がん保険の入院給付金は必要か?治療の時に後悔しないためのポイント

がん保険に入るなら、どんな保障がほしいですか?がん保険というと、どんな保障をイメージされますか?昔からあるのは、入院給付金や手術給付金、がん診断一時金の3つの保障がメインとなっているものです。

しかし、現在のがん治療は入院よりも通院による抗がん剤治療と放射線治療がメインになっています。

つまり入院の必要性自体が少なくなってきている中で、古いタイプのがん保険は保障として使えなくなってきているのです。そのような実情を反映して、最近では抗がん剤や放射線が充実したがん保険が登場しています。

そのため現在では、がん保険の入院給付金は不要といっても過言ではありません。例外としては、医療保険に加入していない場合は、がん保険に入院保障をつけておいた方が良いです。この点に関しても後述させていただいています。

いずれにせよ、がん保険に入る目的は、高額な治療費に対する保障や、長引く治療に備えるものだと思います。ですから、貯蓄でもカバーできるような短い入院に対する入院給付金は無駄な保険料がかかるだけなのです。

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保険の教科書編集部

保険の教科書編集部

私は10年以上にわたり、生命保険業界で働いております。マイホームの次に高い買い物と言われることもある保険ですから、本当に必要な商品を無駄なく加入してもらうことが大切だと考えています。お一人お一人のご希望やライフプランをおうかがいし、少しでも豊かな人生を送るお手伝いが出来ればと思っております。

この記事では、がん保険選びで後悔する方を少しでも減らすために、

  • 現在のがん治療の傾向
  • 本当に入院給付金が必要なのか
  • 最新のがん治療の傾向に適した保障内容はどのようなものなのか

を詳しく解説させていただいています。いざ、がん保険の給付を受ける段階になった時に、後悔しないために、「この保障内容にしておいて良かった」と思って頂くために、とても大切なものばかりですので、ぜひご覧ください。

1.がん治療に必要な入院日数の短縮傾向にある

がん保険に入院保障が不要な理由のひとつとして入院日数の短期化があります。下記のデータをご覧ください。こちらは、厚生労働省の『患者調査統計表』を抜粋したもので、各年度時点のがん治療における平均入院日数を示しています。

これを見ると、がんによる入院日数は、ここ15年ほどで半分以上に短くなっています。これだけでも、がん保険における入院保障の重要性が低下していることが分かるのではないでしょうか。

では、ここまでがんの入院日数が減っている原因は何なのでしょうか?

その理由は以下の通りです。

  • 手術の進歩により術後に必要な入院期間が減った。
  • 診療制度改定により病院側も不要な入院を勧めなくなった。

一つずつ説明させていただきます。

1.1.手術の進歩による入院期間の減少

現在では、医学の進歩とともに内視鏡手術や腹腔鏡手術などの負担の少ない手術方法が主流になりました。

これはお腹に小さな穴をあけて、そこから細い管を通し、先についている小さなレーザーやメスで手術を行う方法です。全身麻酔も不要で、体に大きな傷をつけることなく治療ができるようになったので回復も早くなります。入院の必要がなく通院で行えるがん手術もあるぐらいです。

こうした理由で、そもそもがん治療に長期の入院が必要でなくなったのです。

1.2.診療制度改定による病院経営の変化

また、病院側も、昔と違って患者を不当に長く入院させることができなくなりました。診療報酬制度の改正により、14日以内の入院に対する点数が高くつくようになったからです。

どういうことかというと、15日以上の入院をする患者さんよりも、14日以内の短い入院をする患者さんが多くなったほうが、病院が儲かる仕組みになったのです。また、医師や看護師、病院施設のベッド数の不足や、高齢化社会により患者数が増加していることなども原因となっています。

このように、治療の観点からも、病院経営の観点からも、がんの治療のための入院日数は、どんどん短くなってきているのです。

2.通院によるがん治療の増加

がん治療で入院する必要性が低下する一方で、通院でできるがん治療の進化により通院患者の割合が増えています。下の表をご覧ください。こちらも、厚生労働省の『患者調査統計表』より作成したものです。

【がん(悪性新生物)による入院/外来患者数の比較】

平成8年 平成11年 平成14年 平成17年 平成20年 平成23年 平成26年 平成29年
入院患者数 134,400 136,800 139,400 144,900 141,400 134,800 129,400 126,100
外来患者数 127,000 119,900 119,700 140,100 156,400 163,500 171,400 183,600

