自動車による節税のメリット・デメリットと5つのポイント

あなたは法人税の節税を自動車購入して行おうとしているのではないでしょうか。

「4年落ちのベンツがいい」「節税なら中古車がいい」このような話はよくされていますが、具体的にどのような仕組みなのかはわからないという方はいらっしゃいます。

会社の資産をより多く残すために自動車を購入するのであれば、そのメリット・デメリットを理解した上で自動車を選ぶ必要があります。

ここでは自動車による節税とそのメリット・デメリットをご紹介します。

さらに、最後には選び方のポイントまでお伝えしますので、是非最後までご覧いただければと思います。

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保険の教科書編集部

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1. 自動車を節税目的で購入するメリット・デメリット



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ここでは自動車を節税目的で購入するメリット・デメリットをお伝え致します。

3つのメリット

① 自動車の購入金額を1年間で全額償却し、損金にできる

法人で自動車を購入することで、その取得価格の全額を1年間償却し、損金にすることができます。

自動車は数十万円から数千万円のものまでありますが、大きな金額を支払った費用の100%が1年で償却できるというのは、とても大きな損金効果です。ただし、1年で全額償却するには、一定の条件を満たしている自動車に限られます。詳しくは「2. 自動車による節税の5つのポイント」でご説明致します。

② 車によって、自由に金額を選べる

自動車は、 車のメーカ・種類・状態によって、値段が変わります。これは大きなメリットで、自社の節税計画に合わせて、車の値段を検討することができます。

大きな節税をしようと思えば、大きな金額の自動車を買えばよいですし、少しだけ節税したいときにも安い車を選択すればいいだけです。

③ 安価な値段で社長個人が買い取ることも可能

法人で自動車を購入して、何年か使ったあとに、法人が取得した値段よりも安い値段で個人が買い取ることも可能です。

よって、償却による節税の効果もあるのですが、個人へ資産を移転できることや、個人の費用負担を削減することができます。もちろん買い取り価格があまりにも安い場合は、税務上指摘を受けてしまう可能性もありますので、自動車の評価額をしっかりと検討して買取を行いましょう。

3つのデメリット

① 毎月の償却なので決算月に自動車を購入してもその期は1か月分しか償却はできない

自動車の購入によって節税ができるのは、「減価償却」と呼ばれる実際に目に見える形で損をしてはいなくても、目には見えない価値の減少を損失として計上できる制度のおかげです。

この制度は非常に優れているのですが、資産の価値は時間の経過によって減少していくという考え方なので、決算対策で一気に償却をしようとしても、それは行うことができません。

その期に保有していた月数分だけを減価償却として損金にすることになります。

よって、計画的に節税をするには優れている手法であると言えますが、突発的な利益に対しては対策が難しいと言えます。

突発的な利益に対する決算対策については『中小企業の決算対策|厳選重要10のテクニックと5つの落とし穴』で取り上げて説明をしておりますので、ご覧ください。

② 将来いくらで売却できるかわからない

利益の繰り延べることで、節税を行う手法では、その繰り延べる利益は減少してしまうと損をしてしまいます。

よって、自動車を購入することで大きな損金を1年で算入できても、車を売却するときに買った価格とはかけ離れた金額になってしまっては節税ではなく、損をしてしまったことになります。

経常利益800万円以上の部分に関しては、法人実効税率は33~34%程度ですので、少なくとも購入価格の70%以上で売却ができなければ、法人税の軽減額以上に損をしてしまいます。

自動車は事故などを起こすと事故あり車など言われて価値が下がってしまうこともあり、将来の売却価格は不明確です。この点が自動車による節税で最も大きいデメリットといえるでしょう。

③ 余計な維持費がかかる

自動車の節税で忘れがちなのが、自動車には様々な維持費用がかかるということです。

駐車場代、自動車保険料、車検代、メンテナンス代、自動車に関わる税金など、年間で支払う維持費は軽くはありません。

特に大きな自動車に関しては、車検や税金などが多くかかります。

よって、自動車を節税のためだけに購入するのではなく、自動車は普段の生活や業務で活用しており、より税効果を高めるために買い替えるのであれば、推奨ができる節税方法と言えそうです。

2. 自動車による節税の5つのポイント

2.1. 「3年10カ月以上落ち」の中古の自動車を活用すること

自動車には、「新車・中古車」「何年落ち」というものがあります。結論から申し上げると、「3年10カ月以上落ちの中古自動車」が節税では最も効果があります。

それは、1年で購入金額をすべて減価償却で損金計上でき、売却でも有利な価格で売却できる可能性が高いためです。

新車とはだれも使用していない自動車のことで、中古車はすでに使用がされたことがある車です。「○○年落ち」とは、「初登録(市場に販売され始めたの)が、今から何年前か」という表現です。よって、4年落ちといえば、今から4年前に販売がされた自動車のことです。

