近年、ビジネス系のニュースや広告で「コワーキングスペース」「シェアオフィス」といった言葉を目にする機会が増えました。コロナ禍以降の働き方の変化を受け、こうした空間レンタル型のビジネスは急速に市場を拡大しており、投資対象としても大きな注目を集めています。とはいえ、「興味はあるけれど仕組みがよくわからない」「節税になると聞いたが本当なのか」と感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、少額から取り組めて節税効果も期待できる「空間レンタル投資」について、ワークブース・レンタルオフィス/コワーキングスペース・トランクルームの3つの切り口から、その仕組みとメリット、注意点をわかりやすく整理してお伝えします。
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なぜ今「空間レンタル投資」が注目されているのか
コワーキングスペースとは、特定の企業が独占的に使用するオフィスではなく、広い空間を複数の企業やフリーランスがシェアして使う共用ワークスペースのことを指します。コロナ禍以降、リモートワークやハイブリッドワークが定着し、「自宅でもオフィスでもない第三の働く場所」の需要が大きく伸びました。
投資家目線で見ても、これらの空間レンタルビジネスは「利回りが取れて、しかも節税効果が期待できる投資」として高い評価を得ています。特に注目されているのが以下の3つのジャンルです。
(1)数百万円から始められる個室ワークブース投資
(2)節税と利回りを両立できるレンタルオフィス・コワーキングスペース投資
(3)トラブルが少なく安定運営が見込めるトランクルーム投資
それぞれの特徴を順に見ていきましょう。
数百万円から始められる個室ワークブース投資
最近、駅の構内やオフィスビルの一角で、電話ボックスのような個室ワークブースを見かけることが増えました。出先でのオンライン会議やちょっとした集中作業に重宝されており、カフェでは情報漏洩のリスクがあるため、機密性の高い個室への需要は年々高まっています。
フランチャイズオーナー制度で運営の手間を軽減
「自分で場所を探して設置し、運営まで行うのはハードルが高い」と感じる方も多いと思いますが、この投資の魅力はフランチャイズのオーナー制度を活用できる点にあります。設置から集客、清掃、トラブル対応に至るまで、本部に業務委託できる仕組みが整っているため、本業の忙しい経営者でも取り組みやすい設計になっています。
初期投資は仕様によって異なりますが、1台あたり数百万円から始められるケースが多く、航空機オペレーティング・リースのように3,000万円〜5,000万円といった大きな資金を必要としません。さらに無人営業のため人件費がかからず、立地と稼働率次第では3〜4年程度の短期間で資金を回収できるケースもあります。
中小企業経営強化税制で即時償却が可能
ワークブース投資の最大の目玉は、節税効果の大きさにあります。通常、こうした設備は8年〜15年かけて減価償却していくため、その年の節税対策には間に合いません。しかし「中小企業経営強化税制」を活用することで、初年度に全額を一括で経費計上する即時償却が可能になります。
この制度を利用するためには、青色申告をしている中小企業等が、2027年3月末までに「経営力向上計画」を策定して国の認定を受ける必要があります。さらに重要なのは、単なる場所貸しでは制度の対象とならないという点です。業務委託契約の内容や経営判断への関与など、「事業としての実態」があるかどうかが厳しく判断されますので、税理士などの専門家と事前に確認することが欠かせません。
また、対象設備自体にも要件があります。一般的に活用されるA類型の場合、旧モデルと比較して生産性が1%以上向上していることを示す「工業会証明書」を取得した新品であることが必要で、中古品は対象外です。加えて、税制優遇を受けた場合は原則として一定期間その設備を保有し続ける義務があるため、出口戦略まで含めた検討が大切になります。
節税と利回りを両立するレンタルオフィス・コワーキングスペース投資
ワークブースが基本的にスポット利用を想定しているのに対し、レンタルオフィスやコワーキングスペースは月単位の契約が主体となります。両者の違いを整理しておきましょう。
レンタルオフィスはセキュリティが確保されたプライベートな専用空間で、法人登記が可能な施設も多く、スタートアップの本社や営業所、支店として活用されるケースが目立ちます。一方、コワーキングスペースはシェアオフィスとも呼ばれ、共有スペースを会員同士で利用するタイプで、月額数万円からとリーズナブルに使えるためフリーランスやリモートワーカーから人気を集めています。
3つのワークスペースの違い比較
| 種類 |
利用形態 |
主な用途 |
月額目安 |
| ワークブース |
スポット利用 |
オンライン会議・短時間作業 |
時間課金中心 |
| レンタルオフィス |
月額契約(個室) |
拠点・法人登記・営業所 |
数万円〜十数万円 |
| コワーキングスペース |
月額契約(共有) |
作業場・交流 |
数千円〜数万円 |
初期費用・利回り・注意点