平成29年(2017年)時点では、がんの入院患者数が約12万6千人なのに対し、外来患者数(通院患者数)は約18万3千人となっています。今後もその差は大きくなることが確実視されています。

このように通院治療が増えている背景には、放射線治療や抗がん剤治療の進歩があげられます。

2.1.通院で行える放射線治療や抗がん剤治療は進歩している

医療の進歩により、抗がん剤治療や放射線治療も昔と違って、”入院”ではなく”通院”による治療が当たり前になっています。

以下のグラフをご覧ください。これは厚生労働省の『がん対策について』から抜粋したもので、がん患者が今までに受けた治療法の比率を表しています。

がんで治療を受けた人の8割が化学療法(抗がん剤治療等)を経験しています。手術よりも化学療法の割合の方が高いことに驚かれる方も多いのではないでしょうか。また放射線治療に関しても、3人に1人の割合で受けるようになっています。

このことから、今では入院・手術よりも、通院しながら抗がん剤治療や放射線治療を行うケースの方が多くなっていることが分かります。それでは、現在主流となっている抗がん剤治療や放射線治療とは、どのようなものなのでしょうか。

次に確認しておきましょう。

抗がん剤治療の詳細と費用

抗がん剤治療とは、がん細胞の増殖を防ぎ、成長を遅らせたり、転移や再発を防ぐための治療法です。

点滴や注射で体内に直接抗がん剤を投与する方法と、カプセルなどの飲み薬(=経口投与)による治療方法がメインです。1~2週間を1クールとして、これを数回繰り返すのですが、1クール目だけ入院し、その後は様子を見ながら通院で治療を行うことが多くなっています。これが3~4クール継続して行われます。

価格に関してですが、抗がん剤の治療費は年間100万円ほどと見ておくと良いでしょう。決して安い金額ではありませんよね。しかし、国の認可を受けていない抗がん剤を使用する場合は、自由診療となり費用が跳ね上がります。

放射線治療の詳細と費用

放射線治療とは、がんに放射線を当てて、がん細胞を消滅させ、がん細胞が増えないようにする治療法です。体の内部または外部から放射線を当てますが、その両方を行うこともあります。単独で行うほか、胃がんなどで手術前にがんの病巣を小さくするためや、すい臓がんでは手術中にも行うことがあります。乳がんでは、再発を防ぐために行うことが多くなっています。

こちらの治療費も、年間100万円ほどと見ておくとまずは安心です。

放射線治療における現在最も高額な治療は「重粒子線治療」というものです。従来の放射線治療だと、がんの病巣以外の正常な組織を傷つけてしまうことが多いのですが、重粒子線の場合は、がん病巣だけに集中照射できるので副作用も軽減できます。

抗がん剤治療も放射線治療も最先端のものを受けようとすると、治療費が跳ね上がります。しかし、これらは、がん保険の「先進医療」という保障でカバーすることができます。詳しくは別の機会にお話ししようと思います。

3.通院がメインの時代に必要ながん保険とは

以上のように、現在のがん治療では入院の必要性が著しく減少しています。それに伴って、がん保険の入院給付金の重要性も低下していると言えます。

古いタイプのがん保険は以下の3つの保障がメインでした。

  • がん診断給付金
  • 手術給付金
  • 入院給付金

そして、通院による治療がメインになってきたことで通院保障が手厚いがん保険が現れ始めました。しかし、がん保険の通院保障は、給付条件が厳しかったり、抗がん剤治療や放射線治療の実情に即していないこともあり、多くの問題が浮上してきています。

そんな中で、最も新しいタイプのがん保険として、

  • 抗がん剤治療給付金
  • 放射線治療給付金

が登場し、人気を博しています。これらに関しては、別のページで詳しく解説させて頂いております。下記のリンクよりお読み頂けますので、本当に必要ながん保険に加入するためにも、ぜひ、しっかりとご確認ください。

