逓増定期保険を考えるときに必ず知っておくべき有効な4つの活用法

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※この記事で紹介している法人保険の保険料の損金算入割合等に関する税務上の扱いに関する記載内容は、国税庁の現行の通達に定められたルールを前提としております。

2019年4月11日に国税庁が新たなルールの案を公表し、今後意見公募(パブリックコメント)の手続を経て、正式に新ルールによる運用が行われることになっております。

新ルール案の内容については「法人保険(いわゆる節税保険)の販売停止に関する国税庁の新ルール案の解説」で分かりやすく解説しておりますので、ご覧ください。

法人保険の代表的な商品が逓増定期保険です。逓増定期保険の特徴は定期保険の中でも死亡保険金が年々増加するものです。そして貯まっていくお金(解約返戻金)が早期にピークを迎えることです。

その特徴を利用して、節税・退職金の準備・事業継承対策など様々な使い方があります。

法人保険の中でも活用法が多い商品ですが、使い方次第でメリットにもデメリットにもなる商品です。

今日は逓増定期保険の有効な活用法と注意点をお伝えします。逓増定期保険を上手に活用して会社のお金を有効に使っていきましょう。

1. 経営者の死亡保障として活用する

逓増定期保険ですが、基本は生命保険なのでまとまった死亡保障になります。経営者に万一のことがあった場合、社内が混乱し、銀行や取引先などからの信用が落ち、経営が危機に立たされることもあります。

また、役員や社員への給与や賞与が十分に支払われない可能性もあります。 逓増定期保険に加入していれば、ある程度まとまった死亡保険金が支払われ、経営を立て直す資金にすることができます。

逓増定期保険は初めに契約をしたときから死亡保険金が増えるという特徴があります。会社の成長に合わせて保障も増えていくので合理的と言えます。

逓増定期保険 図

上記の例では契約当時(40歳時点)では死亡保険金額が1億円ですが年々上昇していき、65歳から70歳は死亡保険金額が5億円になります。

2. 法人税の負担を抑える

実のところ、多くの法人様が逓増定期保険を使う一番の目的は、法人税の負担を抑えることです。契約の内容によって違いますが保険料の1/2が損金計上できます。例えば年払保険料が1,000万円だった場合500万円が損金になります。

そこで「保険料を払うと会社にお金が残らないじゃないか」と疑問を感じた人もいたと思いますが、この逓増定期保険はお金が貯まっていくので解約返戻金があります。

たしかに保険料を支払うと保険会社にお金を払うことになりますが、そのお金は解約すれば解約返戻金として戻ってきます。その解約返戻金が逓増定期保険の場合ピークになるのが早いので商品によっては5年ほどで支払保険料の95%超が戻ってくる商品もあります。

イメージとしては保険会社にすぐに引き出せるお金をプールしてある状態になります。

他の節税方法を使っている人も多いと思いますが、経費を増やす、福利厚生に使うなど場合、法人税は減らせても、個人の所得税は増えるなど実際は節税になっていないケースが多々あります。

そこでこの逓増定期保険を使うと、保険料払込期間中は法人税の負担を抑えることができます。

例えば、保険料が年1,000万円の場合、1/2を損金計上することができますので約500万円を損金として計上できます。

そして、この保険はお金が貯まっていきます。例えば15年後に解約をするとそれまで支払った保険料総額が15年間で1億5,000万円に対して解約したら今まで支払った保険料がほとんど戻ってきます。

お金を貯めながら決算前に利益を圧縮して節税をすることができます。

そして実際の経理処理は以下のようになります。詳しくは「逓増定期保険の経理処理|キャッシュをより多く残せるしくみ」をご覧ください。

経理処理

逓増定期経理処理

初めの6/10期間(18年間)は支払保険料の1/2が損金として計上されます。よって500万円の利益が圧縮できます。決算が近づいてきて利益が出ている場合、逓増定期保険を使って節税するのも有効な方法です。

3. 短期で退職金を貯めるために活用する

逓増定期保険の特徴としては解約したときの返戻率が契約後早い段階で高率になります。商品によっては解約時に、10年前後で支払った保険料が95%以上戻ってくる保険もあります。在職時には手厚い保障を掛けておき、退職するときには解約して解約返戻金を退職金に充てることができます。

また、現金が会社に雑収入として戻ってくるので、退職金支給時の財務状態が圧迫することも避けることができます。雑収入として会社で受け取っても退職金として支払うと課税はさせません。

ただし、ピークを越えると解約したときに戻るお金が減ってくるので、契約するときに何年後に受け取るかしっかりと計画を立てなければいけません。

特に50代~60代の経営者の方におすすめします。

詳しくは「逓増定期保険の損金の3つのタイプを最大限に活用するポイント」をご覧ください。

4. 事業継承対策として活用する

中小企業経営者の頭を悩ませる一つが事業継承ではないでしょうか?事業承継対策の方法はたくさんありますが、生命保険は有効な方法です。その中でも逓増定期保険の特徴を生かして対策をする方法がありますのでお伝えしていきます。

