福利厚生の分類と代表的な種類まとめ

従業員の満足度をあげたり、採用にあたって他社と差別化したりするのに福利厚生を充実させることは有効です。

ただ一口に福利厚生といっても、その種類は多岐にわたるので、なにを導入すればよいかわからない、という経営者の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、会社が必ず提供しなければならない福利厚生や、従業員の顕在的・潜在的なニーズの高い福利厚生を整理して紹介しています。

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保険の教科書 編集部

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1.福利厚生の2つの分類

一口に福利厚生といってもさまざまな種類がありますが、そのなかでも大きく分けて「公的制度のもとで提供すべき福利厚生」「会社独自で提供する福利厚生」という2種類があります。

以下、1つずつ解説します。

1-1.公的制度のもとで提供が必須となる福利厚生

福利厚生のなかには、企業で必ず提供することが法律で義務づけられている最低限の種類があります。

この福利厚生のことを「法定福利厚生」といい、提供されていない場合は法律違反となってしまいます。

具体的にどんな種類があるかは後述します。

1-2.会社独自で提供する福利厚生

法定福利厚生のほかに、従業員満足度の向上のために会社が提供する福利厚生を「法定外福利厚生」といいます。

法定外福利厚生は企業が独自に提供するもので、仮に用意しなかったとしても法律違反にはなりません。

しかし法定外福利厚生を充実させることで従業員のモチベーションにつながることがあります。

また法定外福利厚生が充実しているか否かで、人材の採用にも少なからず影響します。

法定外福利厚生は、必ず提供される法定福利厚生と異なり、他社との差別化が図られる部分だからです。

キャリア転職サイト「type」が行ったアンケート調査(2016年12月~2017年1月に実施)によれば、ビジネスマンの約7割が就職先・転職先をえらぶとき「社内制度や福利厚生を重視する」と答えたとのことです。

