のため、想定されるリスクを全て解説いたしました。

海運会社の倒産リスク

海運会社の倒産や債務不履行によって、リースは途中解約となり得ます。その場合は、船舶を中古市場で売却するか、他で借りてくれる海運会社を探さなければなりません。

もちろん海運会社の倒産によって、約束されたリース料や船舶の買い上げ金額の保証はなくなりますので、シミュレーション通りの分配金はもらえなくなってしまいます。

匿名組合・リース会社の倒産リスク

リース会社が倒産や債務不履行になってしまう場合は、事業収支や損益が約束通りにならないケースもあります。

海運会社の倒産に比べると、リース会社の倒産では投資家に被害が発生することは少ないのですが、全くないとは言えません。

最悪の場合では、組合運営を継続して行うために、追加出資を請求される可能性もあります。

多くの場合、リース会社が倒産した場合は、その匿名組合の運営を代わりに行ってくれるリース会社が運営を行います。

過去にリース会社の倒産があったケースでは、他のリース会社が株を買い取り、匿名組合の運営を行ってきました。

その場合は、当初の約束通りの運営がなされています。

船舶が想定価格で売却できないリスク

船舶を買うか買わないかは、船舶を借りている海運会社が決定します。

これは購入選択権といって、船舶を残存価格の30~40%で航空機を買い取るという権利が海運会社に付与されているためです。

多くの契約では、海運会社が船舶を約束した金額で買い取らない場合は、リース会社に新品同様にして返還しなければならないような規約が定めされています。

よって、海運会社も買取をしてしまった方が負担が少ないと判断をして、リース期間満了後に買取をしないというケースは極めて少ないと言えます。

しかし、海運会社も倒産してしまえばこの約束は果たせませんので、必ず当初想定していた価格でコンテナを売却できないこともあります。

また、オペレーティングリースの内容によっては、売却益を狙って、敢えて海運会社ではなく、中古の船舶市場で売却を行うといった契約もあります。

この場合、大きく売却益を得ることも可能ですが、大きく損失を被る場合もあります

外貨建ての場合は円高のリスク

船舶は海外で購入していますので、リース会社は外貨で支払いをしています。

外貨で支払いをしている場合は、このスキームを作成するときには、この支払いをした段階での為替で出資者へのシミュレーションを組みます。

この時点で円安だった場合は、リース期間満了時に円高となったときは、いくら約束通りの金額を外貨で分配してくれたとしても、円に換算するときに為替で損をしてしまいます。

過去のドルでの為替をみてみましょう。

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このように円高で1ドル=80円代のときがあります。出資するときの為替が1ドル=100円でリース期間の満了時に1ドル=80円だったとすると、為替だけで20%以上損をしてしまいます。

上図のデータはあくまでも過去のことなので、将来の参考にできるかは不確定ではありますが、過去の為替を参考にする限りは、船舶リースのスキームを組んだ時の為替は、1ドル=110円以下でなければ、損をしてしまう可能性は高いと考えておいたほうがいいと、私は考えています。

上図でも記載しておりますが、2000年からの為替の平均は約106円ですので、理想は1ドル=106円以下で船舶リースのスキームが組まれていれば、より理想的です。

これはあくまでも過去の話ですので、これからのことは誰もわかりません。

しかし、為替にはリスクもありますが、得をするチャンスもありますので、出資する場合はご自身で為替にことまで考慮に入れて出資の判断をしましょう。

船舶が水没するリスク=益金が早期に発生するリスク

船舶が事故により水没をして使用不可能になった場合などは、リース会社が船舶に保険を掛けているため、物件価値以上の保険金が降りるようになっています。

よって、船舶が事故を起こしても収益上は問題は少ないと言えますが、保険金を投資家で分配をしてリースのスキームが終了してしまうため、予定よりも早く益金が発生してしまいます。

利益を繰り延べする期間が短くなると予定通りにいかなくなるという事態も起こりますので、船舶が破損するリスク=益金が早期に発生してしまうリスクと言えます。

船舶による損害賠償リスク

船舶の不具合が原因で事故を起こし、第三者に損害を与えてしまった場合は、所有者である組合が損害を賠償することもありえます。

その賠償のリスクを保険会社が負いきれなかった場合は、投資家へ追加出資を求めることもあり得ます。

考えにくいことですが、リスクは全くのゼロではありませんので、コンテナの破損だけでなく、不具合によって事故を起こし、第三者への賠償まで考慮すると追加出資のリスクまであり得ると考えておきましょう。

船舶を高値で販売できない権利があるリスク

これはリスクという観点よりも、船舶の売却で想定以上に設けることができないデメリットと言い換えることができます。

それは、船舶の需要が高まり、中古市場で高値で売却ができる見込みがあっても、海運会社が買い上げるかどうかの選択権を持っているからです。

海運会社は市場より安く船舶が手に入れられるのであれば、喜んで船舶を購入します。

また、前述にも記しましたが、海運会社は買い上げを行わない場合は新品同様にしてリース会社に返却しなければなりませんので、ほとんどの場合は海運会社が約束した値段で買い取ります。

