役員退職金の計算方法|決めるときに知っておきたい4つのこと

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これから退職金をどれくらいに設定しようか考えているけれど、どれくらいの金額に設定していいのか迷っていませんか?

退職金は法律上上限などはなく、自由に決められます。ただし、会社の損金算入できる金額の目安はあり、あまり大きい金額になると税務署に指摘され、否認される可能性が有ります。

退職金の金額を決めるときには、退職金の損金算入、また、受取時の所得税がどのようになるのか理解することが重要です。

そこでこの記事では

  • 役員退職金を損金算入できる目安
  • 受取り時の所得税の計算
  • 退職金金額の決め方
  • 役員退職金の参考データ

この4つをお伝えいたします。

役員の退職金をどれくらいの金額に設定すればいいのか迷っている人は、この記事をご覧いただき参考にして頂ければと幸いです。

はじめに:役員退職金は自由に決められる

はじめにお伝えしておきたいのは、役員退職金は自由に決められるということです。よく勘違いされているのですが、退職金は法律で決められているわけではないので、会社にお金があれば、いくらでも設定はできます。

ただし、退職金を会社が損金算入できる金額はある程度決まっているということです。

一般的には従業員に対する退職金は、給与の追加払いという性格から福利厚生的な意味があります。

ただし、役員退職金は少し性質が違います。それは従業員と違い、経営者は退職出来ません。そして、経営者の方は会社の借金について保証人になったり、自宅を担保に入れているケース、または、会社に個人のお金を入れたり、逆に会社からお金を借りていたりします。これらを退職時に清算しなければならないために、役員退職金をいくら支払うかは非常に重要な問題になります。

そしてよく勘違いされている要因に役員退職金の損金算入できる金額に目安があるので、そこまでしか支給してはいけないのではないかと思っている人が多いのです。これはあくまでも法人から役員に支給する役員退職金について、一定の範囲内であれば、損金算入してもいいというだけのことです。

1. 役員退職金を損金算入できる金額

それではまず、退職金を決まる上で重要などれくらいまでなら損金に算入をできるのかお伝えしたいと思います。

法人税法の基本は課税の公平性です。では、役員退職金の損金算入限度額の公平とは以下の2つが基準となります。

  • 同業他社・会社規模との比較
  • 会社への功績

会社への功績は会社で業務に従事した期間が長ければ長いほど、当然功績は大きくなります。損金算入限度額計算の際の「在任年数」がこれに当たります。

それでは具体的に退職金が損金算入できる金額の目安を見ていきます。

一般的に用いられるのが「功績倍率法」です。この範囲であれば損金算入が認められると言われています。

通常退職金を決めるときは以下の計算で決定します。

  • 最終月額報酬
  • 在任期間
  • 功績倍率

最終報酬月額×役員としての在任年数×功績倍率=役員退職金

役員退職金を算出する際に用いる功績倍率は役位によって異なり、一般的には3倍前後と言われています。

功績倍率の例は以下のようになります。

  • 社長 3.0
  • 専務 2.5
  • 常務 2.5
  • 取締役 2.0
  • 監査役 2.0

よって、以下の例だと

  • 役職:代表取締役社長
  • 在職期間:25年
  • 最終報酬月額:100万円
  • 功績倍率:3倍

100万円×25年×3倍=7500万円となります。

そして、税務署は、会社規模、業種、地域性を考慮します。

  • 会社規模
  • 事業内容
  • 地域

この3つによって、同業他社の退職金支給状況の情報を、税務署は確認します。業種や事業内容そして会社規模によっても、違いがあり、地域によっても退職金額は違います。よって先ほどの功績倍率計算が確実なものとは言えず、税務署によっては判断が変わる可能性があります。

この計算式よりも多く設定しても構いませんが、退職金を支払う時に税務署から指摘を受けることがありますので、退職金に関しては退職金規定を作成しておきましょう。

退職金規定に関しては必ず知っておくべき経営者・役員退職金の決め方と退職金規定で解説していますので是非参考にしてください。

次は実際に退職金を受け取るとどれくらいの所得税が掛かるのか解説していきます。

2. 実際に退職金を受け取ったときに所得税はどうなるのか

退職金は一般的に老後の生活のための資金として充てられることも多く、通常の給与と同様の所得税を課されると大きな負担となってしまいます。

そこで、退職金については、所得税の中でも「退職所得」として、その他の所得とは別に分離して税金の計算がされるようになっています。

それでは具体的に退職金を受け取った時にどれくらい税金が掛かるのか事例で解説をしていきたいと思います。

以下の役員の方で計算をしたいと思います。

  • 退職金:5,000万円
  • 在任年数:35年6ヶ月

まずは、退職金から控除される金額を計算をします。

退職所得控除額に関しましては、勤務先での勤続年数に応じて金額が変わってきます。

以下が計算式になります。

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※1 勤続年数の1年に満たないものは切り上げます。21年6月→22年
※2 障害者になったことが直接の原因で退職した場合には、上記の方法により計算した額に、100万円を加えた金額が退職所得控除となります。

