逓増定期保険で必ず知っておきたい税務の仕組み

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
4f6777e6ba7a152dce904f74c4672938_s

法人のお客様がよく活用される保険の1つに逓増定期保険があります。

逓増定期保険を活用する目的は、保険料が損金算入される特徴を生かして会社のキャッシュを最大限に活用することでしょう。大企業でも中小企業でも、ムダな税金を支払いたくないという点は共通していると思います。

しかしながら、逓増定期保険の税務に関する仕組みを理解しないままで加入してしまうと、思い描いていたようなメリットを活かしきれません。そればかりか、逆に会社のキャッシュフローを圧迫してしまうことになりかねません。

そこで、この記事では、逓増定期保険の税務処理に関する注意点について

  • 保険料を支払っている時
  • 解約返戻金を受け取った時
  • 保険金を受取った時

の3つの段階に分けて、順に分かりやすく解説していきます。ぜひ最後までお読みください。

はじめに|逓増定期保険の基本的なしくみ

まずは最初に逓増定期保険のしくみを簡単に説明します。

逓増定期保険は「保険金が次第に増加していく点」が最大の特徴となります。他の死亡保険について保険金額は一定ですが、逓増定期保険は加入時から最大5倍にまで保険金が増えていきます。その保険金はとても高額で、1億円から5億円まで増える商品もあります。ですから保険料も非常に割高になっています。

保険料のうち損金算入できる割合については「1/2損金」がほとんどですが、「1/3損金」「1/4損金」「全額損金」もあります。

この記事では最もメジャーな「1/2損金」の逓増定期保険について説明しますが、他のタイプでも基本的な考え方は同じです。

解約時には解約返戻金を受け取れますが、ピークは加入から5~10年目くらいであることが多く、短期間でピークは終わってしまいます。この期間の解約返戻金は支払った保険料の90~100%程度となっています。

参考「逓増定期保険で会社のキャッシュを増やせる4つの活用法

逓増定期保険に加入する目的は利益の繰り延べになるかと思います。利益が出ると、それに対して法人税がかかります。そこで、保険料というカタチでいったん保険会社に会社のお金を預けることで、保険料の1/2が損金算入されます。

そして、解約時には解約返戻金と同額の損金を計上するような対策を行えば、結果として会社のキャッシュをより多く残すことが出来るのです。

以下、説明していきます。

1.保険料を支払っている時の税務

保険料を支払った時の税務上の扱いについて、最もメジャーな1/2損金の逓増定期保険を例にとって確認していきましょう。

注意していただきたいのは、前半と後半で扱いが違うことです。

【前半60%の期間】 保険料の1/2の額が損金算入、残りの1/2は資産計上
【後半40%の期間】 保険料の1.75倍の額が損金算入

となります。

逓増定期保険 税務処理

つまり、「1/2損金」となるのは保険期間の前半60%だけです。なぜこうなるかは少々理屈っぽい話になってしまうのでここでは割愛します。もし興味のある方は、『逓増定期保険の経理処理|キャッシュをより多く残せるしくみ』で分かりやすく説明しておりますのでご覧ください。

残り40%の保険期間まで保険料を支払い続けた場合は、実際に支払っている保険料の1.75倍の額が損金算入されてしまうことになります。

ただし、解約返戻金のピークが訪れるのは前半60%の「1/2損金」の期間中です。そして、加入時にしっかりプランニングしていれば、ピークに解約することになるので、「1.75倍損金」の期間まで契約を継続することはそれほど多くないと言えましょう。

2.解約返戻金を受け取った時の税務

次に、解約返戻金を受取った時の税務についてです。逓増定期保険を活用する際は、解約を前提として加入を検討することが大半ですから、この点については全ての方にご理解いただきたい点になります。

2.1.課税の対象となる金額の計算方法

解約返戻金を受け取った場合、解約返戻金の額から、保険料総額の1/2を差し引いた金額が雑収入として益金になります。なぜなら、保険料の1/2は損金扱いですが、残りの1/2は資産に計上されてきており、その分については既に税金が取られているからです。

A生命の逓増定期保険の契約例を見てみましょう。

【A生命の逓増定期保険の契約例】

  • 契約年齢:50歳
  • 加入時の保険金額:1億円
  • 保険期間・保険料払込期間:72歳満了
  • 保険料:6,154,800円/年
  • 解約返戻金のピーク:11年目(返戻率95.8%)

この契約で、11年目に解約した場合、解約返戻金は64,870,000円です(返戻率95.8%)。そして、そこから、11年分の保険料総額の1/2の33,851,400円を差し引いた30,928,600円が益金に算入されます。

そのままだとこの部分に対して法人税が課税されます。これを避けるためには、同額以上の損金を計上する必要があります。たとえば、退職金として支給したり、減価償却の対象となる設備投資をしたりする方法があります。

役員退職金の詳しい計算方法等については、以下の記事をご参照ください。

役員退職金の計算方法|決めるときに知っておきたい4つのこと
役員退職金を損金にするために必ず押さえたい3つのポイント

また、減価償却については、以下の記事をご覧ください。

設備投資した資産の減価償却|節税・資金繰りに役立つ基本

2.2.現金で積立てをした場合との比較

ここで、そもそもの話ですが、単に現金で積立をした場合と、逓増定期保険に加入した場合と、とを、具体例で比べてみましょう。

営業利益1,000万円で、年間保険料1,000万円、10年後の返戻率90%の逓増定期保険に加入したとします。そして、法人実効税率は33.8%で計算します。

現金で積み立てた場合(逓増定期保険を使わない場合)

