会社のキャッシュフローを飛躍的に増大させる10の方法

経営者の皆様は、多かれ少なかれ、会社のキャッシュフローを良くするにはどうしたら良いのか、という悩みをお持ちだと思います。

しかし、「キャッシュフロー」という概念自体が漠然としているし、会計や税務といった難しい話がからんできそうなので、どこから手を付けたら良いのか分からないというのが正直なところだと思います。

この記事では、難しい理屈や専門用語を使うことなく、会社のキャッシュフローを改善し、飛躍的に増大させるのに直結する10の方法について、現に経営者の方々が実践している具体例を交え、分かりやすくご紹介します。

ぜひ、最後までお読みになり、お役立ていただければ幸いです。

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保険の教科書編集部

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方法1|現時点で実際に使えるキャッシュの額を毎日チェックする

まずは、第一歩として、現時点で実際に使うことのできるキャッシュがいくらあるのかをタイムリーに把握する必要があります。

そうすれば、会社のキャッシュの使い時を誤ることや、使いすぎを防ぐことができます。

把握のしかたについて、よく、「減価償却費」等の専門用語を使って説明されていますが、はっきり言って、そのような小難しい言葉を使う必要はありません。

つきつめると、把握しておくべきなのは以下の4つに集約されると思います。

  • 実際に手元にあるキャッシュ
  • これから入ってくるキャッシュ(未入金)
  • これから出て行くキャッシュ(未払い金)
  • 帳簿に現れないが使おうと思えばすぐに使えるお金(簿外資金)

この4つだけをイメージして、理解できていれば十分です。

「実際に手元にあるキャッシュ」については言うまでもないことですので、ここでは、「未入金」「未払い金」「簿外資金」について説明します。

未入金

これから入ってくる見込みがあるキャッシュ(未入金)は、何らかのアクシデントがない限り、いずれそのお金を使えるようになるものです。

たとえば、売掛金がある場合などです。焦げ付かない限り、そのお金はいずれ入ってきます。

したがって、その分は、事実上使えるキャッシュに準じるものとして、プラスにカウントします。

未払い金

これからキャッシュが出て行く場合(未払い金)は、その分のキャッシュに手をつけることはできません。

たとえば、買掛金の支払期限が近い場合などです。

したがって、現時点で事実上使えるお金を割り出すには、今あるキャッシュから「未払金」を差し引く必要があります。

簿外資金

これが最もイメージしにくいかも知れませんので、分からなければとりあえず読み飛ばしていただいてもかまいません。

簿外資金とは、帳簿には現れないけれども、使おうと思えばすぐに使えるお金です。

たとえば、生命保険の中には、解約すれば「解約返戻金」が受け取れるタイプの商品があります。

解約返戻金は、解約しない限りキャッシュとして顕在化することはありません。

しかし、解約してしまえば、すぐにそれを受け取ることができ、使うことができます。

このような帳簿にあらわれない「簿外資産」も、その気になればすぐに使えるお金にカウントできます。

これらを常に把握しておけば、今いくら使って良いのか、という計算ができます。その結果、お金を使うタイミングを誤ったり、使いすぎたりすることを防げるので、キャッシュフローを良くすることにつながります。

方法2|「未入金」はできるだけ早期に回収し、「未払い金」の支払はできるだけ後にする

「今あるキャッシュ」「未入金」「未払い金」「簿外資金」の中で、キャッシュフローを悪化させる原因になるリスクがあるのは、「未入金」と「未払い金」です。

「未入金」の回収のタイミングが遅いと、「未払い金」の支払ができなくなるおそれがあります。

また、「未入金」がたくさんあっても、その回収ができないうちに「未払い金」の支払期日がきてしまうというのが重なってしまうと、最悪の場合、「黒字倒産」ということがありえます。

したがって、「未入金」はできるだけ早いうちに回収し、「未払い金」の支払はできるだけ後にするように工夫してみることが大切です。

具体例を2つ挙げておきます。

受注生産

受注の段階で顧客から代金を受け取っておいてから、仕入先から原材料を仕入れて生産を行うやり方です。

商品の代金を受け取った段階で仕入の支払代金が確保されているということです。

大量の在庫を抱え込むこともなく、無駄がなくなるというメリットもあります。

これは極端な例ですが、「iPhone」「iPad」等でおなじみのアップル社は、仕入代金(「未払い金」)が発生するよりも20日前には既に販売代金(「未入金」)の回収を終えていると言われています。