自社株の評価額の引き下げを行う

事業承継で最も頭を悩まされるのは、自社株です。自社株を買い取るには多額の資金が必要になります。自社株の評価に資本金は基本的には関係ありませんので、特に長く利益が伸びている会社は資本金が1,000万円であっても純資産が多く、1株当たり数十倍、数百倍というケースもあります。

そこで自社株の評価を一時的に下げ、そこで会社を引き継がせる場合に活用するのが逓増定期保険です。自社株の評価を下げたいからといって単純に損を出すのは会社にとってよくありません。

そこで逓増定期保険を使えば実質損をせずに、自社株の評価を下げることができます。

自社株の評価は会社の規模によってことなりますが類似業種比準方式を採用することが多いです。

※類似業種比準方式とは 評価する会社と事業内容が類似する事業を営んでいる公開会社の株価と比べて株価を算定する方式です。 株価の価格に重要とされる「配当金額」「利益金額」「純資産額」の3つの要素について、「参考にする公開会社の要素の数値」に対して「評価する会社の数値」がどんな偏差があるのか、その割合を求める方法で比較します。

類似業種比準方式の場合「配当金額」「利益金額」「純資産額」の3つの評価が下がれば自社株の評価も低くなります。

それでは事例でお伝えをしていきます。

例 逓増定期保険を使った場合

  • 契約年齢:50歳
  • 保険期間:20年
  • 保険金額:1億円
  • 保険料:年払1,000万円

保険料の経理処理

逓増定期経理処理

毎年の保険料の1/2が損金になりますので、その分自社株の評価は押し下げられます。そして一定期間で解約をすると支払った保険料がそのまま戻ってくるので、会社を引き継いだ後に解約をして保険会社の貯めておいたお金を受取れば、損をせずに、自社株の評価を下げた状態で会社を引き継ぐことができます。

6. 緊急予備資金を簿外資産を貯めていく

逓増定期保険を使うとお金を貯めていけますが、簿外にお金を貯めていけるのがメリットの1つです。通常会社の資産はすべて貸借対照表に記載されますが、保険に加入をすると保険料を支払っていきますが、お金はあくまでも保険会社に保険料として支払っているお金なので保険会社にプールしてある状態になります。解約すればすぐ手に入るお金なので実質的には資産ですが、貸借対照表には記載されません。つまり簿外資産を作ることができます。

簿外資産を作ることによって将来のお金が必要な時でもすぐに現金が用意できます。

例えば毎年の保険料は1,000万円で、2分の1の500万円は保険料として経費で処理され、残りの500万円が保険資産としてBS上に載っていきます。契約から10年がたつと、BSには保険料積立金が5000万円たまります。

この保険は契約から10年で100%が戻ってくる設計となっていて、解約すれば解約返戻金は1億円になります。帳簿(BS)上には出ていない5000万円が解約益として現実化することになります。

損益計算書

貸借対照表

簿外に緊急予備資金を貯めておくことによって、非常事態でまとまったお金が必要になってもキャッシュフローを痛めずにすぐに準備できます。

逓増定期保険の注意点

ここまで逓増定期保険の特徴を利用して活用法をお伝えしていきましたが、最後に気をつけていただきたい注意点をお伝えします。逓増定期保険の特徴は解約したときの返戻率が契約後、比較的早い段階で高率になることにあります。

簡単に言うと貯まっているお金のピークが来るのが5年~15年後と早いです。その特徴を使って節税や退職金準備として加入しますが、ピークを越えると下がっていきます。よって解約するタイミングが遅くなると損してしまう可能性があります。

契約をした後にしっかり管理しておかないと忘れていると、大事なお金がどんどん減っていきます。

逓増定期保険に加入をするときには目的をしっかり決めて、いつ解約してお金を受取るか具体的な計画を立ててから契約をすることが重要です。

まとめ

逓増定期保険は以下のような場合に使うのが有用です。

  1. 税金対策
  2. 経営者や役員の死亡保障をしたい
  3. 短期間(5年~15年)で退職金などお金を貯めていきたい
  4. 法人から個人に資産を移転させる
  5. 事業継承対策
  6. 緊急資金を簿外に貯めていく

逓増定期保険は使い方によって会社にとって有益なものになります。内容を理解して1番効果的な使い方をしましょう。

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長井 大輔

長井 大輔

保険のパートナー・保険の教科書 運営責任者、今まで1000名以上の個人・法人のお客様のご相談にお応えしてきた生命保険・社会保障・税務・資産運用に精通しているファイナンシャルプランナー
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