※がん保険の通院保障に関する考え方
上述のように、がん保険の通院保障はさほど重要ではありません。詳しくは『がん保険で通院治療を有効にカバーするため知っておきたいこと』をご確認ください。
※がん診断給付金に関する考え方
がん保険は診断給付金を軸にして、その他必要な保障を自分用にカスタマイズして選ぶことが最良の方法です。なぜなら、がんと診断された後の入院費用と手術費用及びその他の雑費は、がん診断給付金で効率的に用意することができるからです。詳しくは『がん保険の診断一時金(診断給付金)の必要性と有効性』をご確認ください。

4.それでも入院保障が欲しい場合の3つの注意点

ここまで、がん保険の入院保障は必要ないという理由をお話ししてきました。

とはいえ、保険に入るならば「やっぱり入院保障はあったほうが何となく安心」という方もいらっしゃるでしょう。例えば以下のようなケースです。

  • 末期のがんで長期入院になった場合などでも万全の備えをしておきたい。
  • 入院したら個室に入りたい。

このような場合は、入院保障をつけたがん保険を検討されるのも良いと思います。

また、以下のケースの場合

  • 家計的に生命保険とがん保険を優先して医療保険には入っていない。

は、がんの治療そのものではなく、病院で最後の時を迎えるための入院費のために、がん保険に入院保障をつけておくべきでしょう。そこで最後にがん保険で入院保障を検討する際に知っておいていただきたいポイントをご紹介いたします。

4.1.がん保険の入院日額を確認する

保険会社がおすすめしているがん保険のプランで多いのは、1日あたりの入院保障が5,000円または10,000円になります。仕組みとしては、1,000円単位で希望にあわせカスタムすることが可能です。1つの契約で最高30,000円くらいまで設定できます。

ただし、がん保険の他に医療保険に加入している方でしたら、そこからも入院の費用をカバーできますので、その点も含めて保障額を設定することが大切です。多くのがん保険は「入院」ではなく「一時金・手術・放射線治療・抗がん剤治療」などがメインですので、その保障の分も考えてみると、入院日額を高額にしなくても大丈夫、というわけです。

入院の保障が手厚いほうが、もしもの時は安心なのですが、不要な保障を付けて無駄な保険料を払わないよう、しっかりと保障内容を選んでいただきたいと思います。

4.2.がん保険の入院日数の限度を確認する

がん保険では、入院1日目から何日入院しても無制限で保障を受けられます。

がん全体として、入院日数は短期化の傾向にありますし、がん保険を選ぶときには入院の限度日数については、それほど重要なポイントではありません。

補足となりますが、医療保険の中でも「がん入院に関しては入院日数を無制限で保障します」という商品もあります。通常の医療保険は「入院日数60日」など制限がありますので、このような医療保険に加入していれば、がん保険の入院保障は不要です。ごく普通の医療保険でも、がん入院は保障の対象ですので、やはりがん保険の入院給付金は必要ないと思います。

例外としては、医療保険に加入していない方、保険料の予算的に医療保険の加入が難しい方に関しては、がん保険に入院給付金を付けていただいたほうがよろしいかと思います。理由としては、高齢になってからのがん入院や、末期のがん治療は、入院期間が長期になることも考えられるからです。

4.3.がん入院で対象となるがんを確認する

がん入院は悪性新生物でも上皮内新生物でも同じように保障が受けられます。昔のがん保険の場合は、上皮内新生物は対象外となっていることもありますので、古いタイプのがん保険に加入している方はご自身の契約内容について、一度ご確認することをおすすめします。

上皮内新生物が対象外になっていた場合は、保険会社か加入時の担当者へ連絡をすれば、上皮内新生物の保障を保障の対象とする方法について提案してくれるはずです。当然、保険料は上乗せになります。

ただし、上皮内新生物は悪性新生物とは違い、転移する可能性は「ほぼ0」なので入院日数が長引くこともあまりなく、結果、治療費は多くはかかりません。上皮内新生物の保障を追加しようと考えている方は、他の保険とのバランスも考え、慎重に検討してください。

5.まとめ

がん保険に入院保障が不要な理由について、説明しました。

昔と比べ、がんの入院日数は確実に短くなっています。早期発見できれば1週間以内で退院できることも珍しくなく、「不治の病」という言葉はもはや死語となっています。

医療技術の進歩によって、通院で治療できる「放射線治療」や「抗がん剤治療」の割合も格段に多くなっています。通院する人が増えているため、がん保険では入院保障ではなく、「一時金」やこれらの「放射線治療」「抗がん剤治療」に備えるべきだと言えます。

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