マイナス金利時代で、お子様の学資を効率よく積み立てる方法は慎重に選ばなければなりません。
たとえば、少し前までは学資保険が定番でしたが、今は必ずしもベストとは言えなくなっています。保険にもいろいろな種類がありますし、保険以外の手段もあります。
もしも、お子様の学資を積み立てるベストな方法について知りたいとお考えであれば、お気軽にご相談ください。
子どものいる家庭にとって、学費がいくらかかるかは重要な問題です。
小学校の場合、公立であれば授業料が無料となりますが、授業料以外にもさまざまな費用が発生します。
一方、私立の小学校は公立と比べ学費が何倍も高いです。
いずれにしても、さまざまな費用が発生し、6年間の総額でみるとそれなりにまとまった額となります。
そこで、文部科学省の「子どもの学習費調査(平成28年度)」等を参考にして、小学校の学費の平均額について詳しく紹介しています。
あわせて、小学校の学費を援助してくれる制度についても解説しています。
保険の教科書 編集部
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目次
まず、公立と私立でそれぞれいくらかかるかというデータをお伝えします。
公立小学校の6年間でかかる平均的な学費の総額は1,934,173円(※)です。
これに対し、私立小学校の場合は、平均9,164,628円(※)で公立の場合の約4.7倍になります。
それでは、具体的にどのような費用がかかるのでしょうか。
以下、その内訳をひもといていきます。
※文部科学省「子どもの学習費調査(平成28年度)」(P18)
小学校で1年間にかかる学費を「学校教育費」「学校給食費」「学校外活動費」に分類した場合の、それぞれの平均額は以下の通りです。
【小学校で1年間にかかる学費の平均(※)】
項目 | 公立 | 私立 |
学費総額 | 322,310円 | 1,528,237円 |
学校教育費 | 60,043円 | 870,408円 |
学校給食費 | 44,441円 | 44,807円 |
学校外活動費 | 217,826円 | 613,022円 |
※文部科学省「子どもの学習費調査(平成28年度)」(P1)
「学校給食費」は公立と私立とで差はありませんが、「学校教育費」は私立が公立の約15倍、「学校外活動費」は私立が公立の約3倍となっています。
そこで、「学校教育費」と「学校外活動費」についてそれぞれ見ていきましょう。
学校教育費とは、学校内でかかる学費の総額です。
具体的には、授業料をはじめ、PTA会費や学校納付金、修学旅行、遠足代などを含みます。
私立小学校は公立小学校の約15倍かかる計算です。
【小学校で1年間にかかる「学校教育費」の平均(※)】
項目 | 公立 | 私立 |
総額 | 60,043円 | 870,408円 |
授業料 | 0円 | 461,194円 |
修学旅行・遠足・ 見学費 |
6,738円 | 41,797円 |
学校給付金等 | 10,135円 | 226,022円 |
図書・学用品・ 実習材料費等 |
19,049円 | 30,923円 |
教科外活動費 | 2,714円 | 12,512円 |
通学関係費 | 17,574円 | 89,317円 |
その他 | 3,833円 | 8,643円 |
※文部科学省「子どもの学習費調査(平成28年度)」(P9)
その名の通り授業料として支払った費用をさします。公立では授業料はかかりません。これが学校教育費で私立小学校との差を生み出している大きな要因と言えます。
修学旅行や遠足、社会科見学などでかかった費用をさします。公立小学校は私立小学校の約1/6ですんでいます。
入学金・入学検定料のほか、私立の施設設備金、保険衛生費、冷暖房費、学芸会費などを含みます。公立小学校は入学金も無料なので、この費目でも私立小学校と比べ大きな差がついています。
授業で使う文具代や体育用品・裁縫・技術道具、さらには先生から言われて購入した図書などの費用をさします。こちらも私立と比べ公立小学校の方が安くなっています。
クラブ活動でかかった費用のほか、学芸会・運動会・芸術鑑賞会・林間学校などを含みます。これも公立小学校は私立小学校の1/5程度ですんでいますね。※飲食代・お土産代は含みません。
通学のための交通費です。自電車通学の場合、自電車代を含みます。基本的に自宅の近くがえらばれる公立小学校と異なり、私立小学校はバスや電車での通学も珍しくはありませんので、交通費も余分にかかることになります。
学校教育費のうちでも、上記にあてはまらない金額をさします。例として、上履きや学校のバッジ、卒業記念のアルバム代などが含まれます。
