30代からの女性が「乳がん」を予防・早期発見するため必要なこと


乳がんについて、特に30代以降の多くの女性の方から、ご相談をいただきます。
実際、乳がんの罹患者数は、女性がかかるがんの中で最も多くなっています。国立がん研究センターの「2020年のがん統計予測」によれば、1年間で92,900人もの人が乳がんと診断されると予測されています。
しかし他方で、乳がんは、自分で発見できる可能性が高く、また、早期発見できれば治る可能性が高いがんでもあります。
そこで、今回は、乳がんにかかる割合や原因について説明した上で、予防・早期発見するために知っておくべきことをお伝えします。
1.乳がんにかかる割合と原因
1.1.乳がんは女性の9人に1人がかかる
欧米人と比べて日本人には少ないとされてきた乳がんですが、食生活やライフスタイルの変化に伴って、日本人女性の患者数は急増しています。
2011年には患者数が7万人を超え、国立がん研究センターの「最新がん統計(2020年7月時点)」によると一生の間に乳がんになる確率は9人に1人とされています。
年代別に見ると、30代後半から増加し始め、40歳台後半から50歳台前半でピークを迎えますが、閉経後の60歳台前半で再びピークを迎える傾向にあります。
死亡数も年々増えていて、国立がん研究センターがん対策情報センターの統計によれば2016年には14,015人の女性が亡くなっています。
なお、欧米ではむしろ罹患率が減ってきています。国を挙げて乳がん対策に取り組んでおり、マンモグラフィー(乳房Ⅹ線撮影)検診の普及などが功を奏していると言われています。
1.2.乳がんの原因
では、乳がんになりやすいのはどのような人でしょうか。主に、遺伝的要因と、生活習慣が影響すると言われています。
1.2.1.遺伝的要因
最も大きな要因は遺伝的なもので、母親や姉妹に乳がんになった人がいる場合は、リスクは2倍になると言われています。
エストロゲンは女性の体を作るための重要な働きをしているホルモンですが、このエストロゲンが分泌されている期間が長いほど、乳がんのリスクが高まります。
そのため、以下のような方は乳がんになりやすくなります。
- 初潮の年齢が早い方(11歳以下)
- 出産経験がない、初産年齢が遅い方(30歳以上)
- 閉経年齢が遅い方(55歳以上)
- 母親や姉妹に乳がんになった方がいる方
乳がんの発生には、卵巣から分泌される女性ホルモンのエストロゲンが大きく影響しています。
エストロゲンが分泌されている期間が長いと、乳がんのリスクが高まります。
閉経後はエストロゲンの卵巣からの分泌が止まります。ただし、閉経後は脂肪組織内の酵素のはたらきでエストロゲンが作られるので、閉経後の肥満は乳がんのリスクを高めることになります。
1.2.2.生活習慣
国立がん研究センターがん対策情報センターによると、男性のがんの53.3%、女性のがんの27.8%は、生活習慣や感染が原因と考えられるそうです。
特に喫煙の影響が大きく、喫煙をやめるだけでがんのリスクを引き下げることができるとされています。
2.乳がんを予防する方法
上でお伝えしたように、乳がんの発症には遺伝的要因と生活習慣が影響しています。このうち、生活習慣については自力で改善が可能です。
よく指摘されるのは以下の方法です。
- たばこは吸わない
- 栄養のバランスのとれた食事をとる
- 毎日、変化のある食生活をおくる
- 食べ過ぎを避け、脂肪は控えめにする
- お酒はほどほどに
- 食べ物から適量のビタミンと繊維質のものを多くとる
- 辛いものは少なめに、熱いものは冷ましてから
- 焦げた部分は避ける
- カビの生えたものに注意
- 日光に当たりすぎない
- 適度にスポーツをする
- 体を清潔に
特に、たばこをやめるだけでがんのリスクを大きく引き下げることができるとされています。
ただし、乳がんの場合、遺伝的要因も大きいので、生活習慣の改善による予防だけでは限界があります。
そこで、予防に加え、早期発見への取り組みがどうしても必要です。
