個人事業主が法人化するメリット5つとデメリット3つ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
moon-and-cat_tp_v1

個人事業を営まれていると、一度は「法人化すべきなのか」と考えますよね。

法人化することの最大のメリットは、個人事業主と比べて、お金を管理するための方法が広がることです。それは、資金調達がやりやすくなったり、節税の幅が広がったり、退職金や福利厚生を充実させられたりできるようになることを意味します。

しかし、法人化することによって、

  • 社会保険料の負担が発生してしまう
  • 経費にするのが難しくなる
  • 税理士の顧問料がかかる

というようなデメリットも発生することを考慮すると、果たして本当に「法人化」すべきなのか悩んでしまうのではないかと思います。

実は、そのとおりで、すべての個人事業主の方が法人化するべきではわけではありません。

ここでは、個人事業主の方が法人化をするメリットとデメリットをしっかりとお伝えしますので、是非最後まで読んで法人化すべきかをご検討ください。

個人事業主が法人化する5つのメリット

個人事業主が法人化するメリットは以下の5つです。

  • 金融機関や取引先からの信用が高まる可能性がある
  • 一定以上の事業所得があれば、税負担を軽くできる
  • 損金に算入しながらお金を貯めることができる
  • 退職金制度や福利厚生制度を活用できる
  • 相続対策がしやすくなる

それでは、この5つのメリットを1つずつ解説いたします。

1. 金融機関や取引先からの信用が高まる可能性がある

法人の場合は、会社情報(会社名・本店住所・事業目的・役員の名前・代表取締役の住所・決算日・会社設立日など)を謄本で確認することができます。法務局でネットでの閲覧も可能です。

公的機関でそういった情報が記載されているということが社会的な信用につながっている部分もあります。個人の場合は、そういった情報を公的機関で取る事は不可能です。

また、法人=従業員がいるというイメージが強いため、組織としての見方をされますので、取引先に対しては安心感を与えることができる可能性があります。金融機関からの信用は、財務的な評点も関わってきますので、一概に信用が上がるとは言えませんが、法人と個人では融資額の上限は明らかに法人の方が大きな融資額を上限に設定されるでしょう。

2. 一定以上の事業所得があれば、税負担を軽くできる

1つの目安は事業所得(収入-必要経費)が900万円以上であるかどうかです。もしも、事業所得が900万円以上であれば、法人・個人にお金を残すことは可能になります。

下図は、所得に応じてかかる所得税の税率です。

syotokuzeizeiritu

下から三段目の900万円を超え1,800万円以下の税率が33%になっているのがわかります。

所得税率が33%を超えてしまうと所得税はより多く納税しなければならないので、事業所得900万円が法人化する損益分岐点と判断できる根拠の1つです。

一方で、法人の実効税率は、下図の通りです。

%e7%b5%8c%e5%b8%b8%e5%88%a9%e7%9b%8a%e3%82%a4%e3%83%a1%e3%83%bc%e3%82%b8%e5%9b%b3

経常利益が0~400万円以下の場合は約20%です。

よって、事業所得が900万円を超えるようであれば、経常利益を400万円以内に設定して法人税を納税した方が税金は少なくなることがわかります。

また、役員報酬(給与所得)とすることで、個人事業主では受けることのできない給与控除を活用することができます。

例えば役員報酬を年収500万円に設定した場合は約154万円の控除を受けることが出来ます。個人事業主の場合は、青色申告での年間65万円の控除がありますが、給与所得控除ほど多くの金額を控除ができていないことわかると思います。

個人事業主が法人化をすることでどの程度節税ができるのかは「個人事業主が法人化して節税できるケースとシミュレーション」をご覧ください。

3. 損金に算入しながらお金を貯めることができる

法人の場合、保険や共済などでお金の貯まる貯蓄性の高い商品を掛けても損金に算入できる場合があります。

商品によって、掛け金の全額損金、1/2損金、1/3損金と損金にできる割合は変わりますが、多くの商品は掛け金の1/2を損金にできるものが多いです。

詳細は「法人保険 節税以上にキャッシュを残せる7つの魅力的な活用法」をご覧ください。

もちろん、掛け捨ての生命保険や損害保険も損金に算入できますので、保険金受け取りをスムーズにできるよう規定をしっかりと設定すれば、個人の生活費を削減し、間接的に個人のお金を増やすことも可能です。

