起業家が助成金で圧倒的に得するための10のポイント

公開 2015年10月1日更新 2022年2月21日
起業家が助成金で圧倒的に得するための10のポイント
起業家が助成金で圧倒的に得するための10のポイント

起業をする時の悩みの種は、人を雇ったり設備を整えたりするための初期投資に思いのほか多くのお金がかかってしまうことだと思います。そこで思いつくのが、「公的な助成金・補助金をなんとか活用できないか」ということでしょう。

しかし、どうやって見つけたらいいか分からなかったり、申請の手続が面倒くさそうだったり、「どうせ審査に通らないだろう」と思ったりして、尻込みをしている方も多いのではないのでしょうか。

実は、助成金・補助金の中には、条件さえみたせば必ず受け取れるものがありますし、審査があっても意外に通りやすいものもあります。金額も高額なものがあったりするので、申請して絶対に損はありません。

この記事では、公的な助成金・補助金の見つけ方、審査に通りやすくなる方法等、助成金・補助金が受け取れるチャンスをぐっと高めるために押さえておきたいポイントについて、分かりやすく説明します。

ポイント1:助成金・補助金は意外と受け取れる!

公的な助成金・補助金を比較すると、大まかに、以下のような違いがあります。

助成金・補助金2タイプの比較

条件さえみたせば必ず受け取れるものがある

雇用等の社会政策を目的としている助成金の場合、政策を実現するため、給付の条件をみたせばほぼ確実に受け取れるようになっています。また、長期スパンでの政策効果を見込んで常時募集しているものが多いです。

もちろん、こういった助成金の制度は、これから起業する場合でも活用できます。

たとえば、厚生労働省が運営している雇用関係の助成金の一覧はこちらです。これらの多くは、常時受け付けています。就職活動でハローワークを利用したことのある人なら「○○トライアル求人」等の名称をご覧になったことがあると思います。

審査が必要なものも、受け取れる確率は意外に高い

起業の促進や特定の研究開発等の促進のための助成金・補助金の場合、成果が挙げられそうな事業を選別するため、審査が必要なものがあります。「審査」と聞いてしり込みする方がいらっしゃるかも知れませんが、それほど怖がる必要はありません。

審査が必要でも、中には助成金・補助金を受け取れる率(採択率)が高いものがあります。

論より証拠。たとえば、中小企業庁の「地域創造的起業補助金」の場合、平成30年度は応募総数358件、採択総数 120件でした。約34%が補助金を受け取っています。

また、

この記事の内容をしっかり理解して準備して申請すれば、その確率はこの倍以上にできる可能性があります。トライしてみる価値は十分あると思いますので、是非、この記事を最後まで読んでいただきたいと思います。

ポイント2:確実に助成金・補助金を受け取るための手続きの流れ

社会政策目的の助成金(必ず受け取れるもの)

助成金の手続の流れ①

社会政策目的の助成金は、条件さえみたせば交付されるものなので、計画書を提出してその通りに実行し、交付申請をすれば、ほぼ確実に交付されます。

研究開発等の促進目的の助成金・補助金(審査が必要なもの)

助成金・補助金の手続の流れ②

このタイプは、多くの場合、申請書を作成し、国が認定する「経営革新等支援機関」の承認を受けることを条件にしています(詳しくは「ポイント5」で説明します)。

事業計画書を提出して助成金・補助金を申請すると、審査が始まります。書類審査と、場合によっては面接があり、その結果、採択か不採択が決まります。採択されたら、経費を具体的に決定し(業者の見積もりをとったりします)、交付申請を行い、交付決定を受けます。

そして、計画書通りに事業を実施し、事業内容や経費について完了報告をすると、助成金・補助金の交付がされます。

これで終わりではありません。助成金・補助金を受け取った後も、複数年にわたり事業報告が必要です。また、助成金・補助金で購入した資産を売却する場合には許可が必要だし、その購入代金にあたる助成金・補助金の一部を返還しなければならないこともあります。

ポイント3:お金がないときは公的融資を上手に活用する

助成金・補助金を受け取るまでの間の費用は自己負担

助成金・補助金は、その目的となっている事業を行った後で交付されます。「お金が足りないから今受け取りたい」ということはできません。

なぜかというと、助成金・補助金の出所は、元はといえば国民が汗水たらして納めた税金なので、1円たりとも無駄にはできないからです。そのためには、きちんと事業が申請通り、つまり助成・補助の目的に合致した形で行われたかを、後からチェックする必要があるのです。