もちろん、4年間買い取られなかった未使用の自動車であれば、「4年落ちの新車」といえます。この場合に使用されている自動車であれば、「4年落ちの中古車」ということができます。この「新車・中古車」と「○○年落ち」とで、それぞれ減価償却の計算が異なります。

新車は法定耐用年数(減価償却資産が利用に耐えられる年数)は6年です。よって、6年間を掛けて資産を償却していくのが一般的です。中古車では、法定耐用年数、何年前の自動車かで計算することができます。ここで、3年10カ月以上落ちの中古車であれば、1年で購入金額の全額を償却することができます。

2.2. 価値が落ちない自動車を選ぶこと

自動車での節税は減価償却が問題です。

自動車を売却する時に価値がなくなってしまい、大きな損失がでてしまったら節税ではなくなってしまいます。

よって、将来に売却をするときも価値のある車であれば損をしないため、資産価値が下落しにくい自動車を選ぶ必要があります。将来の価値は誰にも読めませんが、今までの中古価格から予測をすることはできます。

例えば、ハリヤーは海外での需要も高いため、高額で販売できるケースがあります。ときには、新車の価格を中古が超えることもあります。その他にも、レクサス、クラウン、その他ミニバン、スバルSUVなど、それぞれのメーカー、車種で値落ちしないものがあります。

ただし、メーカーや車種だけにこだわらず、まずは、3年10カ月以上落ちであるかを確認して、その状態がいいことを前提にして選びましょう。

信頼のできる中古車の営業マンが知り合いにいれば、その方に聞くのがよいでしょう。

2.3. 維持費がかからない自動車を選ぶこと

自動車を節税を前提として購入する場合は、会社の資産を少しでも多く残したいという考えの下で、自動車選びをします。

そのため、会社によりお金を残すことを考えると、節税のことだけでなく、無駄な維持費は極力抑えることが大切です。

自動車保険はメーカー・車種により保険料の高いものがあります。節税ができても、保険料などのコストが高くては会社に資産を残せませんので、維持費がどの程度かかるのかを比較して、自動車を購入しましょう。

2.4. 会社に利益をもたらす自動車を選ぶこと

ここまでは自動車で節税を前提に購入することをお伝えしましたが、やはり生産性のある自動車でなければ、結果会社に資産を残すことができないと言えます。

自分が好きで、欲しくて仕方がない自動車があるのに節税のためだけに他の車種を選んだ場合、モチベーションが上がらないなどのマイナスの要因を引き起こす可能性もあります。また、営業の場面では、高級車を嫌うお客様がいて大切な案件を逃してしまうこともあるかもしれません。

大きな車でなければ、仕事ができない場合であれば、それに適した自動車を選ばなければ会社に利益はもたらしません。

よって、節税を考慮して自動車を選ぶことも大切ですが、会社に利益を生む自動車かどうかも考えて自動車を購入していただきたいと思います。

2.5. 取り引き業者を選定すること

中古自動車は、複数の業者とお付き合いして、比較できるようにしておくことも大切です。また、例えば安く状態の良い自動車を変える業者と、自動車を高く売れる業者は異なることが多いです。自動車によっては、海外で売却を得意としている中古自動車屋さんの方が高く売却をしてくれることもあります。このように、買うとき、売るときに有利な業者をいくつか選定しておくことが自動車の節税では大切です。

信頼ができる中古自動車屋さんをいくつか見つけておきましょう。

まとめ

自動車の節税に関してのメリット・デメリットとその5つのポイントを書きましたがいかがでしたでしょうか。

自動車の節税は、3年10カ月以上落ちの中古車を購入することで1年間ですべて償却ができ、損金に算入することができます。また、金額も幅広く選べるため、自分の会社の状況にあった金額を設定して計画的に節税を行うことも可能です。

一方で、数年後にいくらで売却できるかが不明確であることなどのリスクも存在します。

また、維持費がかかりますので、節税目的だけでなく、会社に利益をもたらすことができるのであれば、購入をするというのが賢明な判断となります。

そして、自動車の減価償却は毎月計上するものですので、決算月に急いで購入しても一気に償却ができません。

よって、決算対策ではなく、今期はたくさん利益がでそうだという予測をもとに余裕をもって自動車を購入した方がベターです。

これから自動車で節税しようとお考えであれば、上記5つのポイントをしっかりと押さえた上で、会社の状況にあう自動車を選んでいただければと思います。

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