税制改正のリスク

匿名組合での船舶リーススキーム(オペレーティングリース)は過去の判例からも損金は認められており、経理処理も明確にはなっています。

平成17年に名古屋高裁でレバレッジドリースといわれる出資額以上に損金を計上できるスキームは、是正がなされることとなり、税制が改正されてオペレーティングリースへと切り替わったという経緯があります。

現在では事実上、船舶の匿名組合での減価償却などの経理処理は認められているものの、時代の変化によって税制や法改正、会計制度の変更はないとは言えません。

生命保険と同様、オペレーティング商品へ出資してから、過去に訴求して経理処理を変更するようなことはないという見方が強いですが、これも必ずとは言えません。

また、法改正によって、匿名組合の事業を継続できないということもありえます。よって、現在は事実上認めらえているスキームが今後も必ず保証されているというわけではないということも考慮に入れてきましょう。

中途解約ができないリスク

このリスクは現実の問題として最も大きなリスクとなり得ます。

一度出資したはいいものの、経営状態の悪化により資金が必要となった場合でも途中解約ができないため、キャッシュアウトすることができません。

これによって、経営が苦しくなり倒産ということもありえますので、少なくとも現預金で余裕資金が1億円ほどなければ、安心して数千万円の出資は避けたほうがいいと言えそうです。

また、リース期間の満了前に、出資した会社が倒産してしまうことも考えられます。

その場合は、法人の口座だけ活かしておいて、そこに満了時の分配金を入金してもらうことになります。

実務上では、このような投資家側の倒産のリスクもありますので、中途解約は本来できないのですが、このようなことが起きた場合には、特別にリース契約の売却がなされることもあります。

この場合は、資金化を急いでいることが多いため、出資金の50~80%で取引されてしまうのが、ほとんどです。

よって、中途解約は基本的にはできませんが、絶対に中途解約できないという訳ではなく、多くの場合は契約を売却して損をしてしまうということになります。

また、このリース契約の中途売買の販売先は、基本的にはリース会社が選定するため、誰にでも自由に販売できるものではないということも知っておきましょう。

追加出資リスク

船舶の不具合による墜落や事故での第三者への賠償だけでなく、合理的な理由があればリース会社は出資者へ追加出資を求めることができるようになっています。

このため、思いもよらないことから追加出資を請求される可能性があるということはリスクとして認識しておくべきです。

融資してくれた金融機関の意思が優先されるリスク

リース会社は船舶を購入するときに金融機関から融資を受けて、最終的に匿名組合でお金を借りることとなります。

よって、金融機関はこの匿名組合事業へ意見をすることができるようになっています。なので、様々な事柄を判断するときに融資をしている金融機関の意向が最優先されます。

これによって、匿名組合の意思とはことなる決定が金融機関の意向でなされることがありますので、この点は抑えておきましょう。

ただし、金融機関は融資したお金を回収するための意思決定をおこないますので、事業を継続することにつながる判断をしてくれるという認識でもいいのではないかと思います。

クーリングオフができないリスク

最後に、船舶リース(オペレーティングリース)は、一度契約をしてしまうとクーリングオフができないという決まりがあります。

よって、一度船舶リースに加入してしまうと、「やっぱり辞めた」ができなくなってしまいますので、注意が必要です。

3. 船舶リースと生命保険の比較

下図は、船舶リースと生命保険の比較した表です。

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3.1. リスク(デメリット)の比較

船舶リースのデメリットは、「中途解約ができないこと」と「保証がないこと」です。

生命保険のデメリットは、「船舶リースほど損金算入はできないこと」と「保険料の支払いは1回では終わらないこと」です。

このデメリットの比較から言えることは次の2点です。

  • 船舶リースを活用する法人は、資金的な余裕があり、資産を分散させる1つの手段としてリースを選択していることを満たしていれば、デメリットの克服ができるため、船舶リースを活用する条件は満たしているといえます。
  • 生命保険を活用する法人は、短くても3~5年間は安定した収益が見込めており、支払う保険料に対する損金算入割合も50%程度で十分である場合は、生命保険のデメリットの克服がができるため、生命保険を活用する条件は満たしているといえます。

3.2. メリットの比較

船舶リースのメリットは、「2年で全額損金算入ができること」と「1回の支払いで完了すること」です。生命保険のメリットは、「いつでも中途解約できること」と「保証があること」です。

このメリットの比較から言えることは次の2点です。

  • 船舶リースを活用する法人は、突発的な利益が発生する場合、あるいは急ぎで自社株評価の引き下げを行いたい場合では、メリットを十分に活かせるため、船舶リースを活用することをおすすめします。
  • 生命保険を活用する法人は、将来のキャッシュに不安がある、資金繰りに不安がある、約束された金額を戻してもらい計画性を重視したい場合では、生命保険のメリットを十分に活かせるため、生命保険を活用することをおすすめします。また、生命保険には保障機能があるため、経営者の死亡リスクなどにも備えることができます。

