逓増定期保険の損金の3つのタイプを最大限に活用するポイント

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逓増定期保険は、保険料のうち一定の割合を損金にできる保険で、よく「節税」に活用できると言われます。ただ、損金にできると言っても、保険料が全額損金になるタイプ、1/2損金、1/3損金があり、どれを選べばいいのか、なかなか分かりづらくなっています。

保険料が損金になることだけ注目するならば、全額損金がもっとも有利なように思えます。しかし、実際に一番広く使われているのは、1/2損金タイプ、次が1/3損金タイプです。どうして、1/2損金タイプがもっとも多くの方に好まれているのでしょうか?実は、これら3タイプはそれぞれ活用法や向き不向きが違うのです。

そこで今日は、逓増定期保険の損金タイプ別の特徴と、それぞれの活用条件についてお伝えしていきます。

あなたの会社にどのタイプが適しているのか判断するのにお役立てください。

はじめに

下記の図のように、逓増定期保険には、保険料の損金算入できる割合に応じて、主に3タイプあります。支払った保険料の全てが損金になる全額損金タイプ、1/2損金タイプ、1/3損金タイプです。そして損金算入されなかった部分は資産計上されます。

損金タイプ比較表

支払った保険料は、ある程度、解約返戻金として貯まっていきます。そして、解約返戻金の戻り率(返戻率)の高いタイミングを選んで解約するのです。

下図のように、返戻率にはピークがあります。

逓増定期保険イメージ

適切なタイミングで解約返戻金を受け取ると、そこから、それまで資産計上してきた分を差し引いたお金が雑収入となります。

ですから、黒字のときに解約すると、残ったお金に対して法人税が課税されるので、ただ法人税を先送りにした「繰り延べ」にしかならないのです。

分かりやすく、図を見ながら解説していきましょう。

たとえば、1/2損金タイプの逓増定期保険(年払い保険料1,000万円)に加入すると、500万円が損金になります。そしてこの保険を5年掛けていくと支払い保険料の総額は5,000万円になります。そのうちの2,500万円が損金になり、2,500万円が資産計上となります。

2分の1損金保険料総額内訳

そこで5年目に解約をし、仮に返戻率が95%で4,750万円の解約返戻金を受け取ったとします。このとき、もともと資産に計上していた分(2,500万円)を差し引いた金額(2,250万円)が雑収入となります。そのままだと法人税の課税対象となるのです。

2分の1損金解約返戻金受取

そのため、もし税金を取られるのを避けたいのであれば、同じ年度に、益金と同程度の損金を計上する必要があります。つまり、解約返戻金の使い道を用意しておく必要があります。

ですから、契約する前に、解約返戻金をどのように使うのかという「出口戦略」を立てておかないといけません。

以下、逓増定期保険の3つの損金タイプについて、よく活用されている順に、1/2損金タイプ、1/3損金タイプ、全額損金タイプのそれぞれの向き不向き、活用法をお伝えします。表にすると以下のようになります。

3タイプの向き不向き

なお、これから、具体例をまじえてお伝えしますが、比較しやすいように、どのタイプについても保険金額を3,000万円に設定しております。

1.「1/2損金」タイプの特徴と活用のポイント

1.1.「1/2損金」タイプの特徴

1/2損金タイプは、逓増定期保険の中で最もメジャーでよく活用されています。まず特徴をまとめてみます。

  • 解約返戻金のピーク時の返戻率…○(90~100%)
  • 加入年齢…幅広い
  • 解約返戻金のピークが来る時期…早い(5~10年目)
  • 解約返戻率90%以上の期間…長短あり

1/2損金タイプが選ばれるのは、このような特徴が好まれるからなのですが、では、この特徴がピッタリ当てはまる会社はどのようなニーズの会社でしょうか?次の項目で確認してみましょう。

1.2.年齢を問わず5~10年後の資金準備に向いている

A生命の逓増定期保険の契約例を見てみましょう。

【A生命の逓増定期保険の契約例】

  •  契約年齢45歳
  •  加入時の保険金額:3,000万円
  •  保険期間・保険料払込期間:67歳満了
  •  保険料:3,712,740円/年
  •  解約返戻金のピーク:9年目(返戻率99.6%)

2分の1損金

こちらの例でいうと、解約返戻金の返戻率のピークは10年目になります。この返戻率は、加入年齢によってそれほど低くなりません。

また、この契約例では、返戻率90%以上をキープしている期間が5~11年目と、比較的長いのがわかります。保険会社やプランの中身にもよりますが、返戻率の高い期間が長く続くものを選べば、解約返戻金の使い途の幅が広がり、使い勝手が良くなります。

ただし、気をつけていただきたいのですが、解約返戻金の返戻率はピークを越えると減っていきます。例えば、上の例だと、60歳で勇退する予定で退職金を貯めようという場合では、返戻率が62.6%となってしまいます。これでは、キャッシュが大幅に減ってしまうため、損をしてしまいます。したがって、退職金の積立を目的とするならばこの契約例は不適切ということになります。

契約時には、解約の時期と解約返戻金の使い道を確認することが重要です。

なお、もしかしたらあなたは、逓増定期保険の個人への「名義変更」という方法の提案を受けたことがあるかも知れません。しかし、これは様々な問題があり、あまりおすすめできません。その理由については『逓増定期保険名義変更プランのしくみと3つの注意点』をご覧ください。

