「資産移転」?「節税」?逓増定期保険5つのポイント

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最近はアベノミクスによる利益急増によって、節税を検討しているという経営者もいらっしゃるようです。

そして、決算直前の「節税対策」として生命保険が有効だと言われています。

「節税」という表現が適切かどうかは別として、保険料支払段階で税負担が軽減されるのは事実です。また、実際のところ、法人の生命保険には、税負担の軽減だけでなく、他の金融商品にはない、非常に魅力的な側面があります。そのため、私自身も活用しています。

今回の記事では、多くの経営者に選ばれている逓増定期保険(ていぞうていきほけん)を活用する上での5つのポイントをお伝えします。

逓増定期保険は、上手に活用すれば、退職金の積み立てや万一のリスク補てん等、会社のキャッシュを守り、増やすのに役立ちます。

「逓増定期保険で『節税』対策を」などとお考えになっている経営者の方は、ぜひ読み進めてみて下さい。

1.貯蓄に似た機能がある逓増定期保険

逓増定期保険は、契約時の保険金額が年を経るごとに一定金額まで増加していく保険です。

期間満了の際の満期返戻金はゼロになりますが、中途解約した際には、先払いした保険料が解約返戻金として戻ってくるという特殊なものです。

全額損金、2分の1損金、3分の1損金、4分の1損金といったタイプがありますが、最もメジャーなのは2分の1損金タイプです。

ここで、2分の1損金タイプの保険の例を見てみたいと思います。以下の図はある会社のPLとBSです。

毎年の保険料は1000万円で、2分の1の500万円は保険料として経費で処理され、残りの500万円が保険資産としてBS上に載っていきます。契約から10年がたつと、BSには保険料積立金が5000万円貯まります。

この保険は契約から10年で100%が戻ってくる設計となっていて、解約すれば解約返戻金は1億円になります。

そして、そこから保険料積立金5000万円を差し引いた5000万円が、一気に現実化することになります。

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(参考:『オーナー社長の戦略的生命保険活用術』)

この5000万円は、雑収入として益金に算入されます。したがって、同じ年度に5000万円の費用のかかる設備投資等の支出があれば、この益金が一気に現れることによって、赤字を避けることができるのです。

2.出口戦略が最も重要

たとえば、将来大きな取引先が倒産して、売掛金が回収できなかった場合などは、保険の解約返戻金のうち益金に計上される部分の額で損失を補い、相殺し、黒字化することも可能です。

また、社長に万が一の事故が起こってしまった場合には、保険という保障でリスクがカバーされます。

ただ、こういった万が一のトラブルがなかった場合の、出口戦略を考えておくことが重要です。

たとえば、逓増定期保険に加入後、将来解約した年に役員の退職や設備投資など、大きな支出があれば、同じタイミングで解約返戻金による益金が計上されるため、損金と相殺できます。そして、その分については解約益が課税されずに済みます。