3.3. 船舶リースと生命保険の簡単な活用方法

上記のメリット・デメリットから、船舶リースと生命保険の簡単な合わせ技(活用方法)は以下の2つになります。

  • 毎年安定して見込める利益・将来の退職金準備額からの逆算・会社経営に必要なキャッシュを考慮して、生命保険の保険料を算出して設定。

例)今期の突発的な利益5,000万円、毎年の経常利益1,000万円、6年後の退職金8,000万円予定、キャッシュは潤沢にある場合

船舶のオペレーティングリース:3,000万円出資、初年度80%損金、次年度20%損金、6年後に3,000万円益金計上

生命保険:年間保険料2,000万円(全額損金)、7年後に1億円の益金計上

初年度(利益5,000万円-船舶損金2,400万円-保険損金2,000万円)+次年度(利益1,000万円-船舶損金600万円-保険損金2,000万円)+3~5年目(利益1,000万円-船舶損金0万円-保険損金2,000万円)=初年度利益:600万円+次年度損益:-1600万円+3~5年目損益合計:‐3,000万円=‐4,000万円

船舶のオペレーティングリースと生命保険を活用したことで、5年間でマイナス4,000万円の繰越欠損金ができています。

6年目:利益:1,000万円‐退職金:8,000万円+船舶リース益金:3,000万円‐6年目保険料:1,000万円+保険益金:1億円‐繰越欠損金:4,000万円=1,000万円

これはあくまでも例ですが、オペレーティングリースと保険を組み合わせることで、大きな損金を短中期で作り出して、利益を繰り延べながら退職金を支給することが可能です。

  • 突発的な利益・生命保険の解約で発生する大きな益金・自社株評価の評価下げに対しては、船舶リースの適正額を算出して設定。

例)生命保険を解約し、8,000万円の雑収入が発生してしまった場合

保険の雑収入8,000万円-船舶のオペレーティングリース5,000万円(リース期間7年)-コンテナリース1000万円×5種類(リース期間4年、5年、6年、8年、9年)=損益±0円

生命保険の解約返戻金よる雑収入をこのオペレーティングリースの組み合わせの加入によって、4・5・6・7・8・9年後に利益を分割して先送りすることができました。

例)5年後に事業承継を考えているが、自社株評価が高く、承継が難しいとき

  1. オペレーティングリースでリース期間が6~10年で設定し、下げたい自社株の金額と会社のキャッシュを考慮して2億円分のオペレーティングに出資。
  2. 1年で大きな損金を算入して自社株の評価を下げた後に、自社株の譲渡数を増やして移行。
  3. 6~10年後にはリースの満期の資金が入り、キャッシュ・利益にも余裕が戻り、通常通りの運営を行う。
  4. 利益が大きく出た場合は、承継前経営者への感謝の念も込めて、配当金を株主に出す。

1~2の流れで自社株のスムーズな移行を行い3~4の流れで会社の財務状況を元に戻せば、承継後も安心をして事業を継続できます。

このように保険やオペレーティングリースを活用して、様々な課題を解決することが可能です。

また、状況に応じて、2つの金融商品を組み合わせて活用することで、法人の利益を会社の将来のために繰り延ばしていくことが可能です。

3.4.船舶リースと他のリースの違い

オペレーティングリースは、仕組みは基本的には同じなのですが、物件によって特徴が異なります。

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船舶は物件の売却の場面で、出口でのリスクが高いため、航空会社での買取を前提としている契約が望ましいです。

航空機のリースは世界の人口は増加しているため需要も高まっています。

そして、コンテナのリースは価格の変動はあるものの、技術力を必要としない物件であるため大きな価格下落リスクが少ないと言われています。

よって、船舶は航空機・コンテナに比べると出口でのリスクが高いため、海運会社にリースしていた船舶を買い上げてもらうことを前提とした契約が望ましいと言えます。

まとめ

今回は、船舶リースのメリットとデメリットについて解説致しました。

船舶のリースはリスクが12個もあり、1つ1つのリスクを想定して商品選定を行う必要があります。そして、船舶リースはどんなに慎重に選んでも保証がないため、最悪の事態も想定していなければなりません。よって、船舶リースは資金的な余裕が少なくとも1億円以上あることが活用の最低条件です。

そして、突発的な利益対策や自社株対策では船舶リースのメリットを十分に活かせるため、おすすめです。

生命保険と組み合わせて、会社の資産をより将来へ残していくことができます。

ただの節税対策だけでなく、事業承継対策・自社株対策でも船舶のオペレーティングリースは有効な手段となります。

ただし、船舶・コンテナの特徴を把握した上で、現在の会社にとってベストな選択ができるように、慎重に検討を行いましょう。

船舶リース商品は、最低でも3,000~5,000万円はしますで、必ず複数社で見積もりをとり、経験のある税理士やファイナンシャルプランナーに中立的に的確なアドバイスをもらうことをおすすめします。

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松澤 正宣

松澤 正宣

大手生命保険会社にてオフィス長を経験。
これまで200名以上のセールスに教育・研修を行ってきた保険のコンサルタント。
得意分野は資産家・経営者の税金対策。
保険の教科書の購読はSNSが便利です。