なので、お金を受け取るまでの間、事業に必要な資金は自分持ちです。「足りない資金を補う」という目的ではなく、「使える資金を多くする」という目的で活用を考えてください。

「前払いするお金がない!」という人も、公的融資を活用する手がある

「助成金・補助金を受けたいが経費を前払いするだけの自己資金がない」という人も、それだけであきらめる必要はありません。

公的融資を受けて、そのお金を経費の前払いに充てることもできます。詳しくは「担保不要!起業に役立つ融資を上手に引き出す10のポイント」をご覧ください。

公的融資を申し込むことには、もう1つの利点もあります。

というのは、融資の申込には「創業計画書」を作成しなければならないのですが、その内容は、助成金・補助金の申請のための「事業計画書」(詳しくは「ポイント6」)を作成する時に必ず役立ちます。

ただし、公的融資を受けるには時間がかかります。募集のタイミングが限られている助成金・補助金を受けたい場合は、十分な余裕をもって申請しておきましょう。

ポイント4:助成金を多く受け取るために押さえておく上限金額と助成率

助成金・補助金は、それぞれ交付の条件が設定されています。事業内容をその条件にぴったりと合ったものにしないと、受け取ることができません。したがって、交付条件を正確に押さえておく必要があります。

また、受け取れる金額が決まっているタイプと、事業に使ったお金のうち一定の割合(助成率)の金額だけが受け取れるタイプがあります。そして、「ポイント3」で述べたように、助成金・補助金は後払いなので事業にかかるお金はいったん自己負担する必要があります。そのため、最終的にいくら受け取れるのか、事業を行う段階でいくら自己負担しなければならないのかを押さえておく必要があります。

たとえば、2018年の中小企業庁の「地域創造的起業補助金」の補助上限額と補助率は以下の通りです。

〈補助上限額〉

  • 外部資金調達あり:50万円~100万円
  • 外部資金調達なし:50万円~200万円

〈補助率〉

  • 1/2以内

その結果、自己資金だけでまかなえない可能性があるのであれば、公的融資等を利用することが考えられます。

ポイント5:審査が必要なときは「経営革新」を必ず受ける

「ポイント2」で少し触れましたが、審査が必要なタイプは、多くの場合、申請書について、国が認定する「経営革新等支援機関」の承認を受けることを条件にしています。

具体的には、申請書の内容の確認を受け、必要書類へのコメントと押印をもらわなければなりません。

ポイント6:審査を確実に通す事業計画書の書き方

審査が必要なタイプの場合、事業計画書をいかに充実させるかがポイントです。

多くの場合、「経営革新認定支援機関」のサポートを受けることが必要なので、その協力を得て作成することになります。

ここでは、このところ毎年度募集されている中小企業庁の「地域創造的起業補助金」を例にとって説明します。

2018年の地域創造的起業補助金は5月22日(電子申請は5月26日)で終了しています。しかし、2019年度も実施される可能性が高いと考えられますので、今後の参考のため取り上げることにします。

申請に必要な書類は以下の通りです。

なお、申請には、「認定支援機関」の確認と「金融機関」の支援が必要です。

〈自分が作成するもの〉

  • 事業計画書 様式1、様式2(原本1部またはexcelデータ)
  • 補足説明資料(コピー1部またはPDFデータ)

〈認定支援機関等に作成してもらうもの〉

  • 認定支援機関の支援確認書(原本1部またはPDFデータ)
  • 外部資金の調達見込の場合、金融機関から支援を受けていることの確認書(コピー1部またはPDFデータ)

〈その他〉

  • 申請者の素性を証明するもの(※)

※個人事業であれば起業前は住民票(マイナンバー省略)、起業後は開業届、法人であれば履歴事項全部証明書

事業計画書等の申請書類の書式・記入例・作成の手引きはこちらからダウンロードできます。なので、一度、作成してみることをおすすめします。

面接が行われませんので、事業計画書の内容が決定的に重要です。

特に重要なのは「事業計画書 様式2」

事業計画書は「様式1」と「様式2」があります。このうち、「様式1」は「様式2」で記載したことを要約したものといえるので、特に重要なのは「様式2」です。

「様式2」には以下の事項を書くことになっています。

(1)応募者の概要等

  1. 応募者
  2. 事業形態

(2)事業内容

  1. 事業の具体的な内容
  2. 本事業の動機・きっかけ及び将来の展望
  3. 本事業の知識、経験、人脈、熱意
  4. 事業スケジュール
  5. 売上・利益等の計画

