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小規模事業者持続化補助金は、以前から実施されている補助金ですが、コロナ禍で多くの中小事業者が打撃を受ける中で、事業を継続させるための手段として注目されるようになりました。
この記事では、制度の概要、応募の際に注意する点などを、わかりやすく解説します。
保険の教科書 編集部
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小規模事業者持続化補助金(以下、持続化補助金)とは、小規模事業者が、事業の発展・効率化等に取り組む費用の一部を、国が負担するものです。
持続化補助金【一般型】の補助率は2/3、補助額は最大で50万円です。
イメージとしては以下の通りです。
※90万円の2/3は60万円ですが、上限が50万円なので、受けられる補助額は50万円です。
持続化補助金と名前が似たものとして、「持続化給付金」があります。両者には以下の違いがあり、両方受け取ることもできます。
持続化給付金は、事業を継続したり、再起したりするために受け取れる給付金です。
給付要件を満たしていれば誰でも受給でき、また、給付金の使い道に指定はありません。
これに対し、持続化補助金は、事業の発展効率化のために受け取れる補助金です。
誰でも受け取れるわけではなく、経営計画書を作成した上で申請を行い、採択される必要があります。また、補助金の使い道は限定されています。
なお、補助金を受け取ることができるのは、補助対象事業を実施して、活動報告を終えた後になるため、先に費用を自己負担しなければなりません。
持続化補助金の対象になるのは「小規模事業者」です。
また、特定非営利活動法人(NPO)も条件つきで対象になります。
小規模事業者とは、常時使用する従業員の数が20人以下の、法人および個人事業主のことです。
ただし、商業と、宿泊・娯楽業以外のサービス業では、常時使用する従業員数が5人以下であることが条件です。
【小規模事業者の定義】
特定非営利活動法人は、以下の要件を満たす場合に限り、持続化補助金の補助対象となります。
医師・歯科医師・助産師や、系統出荷による収入のみである個人農業者、一般社団法人などは補助の対象になりません。
出典:日本商工会議所
持続化補助金の補助対象となる事業は、次のいずれかです。
ただし、2.の業務効率化は、販路開拓の取組と併せて行う必要があります。
このように、機械装置費、広報費、開発費、専門家謝金など、幅広い経費が対象になります。ただし、不動産の購入・取得は対象になりません。
補助対象事業における支払いが、補助の対象になるには、次の要件をすべて満たすことが必要です。
続いて、持続化補助金申請の手続き、必要書類などを説明します。
持続化補助金の申請は、次の1~7の流れで行います。
それぞれについて詳しく説明します。
まず、経営計画書・補助事業計画書を作成します。フォーマットは公募要領内(p7~)にあります。独力で作成することが難しい場合、商工会議所で相談を受けることが可能です。
地域の商工会議所(または商工会)で、補助事業者の要件を満たしていること等の確認を受け、事業支援計画書の作成を依頼します。
郵送または電子申請で、申請書類一式の提出を行います。ただし、電子申請できるのは単独申請者のみです。
審査の結果、採択されると、まず「採択通知書」が届きます。続いて、「補助金交付決定通知書」が届き、これを受けて補助事業を開始します。
「補助金交付決定通知書」が届いた後、事業に必要な発注・契約などを行います。通知書到着前の支出は、補助対象外となってしまいます。
なお、採択後に事業計画が大きく変わった場合、計画変更の承認を受けなければならないことがあります。
事業の終了後、補助事業の実績報告書と、支出内容のわかる関係書類を、定められた期日までに補助金事務局に提出します。
報告書の確認が終わり次第、補助金の精算が行われます。
持続化補助金の申請に必要な書類は、申請方法や申請者によって異なります。それぞれ解説します。
以下の書類が必要です。
上記の書類に加えて、以下の書類も追加で必要です。
以下の書類が必要です。
以下の書類が必要です。
マイナンバーの提出は、いずれの場合でも必要ありません。
補助対象事業の支払いは、原則として、銀行振込で行います。旅費や現金決済のみの取引を除き、1取引10万円超(税抜)の支払は、現金支払い不可です。また、小切手・手形による支払いもNGです。
クレジットカード決済は可能ですが、以下の書類の提出が必要です。
ただし、口座からの引き落としは、補助事業期間内に完了している必要があります。
同一の内容について、国が助成する他の制度(補助金、委託費、GO TOトラベル等)と重複する事業は、補助対象事業となりません。
補助事業が終了した後も、次のような義務があります。
持続化補助金【一般型】の補助額は、最高で50万円ですが、以下の事業者は、補助額の上限が100万円に引き上げられます。
以下の事業者は、持続化補助金の審査において、加点措置を受けることができます。
2020年の第1回からの応募件数・採択率は、下の表のようになっています。
開始当初は、まだ応募数も少なく、採択率も高かったものの、第2回以降は応募件数が増えると共に採択率も下がり、直近の数回は採択率50%前後で推移しています。
持続化補助金の採択を受けた事業者は、商工会議所や商工会のHPで一覧が公開されています。その一部を紹介します。
商工会議所に作成してもらう「事業支援計画書」や「事業承継診断票」は、依頼してから交付されるまで、最低1週間はみておく必要があります。
また、電子申請を行う場合、「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要ですが、アカウントの取得に2~3週間程度かかります。再構築補助金などで利用可能な「暫定GビズID プライムアカウント」は、持続化補助金【一般型】の申請では使用できません。
このため、申請は余裕をもって行うことが必要です。
なお、現時点での募集スケジュールは以下の通りです。
商工会議所の会員であることは、応募の要件ではありません。商工会議所の会員・非会員を問わず、応募することが可能です。
審査の結果、不採択だったとしても、再び応募することができます。
また、一度採択された方も、採択決定から10ヶ月以降であれば、再応募が可能です。ただし、同じ経営計画書を使うことはできません。
補助対象期間中に、補助事業によって収益が直接発生した場合、補助金の一部を返納しなくてはなりません。この場合、納付額は補助金額から差し引かれます。これを「収益納付」といいます。
参考:収益納付に係る報告書
収益が直接発生する場合とは、たとえば、補助金で購入した機械装置で商品を生産し、その販売によって利益が出たようなケースです。
一方、チラシの作成や配布、広告の掲載などの後に売上が上がったとしても、収益との因果関係が明確でないため、「収益が直接発生する場合」にはあたりません。
また、補助対象期間後に収益が発生しても、返納にはなりません。
小規模事業者持続化補助金は、従業員が一定数以下の法人・個人事業主が、地道な販路開拓・効率化等に取り組む費用の一部について、国から補助を受けられるものです。
経営計画書の作成から、補助事業の実施まで、商工会議所のサポートを受けて進めることができます。原則後払いなので自己負担が必要であること、証拠書類の保管が必要であること等注意点はありますが、採択されれば補助率2/3、最大50万円までの補助を受けることができます。
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