1,000万円の営業利益のうち、338万円を税金として国に支払い、手元に残るお金は662万円となります。10年間とすると、662万円×10年間=6,620万円の現金が会社に残ります。

逓増定期保険を使った場合

一方、逓増定期保険を活用した場合は、1,000万円の1/2が損金算入できるので、500万円分のみが課税対象となります。そのため、1年あたり169万円、10年で総額1,690万円の税金を支払うことになります。そして、10年目の解約返戻率90%とすると、9,000万円が解約返戻金として受け取れます。結果、そこから10年間の税金総額1,690万円を差し引いた7,310万円のキャッシュが会社に残った計算になります。

いかがでしょうか?保険を活用したほうが、690万円(7,310万円-6,620万円)も多くの現金を残すことができるのです。ただし、解約返戻金9,000万円を受け取ると、そこから10年間の資産計上額(1,000万円×1/2×10年=5,000万円)を差し引いた4,000万円が益金に計上されるので、解約返戻金の使い道がないと税金がかかってしまいます。したがって、加入時には解約返戻金の使い道の見通しを立てることが重要です。

3.保険金を受取った時の税務

ここまでお伝えしてきたのはめでたく何事もないまま解約に至った場合でした。しかし、逓増定期保険はあくまでも生命保険で、「万が一」の不測の事態に備えるものですから、保険金を受け取る際の税務についてもきちんと押さえておくことが大切です。

3.1.課税の対象となる金額の計算方法

死亡保険金を受け取った場合、そこから、資産計上してきた額(保険料総額の1/2)を雑収入として益金に算入します。わかりやすいように、2.1.と同じA生命の逓増定期保険の契約例でご説明いたします。

【A生命の逓増定期保険の契約例】

  • 契約年齢:50歳
  • 基本保険金額:1億円
  • 保険期間:72歳満了
  • 保険料払込期間:72歳満了
  • 年払保険料:6,154,800円

契約から5年後に死亡した場合、保険金額 1億円から、資産計上分の15,387,000円(年払保険料6,154,800円×1/2×5年間)を差し引いた84,613,000円が益金に算入されて、この部分に対して法人税が課税されます。

3.2.保険金から死亡退職金を支払う場合

逓増定期保険に加入している役員に万が一のことがあると、慰労金や弔慰金の規定にのっとって、会社が受取った死亡保険金から、役員の遺族へ死亡退職金や見舞金を支払うことになります。

その場合、原則として全額が損金算入できます。ただし、役員になって間もないうちに死亡したようなケースでは、在任期間が短いため死亡退職金はそれほど多く支給できず、上述の1億円の死亡保険金を全て損金算入しようとしても税務署から否認されてしまうことがあります。

まとめ

最後までお読みいただき誠にありがとうございました。逓増定期保険は法人保険でもよく活用される保険商品です。加入をご検討されている経営者の方は、必ず基本的な保障内容と税務についてご確認いただきたいと思います。

逓増定期保険は、保険料を支払う段階では、保険料のうち損金に算入される割合が前半60%の期間は「1/2損金」、後半40%の期間は「1.75倍損金」となります。

また、解約返戻金を受け取ると、そこからそれまでの資産計上分の額(保険料総額×1/2)を差し引いた額が益金になるので、税金を取られないたくなければ同額以上の損金を計上する必要があります。したがって、ピーク時に解約した場合の使い道を用意しておくことで、会社の現金をより多く残すことが可能です。

そして、万が一、不幸にして死亡保険金を受け取るような場合には、死亡保険金からそれまでの資産計上分をマイナスした金額が雑収入として計算されます。

逓増定期保険でお悩みの経営者の方へ

次のようなことでお悩みではありませんか?

・どの損金タイプの逓増定期保険に加入したらいいのか分からない
・返戻率の高さ・ピークの長さが最もニーズに合った逓増定期保険に加入したい
・現在加入中の逓増定期保険の内容で大丈夫か確認したい

もしも、逓増定期保険についてお悩みのことがあれば、どんなことでも構いませんので、お気軽にご相談ください。

telhoken

逓増定期保険の無料相談のお申込みはこちらから

会社の現金を今までより30%多く残す!法人保険の具体的活用術

会社が軌道に乗って利益が出てくるようになったとき、取られる法人税の額に驚いたことはないですか?

会社のキャッシュは自分自身で守ることができます。30%多く残すというのも現実的な話です。たとえば、以下のようなことも可能です。

  • ・ 損益計上のタイミングを調整しながら資金を30%以上多く準備する
  • ・ 同じキャッシュで従業員の退職金を45%以上多く準備する
  • ・ 合計800万円を全額損金にして、利益を繰り延べ確保する

本書では、より多くのキャッシュを残すための法人保険の活用法を、71ページにわたって具体例をもとに詳しく解説しています。

是非ダウンロードして、今後の会社経営にお役立て下さい。


無料Ebookを今すぐダウンロードする

宮阪 沙織

宮阪 沙織

私は10年以上にわたり、生命保険業界で働いております。マイホームの次に高い買い物と言われることもある保険ですから、本当に必要な商品を無駄なく加入してもらうことが大切だと考えています。お一人お一人のご希望やライフプランをおうかがいし、少しでも豊かな人生を送るお手伝いが出来ればと思っております。
保険の教科書の購読はSNSが便利です。