学校外活動費とは、学校の外でかかる学費全般です。
具体的には学習塾・家庭教師の費用、水泳・サッカークラブなどの月謝、さらに家庭での学習に使う机や参考書代などを含みます。
【小学校で1年間にかかる「学校外活動費」の平均(※)】
項目 | 公立 | 私立 |
総額 | 217,826円 | 613,022円 |
家庭内学習費 | 14,831円 | 45,336円 |
家庭教師費等 | 9,383円 | 30,958円 |
学習塾費 | 56,864円 | 221,534円 |
その他(補助学習費) | 1,935円 | 7,031円 |
体験・地域活動 | 4,851円 | 25,591円 |
芸術文化活動 | 34,279円 | 103,590円 |
スポーツ・ レクリエーション活動 |
60,762円 | 87,086円 |
教養・その他 | 34,921円 | 91,896円 |
※文部科学省「子どもの学習費調査(平成28年度)」(P12~P16)
家庭で勉強する際の図書や物品の購入費用です。公立小学校は私立小学校の約1/3でおさえられていますね。
家庭教師を雇う場合の月謝・教材費です。通信教育を受けている場合は、その費用も含まれます。公立小学校は私立小学校の約1/3の金額ですんでいます。
学習塾の入塾費用・月謝・教材費などです。公立小学校は私立小学校の約1/4の金額にとどまっています。
学校外での学習のなかでも、上記以外の費用全般を含みます。たとえば公開模擬テスト代、勉強のために通った図書館までの交通費などが含まれます。
ハイキング・キャンプなどの野外活動、ボランティア活動、ボーイスカウト、ガールスカウトなどの費用をさします。公立小学校は私立小学校の約1/5の金額となっています。
絵画やピアノ、さらにはダンスといった芸術文化関連の習い事の費用、さらには音楽や映画鑑賞などにかかった費用をさします。公立小学校は私立小学校の約1/3の金額でおさまっています。
野球・サッカー・水泳といったスポーツ技術関連の習い事全般のための費用、さらにスポーツ観戦やスポーツ関連のイベント参加費用を含みます。この費目も私立小学校より公立小学校の方が安くなっていますね。
英会話・そろばん・習字などを習うための費用、小説などの一般図書購入費、さらには博物館・動物園・水族館などの入場料、往復の交通費などを含みます。
次に学年ごとにかかる学費の総額の平均をみていきます。
【小学校1年間でかかる学費総額の平均(※)】
学年 | 公立 | 私立 |
1年生 | 342,640円 | 1,842,650円 |
2年生 | 270,917円 | 1,275,934円 |
3年生 | 289,272円 | 1,365,914円 |
4年生 | 310,908円 | 1,464,090円 |
5年生 | 345,078円 | 1,557,348円 |
6年生 | 375,358円 | 1,658,692円 |
※文部科学省「子どもの学習費調査(平成28年度)」(P5)
1年生の時に学費が高くなっているのは、入学の準備関連の費用が含まれているためと考えられます。
また小学校高学年では学習塾へ通うなどすることが多くなるため、低学年の時よりも学費が多くかかっています。
最近は共働きが増え、小学校の授業が終わった後に学童保育へ子どもを預ける世帯も多くなっています。
全国学童保育連絡協議会の「2018年5月1日現在の学童保育実施状況調査」によれば、学童保育を利用する子どもの数は増加傾向で、2018年5月1日の現在の実況調査の段階では、入所児童数は約121万人(2017年は約115万人)だったとのことです。
また文部科学省の「平成26年 地域児童福祉事業等調査の概況」によれば利用料を聴取する学童保育のなかで、利用料金(平均月額)では「4,000円~6,000円未満」が32.2%で最も多く、「2,000円~4,000円未満」(22.1%)が次に多かったとのことです。
共働き世帯で小学校へ子どもを通わせる場合、学童保育の費用が掛かる可能性があることも覚えておきましょう。
公立小学校の学費は、地域によっても差があるようです。
以下の表をご覧ください。
【人口規模別の公立小学校の学費平均(※)】
平均 | 5万人未満 | 5万人以上 15万人未満 |
15万人以上 | 指定都市・ 特別区 |
|
学習費総額 | 322,310円 | 241,334円 | 281,058円 | 321,983円 | 409,694円 |
学校教育費 | 60,043円 | 61,323円 | 63,105円 | 61,088円 | 55,090円 |