2.「1/3損金」タイプの特徴と活用のポイント

2.1.「1/3損金」タイプの特徴

特徴は以下の通りです。

  • 解約返戻金のピーク時の返戻率…◎(95~110%)
  • 加入年齢…幅広い
  • 解約返戻金のピークがくる時期…遅め(20年前後)
  • 返戻率90%以上の期間…非常に長い

損金性こそ低いものの、解約返戻金のピーク時の返戻率はとても高いという特徴があります。しかもその高水準の返戻率が非常に長く続きますから、しばらく使い道がないキャッシュがあるのであれば1/3損金タイプが良いでしょう。

2.2.運用、資金繰り、退職金準備に向いている

2.2.1.特に40代~50代の退職金準備には最適

B生命の逓増定期保険の契約例を見てみましょう。

【B生命の逓増定期保険の契約例】

  • 契約年齢45歳
  • 加入時の保険金額:3,000万円
  • 保険期間・保険料払込期間:82歳満了
  • 保険料:3,142,650円/年
  • 解約返戻金のピーク:21年目、22年目(返戻率107.7%)

3分の1損金

こちらの例でいうと8年目以降であれば解約金が100%を超えて戻ってきます。この低金利下で銀行預金に塩漬けしておくなら、このような保険商品に投入したほうが、安定的な資産運用として期待できます。しかも毎年度、保険料約314万円のうち1/3の約104万円が損金計上できるわけですから、税負担も軽くできます。

また、返戻率が100%を超える期間が長いのも特徴です。

この契約例では、45歳で加入して、返戻率が100%を超える期間が8年目(52歳の時)~27年目(71歳)の間と非常に長くなっています。そのため、この間に全部または一部を解約して解約返戻金を受け取り、資金繰りに使うことができます。

また、返戻率が最高になるピークが21年目(65歳の時)で107.7%に達します。しかも、26年目の70歳の時でも、104.7%と高い水準を維持しています。ですので、退職金の資金として非常に有効です。

なお、返戻率が100%を超えるタイミングが長いので、損をするリスクは低いです。なぜなら、もしも解約返戻金の使い道がなく税金を取られてしまったとしても、何もしなかった場合よりも増えているので、得した計算になるからです。

2.2.2.40代後半は長期平準定期保険よりもおすすめ

以前は、40代後半までの方の退職金を積み立てるための選択肢として、この1/3損金の逓増定期保険の他に、「長期平準定期保険」もおすすめでした。というのは、長期平準定期保険は保険料の1/2が損金になり、また、返戻率のピークが長く、商品によっては100%を超えたからです。

しかし、今年(2017年)の4月にほとんどの保険会社が長期平準定期保険の保険料率の改定があり返戻率が下がってしまったのです。なので、特に40代後半以降の方は、これからは1/3損金タイプの逓増定期保険の方がおすすめです。

3.「全額損金」タイプの特徴と活用のポイント

3.1.「全額損金」タイプの特徴

全額損金タイプは、先に述べたように損金性が高いのが特徴ですが、それ以外にも特徴があります。

  • 返戻率…△
  • 加入年齢…狭い
  • 返戻率のピークが来る時期…早い
  • 解約返戻率90%以上の期間…短い

特に、全額損金タイプの契約は加入できる年齢に制限があり、35歳が上限です。では、どのような方に適しているのか、契約例をもとにご紹介します。

2.2. 35歳以下で4~5年後に明確な使い道がある場合に向いている

では、全額損金タイプがどのような会社に向いているかというと、加入する方の年齢が35歳以下で4~5年後に解約返戻金の明確な使い道があるケースです。

C生命の逓増定期保険の契約例を見てみましょう。

【C生命の逓増定期保険の契約例】

  • 契約年齢35歳
  • 加入時の保険金額:3,000万円
  • 保険期間・保険料払込期間:45歳満了
  • 保険料:1,854,689円/年
  • 解約返戻金のピーク:5年目(返戻率90.7%)

全額損金

ご覧の通り、解約返戻金の返戻率のピークは5年目で、しかも、90%以上で戻ってくるのは4年目と5年目の2年間しかありません。

こちらの例でもし、解約返戻金の返戻率のピーク時の5年目(40歳の時)に解約したら、解約返戻金の使い途にはどのようなものがあるでしょうか?

まず、退職金は考えにくいです。なぜなら、早期のセミリタイアを狙うならばともかく、一般的には、40歳で社長職を退くことは考えにくいからです。したがって、4年目か5年目にスポット的に明確な使い道の予定がないと、おすすめできません。

使い道としては、たとえば、業務拡張のための多額の出費をするとか、他の60代くらいの役員の方の退職金を準備するとかの方法が考えられます。

全額損金ですから節税のパフォーマンスは高くなりますが、キャッシュが10%程度減ってしまうことや、解約金の使い途が見つけにくいことがデメリットです。

まとめ

逓増定期保険は、保険料の損金算入できる割合で大きく3タイプに分かれます。全額損金タイプと1/2損金タイプと1/3損金タイプです。そして、解約返戻金を受け取りたい時期とその使い道によって、選ぶ損金タイプが変わります。

何度も申し上げますが、受け取る解約返戻金は何に使う予定なのか、それはいつ必要になるのか、こちらをきちんと見定めてから、そのためにベストな保険商品を選んで活用していただきたいと思います。

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堀川綾実

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