法人保険の保険料が支払えなくなった時の7つの対処法

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会社の経営は予測通りにはいかないことが多いものです。

急に業績が悪化してまとまったお金が必要になって、会社で契約をしている法人保険の保険料が負担になることがあるかも知れません。

あるいは、赤字が出そうになったりして、保険料を払うと赤字がさらに大きくなってしまうこともあるかも知れません。

しかし、だからといって即、解約ということにはなりません。それが有効であればそうすべきですが、損をしてしまう可能性がありますし、全部解約せずに済む可能性もあります。

また、苦しい時ほどメリットとデメリットを見極め、冷静に対処する必要があります。

本日は、法人保険の保険料の支払いがきつくなった時の対処法を、パターンに応じて7つお伝えします。ぜひ参考にしてください。

法人保険の保険料が払えなくなった時の7つの対処法

法人保険に加入するタイミングは、利益が出ているときだと思います。多くの法人様は、決算対策等で「全額損金」「1/2損金」「1/3損金」の商品に加入します。

なお、まれに終身保険に加入している法人様もいらっしゃいますが、終身保険は保険料全額資産計上ですので、一切損金になりません。

「全額損金」「1/2損金」「1/3損金」の法人保険は、生命保険としての保障を受けられるだけでなく、税負担を抑えながら、必要な資金を効率よく積み立てることのできるものです。

ところが、その後に経営が苦しくなり、支払っている保険料が負担になることがあります。

あるいは、単年度で大きな赤字が出そうになり、保険料を支払うと赤字が拡大してしまうことがあります。

つまり、保険料が支払えない場合というのは、

  • 保険料を支払うだけのキャッシュがない場合
  • 保険料を支払うと赤字が拡大してしまう場合

の2通り(あるいは両方)が考えられるのです。

もちろん、加入時にいろいろな可能性を考え、最初から無理なく支払い続けられる保険料を設定することは大切です。しかし、そうだとしても、予想外の事態というのがあるかもしれません。

その場合、タイミングによって、以下の7つの対処法があります。

【解約返戻金の返戻率が高い時】

  • 全部解約する
  • 払済にする
  • 保険金を減額して保険料を下げる

【解約返戻金の返戻率が低い時】

  • 赤字ならば「繰越控除」「繰戻還付」の制度を利用する
  • 「契約者貸付」を利用してお金を借りて保険料を支払う
  • 「自動振替貸付」を利用して保険料を払わず継続する
  • 「変換」の制度を利用する

会社の状況によって対処法が違いますので、一つずつ解説していきます。

1.解約返戻金の返戻率が高い時の対処法

まず、解約返戻金の返戻率が高い時は、解約してもそれほど損は大きくありません。法人保険が本領を発揮するのは、このタイミングで赤字が出そうになったりキャッシュが足りなくなったりしたケースです。

方法は3つあります。

1.1.赤字が大きくキャッシュも足りない場合|全部解約する

その年度の赤字が大きくキャッシュが足りない場合、法人保険を全部解約する方法があります。

解約して解約返戻金を受け取ると、「全額損金」「1/2損金」「1/3損金」の保険は、それぞれ以下の額が雑収入として益金に計上されます(そのしくみについては、詳しくは『逓増定期保険の経理処理|キャッシュをより多く残せるしくみ』をご覧ください。1/2損金の保険についての記事ですが、基本的なしくみは同じです)。

  • 全額損金:解約返戻金全額
  • 1/2損金:解約返戻金額-年払保険料×1/2×加入年数
  • 1/3損金:解約返戻金額-年払保険料×(1-1/3)×加入年数

この益金が、赤字をカバーしてくれます。

したがって、大きな赤字が出そうになったら、その額と、解約返戻金全額を受け取った場合の益金の額を比べてみてください。益金の額が赤字の額と同じくらいか、赤字の額よりも少ないのであれば、赤字をカバーすることもできます。

加えて、キャシュが足りないならば、それを補うこともできるのです。

解約返戻金の返戻率が高いタイミングで、大きな赤字が出そうで、しかもキャッシュも足りないのであれば、全部解約が有効です。

1.2.赤字は大きいがキャッシュはある場合|払済にする

では、「大きな赤字が出そうだが、キャッシュには余裕がある」という場合はどうすればよいでしょうか。

この場合、キャッシュが少しでも増えた方がいいので、解約はもったいない気がします。

そこで、解約はせず、「払済(はらいずみ)」という方法があります。

「払済」は、詳しくは『払い済み保険って何?具体的な活用方法と注意点』をご覧いただきたいのですが、

  • 解約はせず、保険料の払込をストップする
  • 以後はその時点の解約返戻金に応じて保障を受ける

という方法です。

払済をすると、その時点で、解約返戻金を受け取った場合と同じように、損金タイプに応じて、以下のように雑収入(益金)が計上されます。

  • 全額損金:解約返戻金全額
  • 1/2損金:解約返戻金額-年払保険料×1/2×加入年数
  • 1/3損金:解約返戻金額-年払保険料×(1-1/3)×加入年数

したがって、解約返戻金を受け取ることなく益金が計上され、赤字がカバーできます。

払済のメリットは、保険料の払込をストップした後も解約返戻金の返戻率が上がっていくということです。返戻率の上昇の幅は保険会社にもより大きく違いますが、長く置いておけばその分返戻率が上がっていきます。

