小規模事業者持続化補助金の最新情報(2021年9月)

小規模事業者持続化補助金は、以前から実施されている補助金ですが、コロナ禍で多くの中小事業者が打撃を受ける中で、事業を継続させるための手段として注目されるようになりました。

この記事では、制度の概要、応募の際に注意する点などを、わかりやすく解説します。

なお、応募に際しては、必ず公式HPおよび最新の公募要領をご確認ください。

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保険の教科書 編集部

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1.小規模事業者持続化補助金とは

小規模事業者持続化補助金(以下、持続化補助金)とは、小規模事業者が、事業の発展・効率化等に取り組む費用の一部を、国が負担するものです。

1.1.補助率2/3、補助額MAX50万円

持続化補助金【一般型】の補助率は2/3、補助額は最大で50万円です。

イメージとしては以下の通りです。

  • 実際にかかった費用:45万円 ⇒補助額:30万円
  • 実際にかかった費用:90万円 ⇒補助額:50万円(※)

※90万円の2/3は60万円ですが、上限が50万円なので、受けられる補助額は50万円です。

1.2.持続化給付金との違い

持続化補助金と名前が似たものとして、「持続化給付金」があります。両者には以下の違いがあり、両方受け取ることもできます。

持続化給付金

持続化給付金は、事業を継続したり、再起したりするために受け取れる給付金です。

給付要件を満たしていれば誰でも受給でき、また、給付金の使い道に指定はありません。

持続化補助金

これに対し、持続化補助金は、事業の発展効率化のために受け取れる補助金です。

誰でも受け取れるわけではなく、経営計画書を作成した上で申請を行い、採択される必要があります。また、補助金の使い道は限定されています。

なお、補助金を受け取ることができるのは、補助対象事業を実施して、活動報告を終えた後になるため、先に費用を自己負担しなければなりません。

2.実体要件

2.1.補助対象者は小規模の会社や個人事業主

持続化補助金の対象になるのは「小規模事業者です。

また、特定非営利活動法人(NPO)も条件つきで対象になります。

2.1.1.小規模事業者とは

小規模事業者とは、常時使用する従業員の数が20人以下の、法人および個人事業主のことです。

ただし、商業と、宿泊・娯楽業以外のサービス業では、常時使用する従業員数が5人以下であることが条件です。

【小規模事業者の定義】

  • 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業以外):常時使用する従業員数5人以下
  • サービス業のうち宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員数20人以下
  • 製造業その他:常時使用する従業員数20人以下

2.1.2.特定非営利活動法人

特定非営利活動法人は、以下の要件を満たす場合に限り、持続化補助金の補助対象となります。

  • 法人税法上の収益事業を行っていること
  • 認定特定非営利活動法人でないこと

2.1.3.補助対象にならない者

医師・歯科医師・助産師や、系統出荷による収入のみである個人農業者、一般社団法人などは補助の対象になりません。

出典:日本商工会議所

2.2.補助対象となる事業

持続化補助金の補助対象となる事業は、次のいずれかです。

  1. 地道な販路開拓等の取組
  2. 業務効率化の取組

ただし、2.の業務効率化は、販路開拓の取組と併せて行う必要があります。

①地道な販路開拓等の取組の例

  • 販促用チラシの作成
  • 販促用PR(マスコミ、ウェブサイトでの広告) 
  • ネット販売システムの構築 
  • 国内外の展示会への出展
  • 新商品の開発 
  • 商品PRイベント会場代
  • ブランディング専門家のコンサル料
  • 新商品開発に伴う成分分析の外注
  • 店舗改装(飲食店の店舗改修)  
②業務効率化の取組例
  • 業務改善の専門家からの指導、助言による長時間労働の削減 
  • 新たに倉庫管理システムのソフトウェアを購入し、配送業務を効率化する 
  • 新たに経理・会計ソフトウェアを購入し、決算業務を効率化する

このように、機械装置費、広報費、開発費、専門家謝金など、幅広い経費が対象になります。ただし、不動産の購入・取得は対象になりません。

2.3.補助対象経費となる要件

補助対象事業における支払いが、補助の対象になるには、次の要件をすべて満たすことが必要です。

  1. 事業を行うために必要な支払いであることが、明確になっている
  2. 交付決定日以降に発生し、対象期間中に支払が完了している
  3. 領収証などによって、支払金額が確認できる

