死亡保険で掛け捨てを選ぶ利点|上手な保険の選び方


死亡保険は大きく分けると、終身保険に代表されるような「貯蓄型」のものと、定期保険とも呼ばれる「掛け捨て型」のものが存在します。多くの人は、解約時に解約返戻金が戻ってくる貯蓄型の方がお得で、掛け捨て型は保険のお世話にならなかった際に払い損になるからもったいない、というイメージをお持ちかと思います。
しかし、保障額や保険料に着目すると、掛け捨て型の存在意義と加入するメリットが見えてきます。今回は、
- 掛け捨て型を選ぶメリットとデメリット
- 掛け捨て型を選択した方が有効なケース
についてご紹介します。
はじめに|掛け捨て型と貯蓄型の大まかな違いについて
まず、前提条件として掛け捨て型と貯蓄型の大まかな違いについて解説します。
大きく違いが現れるのが、満了時の解約返戻金の有無と、保障額に対する保険料の金額です。
先に述べように、掛け捨て型の死亡保険は定期保険ともいわれ、終身保険のような一生涯を保障してくれるようなものは存在しません。保険期間が限定されています。また、保険期間満了時には解約返戻金が発生しないのも特徴です。
貯蓄型の生命保険には終身保険のような一生涯保障が続くものが存在し、解約時には解約返戻金としてお金が戻ってくるのが特徴です。解約返戻金は一般的に、満期に至る前に解約すると支払った保険料より少なくなり、満了後に解約すると支払額より増えるのが特徴です。
保障額に対する保険料については、基本的に掛け捨て型の方が割安となっています。後述しますが、掛け捨て型と貯蓄型の保険料の価格差が、掛け捨て型を選択肢として考える大きなファクターとなります。
1.掛け捨て型を選ぶメリットとデメリット
1.1掛け捨て型を選ぶメリット
上述したように、掛け捨て型の死亡保険を選ぶ最大のメリットは、保障額に対する保険料の安さです。貯蓄型の保険と比べると、月々の負担は圧倒的に軽減されます。
具体的に、A生命の掛け捨て型の死亡保険に保険期間「60歳まで」で加入した場合を見てみましょう。
- 保障額:1,000万円
- 加入年齢:30歳
- 保険期間:60歳まで
- 保険料:月額2,570円
同じA生命で、貯蓄型の代表格である終身保険に、保険料払込期間「60歳まで」で加入した場合も見てみましょう。
- 保障額:1,000万円
- 加入年齢:30歳
- 保険期間:終身
- 払込期間:60歳まで
- 保険料:月額21,640円
上記を比較すると、死亡保険を貯蓄としてではなく、残された家族の生活費等を残す目的で活用する場合は、間違いなく掛け捨て型が第一候補に挙がるでしょう。
例えば子供が2人いる夫婦において、収入の核である夫に不幸があったとします。残された家族の生活費は遺族年金や夫の死亡退職金を充てることで何とかなったとしても、子供の教育費にまではお金が回りません。子供1人の大学卒業までにかかる教育費は最低でも1,000万円程です。今回の例では、子供を大学まで進学させたと仮定すると、最低でも約2,000万円の教育費が必要です。
参考リンク:平成30年度子供の学習費調査(文部科学省HP)
参考リンク:教育費に関する調査結果(日本政策金融公庫HP)
上記の状況に備え、夫が30歳から保障額2,000万円の死亡保険に加入した場合を、掛け捨て型と貯蓄型で比較してみましょう。
【掛け捨て型の場合】
- 保障額:2,000万円
- 加入年齢:30歳
- 保険期間:60歳まで
- 保険料:月額4,740円
【貯蓄型の場合】
- 保障額:2,000万円
- 加入年齢:30歳
- 保険期間:終身
- 払込期間:60歳まで
- 保険料:月額43,280円
保障額2,000万円の貯蓄型死亡保険に加入したとすると、月々の保険料は4万円を超えます。子供2人を育てながらこの金額を払い続けることは、相当難しいのが簡単に想像できるでしょう。
掛け捨て型の死亡保険であれば、同じく保障額2,000万円の死亡保険に30歳から加入したとしても、月々の保険料は5,000円弱。家計のバランスを考えても現実的な金額です。
保険料の金額差は保障額に比例して大きくなります。より多くの保障額を求めるなら、自然と掛け捨て型の死亡保険を選ぶこととなるでしょう。
1.2掛け捨て型を選ぶデメリット
貯蓄型と比較した際に掛け捨て型のデメリットとして挙がる要素は大きく2つ存在します。
①保障期間が定められている
貯蓄型の中でも特に終身保険と比較した際に浮かび上がるデメリットです。
掛け捨て型の保険は保障期間が定められているため、契約時に設定した期間が終了するとともに保障も終了してしまいます。保障期間後も継続的に保障を受けたい場合は、契約の更新か、新規の保険に入りなおす必要があります。更新や入りなおしの際は、条件によって保険料が割高になる可能性もあるため、注意が必要です。
②解約返戻金がない
貯蓄型と掛け捨て型を選択する際にまず頭を支配するのが、解約返戻金の有無でしょう。掛け捨て型の死亡保険には解約時に返戻金が発生する仕組みが無い為、契約満了まで何事もなく過ごした場合は、ただ保険会社にお金を払い続けただけ、ということになってしまいます。
危険に対する保障を買っていたと考えれば納得できる部分もありますが、見方によっては払い損だと思ってしまうこともあるでしょう。メリットをよく理解した上で、吟味するべき大きなポイントとなります。
2.掛け捨て型を選択した方が有効なケース
ここからは具体的に、掛け捨て型の死亡保険を選択した方が有効なケースを紹介していきます。死亡保険との付き合い方として、自身の考えとマッチするものがあれば、掛け捨て型の死亡保険を検討しても良いでしょう。
2.1保険料を抑えたい場合
先の項目でも述べましたが、掛け捨て型の死亡保険の最大の利点は保険料の安さです。
死亡保険に万が一の保障以外の役割を求めない場合や、子供の教育費等を含めた高額の担保が欲しい場合は掛け捨て型の死亡保険を選択することになるでしょう。ある意味一番シンプルな保険の運用に向いていると言えますね。
2.2保障期間が限定されていても問題ない場合
保障期間が限定されていることはデメリットであると述べましたが、子供が社会人として独立するまで保障が欲しい場合などは、逆に定期であるということが強みになります。自身の人生計画を見つめなおした上で、お金の担保が必要な期間が洗い出せれば、掛け捨て型の死亡保険は充分選択肢に入るでしょう。
2.3貯蓄型と併用したい場合
死亡保険には1つしか入れないというような制限がありません。ゆえに貯蓄型と掛捨て型、両方の保険を併用することも可能です。
葬儀代を担保できる程度の保障額であれば、貯蓄型の死亡保険でもお手頃な価格で加入することができます。2種類の保険を併用することで、万一に備えつつ、保険を活用した貯蓄を行うことが可能です。また、掛け捨て型は子供の成人まで、貯蓄型は終身にするなど、保障期間の設定によって様々な運用が可能となります。
契約時には確かな計画性が必要となってきますが、1つの選択肢として検討してみるのも良いでしょう。
まとめ
掛け捨て型の死亡保険にはマイナスイメージを持っている方も多いと思われますが、死亡保障という点からみると魅力的な保険商品です。
掛け捨て型の武器は保険料の安さです。保障額を高く設定しても月々の負担が少ないのは大きな魅力です。保障期間が限定されているのは大きなデメリットに見えますが、裏を返せば、死亡保障が必要な期間が分かっているのであれば、低いコストで必要な死亡保障を得られ、大変有益なものです。



