中小企業の法人税|普通法人との税率の違いを徹底解説

企業が支払うことになる法人税は、会社経営に携わるからには常に意識することになるものです。

一般的に法人税等の計算には「法定実効税率」という、法人税等にかかる税率を合計したものが使用されます。

実はこの実効税率、中小企業(資本金額が1億円以下の企業)と普通法人では差があるのをご存知でしょうか。

また、法人税等に分類される法人住民税にかかる均等割なども、従業員数や資本金額で変化します。

今回はそういった中小企業の

  • 実効税率
  • 法人住民税の住民税率と均等割

が普通法人と比べ、どの程度違うのかを見ていきます。

基本的に大きな企業と比べて税率、税額の部分で有利に働くものが多いので、しっかりとチェックしておきましょう。

1.法人税の税率(実効税率)の違いについて

法人税は法人所得に法人税率をかけて算出されます。

法人住民税、法人事業税の計算にも法人税額を使用するため、法人税等の税額を一気に計算できるように、各々にかかる税率を合計した実効税率を使用します。

実効税率は国が一律で定めている税率であり、個人の所得税のように所得の金額によって変化することはありません。

しかし、資本金1億円以下の企業の場合、所得に対して細かく税率が定められています。

2019年度の中小企業と普通法人の実効税率については以下の表をご覧ください(ヤマダパートナーズの資料より)。

表からもわかるように、普通法人の実効税率は、一律29.74%と定められています。

対して中小企業は、所得金額に応じて細かく税率が区分されています。

注意すべきポイントは、もし所得が各区分を超えていたとしても、その区分内の所得には対応した税率が適用されるということです。

例えば資本金1億円以下のA企業の所得が1,000万円だったとします。

その場合、1,000万円のうち、

  • 400万円分には25.99%
  • 400万円〜800万円分には27.57%
  • 800万円〜1,000万円分には33.59%

が課せられるということです。

この場合、企業Aの法人税額は

  • 400万円×25.99%+400万円×27.57%+200万円×33.59%=2,814,200円

となります。

同条件で普通法人の場合だと、所得の1,000万円に一律で29.74%の税率がかかるため、法人税額は

  • 1000万円×29.74%=2,974,000円

です。

このように、中小企業と普通法人で税額に差が出ることが分かります。

800万円超の部分に注目してみると、普通法人より中小企業の方が税率が大きいため、中小企業は所得が大きければ大きいほど税額的に不利になることが分かります。

具体的に計算してみると、約1,415万円までは、中小企業の方が税負担は軽くなります。

2.法人住民税の税率と均等割について

法人住民税は法人税に住民税率をかけた法人税割と、各地方が定める均等割を足して算出されます。

法人住民税も、あ中小企業と普通法人では税率や均等割に変化があるので見ていきましょう。

2.1.住民税率の違いについて

まずは法人税割の計算に使う住民税率についてです。

住民税率には、地方によって「超過税率」というものが定められており、一定の資本金額を超える企業、またはその資本金額以下でも法人税額が一定以上の企業に対しては、基本の税率ではなく「超過税率」が税金の計算に使われることになっています。

東京都23区内を例にすると、23区内に事務所等がある場合、

  • 資本金額または出資額が1億円超の場合
  • 資本金額または出資額が1億円以下で、「法人税額」または「個別帰属法人税額」が年1,000万円を超える場合

には超過税率が適用されます。

それぞれの税率は

  • 標準税率:12.9%
  • 超過税率:16.3%

です。

「超過税率」の適用条件を見てもわかるように、住民税率では基本的に中小企業が有利であることが分かりますね。

2.2.均等割の違いについて

均等割は個人住民税におけるものと意味合いは同じで、住民税の基本料金として定められている金額です。

基本的に資本金等の額と従業員数によって変化するのが特徴で、規模の小さい会社ほど金額が少なくなります。

住民税率と同じく東京都23区内を例に、

  • A社. 資本金等の金額:1,000万円〜1億円、従業員数:50人以下
  • B社. 資本金等の金額:1億万円〜10億円、従業員数:50人以上

の企業で比較すると、均等割額は

  • A社:18万円
  • B社:53万円

です。

上記のように、均等割額についても、小規模の会社が有利であることが分かります。

均等割の具体的な金額については、各自治体のHP等に記載があるため、チェックしてみましょう。

2.3.具体的な法人住民税の比較

では中小企業と普通法人で、法人住民税の金額にどの程度の差があるのか、東京都23区内にのみ事務所等があるという想定で比較してみましょう。

①資本金等:1,000万円、従業員数:5人、法人税額:800万円の場合

まずはごく小規模な会社の例をみてみましょう。

上記条件の場合、東京23区では「超過税率」が適用されないので、住民税率は12.9%となります。

よって、法人税割は

  • 800万円×12.9%=1,032,000円

です。

また、東京23区内では上記条件の場合、均等割は7万円なので、法人住民税額は、

  • 1,032,000円+7万円=1,102,000円

となります。

②資本金等:1億円、従業員数:5人、法人税額:800万円の場合

次に、想像しづらいですが上記の条件で法人住民税を算出してみます。

この場合、資本金等が1億を超えているため、住民税率には「超過税率」の16.3%が適用されます。

よって、法人税割は

  • 800万円×16.3%=1,304,000円

です。

また、東京23区内では上記条件の場合、均等割は18万円なので、法人住民税額は、

  • 1,304,000円+18万円=1,484,000円

となります。

①と比較すると、法人税額は変わらないにも関わらず、税額に30万円以上の差が出ていることが分かりますね。

③資本金等:1億円、従業員数:55人、法人税額:800万円の場合

この場合、法人税割は②と同じ金額になりますが、均等割の金額に差が生まれます。

資本金等が1億円で従業員数が50人超えの場合、均等割額は20万円です。

よって、法人住民税額は

  • 1,304,000円+20万円=1,504,000円

となります。

①と比べてみると、法人住民税に関しては中小企業の方が有利であることがよく分かりますね。

まとめ

いかがでしたか?

中小企業にかかる法人税は普通企業のものと比べると少々複雑ですが、一定の所得までは税負担が軽くなるような措置が取られていることがよく分かります。

また、法人住民税に関しては、企業規模が大きくなればなるほど負担が大きくなることも理解できたかと思います。

税金の納付書は、企業経営をしていく中で毎年顔を合わせることになるものです。

封筒を開けた際にしかめっ面にならないよう、中小企業特有の税率計算を頭に入れて、税額を想定しておきましょう。

また、法人所得は「損金」が大きいほど小さくなります。

経費計上や損金算入について雑に申請してしまったがために、法人税額が地方の定める一定額をギリギリ超えてしまい、住民税に「超過税率」が適用されてしまった、なんて事のないよう、法人所得の算出は丁寧に行いましょう。

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※(2019年8月6日追記)本書における法人保険の保険料の損金算入割合等に関する税務上の扱いに関する記載内容は、旧通達のルールを前提としております。また、紹介している法人保険の商品は、2019年2月以前に販売されていたものです。

2019年6月30日に国税庁が新たな通達を発表しており、また、保険会社各社もそれに合わせて2019年8月以降に順次、販売再開、あるいは新商品の販売を行うことになっております。詳細はお問い合わせください。また、新たな通達のルールの概要については、国税庁HPにおいて通達をご確認ください。


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