レンタルオフィスやコワーキングスペースについても、運営は専門業者に委託することが可能です。初期費用は1,500万〜2,000万円程度のケースが多く、初年度は設備費や消耗品費などにより、投資額の3割前後を損金として計上できることが一般的です。たとえば2,000万円の投資なら、500万円前後をその年の経費にできる計算になります。
利回りについては、立地や稼働率に左右されるものの、うまく回っている案件では実質利回り年10%前後を見込めるケースもあります。ただし、これはすべての案件で保証される数字ではありません。
注意すべきは、低稼働の場合に赤字に転落するリスクです。特にレンタルオフィスは家賃という固定費が重くのしかかるため、利用者が集まらなくても毎月のコストは発生し続けます。さらに最近はリモートワークから出社に切り替える企業も増えており、駅から遠い物件や利便性の低い立地では集客に苦戦するリスクも無視できません。場所選びと、運営ノウハウを持った提携業者の選定がカギになります。
15年連続で市場拡大中のトランクルーム投資
3つ目に紹介するのがトランクルーム投資です。最近は都市部でもトランクルームの看板を見かける機会が増えており、実はこの市場は15年連続で拡大を続けています。背景には、都市部を中心とした居住面積の縮小があり、自宅に収まらない荷物を保管するためのスペースとして需要が伸び続けているのです。
トランクルーム投資の仕組みとメリット
トランクルーム投資は、所有または賃借した建物の室内をパーテーションなどで区切り、収納スペースとして貸し出すことで利益を得る仕組みです。一般的な不動産経営では、駅近・築浅といった人気条件が揃っていなければ空室リスクが高まりますが、トランクルームは近隣住民がターゲットとなるため、駅から離れた場所や築年数が経った物件でも十分に運営可能という強みがあります。
運営は基本的にフランチャイズ方式となり、お客様対応や家主対応、管理や集金まで業者がすべて担ってくれるため、オーナーの手間はほとんどかかりません。
少額減価償却資産の特例を使った節税スキーム
トランクルームは初期費用1,000万円程度から取り組めるため、ここでは1,000万円投資した場合を例に節税効果を見ていきます。トランクルーム投資の設備の大部分はパーテーションや看板、その他の備品で構成されており、税務上は「器具備品」として扱われます。耐用年数が比較的短いため、短期間で一気に経費化できることが大きな特徴です。
さらに、中小企業者等が30万円未満の減価償却資産を取得した場合、年間合計300万円までを全額損金算入できる「少額減価償却資産の特例」を組み合わせて活用できます。なお、この特例は2026年4月以降、対象が1個40万円未満に拡大される予定です。
【1,000万円投資した場合の初年度経費化イメージ】
| 項目 |
金額 |
| 初期投資額 |
1,000万円 |
| 初年度に経費化できる金額 |
約350万円(35%) |
| 想定実質利回り |
年10%程度 |
短い耐用年数の備品と少額減価償却資産の特例を組み合わせることで、1,000万円の投資のうち初年度に約350万円という大きな損金を作ることができます。管理委託料などの運営経費を差し引いた後でも、実質利回りで年10%程度が見込めるのは大きな魅力です。
加えて、修繕コストが少ないこともトランクルームの利点です。不動産投資ではリフォームなどでまとまった出費が発生することがありますが、トランクルームは退去時も簡単な清掃で済み、修繕費はかかっても数万円程度にとどまります。騒音などの入居者トラブルも少なく、運営面のストレスが小さい投資といえます。
知っておくべきリアルな注意点
メリットの大きいトランクルーム投資ですが、注意点もあります。最も意識すべきは、黒字化までに2〜3年程度の時間がかかるという点です。トランクルームは1ヶ月に1部屋ずつ稼働数が増えていくようなペースで稼働率が上がる業種であり、すぐに満室になって利益が出るわけではありません。
また、金融機関からの融資がつきにくく、ある程度の自己資金が必要になる点もハードルとなります。業者選定の際は、ネット集客に強く、現実的な収支シミュレーションを提示してくれるパートナーを選ぶことが成功への近道です。
まとめ
今回ご紹介した3つの空間レンタル投資には、それぞれ次のような特徴があります。
個室ワークブース投資は、数百万円という少額から始められ、中小企業経営強化税制を活用すれば初年度に全額を即時償却できる点が最大の魅力です。レンタルオフィス・コワーキングスペース投資は、1,500万円〜2,000万円規模の投資で初年度に投資額の約3割を経費化でき、立地と運営次第で実質利回り10%前後を狙えます。トランクルーム投資は1,000万円程度から取り組め、少額減価償却資産の特例と組み合わせることで初年度約35%の経費化が可能、修繕コストも少なく安定した運営が見込めます。
いずれも節税効果と利回りを両立しうる魅力的な選択肢ですが、税制優遇の適用要件や事業実態の認定、立地リスク、黒字化までの期間など、検討すべきポイントも数多くあります。導入を検討される際は、信頼できる業者と税務の専門家に相談しながら、自社の状況に合った形で進めることをおすすめします。
本記事のテーマについては、税理士が動画でさらに詳しく解説しています。即時償却の具体的な仕組みや業者選びのポイント、実際の節税シミュレーションについても踏み込んで取り上げていますので、より深く理解したい方はぜひ元動画もあわせてご覧ください。