このように、必要に応じて解約すれば、大きな損失を計上してしまうリスクを避けることができるという魅力的な側面を持っています。

3.数年後に解約返戻率のピークを設定できる

逓増定期保険は加入後の短い期間で解約返戻率が一気に上昇するのが特徴です。

契約時から数年間は、解約返戻金額を低く設定し、4~5年でかけた保険料総額の95%程度を受け取ることができるような形が多いです。

最近では、100%を超える解約返戻率になる場合も多くあります。

ここで、解約返戻率がどのように上昇していくかという例を見てみてください。

これは38歳男性が保険金額1億円の逓増定期保険に入った場合の年間保険料と解約返戻率の推移です。

5社の商品を比較しています。

逓増定期保険の解約返戻率の例:38歳男性
逓増定期保険 A生命 B生命 C生命 D生命 E生命
最大保険金額 1億円 1億円 1億円 1億円 1億円
年間保険料 556万円 932万円 497 万円 1145 万円 591万円
1年目(39歳) 0.0 % 0.0 % 59.2% 4.8 % 0.0%
2年目(40歳) 13.1% 9.2 % 79.8% 21.0% 8.4%
3年目(41歳) 31.8% 19.1% 87.1% 64.5% 18.2%
4年目(42歳) 52.2% 29.3% 91.0% 71.3% 28.4%
5年目(43歳) 73.3% 39.8% 93.6% 94.0% 38.8%
6年目(44歳) 94.9% 100.3% 95.5% 96.5% 98.8%
7年目(45歳) 97.4% 101.2% 97.0% 98.3% 98.3%
8年目(46歳) 99.3% 102.1% 98.4% 99.8% 97.0%
9年目(47歳) 101.0% 101.9% 99.5% 100.6% 94.6%
10年目(48歳) 102.5% 100.8% 100.6% 100.5% 90.8%

※解約返戻率は税負担の軽減の効果を考慮せず、単純な返戻率を表しています。

契約時から短期間で一気に解約返戻率が上昇することがわかると思います。

4.解約返戻金の9割程度までスピーディーに貸付を受けることができる

解約しなくとも、急にビジネスチャンスが訪れるなどして資金が必要になった場合、保険を有効に継続しながら資金を貸し出す「契約者貸付」の制度があります。

この制度を利用すると、銀行融資と違って面倒な手続をする必要はなく、1週間程度で、解約返戻金の9割程度まで、3%程度の金利で貸付を受けることができます。

このように保険でありながら銀行預金のような方法で活用することも可能です。

5.よく「実質全額損金と同様の効果を出せる」と言われている方法とは?

よく「実質全額損金と同様の効果を出せる」と言われ、実際に利用されている方法として、法人から個人へ資産を譲渡する方法があります。

詳しくは『逓増定期保険名義変更プランのしくみと3つの注意点』をお読みください。

これは、解約返戻率のピークを迎える前に契約を法人から個人に譲渡し、解約返戻率ピーク時に個人で一時所得として受け取るという、いわば資産が移転してしまうようなスキームです。

そうすることによって、企業側は実質全額損金と同じような効果が得られることになります。

また、個人で解約した場合に受け取る解約返戻金は一時所得となります。

一時所得にかかる税率は以下の通りとなります。

  • 一時時所得の金額 = 満期保険金 -(支払保険料総額―剰余金)-50万円
  • 課税の対象となる金額 = 一時所得の金額 × 1/2

そのため、実質最高税率25%となり、法人税率より負担を下げることが可能です。

しかしながら、税務リスクが高く否認される可能性があるため、積極的にはおすすめできません。もしどうしても検討されるのであれば、きちんと税理士等の専門家に相談して慎重に判断する必要のある方法です。

まとめ

逓増定期保険は、全額損金タイプ、2分の1損金、3分の1損金、4分の1損金といったタイプがあり、税負担を軽減の機能と、貯蓄に似た機能があります。

将来大きな取引先が倒産して、売掛金が回収できなかった場合などは簿外に貯めておいた保険の解約返戻金で損失を補い相殺することで黒字化することが可能です。

解約しなくとも、資金が入用になった場合、保険を有効に継続しながら資金を貸し出す契約者貸付制度があります。この制度を利用すると、解約返戻金の9割程度までの金額であれば、3%程度の金利で貸付を受けることができます。

また、社長に万が一の事故が起こってしまった場合には、保険という保障でリスクがカバーされます。

経営者が企業を毎年黒字にするのはたやすいことではありませんが、このように益出しや損だしのコントロールができる保険は、経営者にとってとても使い勝手が良い金融資産です。

逓増定期保険はさまざまな使い方がありますが、税務的なリスクを伴う方法が提案される場合もありますので、税理士に相談しながらぜひ一度法人保険の活用を検討してみて下さい。

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長谷川桂介

長谷川桂介

今まで10年以上、法人や個人の資産運用に従事。また保険だけでなく投資や節税、資金調達など法人の財務に関する実務をこなしてきた企業財政のエキスパート。
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