会社独自で提供する福利厚生について、具体的にどんな種類があるかも後述します。

2.公的制度のもとで提供される福利厚生の種類

繰り返すように、公的制度のもとで提供される「法定外福利厚生」は、会社が従業員に対して必ず提供すべき福利厚生です。

具体的には以下があげられます。

2-1.健康保険

被保険者である従業員やその家族が、仕事とは関係ない理由で病気や怪我をしたとき、死亡したときなどに、その医療費の負担を軽減したり手当金を支給したりする保険です。

健康保険は労使折半なので、会社・従業員それぞれ5割ずつを負担します。

2-2.厚生年金保険

従業員が65歳になると支給が開始される公的な年金制度です。

民間企業で働く会社員は全員が加入することになっており、従業員の老後は国民年金に厚生年金が上乗せされて支給されます。

こちらも保険料は労使折半で、会社・従業員それぞれ5割ずつを負担します。

なお厚生年金の支給額や保険料は、従業員の年齢や収入額などのよって異なり、一定ではありません。

2-3.雇用保険

従業員が失業した際や、育児・介護で休業する際、教育訓練を受講する際などに給付金が受け取れる保険です。

一般的な企業の場合の保険料は、従業員それぞれの報酬の9/1,000(2018年4月時点)で、従業員は3/1,000を会社は6/1,000を負担します。

2-4.労災保険

従業員が仕事中・通勤途中などに怪我をしたり、仕事が理由の病気となったりしたとき、死亡したときに従業員や遺族などに補償を行う保険です。

労災保険は全額が会社の負担となります。

2-5.介護保険

介護が必要な人に給付金が支払われる保険です。

40歳以上の従業員には加入が義務づけられています。

介護保険は労使折半で、会社・従業員それぞれ5割ずつの負担となります。

2-6.子ども・子育て拠出金

子ども・子育て拠出金とは、児童手当や子育てに関する各種支援事業のために使われる税金のことです。

税金額は従業員の報酬によって異なりますが、会社側の全額負担となります。

3.会社独自で提供する福利厚生の種類

繰り返しになりますが、会社独自で提供する福利厚生とは、公的な福利厚生のほかに会社が従業員の満足度を向上させるために準備する福利厚生のことです。

この福利厚生のことを法定外福利厚生と呼び、一般的に福利厚生というとこの法定外福利厚生のことを指しています。

必ず会社によって提供される法定福利厚生と異なり、法定外福利厚生の内容は企業ごとに異なるので、他社との差別化を図ることも可能です。

法定外福利厚生の充実化は従業員の満足度アップにつながるだけでなく、新しい人材を採用する際のアピールにもなります。

3-1.従業員受けがよいと想定される福利厚生

まずは法定外福利厚生のなかでも、従業員から「欲しい」とよく声が上がる顕在的なニーズが高いものを紹介します。

3-1-1.社内の制度として設ける福利厚生

まずは社内で専用の制度を準備することで、従業員に提供できる福利厚生の種類を紹介します。

  • 住宅手当・家賃補助
  • 社食・昼食補助
  • 人間ドックなど法定外の健康診断
  • 法定以上の育児休業・介護休業
  • 出張手当
  • リフレッシュ休暇
  • 社員旅行や歓迎会などの親睦会の補助金

経済的な負担軽減に直結するような福利厚生や、育児・介護などの休暇に関する福利厚生は従業員に喜ばれやすいようです。

特に「住宅手当・家賃補助」や「社食・昼食補助」は従業員の人気が高く、人材採用の際のアピールとしても有効です。

人材紹介のマンパワーグループが行ったアンケート調査(2015年)によれば、会社の福利厚生としてあるとよいと思うものとして最もよくあげられたのが「住宅手当・家賃補助」(48.3%)、2位は「食堂・昼食補助」(33.9%)でした。

「食堂・昼食補助」の代表的な例としては従業員が安価な料金で食事ができる社員食堂(社食)を設けることですが、スペースの確保などハードルは高いでしょう。

比較的手軽な方法としては、仕出し弁当を活用する方法やオフィス内に食べ物が購入できる自販機を設置する方法があげられます。

以下、食事補助に役立つサービスをいくつか紹介します。

玉子屋

450円という低価格で、栄養バランスにこだわった日替わり弁当を届けてくれるサービス。

シャショクル

低価格な弁当から有名店の弁当まで幅広いメニューのなかからえらんで届けてくれるサービス。

テーブル1台分のスペースがあれば、スタッフを派遣して対面販売もしてくれる。

オフィスおかん

添加物控えめで健康によいお惣菜やごはんを、全品100円で販売する自販機のサービス。ごはん・主菜1品・副菜2品を購入しても合計400円。

自販機コンビニ

大手コンビニエンスストア「ファミリーマート」が提供するサービス。

おにぎり・サンドイッチ・パン・スイーツ・お菓子・飲料など、コンビニにあるような商品を自販機で販売。

3-1-2.各種サービス割引など外部サービスを利用する福利厚生

宿泊施設・レジャー施設などを割引価格で提供するような福利厚生も人気が高いです。

前述のマンパワーグループのアンケートでは「実際にあってよかった福利厚生」として、「余暇施設・宿泊施設・レジャー施設などの割引制度」が「食堂・昼食補助」「住宅手当・家賃補助」に続いて3位となっています。

該当するような福利厚生として会社が保有する保養所や、取引先の会社のサービスを割引価格で従業員に提供するなどがあげられます。

ただこれらは専用の施設を購入・管理する必要があったり、そもそも割引してくれる取引先を確保する必要があったりなど導入が難しいという会社も多いことでしょう。

かわりに福利厚生用に利用できる外部の割引サービスを従業員へ提供する方法があります。

宿泊施設・レジャー施設などの割引は、全て割引サービスの提供元が用意してくれるので、会社側では手間がかかりません。

主なサービス提供元の例として、ベネフィット・ステーションがあげられます。

ベネフィット・ステーションでは、宿泊施設・レジャー施設の割引はもとより、飲食店・スーツ購入割引、さらには人間ドック・介護支援サービス・託児所割引などなど140万件以上という膨大な数の割引を用意しています。

前述のアンケートでは人間ドックの割引も人気上位に上がっているので、そういった面でもベネフィット・ステーションのようなサービスは有効です。

しかも従業員1人あたり月額数百円程度の価格から利用できる点もメリットといえるでしょう。

3-2.従業員の潜在的なニーズが想定される福利厚生

会社が独自で準備する福利厚生のなかには、アンケートなどで人気上位にはあがりにくいものの、従業員にとって大きな助けとなり潜在的なニーズは大きいと想定されるようなものもあります。