3.乳がん早期発見のための5つの方法
それでは、乳がんを早期発見するにはどうすれば良いでしょうか。
3.1.セルフチェック
まず、セルフチェックです。乳がんは、自分で発見できる可能性があるがんです。以下のような異常を見つけたら、すぐに医者で診察を受けたほうが良いでしょう。
- 乳房、脇の下のしこり
- 乳頭の湿疹、ただれ、分泌物
- 乳房皮膚の発疹、はれ、ただれ
定期的にチェックすることで、ふだんの乳房の状態が分かり、変化に気づきやすくなります。
3.1.1.チェックポイントは6項目
鏡の前に立ち、両腕の力を抜いた状態のまま次の6項目をチェックします。
・乳房の変形や左右差がないか
・ひきつれがないか
・ただれがないか
・しこりがないか
・えくぼのようなへこみがないか
・出血や異常な分泌物がないか
3.1.2.チェックするタイミング
セルフチェックは生理が終わって1週間後くらいに行うと効果的です。閉経している人であれば毎月、日にちを決めて行うことをおすすめします。
その日は、以下の3つのタイミングでセルフチェックを行います。
- 入浴の前に鏡の前で
- 入浴中
- 就寝前のベッドの上で
入浴前の鏡の前で
- 両腕を下げた姿勢で、乳房と乳頭を観察する
- 両腕を高く上げた姿勢で、正面・側面・斜めから乳房を観察する
- 乳頭を軽くつまんで血のような分泌液がないか調べる
入浴中のバスルームで
皮膚の凹凸が分かるよう、手に石鹸をつけ、滑りをよくしておきます。
- 腕を上げ、乳房の表面に渦巻きをかくようにしながら、しこりやこぶなどがないか調べる
- 指先を揃え、脇の下に差し入れ、リンパ節が腫れていないか確認する
就寝前のベッドの上で
- ベッドにあおむけに横たわり、腕を上げる
- 乳房の内側半分を指の腹で圧迫する
- 腕を下げ、乳房の外側半分を指の腹で圧迫する
- 脇の下に手を入れ、指の腹で圧迫する
ただし、初期の段階では、しこりもわからないほど小さかったり、痛みや体調不良などの自覚症状もなかったりします。
そこで、乳がんの検診も合わせて受診することが重要です。
3.2.乳がん検診の受診
セルフチェックだけでは限界がありますので、定期的に乳がん検診を受けることをおすすめします。
特に、乳がんの発症率が急増する40代からは、2年に1回は受けるようにしたいものです。
乳がん検診は以下のような方法を用いて行われます。
3.2.1.触診
医師が直接手で乳房にふれ、しこり・変形・陥没・分泌物がないかをチェックするものです。
ただし、視触診だけでは早期の小さな乳がんを十分に発見することができません。次に挙げるマンモグラフィや超音波検査と合わせて検査を行うことが重要です。
3.2.3.マンモグラフィー
乳房専用のレントゲン検査です。圧迫板で乳房をはさみ、薄く引き延ばして上下、斜めの方向から撮影します。
乳がんの初期症状である微細な石灰化を画像としてとらえるこごできます。
3.2.4.超音波検査
超音波を乳房に当てて反射された音波を画像化し、乳房内部の状態を調べます。触診では分からない数ミリ単位のしこりを発見できます。
マンモグラフィ検査と合わせて行うことで乳がんの発見率を高めることができます。
3.2.5.細胞診・組織診(生検)
画像診断の結果、乳がんと判別できない病変などがあった場合に、しこりから細胞や組織を採取して検査します。
まとめ
日本では、乳がんは女性の中で最も多いがんで、近年増加傾向にあります。
一生の間に乳がんになる確率は女性で11人に1人とされています。
最も大きな要因は遺伝的要因であり、生活習慣の改善による予防だけでは限界があります。なので、早期発見のための取り組みも重要です。
月1回、生理が終わって1週間後くらいにセルフチェックをすることで、自分で発見できる可能性があります。ただし、セルフチェックにも限界がありますので、定期的にがん検診を受けることをおすすめします。
特に、乳がんの発症率が急増する40代からは、2年に1回を目安に受けることをおすすめします。