4. 退職金制度や福利厚生制度を活用できる

4.1.退職金制度

個人事業主と法人の決定的な差は、「事業所得」と「給与所得」の違いです。

給与所得は会社から支給される給与の金額であることは当たり前なのですが、給与所得で今受け取るのか、給与を下げて、将来退職金として受け取るのかを選ぶことができます。

退職金は、退職所得として受け取ることができますので、退職所得控除を引いて1/2をした金額が課税対象の所得になります。

・退職所得=(退職金支給額-退職所得控除)×1/2

4.2.福利厚生制度

退職金以外でも法人で準備できる福利厚生があります。

  • 保険を会社で掛ける
  • 社宅制度を活用する

給与を上げてしまうと社会保険料も上がってしまうので、個人でも法人でも社会保険料の負担の増加であまり手取りの資金は増えません。しかし、福利厚生として会社でお金を掛けると、福利厚生ですので、お金を掛けた分だけ損金に算入してそれ以上の負担は発生しません。

例えば、役員社宅制度を社長が活用すると仮定します。

  • 個人で支払っている家賃:10万円
  • 法人での損金算入額:9万円
  • 給与天引きされる個人負担額:1万円

この場合、個人負担の家賃10万円分/月の給与を上げてしまうと、そこから所得税・住民税・社会保険料が余分に取られてしまいます。

社会保険料は会社でも負担するため、会社も10万円+社会保険料増加分を支払わなければならなくなります。よって、会社と個人で、余分に所得税・住民税・社会保険料増加分を支払う必要が出てきます。

しかし、役員社宅の福利厚生を活用すると会社は給与天引きで1万円を個人から徴収し、9万円を損金算入させて10万円の家賃を支払います。個人では、給与天引きで1万円を会社へ支払うだけです。よって、余計な税金も社会保険料も発生することはありません。

福利厚生制度を活用できることは個人・法人どちらの税金・社会保険の軽減にもつながりますので、非常に有効な手段ですので、法人化する大きなメリットといえるでしょう。

5. 相続対策がしやすくなる

法人化すると法人の財産は、すべて会社のものになっています。

それでは、その会社の評価は?というと、その株の株価が会社の評価になります。

不動産などの資産も法人の持ち物の場合、現物で分割するのは非常に大変ですが、株で分割するのは簡単です。(何株を所有するかを決めるだけで済んでしまうため。)また、大きな損金を算入させて、一時的に利益を引き下げることで、株価も引き下げることも可能です。

株価を引き下げて、下がった株の値段で、相続してほしい人に株を渡します。株価は下がっていますので、株をより多く贈与できますので、贈与税も軽減できることになります。株価の評価に関しましては「株価の評価方法 株式の相続税対策に役立つ全知識まとめ」をご覧ください。

個人事業主が法人化する3つのデメリット

個人事業主が法人化する3つのデメリットは以下の通りです。

  • 会社の設立・維持にお金がかかる
  • 事業所得が低い場合は、個人事業主よりも税負担・社会保険料負担が重くなる
  • 交際費などの経費で制限がかかる

それでは、これから3つのデメリットを1つずつ解説していきます。

1. 会社の設立・維持にお金がかかる

個人事業主では、事業を設立・維持するのに必要なお金は基本的にはありません。しかし、法人化をすると設立・維持するのに必要なお金が発生してしまいます。

法人の設立にかかるお金・・・25万円以上

  • 法人印 約1万円
  • 銀行口座開設費用(法人口座開設費用、法人登記簿謄本、印鑑証明)3,000円程度
  • 登録免許税(株式会社:約15万円、合同会社:約6万円、一般社団法人:約11万円)
  • 定款認定手数料 約5.2万円
  • 専門家報酬 約⒑万円(自分自身で設立手続きを行えば費用はかかりません。)