勤続年数 35年6月 → 36年(端数を切り上げます)
勤続年数が20年を超えていますので、控除額は36年×70万円に800万円を加えた金額となります。

8,000,000+700,000×(36年-20年)=①19,200,000円

控除額を算出すると、次は所得税を計算します。

以下の式に当てはめます。

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退職所得の金額 (50,000,000-①19,200,000)×1/2=②15,400,000円

退職所得の金額が15,400,000となり、次は所得税の計算をします。

算出した退職所得の金額を『所得税の速算表』より該当する所得金額の税率を掛けて、その後に控除金額を差し引きします。また、復興特別所得税に関しては所得税の金額に2.1%を掛けて算出します。

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  • 所得税額②15,400,000×33%-1,536,000=③3,546,000円
  • 復興特別所得税額 15,400,000×2.1%=④323,400円

所得税合計:③3,546,000+④323,400=⑤3,869,400円

続いて住民税を計算します。住民税は税率10%となります。先ほど計算した退職所得に10%を掛けます。

  • 住民税合計②15,400,000円×10%=⑥1,540,000円

退職金に掛かる税金合計:所得税⑤3,869,400円+住民税⑥1,540,000=5,409,400円

3. 役員退職金の算出例

冒頭で退職金は自由に決められるとお伝えしましたが、実際にこれから決めるにあたってどうやって決めればいいのか迷うと思います。

そこで、他の企業はどのように決めているのかが参考になると思います。

総務省人事・恩給委託調査によると、退任時報酬月額を基準として決定する会社が最も多くなります。

会社の規模によって違いがありますが、、、

例えば50名未満の会社だと

  • 退任時報酬月額・・・44.1%
  • 歴任役位別報酬月額・・・23.4%
  • 業績連動・・・7.9%
  • その他・・・24.6%

このように退職時報酬月額が1番多く、在籍年数を掛けれことで算出することができます。

退任時報酬月額×在籍年数=役員退職金

例えば、、、

退任時月額報酬が

  • 退任時報酬月額:200万円
  • 退職時年数30年

200万円×30年=6000万円

となります。

この算出方法だと先ほどお伝えしたように退職金として全額損金算入できる可能性が高いでしょう。

4. 参考:役員退職金に関するデータ

最後に参考までに総務省人事・恩給委託調査が提供しているデータを元に役員退職金を導入している会社がどれくらいあるのか、そしてどのような支給方法で行われているかお伝えしておきますので是非参考にしてください。

4.1. 役員退職金の有無

役員退職金を導入している会社は約半数となります。

  • 制度がある・・・45%
  • 制度がない・・・41.5%
  • 廃止した・・・13%

企業規模によって違いがあり、従業員50人未満の会社に絞ると

  • 制度がある・・・33.3%
  • 制度がない・・・62.2%
  • 廃止した・・・4.5%

このようになり、企業規模が小さくなると導入をしている会社が少なくなります。

4.2. 役員退職金の支給方法

役員退職金の支給方法ですが、従業員の場合大手企業を中心に年金形式もしくは選択型が増えていますが、一時金で支払う会社が97.8%とほとんどの会社が一時金で支給をしています。

  • 一時金・・・97.8%
  • 年金形式・・・1.7%
  • 併用・・・0.4%

このように年金形式や一時金との併用で支給している会社もありますが、役員退職金のほとんどが一時金となります。

4.3. 役員退職金規定の有無

役員退職金を導入している会社のほとんが退職金規定を作成しています。

  • 規程がある・・・88.9%
  • 規程がない・・・11.1%

退職金規定を作成しておかないと損金算入した際に、税務署から否認される場合があり、役員退職金を導入するときには必ず退職金規定を作成しましょう。

まとめ

役員退職金は法律上の規定はなく、いくら支払っても構いません。ただし、退職金を損金算入できる金額は、ある程度基準があり、大きな金額を退職金にしてしまうと、法人で損金算入する金額を限られ、受け取ったときにも所得税が取られます。

よって一般的には損金算入できる計算に基づき、退職金を決定します。

退職金を決める時には、会社が損金算入できる金額、そして受け取り時の所得税を頭に入れて決定をしましょう。

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長井 大輔

保険のパートナー・保険の教科書 運営責任者、今まで1000名以上の個人・法人のお客様のご相談にお応えしてきた生命保険・社会保障・税務・資産運用に精通しているファイナンシャルプランナー
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