国公立大学の学費|国公立大学はやはり学費が安いのか

大学進学率は最近では50%を超えています。

しかし、経済的な理由で子供を進学させることが難しいのではないか、と考えている方もいるでしょう。

国公立大学であれば、私立大学よりもお金が低く済みます。ただ、それでも、いくらかかるかは気になるところです。

今回は国公立大学の学費について紹介していきます。

子供の大学進学を考えている方は、しっかりと把握しておきましょう。

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保険の教科書 編集部

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1.国公立大学の学費について

国公立大学の学費は基本一律で、私立と比べると安価であるという特徴があります。

ただし、公立大学の学費については、学費が一律ではなく、独自に設定されていることがあります。

1.1.国立大学の学費は一律で安い

国立大学は、文部科学省の省令によって入学金と授業料の基準額が定められており、ほぼ全ての大学が以下の金額に定めています。

  • 入学金:282,000円
  • 授業料:535,800円(年額)
  • 学費総額:2,425,200円

加えて、受験時に検定料17,000円がかかります。

例外として、2019年度から、「東京工業大学」と「東京藝術大学」が学費を引き上げました。

東京工業大学

  • 入学金:282,000円
  • 授業料:635,400円(年額)
  • 学費総額:2,823,600円(4年制の場合)

加えて、受験時に検定料17,000円がかかります。

東京藝術大学

  • 入学金:338,400円
  • 授業料:642,960円(年額)
  • 学費総額:2,910,240円(4年制の場合)

加えて、受験時に検定料20,400円と、値上げされています。

比較として、慶應義塾大学の中で最も学費が安い文学部の学費も見てみましょう。

  • 入学金:200,000円
  • 授業料:880,000 円(年額)
  • 設備費・実習費・諸会費等:263,350円
  • 学費総額:4,863,350円(4年制の場合)

上記を見ると、一部値上げしたとはいえ、私立大学に比べると安価であり、国営なので「後援会費」などの諸費がかからないのがうれしいですね。

しかし、国立大学は学費の安さから高倍率なのも特徴です。

旧帝国大学を筆頭に偏差値も高く、入学のハードルが高くなっていますが、授業料を抑えたいという場合は挑戦しても損はないでしょう。

1.2.公立大学は入学費に出身者であれば入学費が安くなる

続いて公立大学についても見てみましょう。

公立大学は、授業料については国立と同じように、535,800円(年額)であることが多いです。

しかし、入学費については、各大学で違いがあります。

公立大学は出身地で入学費が変わる

公立大学では、入学者が大学のある県や市内の出身であれば、入学費が安くなるという特徴があります。

基本的に公立大学の入学費は、国立大学のものと同じまたは高額なところが多いです。

しかし、上記の特徴から、大学と同じ地域の出身であれば、入学費が国立大学の半額になるというところもあります。

しかし、法人化している公立では諸経費がかかる場合があり、結果的に国立大学より学費が高くなることが多いです。

今回は、「長野県立大学」を例に、学費を見てみましょう。

長野県立大学
  • 入学費:県内出身者=141,000円、県外出身者=423,000円
  • 授業料:535,800円(年額)
  • 諸経費:4,660円
  • 学費総額:県内出身者=2,288,660円、県外出身者=2,570,860円(4年制の場合)

加えて、受験時に検定料17,000円がかかります。

やはり県外出身者の場合、国立大学よりも割高になってしまうのが分かりますね。

1.4.学費以外にも生活費を考えなければならないので注意!