(3)本事業全体に係る資金計画

(4)6カ年計画

  1. 6カ年事業スケジュール
  2. 6カ年の売上・利益等の計画

(5)ビジネスプランコンテストの受賞や他の補助金等の実績説明(あれば)

(6)補助対象経費明細表

事業計画書には「記入の手引き」があります。「記入の手引き」は、盛り込まなければならない重要なポイントや留意点等がこと細かに書かれていますので、是非参考にしてください。

一度記載したら、認定支援機関を訪れ、相談を受けて、内容を充実させ、確認をもらえるようにしましょう。

「経費明細表」については、事業計画が採択されたとしても、後で交付申請をするときに厳密に精査して、不要な経費は認められないことになりますので、できる限り具体的に、見積もりをとれるものは見積もりまでとって計算して、作成してください。

ポイント7:面接がある場合は事業計画書の内容を十分に復習しておく

審査が必要なタイプ(研究開発等の促進目的)の助成金・補助金のなかには、面接を受けなければならないものがあります。

事業計画書の記載について細かいところまで質問されますので、十分な根拠を持って答えられるように準備しておきましょう。

ポイント8:助成金・補助金を有効に使うために使用目的を明確にする

研究開発等の促進目的の助成金・補助金(審査が必要なもの)については対象となる費用は制度ごとに細かく定められています。

たとえば、平成30年度の中小企業庁の「地域創造的起業補助金」の支援内容は以下の通りでした(詳しくはこちらをご覧ください)。

〈対象経費〉

人件費、店舗等借入費、設備費、原材料費、知的財産権等関連経費、謝金、旅費、マーケティング調査費、広報費、外注費、委託費等

羅列されているだけではピンとこないと思いますので、ここでは一般的な考え方を説明します。

それは、研究開発等の促進のための助成金・補助金は、その「研究開発」自体にかかった経費にだけ支払われるということです。

つまり、いわゆる「ヒモ付き」のお金と言えますし、しかもそのヒモはかなり強いのです。

たとえば、ある製品を研究開発し、それを量産して販売する計画を立てたとします。この場合、「設備費」のうち、助成・補助の対象となるのは研究開発の段階にかかった費用だけです。

大量生産するためのレーン等、「量産」のためにかかる費用は、「研究開発」それ自体との直接の関係が認められないので、一切助成・補助の対象になりません。

人件費やその他の費用も、同じように考えます。

ポイント9:助成金・補助金を確実に受け取るために資料を整理しておく

「ポイント8」で説明したように、研究開発等の促進のための助成金・補助金は、その「研究開発」等自体にかかった経費にだけ支払われる「ヒモつき」のお金です。

したがって、助成金・補助金の対象であることを明らかにするため、何にいくら支払ったのか、経費に関する資料を全て整理して保管しておくようにしてください。

それができていないと、最終的に、助成金・補助金を受け取れないことがあります。

ポイント10:助成金・補助金を考えるとき必ず役立つ参考サイト

特に、審査が必要なタイプの(研究開発等の促進のための)助成金・補助金の場合、募集のタイミング自体が限られているものが多いです。しかも、ややこしいことに、情報はそれぞれの運営母体ごとにばらばらに発信されています。そのため、チャンスを逃さないためには、自分で効率よく探す必要があります。

といっても、独力で探すのはかなり難しいので、特に、以下の2つのページを活用することをおすすめします。小まめにチェックして、助成金・補助金の情報を見逃さないようにしましょう。

中小企業ビジネス支援サイトJ-net21|支援情報ヘッドライン

「資金調達ナビ」は、補助金・助成金をはじめとしてあらゆる資金調達方法(融資、投資等)について検索できます。また、目的ごと、都道府県ごとの検索が可能です。

ミラサポplus(中小企業庁)|補助金・助成金ヘッドライン

これらのサイトは随時更新されますので、定期的にチェックすることをおすすめします。

まとめ

公的な助成金・補助金の見つけ方、申請等のコツなど、圧倒的に受け取りやすくするためのポイントについて説明してきました。

「これなら自分でも受け取れそうだ」と思っていただけたならば幸いです。

まずは、インターネットを活用するなどして助成金・補助金を見逃さないようにしてください。

また、公的な助成金・補助金は特定の政策を目的とした「ひも付き」のお金で、その「ひも」はかなり強いものです。したがって、助成金・補助金の申請が認められ、かつ、きっちり受け取れるようにするためには、その助成金・補助金の制度の趣旨・目的を十分に理解した上で、助成・補助の対象となる経費の範囲をはっきりさせ、経費の計算を厳密に行っておくことが重要です。

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