出来高制の報酬

たとえば、講師を招いて講座を開き、受講者から受講料を受け取るような場合に使える方法です。

講師の報酬の全部または一部を出来高制にすると、報酬は受講者数に基づいて計算されることになります。そのため、必然的に、報酬の支払は講座が終わり、受講料の回収が済んだ後ということになります。

交渉しだいではありますが、講師の側としても、講座の中身を充実させて多くの人を呼べれば報酬が高くなるというメリットがあるので、決して悪い話ではないと思います。

方法3|「売上」よりも「粗利」に着目することが採算性をチェックする第一歩

キャッシュを効率よく増やすためには、採算性、つまり費用対効果の高い事業と低い事業を区別し、前者を選んでいくことが重要です。

費用対効果が高い事業に注力するようにすれば、キャッシュをかせぐ効率が高くなっていきます。

そのためには、まず、「売上」よりも、「粗利」に注目する必要があります。

「売上」が多くても、「粗利」が低ければ、それは費用対効果が低いことになります。

逆に、「売上」が少なくても、「粗利」が高ければ、費用対効果が高いことになります。

なので、まず、全ての事業について、「粗利」をチェックすることをおすすめします。

方法4|「稼働時間」をチェックすれば採算性がより明らかになる

「粗利」が分かったら、次は、「稼働時間」をチェックすると、より採算性を厳密にチェックすることができます。

「粗利」が高く、「稼働時間」が短ければ、費用対効果が高いということになります。

「粗利」が低く、「稼働時間」が長ければ、費用対効果が低いことになります。

こう書くと、「稼働時間」をどうやって把握するの?と思われるかもしれません。

確かに、完全にチェックするのは無理です。しかし、「日報」等である程度厳密に把握することは、不可能ではありません。

あるIT企業では、日報の社内オンラインシステムを作り、全社員に提出してもらう方法をとっています。

作業名やプロジェクト名の項目をいくつか作り、作業時間(何時から何時まで)と項目をチェックして入力してもらうようにして、稼働時間の合計を把握しているそうです。

こう書くと、「自分の会社では無理だ」とお思いになる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、必ずしもこのようなシステムを自前で作る必要はないと思います。詳しくは、次の「方法5|専門技術性が高いものはできるだけ外注に回す」のところで説明します。

方法5|専門技術性が高いものはできるだけ外注に回す

よほどの大企業は別として、たいていの会社は、人員が限られています。その中で、注力すべきことを選び出してそこに力を割けるようにしなければ、キャッシュを効率よく稼ぐことはできません。

ほとんどの経営者の方が、たえずそのことに頭を悩ませていることと思います。

そこで、パソコンのシステム関係など、事業の中核と直接の関係がなく、専門技術性が高いものについては、外部の業者に外注する方法があります。

たとえば、先ほどお話しした、「稼働時間」を把握するための「日報」です。「こういうものを作ってほしい」と要望を伝えると、それに沿ったしっかりしたものを作ってきてもらえます。

もし同じものを自前でゼロから用意しようとすれば、そのための人員を養成したり雇ったりしなければならず、多大なコストがかかります。しかも、その人が退職してしまった場合にノウハウの承継が難しくなるというリスクもあります。

費用対効果を考えれば、そういった専門技術性が高いものは外注すると割り切り、自社の人員はできるだけ、商品開発や企画、マーケティング、経理など、メインの業務に振り向けた方が、キャッシュをより多く稼ぐことにつながるでしょう。

方法6|設備投資は繁忙期を避ける

設備投資の中には、世間一般に繁忙期があるものがあります。そういったものは、繁忙期を敢えて避けてみると、コストが抑えられ、キャッシュを温存できます。

たとえば、オフィスの移転です。

春先等の繁忙期を避ければ、「賃料●ヶ月無料」「敷金礼金ゼロ」の物件が多くなります。これらは、空き物件にすぐにでも入ってほしいからそうしているのです。

移転となるとそれだけで多額の費用がかかります。そんな時、賃料を支払わなくてよい期間があったり、敷金・礼金がゼロであったりすれば、その分だけ、移転にかかったコストを早く回収できます。