赤字の幅は大きいがキャッシュはあるというのであれば、払済は有効な方法です。

1.3.赤字が比較的小幅な場合|保険金を減額して保険料を下げる

解約返戻金の返戻率が高いタイミングで、赤字が比較的小幅で、保険を全部解約するまでもないのであれば、保険金額を減額して保険料を下げる方法があります。

もちろん保障額は下がりますが、その分、会社の保険料の負担を軽減することができます。

そして、減額した部分については「一部解約」ということになりますので、その分だけ、その時の返戻率に応じた解約返戻金が受け取れます。

例えば、保障額が1億円の保険に加入していて、現時点で1,000万円の解約返戻金があったとします。この保障額を1億円から5,000万円に下げると、下げた半分が部分解約されたことになるため、500万円の解約返戻金を受け取れます。

2.解約返戻金の返戻率が低い時の対処法

解約返戻金の返戻率が低い時は、直ちに解約すると損をしてしまうリスクがあります。しかも、解約すると保険の本来の役割である保障が全く受けられなくなってしまいます。

したがって、なるべくならば解約せず、契約を維持することを考えた方が良いと思います。

その方法は4つあります。

2.1.赤字なら「欠損金の繰越控除・繰戻還付」の制度の利用を考える

法人税には「欠損金」の「繰越控除」「繰戻還付」という制度があります。

これは、その赤字(欠損金)の赤字を、その前後の年度の黒字の額から差し引いて帳尻を合わせることができるものです。

会社は、利益の出た年度には税金が取られますが、赤字の年度にはお金を返してもらえません。しかし、それではあまりに残酷なので、その代わり、赤字が出たらその分を他の年度の黒字から差し引くという処理が認められているのです。

「繰越控除」の場合、赤字が出たら、次の年度から9年度にわたって黒字分から差し引くことができます。その結果、次年度以降、その分の税金が安くなります。

「繰戻還付」は、前年度の黒字分から差し引くことができます。その年度の決算で申告すれば「還付金」を受け取ることができます。

詳しくは、『法人税の節税の全てが理解できる19のテクニック解説』をご覧ください。

2.2.保険料の契約者貸付制度を利用してお金を借りる

赤字の点は「繰越控除」「繰戻還付」の利用でカバーできるとしても、当座のキャッシュがないと、保険料を支払うことができません。

キャッシュが足りない場合、保険会社からお金を借りることができるのが「契約者貸付制度」です。

契約者貸付制度の場合、保険会社や商品にもよりますが解約返戻金の80%~90%を上限として借りることができます。

利息は、保険会社によって違いはありますが、2.75%~3%ほどとなっています。

なお、この「契約者貸付制度」は、保険料を支払うキャッシュが足りない場合以外にも、活用法があります。

それは、たとえば、急にビジネスチャンスが訪れたのに当座のキャッシュがない場合です。

こういう場合、銀行から融資を受けようとしても、審査等に時間がかりますし、担保を要求されることもあります。

そこで、「契約者貸付制度」を活用すれば、担保を立てる必要はないし、面倒な審査もなく、申請から1 週間程度で受け取れます。これによって、急なまとまった額の出費に対応することができるのです。

2.3.自動振替貸付制度を利用して保険料を払わず継続する

なお、法人保険には「自動振替貸付」の特約が付いていることがあります。これは、保険料を支払わなかった時に自動的に「契約者貸付」がされ、同時に、保険料が支払われたことになるものです。

契約者貸付の額の上限は、その時の解約返戻金の額です。つまり、保険料の支払いをせず放置すれば、その時の解約返戻金の額から、自動的に保険料に充てられていくのです。

自動振替貸付の特約は、保険料の「支払猶予期間」の2ヶ月間を過ぎても保険料の支払いがされない場合に発動します。もちろん、契約者貸付ですので、年2.75~3.0%の利息が発生します。

2.4.ニッチもサッチもいかなければ「変換」を検討する

ここまで、法人保険の返戻率の低いタイミングでなるべく解約せずに済む方法をお伝えしてきました。

しかし、どうしても背に腹は代えられないということもあります。

その時は、これから返戻率がどの程度上がっていくのか、それまでに保険料を支払い続ける価値があるのか、費用対効果を慎重に考える必要があります。

ただし、その結果、「やはりこのまま加入し続けるのはきつい」という結論になったとしても、まだ解約まではしない方が良いかもしれません。

たとえば、経営者であるあなたに万一のことがあった場合、会社に最低限の保障はキープしておくに越したことはありません。なぜなら、保険の本来の役割は、低いコストで経営者に万一のことがあった場合のリスクに備えることだからです。

そこで、実は、解約しないまま解約返戻金を受け取り、保険金額を下げずに掛け捨ての保険に変更する方法があります。これを「変換」と言います。

この「変換」の一番のポイントは、健康状態の告知がいらないことです。もしも健康状態が悪く、本来保険に加入できない状態だったとしても、「変換」であれば、保障は継続できます。

解約してしまう前に、是非、「変換」を考えてみてください。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございました。

会社の利益が出た時に決算対策等として法人保険に加入しても、後で業績の悪化等で保険料の支払いが厳しくなる場合があります。

その場合、全部解約は一つの方法ですが、その時の解約返戻金の返戻率や、会社のおかれた状況によって、大きく7通りの方法があります。

焦らず冷静に、会社にとってベストな方法を考え、選択しましょう。

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出岡 大作

行政書士資格保有。保険や税金や企業関係法、民法、行政法といった分野について幅広い知識を持つ。また、初めての人にも平易な言葉で分かりやすく説明する文章技術に定評がある。
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