逓増定期保険とは?基本のしくみと活用法

※(2021年3月追記)逓増定期保険の契約を法人から個人に名義変更するスキームについて、2021年6月以降、新たなルールが適用される見通しです。ルール改定の内容と見通しについては「逓増定期保険の名義変更に関するルール改定とは?」をご覧ください。

逓増定期保険は、保険金が段階的に増えていくしくみの保険です。

かつては解約返戻金の返戻率が短期で立ち上がり100%前後にまで達すること、「全額損金」「1/2損金」など保険料の損金性が高かったことから、「節税商品」と言われ人気がありました。

しかし、2019年10月に国税庁の通達が改定され、そのような商品は認められなくなりました。

それによって、逓増定期保険も、活用法が大きく変わりました。

現時点で、逓増定期保険の効果的な活用法は、長期間かけて退職金を効率よく積み立てることに尽きます。

この記事では、具体例も紹介しながら、メリットと注意点を分かりやすく説明します。

なお、いわゆる「逓増定期保険の名義変更プラン」についてお知りになりたい方は「逓増定期保険名義変更プランのしくみと3つの注意点」をご覧ください。また、法人保険一般については「法人保険とは?会社の様々な問題解決に有益な最新6つの活用法」をご覧ください。

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出岡 大作

出岡 大作

保険の教科書 編集長。2級ファイナンシャルプランナー技能士。行政書士資格保有。保険や税金や法律といった分野から、自然科学の分野まで、幅広い知識を持つ。また、初めての人にも平易な言葉で分かりやすく説明する文章技術に定評がある。

1.逓増定期保険とは

逓増定期保険は、法人専用に設計された、保険金が当初の5倍にまで逓増、つまり段階的に増えていく生命保険です。

主な特徴は以下の2点です。

  1. 保険金額が逓増していく
  2. 解約返戻金の返戻率の立ち上がりが早い

それぞれについて説明します。

1.1.保険金額が逓増していく

そのように設計されている理由は、法人が将来成長していくのを想定しているからです。

法人が成長して大きくなっていくと、その分、経営者の方に万一があった時に必要な保険金の額も大きくなるというイメージです。

1.2.解約返戻金の立ち上がりが早い

もう1つの特徴は、解約した時に受け取れる解約返戻金の返戻率が、他の「〇〇定期保険」よりも早く立ち上がることです。

それは、逓増定期保険のしくみと密接に関連しています。

人の死亡のリスクは、ただでさえ年を取るごとに増加していきます。しかも、逓増定期保険は年を取るごとに保険金額が高く設定されます。

ところが、逓増定期保険の保険料は最初から最後まで値上がりせず一定です。

したがって、前半のうち、保険料を支払うと、死亡のリスクに対応した本来の意味での「保険料」は少しで、あとは、後年の分まで前もって保険会社に支払い、預かってもらっていることになります。

(イメージ)

なので、早期に解約すると、まだ死亡のリスクに充当されていない多くのお金が解約返戻金として戻ってくるのです。

1.3.かつては節税保険として人気も

逓増定期保険は、かつて、節税保険と呼ばれ重宝されました。それは、解約返戻金の返戻率が5~15年という比較的短い期間で90~110%にも達する上、保険料の全部または1/2、1/3を損金算入できたからです。

ところが、2019年10月に法人保険の損金処理のルールが改定されました。その新ルールでは、返戻率が高いと保険料の損金算入率が低くなりました。

それによって、逓増定期保険を始めとする法人保険の活用法は大きく変わりました。

現在、逓増定期保険の有効な活用法は、

  • 長期間かけてお得に退職金を積み立てる

というのに尽きます。以下、説明します。

※なお、「逓増定期保険の名義変更プラン」というものが、「法人から個人に資産を移転するスキーム」として広く行われてきています。そのしくみとリスク・注意点については、「逓増定期保険名義変更プランのしくみと3つの注意点」をご覧ください。旧ルール下での記事ですが、基本的なしくみと問題点は現在もほぼ共通です。

2.逓増定期保険の活用法|長期間かけてお得に退職金等を積み立てる

現状での逓増定期保険の活用法は、ある程度長期間かけて、効率よく退職金等の資金を積み立てることに尽きます。

前提として、2019年10月以降、法人保険の損金算入ルールが改定され、解約返戻金の返戻率が高い商品は、ごく一部の特殊な例外を除き、損金算入割合が低く抑えられるしくみが採用されています(詳しくは「法人保険の損金算入ルールを分かりやすく解説します」をご覧ください)。

この状況下で、逓増定期保険を退職金等の積み立てに活用する場合、最もおすすめなのは、解約返戻金のピーク時の返戻率が80%~85%以下で、かつピークが長く続くものです。

以下、A生命の逓増定期保険の契約例をもとに説明します。

【契約例】

  • 被保険者:社長(50歳男性)
  • 保険金額:1億円
  • 保険期間:78歳まで
  • 保険料:4,712,056円/年
  • 最高返戻率:84.6%(8年後)

このプランは、法人保険の損金算入ルールのうち、以下の通り、ピーク時の解約返戻率70%~85%のルールが適用されます。

【損金算入割合】

  • 11年2ヶ月目まで:40%損金
  • 11年3ヶ月目~21年目:全額損金
  • 22年目~満期:196%損金

そして、保険料の損金算入割合、解約返戻金の金額・返戻率は以下のように推移します。

このように、解約返戻金のピーク、つまり、返戻率が84%前後のタイミングが、5年後~24年後までと、20年間継続します。したがって、退職金を受け取る時期に幅を持たせることができます。

また、その間、保険料の損金算入割合も、損金算入額の累計も、高くなっていきます。

したがって、ある程度長期間かけて、退職金を効率よく積み立てる活用法に向いています。

まとめ

現状、逓増定期保険の活用法は、長期間かけて退職金等の資金を効率よく積み立てる活用法です。解約返戻金のピークの返戻率が80%~85%以下で、かつピークが長く続くものを選ぶのがおすすめです。

逓増定期保険に限らず、法人保険は、法人の現在と将来の両方を見据えて慎重にプランを組む必要があります。この記事が、少しでもその役に立つことを願ってやみません。

なお、「法人から個人に資産を移転するスキーム」と言われ一定の人気がある「逓増定期保険の名義変更プラン」については、法人保険の損金算入ルール改定前の2016年秋に私が作成した記事「逓増定期保険名義変更プランのしくみと3つの注意点」をご覧ください。基本的な問題点は今も同じです。

 

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