学校給食費 | 44,441円 | 43,930円 | 44,466円 | 44,584円 | 44,542円 |
学校外活動費 | 217,826円 | 136,081円 | 173,487円 | 216,311円 | 310,062円 |
平均 | 5万人未満 | 5万人以上 15万人未満 |
15万人以上 | 指定都市・ 特別区 |
|
学習費総額 | 322,310円 | 241,334円 | 281,058円 | 321,983円 | 409,694円 |
学校教育費 | 60,043円 | 61,323円 | 63,105円 | 61,088円 | 55,090円 |
学校給食費 | 44,441円 | 43,930円 | 44,466円 | 44,584円 | 44,542円 |
学校外活動費 | 217,826円 | 136,081円 | 173,487円 | 216,311円 | 310,062円 |
※文部科学省「子どもの学習費調査(平成28年度)」(P6)
ご覧の通り、より人口の多い地域の方が学費の総額が高くなっていることがわかります。
そしてこの差の原因となっているのは、学校外活動費です。
人口5万人未満の地域と比較すると、指定都市・特別区の学校外活動費は約2.3倍となっています。
学校教育法では「経済的理由により就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない」と定めています。
学校教育法にのっとり市町村では、経済的な事情のある世帯の子どもに対して、小中学校の学用品の費用を補助しており、この制度を「就学援助制度」と呼びます。
就学援助制度を利用できるのは、「経済的な理由で就学困難と認められる」世帯です。
具体的には、以下の2種類となります。
生活保護を必要とする立場にある人をさします。現に受けているかどうかは問いません(生活保護法2条6項参照)。
要保護者に準ずる程度に困窮していると認める人をさします。市町村ごとに所得基準が設けられており、その基準を基に教育委員会が認定します。
準要保護者の基準は市町村ごとに異なりますが、ここでは参考までに東京都文京区の例を紹介します。
【準要保護者とみなされる「認定基準所得額」の例(東京都文京区の例)】
※参照元(文京区公式サイト「就学援助(小・中学校でかかる費用の援助)」)
援助してもらえる学費の内容は、要保護者・準要保護者によって異なります。
まず要保護者に対する援助費目は以下のとおりです。
学用品費/体育実技用具費/新入学児童生徒学用品費等/通学用品費/通学費/修学旅行費/校外活動費/医療費/学校給食費/クラブ活動費/生徒会費/PTA会費
次に準要保護者に対する援助は、要保護者に対する支援内容と似てはいますが市町村ごとに異なっています。
ここでも参考までに、東京都文京区の例(※)を紹介します。
援助費目 | 対象 | 支給額 |
学校給食費 | 全学年 | 実費 |
学習支援費 (※注1) |
小1 | 15,690円~1,305円 |
小2-小6 | 18,880円~1,570円 | |
新入学用品費 (※注2) |
小学校就学前・(小1) | 63,100円 |
小6・(中1) | 79,500円 | |
卒業アルバム補助 | 小6 | 7,500円 |
夏季施設参加費 | 小6 | 実費 |
移動教室参加費 | 小5・6 | 実費 |
遠足費・校外授業費 | 全学年 | 実費 |
通学費 (※注3) |
全学年 | 実費 |
PTA会費 (加入者のみ) |
全学年 | 3,410円 |
※参照元(文京区公式サイト「就学援助(小・中学校でかかる費用の援助)」)
※注1:援助の対象となるのは学用品費・通学用品費(申請月によって金額がかわる)
※注2:小・中学校入学前の支給が原則ですが、入学前に未受給、かつ4月からの認定となった場合のみ、入学後であっても支給
※注3:指定校変更及び区域外就学の手続きにより、指定校以外の区市町村立学校に通学している方のうち、通学にかかる距離が小学生は片道4km以上、中学生は6km以上の方、もしくは、特別支援学級・学校在籍で交通機関を利用している方(距離は問わない)
一口に小学校の学費といってもいろいろな種類の費用が含まれています。また、公立と私立では、「学校教育費」と「学校外活動費」が大きく異なります。さらに、学年による差や、地域差もあります。
どのような費用が、いくらくらいかかるのか、この記事で紹介した内容を参考にしてイメージしておくと将来に備えやすくなるはずです。
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