3.手続要件

続いて、持続化補助金申請の手続き、必要書類などを説明します。

3.1.手続の流れ

持続化補助金の申請は、次の1~7の流れで行います。

  1. 経営計画書・補助事業計画書の作成
  2. 商工会議所で確認を受ける
  3. 申請
  4. 審査、採択/不採択の決定
  5. 対象事業の実施
  6. 実績報告
  7. 精算

それぞれについて詳しく説明します。

①経営計画書・補助事業計画書の作成

まず、経営計画書・補助事業計画書を作成します。フォーマットは公募要領内(p7~)にあります。独力で作成することが難しい場合、商工会議所で相談を受けることが可能です。

②商工会議所で確認を受ける

地域の商工会議所(または商工会)で、補助事業者の要件を満たしていること等の確認を受け、事業支援計画書の作成を依頼します。

③補助金事務局へ申請書類を提出

郵送または電子申請で、申請書類一式の提出を行います。ただし、電子申請できるのは単独申請者のみです。

④審査、採択/不採択の決定

審査の結果、採択されると、まず「採択通知書」が届きます。続いて、「補助金交付決定通知書」が届き、これを受けて補助事業を開始します。

⑤対象事業の実施

「補助金交付決定通知書」が届いた後、事業に必要な発注・契約などを行います。通知書到着前の支出は、補助対象外となってしまいます。

なお、採択後に事業計画が大きく変わった場合、計画変更の承認を受けなければならないことがあります。

⑥実績報告

事業の終了後、補助事業の実績報告書と、支出内容のわかる関係書類を、定められた期日までに補助金事務局に提出します。

⑦精算

報告書の確認が終わり次第、補助金の精算が行われます。

3.2.必要書類

持続化補助金の申請に必要な書類は、申請方法や申請者によって異なります。それぞれ解説します。

申請方法による違い

電子申請で提出する場合

以下の書類が必要です。

  • 経営計画書
  • 補助事業計画書
  • 事業支援計画書
郵送で提出する場合

上記の書類に加えて、以下の書類も追加で必要です。

  • 申請書
  • 補助金交付申請書
  • 申請書などのデータを入れた電子媒体(CD-R・USBメモリ等)

申請者による違い

法人の場合

以下の書類が必要です。

  • 貸借対照表および損益計算書
  • 株主名簿
個人事業主の場合

以下の書類が必要です。

  • 確定申告書

マイナンバーの提出は、いずれの場合でも必要ありません。

3.3.事業の支払いは原則、銀行振込

補助対象事業の支払いは、原則として、銀行振込で行います。旅費や現金決済のみの取引を除き、1取引10万円超(税抜)の支払は、現金支払い不可です。また、小切手・手形による支払いもNGです。

クレジットカード決済は可能ですが、以下の書類の提出が必要です。

  • 領収証(クレジット払いであること及び金額の内訳が明記されているもの)
  • カード利用代金明細書
  • クレジットカード決済口座の通帳の該当部分

ただし、口座からの引き落としは、補助事業期間内に完了している必要があります。

3.4.国が助成する他の制度と重複不可

同一の内容について、国が助成する他の制度(補助金、委託費、GO TOトラベル等)と重複する事業は、補助対象事業となりません。

3.5.補助事業実施後の義務

補助事業が終了した後も、次のような義務があります。

  • 補助事業関係書類を事業終了後5年間保存する
  • 補助事業実施後の「事業効果および賃金引上げ等状況報告」を提出する

4.補助上限額引き上げ措置、加点措置

4.1.補助上限が上がる例外がある

持続化補助金【一般型】の補助額は、最高で50万円ですが、以下の事業者は、補助額の上限が100万円に引き上げられます。

  • 産業競争力強化法に基づく「認定市区町村による特定創業支援等事業の支援」を受けた小規模事業者
  • 法人設立日が2020年1月1日以降である会社、または2020年1月1日以降に開業した個人事業主