法人の維持にかかるお金・・・年間7万円以上

  • 法人住民税 年間7万円
  • 税理士費用 年間20~60万円(自分自身で決算書を作成する場合は費用はかかりません。)

会社の形態が株式会社・合同会社・一般社団法人なのかで必要な設立費用は変わります。また、専門家に任せる部分を自分自身で行う場合、費用はかかりませんが、本格的に事業を行う場合は士業の方々のサポートは受けることになるかと思います。

最低でも税理士報酬で年間20万円はかかります。

2. 事業所得が低い場合は、個人事業主よりも税負担・社会保険料負担が重くなる

法人化のメリットでは事業所得が高い場合は、個人事業主よりも多くお金を法人・個人に残せるというお話をしましたが、今回はその逆の話です。

事業所得が0円の場合、個人事業主では費用はなにもかかりません。所得税・住民税・社会保険のいずれの費用も発生しません。しかし、法人の場合は法人の維持にかかる費用として最低でも法人住民税の7万円がかかります。

そして、法人では期の初めに役員報酬を設定しますので、赤字でも役員報酬に対する社会保険料は発生してしまいます。よって、法人では売り上げが0円、あるいは赤字でも法人住民税、社会保険料の負担が発生します。事業所得が低い場合は、個人事業主のままの方がお金は残せるので、このデメリットも考慮した上で法人化を考えましょう。

基本的には事業所得900万円が損益分岐点になりますので、アベレージで事業所得が900万円を超えるという水準であれば、法人化を前向きに考えましょう。特に法人化することで、社会保険料に関しましては、個人でも会社でも負担することになりますので、この費用負担はしっかりと想定しておきましょう。

3. 交際費などの経費で制限がかかる

個人事業主では、交際費に上限はありませんが、法人では年間800万円までしか交際費を損金にすることができません。

個人事業で交際費が800万円を超えることはなかなか考えにくいことですが、接待などの多い業種で従業員も⒑名以上いる個人事業(みなし法人)では交際費が800万円を超えることも想定されます。

このようなケースでは、交際費の支出が多いケースでは、法人化しないほうがよい場合もあります。

交際費だけでなく、個人事業主では法人よりも経費に入れやすい側面もありますので、事業所得と経費の兼ね合いを考えて法人化を検討しましょう。

まとめ

個人事業主から法人化するメリットは5つあり、デメリットは3つあります。

メリットとしては法人化することで損金算入しながらお金を貯めたり、退職金制度や福利厚生制度を活用して個人で負担する費用を法人で費用負担できることで、より個人と法人に資金を貯めることができるというものです。

デメリットでは、社会保険料負担の増加や法人の維持費用の負担が発生するということがあります。

個人事業主から法人化するメリットは、ある程度の所得さえあれば、より多くのキャッシュを残すことが出来ることです。

法人化するメリットとデメリットをしっかりと理解した上で、法人化を検討するようにしましょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
会社の現金を今までより30%多く残す!法人保険の具体的活用術

会社が軌道に乗って利益が出てくるようになったとき、取られる法人税の額に驚いたことはないですか?

会社のキャッシュは自分自身で守ることができます。30%多く残すというのも現実的な話です。たとえば、以下のようなことも可能です。

  • ・ 損益計上のタイミングを調整しながら資金を30%以上多く準備する
  • ・ 同じキャッシュで従業員の退職金を45%以上多く準備する
  • ・ 合計800万円を全額損金にして、利益を繰り延べ確保する

本書では、より多くのキャッシュを残すための法人保険の活用法を、71ページにわたって具体例をもとに詳しく解説しています。

是非ダウンロードして、今後の会社経営にお役立て下さい。


無料Ebookを今すぐダウンロードする

松澤 正宣

松澤 正宣

大手生命保険会社にてオフィス長を経験。
これまで200名以上のセールスに教育・研修を行ってきた保険のコンサルタント。
得意分野は資産家・経営者の税金対策。
保険の教科書の購読はSNSが便利です。