上記の学費に加え、大学生活では家賃や食費、娯楽費などの生活費もかかります。

日本学生支援機構の平成30年度学生生活調査結果によると、国立大学に通う学生の生活費は、年間で885,500円にも上るようです。

学費以外にも、このような費用を考えて積立をしなければなりません。

2.学費が払えなさそうな場合は制度を利用しよう

経済状況的に子供の進学はあきらめるしかないと思っている方もいるかもしれません。

そんな方に対しても、学費については国や大学などが対策を用意してくれています。

対策としては

  • 奨学金
  • 特待生制度
  • 政府による大学などの高等教育の無償化政策

があります。

それぞれ見ていきましょう。

2.1.奨学金制度について

奨学金は、簡単に言えば国や大学などからお金を借り、学費を工面する制度です。

制度の内容は国の場合は統一ですが、大学のものは各校で違いがあります。

①国から借りることができる奨学金

国から借りることができる奨学金には、無利子で借りることのできる1種と、有利子の2種があります。

1種は成績優秀であるにも関わらず、学費を工面できない子供のみが受けられるもので、2種よりも条件のハードルが高いです。

奨学金を借りることができるかどうかの条件には、「学力基準」と「家計基準」があり、その名の通り進学者の学力と、その世帯の家計が関与します。

学力基準

1種の「学力基準」は以下の通りです。

対して、2種の「学力基準」は以下のようなもので、1種よりは条件が軽くなっています。

次の(1)~(4)のいずれかに該当すること。

奨学金を借りるということは、社会人になった後で多額の借金を負うということになります。

借りた金額によっては、20年もの間、月4万円を超えるお金を返し続けることになってしまうので、利用する場合は注意しましょう。

②大学が用意している奨学金

大学が用意している奨学金の内容は、大学によって異なります。

基本となる貸与型、給付型の奨学金の他、大学を卒業した著名人の偉業にちなんだものなどが用意されているのが特徴です。

例として、東京大学の奨学金に関するぺージへのリンクを記載しておきます。

参考:奨学金(奨学制度インデックス) | 東京大学

各大学の奨学金については「大学名 奨学金」で検索してみてください。

2.2.特待生制度について

ご存知の通り、成績優秀者の学費を免除する制度です。

免除される金額は、大学によってまちまちです。

例えば東京学芸大学の特待生制度には、教育学部限定で以下のようなものがあります。

特典
  • 入学金・授業料を4年間免除
  • 教職奨学金年額40万円を4年間貸与
  • 学寮へ優先入寮および寄宿料免除
  • 必携のノートパソコンを希望者に4年間無償貸与
  • 学内で行うアルバイトの斡旋
条件

学校教育系の課程の一般入試(前期)に出願する者または推薦入試・高大接続プログラム特別入試の学校教育系の合格者で、次の要件を全て満たす者

  • 学校教員(保育士含む)になる意志の強い者
  • 家庭の年収(給与収入)が概ね300万円以下(自営業所得の場合は概ね148万円以下)
  • 高等学校等の成績が優秀な者

基本的に、特待生には奨学金のようなデメリットがありません。

家庭の財政によっては、わざと入試の難易度の低い大学に出願し、特待生を狙うというのも有効な手段でしょう。

2.3.国の「高等教育の無償化」はどんなものか

最後に、最近話題の「高等教育の無償化」と言われているものについても、お伝えしておかなければならないでしょう。

2019年5月10日に国会で「大学等における修学の支援に関する法律(大学無償化法)」が成立し、2020年4月1日から施行されることになりました。

この内容を解説した文部科学省の資料に沿って、要点のみお伝えします。

この法律は、経済的な理由で子を大学等に進学させるのが難しい世帯に対し、授業料を免除または軽減することを定めた法律です。

ただし、注意が必要なのは、厳密な意味での「無償化」ではなく、かなり限定的なものだということです。

まず、対象となる世帯は、「住民税非課税世帯」と「それに準ずる世帯」に限られます。この時点で、対象となる世帯はかなり絞られます。

また、対象となる費用は「授業料」のみで、その他にかかる費用は含まれません。

そして、免除の額には上限があり、以下の表の通りです。

国公立 私立
入学金 授業料 入学金 授業料
大学 約28万円 約54万円 約26万円 約70万円
短期大学 約17万円 約39万円 約25万円 約62万円
高等専門学校 約8万円 約23万円 約13万円 約70万円
専門学校 約7万円 約17万円 約16万円 約59万円

これを見ると、国公立大学については免除額の上限が、省令に定められた入学金と授業料の「基準額」と同じになっています。

つまり、国公立大学は、基準額より学費を設定している東京工業大学と東京藝術大学の2校以外、入学金と授業料が「無償」になるのです。

まとめ

国公立大学の学費についてお話ししてきました。

やはり私立に比べて安価な学費は魅力的です。

親子二人三脚で、是非進学を考えてみてください。

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