4.2.加点措置を受けられる事業者

以下の事業者は、持続化補助金の審査において、加点措置を受けることができます。

  1. 賃上げの計画を有し、従業員に表明している事業者
  2. 事業承継の円滑化に資する取組を重点支援する観点から、代表者が満 60 歳以上の事業者であって、かつ、後継者候補が中心となって補助事業を実施する事業者
  3. 生産性の向上(経営力強化)の取組を行っている事業者
  4. 過疎地域という極めて厳しい経営環境の中で販路開拓に取り組む事業者
  5. 電子申請を行った事業者

5.これまでの採択率、採択例など

5.1.採択率

2020年の第1回からの応募件数・採択率は、下の表のようになっています。

開始当初は、まだ応募数も少なく、採択率も高かったものの、第2回以降は応募件数が増えると共に採択率も下がり、直近の数回は採択率50%前後で推移しています。

5.2.採択例

持続化補助金の採択を受けた事業者は、商工会議所や商工会のHPで一覧が公開されています。その一部を紹介します。

株式会社・有限会社など

  • 家庭で学ぶ和食オンライン料理教室
  • 商品を360°回転させて確認できるWebシステムの開発
  • オンライン料理教室、通販事業HP作成
  • SNS映えするイタリア料理のデリバリー&テイクアウト
  • 販路拡大のためのSNSの運用強化とWEB広告の活用
  • 作業用リフトの購入

個人

  • オンライン英語プライベートレッスンシステムの構築
  • 少人数制によるヨガ及びコアバランスストレッチの新たな販路拡大
  • 3Dプリンター導入による商品価値向上と製作向上による販路開拓
  • 新たな顧客と生徒獲得のためのオンラインPR
  • 顧客を大学生から主婦に広げるためのインスタグラム広告の出稿
  • YoutubeによるPRと精油・茶のオリジナルティ向上
  • 邦楽教室の新規開講・現教室の拡大に向けての販路開拓

6.その他、注意点など

6.1.申請は早めに行う

商工会議所に作成してもらう「事業支援計画書」や「事業承継診断票」は、依頼してから交付されるまで、最低1週間はみておく必要があります。

また、電子申請を行う場合、「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要ですが、アカウントの取得に2~3週間程度かかります。再構築補助金などで利用可能な「暫定GビズID プライムアカウント」は、持続化補助金【一般型】の申請では使用できません。

このため、申請は余裕をもって行うことが必要です。

なお、現時点での募集スケジュールは以下の通りです。

  • 第6回受付締切:2021年10月1日
  • 第7回受付締切:2022年2月4日
  • 第8回:2022年6月初旬頃
  • 第9回:2022年10月初旬頃
  • 第10回:2023年2月初旬頃【最終】

6.2.商工会議所の非会員でも応募可能

商工会議所の会員であることは、応募の要件ではありません。商工会議所の会員・非会員を問わず、応募することが可能です。

6.3.再応募できる

審査の結果、不採択だったとしても、再び応募することができます。

また、一度採択された方も、採択決定から10ヶ月以降であれば、再応募が可能です。ただし、同じ経営計画書を使うことはできません。

6.4.利益を返納しなければならない場合がある

補助対象期間中に、補助事業によって収益が直接発生した場合、補助金の一部を返納しなくてはなりません。この場合、納付額は補助金額から差し引かれます。これを「収益納付」といいます。

参考:収益納付に係る報告書

収益が直接発生する場合とは、たとえば、補助金で購入した機械装置で商品を生産し、その販売によって利益が出たようなケースです。

一方、チラシの作成や配布、広告の掲載などの後に売上が上がったとしても、収益との因果関係が明確でないため、「収益が直接発生する場合」にはあたりません。

また、補助対象期間後に収益が発生しても、返納にはなりません。

まとめ

小規模事業者持続化補助金は、従業員が一定数以下の法人・個人事業主が、地道な販路開拓・効率化等に取り組む費用の一部について、国から補助を受けられるものです。

経営計画書の作成から、補助事業の実施まで、商工会議所のサポートを受けて進めることができます。原則後払いなので自己負担が必要であること、証拠書類の保管が必要であること等注意点はありますが、採択されれば補助率2/3、最大50万円までの補助を受けることができます。

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