方法7|数量が多い物・サービスについては相見積もりをとる

「塵も積もれば山となる」という言葉がありますが、1つ1つの単価が低いものでも、大量になれば、単価の差が大きな差になってあらわれてきます。

たとえば、クレジットカード決済の手数料率や、商品の発送にかかる費用等、日常的に、ある程度まとまった量が発生するようなものは、複数の業者から見積もりをとり、最もコストが低いものを採用すると、キャッシュを無駄にせずに済みます。

方法8|銀行にアピールするための決算「書」対策をやめ、キャッシュを残すための決算対策をする

決算書を気にしすぎるとキャッシュフローが悪くなる

経営者の中には、銀行にアピールしようとするあまり、決算書上の利益を大きく見せようとする方がいます。

それは、益金を先に計上し、損金を後の年度へと先送りする方法です。しかし、益金と損金は、必ずしもキャッシュの増減と対応していません。ある意味、帳簿上だけで数字をこねくり回しているにすぎません。

もしそのようなやり方をしているとしたら、キャッシュフローを悪化させることになります。益金を大きくして、損金を小さくすれば、その分、税金をたくさん支払わなければならなくなるからです。

キャッシュフローが悪化すれば、事業に回すお金が減ってしまい、そのぶん業績も上げられなくなります。

その結果、銀行へのアピールの材料を減らしてしまうことになります。

銀行から融資を受けるならば決算期よりも前にする

では、銀行の顔色をうかがうことなく、融資を有利な条件で取り付けながら、決算対策をする方法があるのでしょうか?

そこでおすすめしたいのが、銀行の融資担当者との交渉を決算期より前に済ませ、融資を取り付けてしまうことです。

決算対策をする前、営業利益がたくさん出ていて損出していない状態で、資料を提示して「利益がたくさん出ています、経営は安定しています。」とアピールすれば、銀行から良い条件でお金が借りられる可能性が高くなります。

「名を捨てて実をとる」ということです。

方法9|顧客と継続的な関係を築いていく

顧客との関係が1回限りだと、たえず新規顧客を開拓しなければならないという状態に陥ることになります。

そうではなく、顧客に自社の商品のファンになってもらったり、ことあるごとに利用してもらったり、会員になってもらったり、そういった継続的な関係を構築していければ、徐々にキャッシュフローが安定していくようになります。

そのためには、顧客の要望を聞いて取り入れるようにしたり、アフターサービスを充実させたり、問い合わせやクレームへの対応を迅速・丁寧に行ったりと、信頼を得ていくための努力をたえず重ねていく必要があると思います。並大抵のことではありませんが、着実にキャッシュフローは安定し、増大していくはずです。

方法10|長期的視野をもち、短期間でのキャッシュの増減に惑わされない

すぐには成果の出ない事業については、短期的にはキャッシュが減ってしまうこともやむを得ません。

その間に将来より多くのキャッシュを生み出すことのできる資産が着々と構築されていると考えることができます。

たとえば、どこよりも良質な製品を開発したり、どこよりも優れたウェブサイトのコンテンツを作り上げたりするのには、ある程度の時間がかかります。試行錯誤も必要です。

そういったプロジェクトにキャッシュをつぎ込んでいる間、表面的には、業績が停滞し、キャッシュも思うように稼ぎ出せないのは、ある意味、やむを得ないことだと思います。

しかし、長期的にみると、「優れた商品」、「優れたサービス」は、消費者の支持を得ることになり、より大きなキャッシュを会社にもたらしてくれるはずの資産なのです。

そういった「資産」を構築しようと志し、投資をしようとしたのであれば、長期的視野をもち、短期間でのキャッシュの増減に惑わされることなく取り組む方が、結果的にキャッシュをより多く増やすことに繋がるはずだと思います。

まとめ

会社のキャッシュフローを増大させる上でどのようなことに着目し、行動したら良いのか、ということを、具体例も交え、10の方法に集約して説明してきました。

キャッシュフローを増やすのに役立つ知識やテクニックは星の数ほどあると思いますが、細かな知識やテクニックよりも、できるだけ汎用性が高い方法に絞って紹介したつもりです。

一つ一つのキャッシュの出入りがキャッシュフローにとってどういう意味を持つのかという視点が必要ですし、また、全体を大きくとらえる視点も必要だと思います。

この記事が、会社のキャッシュフローを増大させるのに少しでも役に立てば幸いです。

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