アンケートでは、住宅補助・食事補助のような今すぐに役立つ福利厚生が上位にきているように見受けられます。

しかし将来的に役立つと考えられる福利厚生も、言われてみれば「確かにあるとうれしい」と考える社員は多いことでしょう。

ここでは、従業員の潜在的ニーズが高いと想定される福利厚生の種類を紹介します。

3-2-1.従業員が死亡してしまったときの福利厚生

従業員が亡くなったときには遺された家族に遺族年金が支給されます。

しかし遺族年金の支給額は、たとえば月額45万円程度の従業員でも年額約72万円(子どもがいない場合、2019年2月時点)~とこれだけでは遺族の生活に足りない場合がほとんどです。

そこで社員が亡くなったときに死亡退職金をわたすという福利厚生があり、その資金を用意するために外部の保険を利用する方法があります。

その代表的な保険の1つが総合福祉団体定期保険です。

総合福祉団体定期保険とは、会社が全従業員向けに加入する生命保険です。

従業員に万が一のことがあったときに遺族へ支払う死亡退職金を用意するのに使われます。

労災以外で亡くなった場合でも死亡保険金が受け取れたり従業員に持病があっても入りやすかったりなどのメリットもあります。

総合福祉団体定期保険の詳細については「総合福祉団体定期保険とは?加入の4つのメリット」もご覧ください。

万が一のときに会社の福利厚生で助けてもらえるのは、従業員にとっても心強く働くモチベーションにもつながることでしょう。

3-2-2.従業員が就労不能になったときの福利厚生

従業員が病気や怪我で働けなくなったときには傷病手当金障害年金が支払われます。

しかし傷病手当金では収入の約2/3が受け取れるものの、治療費もかかるので従業員が生活するうえで足りない可能性があることに加え、傷病手当金を受け取れる期間は1年6ヵ月と区切られています。

その後は障害年金が受け取れますが、最低保障額が年間584,500円となっており、やはりこれだけで足りない可能性が高いです。

そこで福利厚生として、働けなくなったときの保障を保険に加入し会社独自で用意する例があります。

そして代表的な保険としてあげられるのが、GTLD(団体長期障害所得補償保険)です。

GTLDとは従業員が働けなくなったときに、最長で定年まで収入減を補償するための団体保険です。

個人で契約する就労不能保険と比較して保険料がはるかに安いことや、復職後の補償も用意されているなどのメリットもあります。

GTLDの詳細については「GLTDを従業員の福利厚生として導入する4つのメリット」で解説しておりますので、興味があればあわせてご覧ください。

3-2-3.退職金・資産形成に関する福利厚生

少子高齢化で老後に受け取れる年金が減っていくと考えられるなか、退職金など資産形成に役立つ福利厚生も注目したいところです。

退職金に関しては、中小企業では「中小企業退職金共済」を用意して準備する方法があります。

中小企業退職金共済は、その名の通り中小企業が従業員の退職金を準備するための共済で、掛金を全額損金にでききたり掛金の一部を国から補助してもらえたり、さらには3年7ヵ月以上にわたり掛金を納め続けると、それまでに納めた掛金総額より多い退職金を従業員に支給できるといったメリットがあります。

中小企業退職金共済の詳細については、あわせて「中小企業退職金共済で従業員の退職金を積み立てるメリットと注意点」もご覧ください。

そのほか従業員の資産形成に役立つ福利厚生としては、従業員持株制度を用意して自社株の取得を奨励したり、定期預金と比べ利率の高い社内預金制度を用意して利用してもらったりなどの方法もあげられます。

まとめ

紹介したように、福利厚生にはさまざまな種類があげられます。

社会保険のように必ず会社が従業員へ提供しなければならない福利厚生から、従業員人気の高い住宅手当・家賃補助・食事補助、潜在的なニーズが高いと想定される就労不能の際の補償や退職金など多岐にわたります。

全ての福利厚生を満遍なく用意するのは難しいかもしれませんが、自社の従業員の声を聞きながら、優先順位をつけてえらぶとよいでしょう。

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