退職慰労金とは?|知っていると安心な慰労金の計算と手続き

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

役員が受け取る退職金として、退職慰労金というものが存在します。

退職慰労金は損金算入について法的な制約もあり、金額をどのくらいに設定すればいいのか、気になるところですね。

今回は退職慰労金について、計算方法や手続きなどを紹介していきます。

これから退職慰労金を定めようとしている経営者の方は、しっかりと把握しておきましょう。

はじめに:退職慰労金とは

会社への貢献や功労について、会社側が役員や監査役に支払うのが退職慰労金です。

従来の退職金の場合、退職金規定を定めていれば簡単には金額の変更ができませんが、役員向けの退職慰労金の場合、役員報酬のように簡単にいじることができてしまうため、金額、支払時期、方法などについては会社の定款に定めるか、株主総会の決議によって決定することになっています。

1.適正な退職慰労金の計算方法について

まず前提として、退職慰労金には金額の制限がありません。

しかし、退職慰労金を損金に算入できる金額が限られるので、注意が必要です。

退職慰労金は功績倍率法という計算方法を活用することで、適正な金額を算出することができます。

功績倍率法による適正な退職慰労金の算出方法は以下の通りです。

  • 役員退職給与の適正額=最終月額報酬×勤続年数×功績倍率

功績倍率は自由に設定することができますが、損金算入できる適正な金額を算出する場合、他の同業種・同レベルの規模の会社に合わせる必要があります。

以下はよく使われている功績倍率の一例です。

  • 社長:3.0
  • 専務:2.5
  • 常務:2.5
  • 平取締役:2.0
  • 監査役:2.0

上記の計算式を利用して、下記のような条件の役員の退職慰労金を算出してみましょう。

  • 役職:社長
  • 月額報酬:100万円
  • 勤続年数:30年

上記条件の場合、退職慰労金は

  • 100万円×30年×3.0=9,000万円

となります。

功績倍率を適正な範囲内に収めておけば、不当に高いという理由で税務署から意見されることはないでしょう。

2.退職慰労金を支払うために必要な手続き

退職慰労金は冒頭でも述べたように、退職慰労金は役員報酬のように簡単にいじることができてしまうため、税金対策で悪用されないよう、手続きが必要です。

それぞれ見ていきましょう。

2.1.株主総会での決議

会社法上、役員退職金を支払うためには、株主総会での決議が必要です。オーナー企業で株主が1人しかいない場合でも、株主総会を開き、決議内容を議事録に記載して残しておく必要があります。

株主総会での決議がない場合、会社法に則った退職慰労金として認められず、損金算入することができなくなってしまいます。

株主総会決議で決める内容は、原則、具体的な金額・計算方法についてです。

ただし、例外もあります。取締役会が設置されている会社の場合、株主総会決議で総額だけ決めて、誰にいくら支払うかの決定を取締役会の決議に任せることができます。

2.2.退職慰労金規程を整備しておく

会社法上で必要な退職慰労金に関する手続きは上記の株主総会での決議ですが、その内容を退職慰労金規程に明文化しておけば安心です。

退職慰労金規程を作成しておけば、税務調査が入った時に、きちんとした基準にしたがって支払ったという証拠になります。

退職慰労金規定は以下のように明文化します。

役員退職慰労金・弔慰金規程

第1条(総則)

当社の取締役または監査役(以下役員という)が退職したとき、または役掌が大きく変更したときは、株主総会の決議を経て退職慰労金を支給することができる。

第2条(目的)

この規程は、役員の退職または法人税法上基本通達による分掌変更等の場合に、一時金および分割払いによる支給を行い、もって役員在任期間中の功労に報い、退職後における役員または遺族の生活を安定に寄与することを目的とする。

第3条(適用の範囲)

この規程は、全役員に適用する。ただし、次の各項のいずれかに該当する場合には、役員退職慰労金を減額または支給しないことがある。

  1. 退職に当たり、所定の手続きおよび事務処理等をなさず、会社業務の運用に支障をきたす場合。
  2. 退職に当たり、会社の信用を傷つけ、または在任中知り得た会社の機密を漏らすことによって、会社に損害を与える恐れのある場合。
  3. 在任中不都合な行為があり、役員を解任された場合。
  4. その他前各項に準ずる行為があり、取締役会で減額ないし不支給を適当と認めた場合。

第4条(退職慰労金の額の算定基準)

退職慰労金の額は、退任時最終報酬月額に役員在任年数と退任時役位別倍率を乗じ
た額とする。

ただし、算定額に万円未満の端数がある場合は万円単位に切り上げる。(退任時役位別倍率)

第5条(在任期間)

役員在任年数は1カ年を単位とし、端数は月割とする。ただし、1カ月未満は、1カ月に切り上げる。

第6条(功績加算)

在任中に特に功績顕著を認められる役員に対しては、第4条により算定される退職慰労金額にその30%を超えない額を限度として、加算することがある。

第7条(弔慰金)

任期中に死亡したときは、次の金額を死亡退職金とは別に弔慰金として支給する。

  • 業務上の死亡の場合:平均報酬月額の36カ月分
  • 業務外の死亡の場合:平均報酬月額の6カ月分

第8条(支給時期)

退職慰労金・弔慰金の支給時期は原則として株主総会の決議または承認後1カ月以内とする。

第9条(死亡役員に対する死亡退職金等)

  1. 死亡した役員に対する死亡退職金・弔慰金は遺族に支給する。
  2. 遺族とは配偶者を第一順位とし、配偶者のいない場合には子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順位とする。なお、該当者が複数いるときは代表者に対して支給するものとする。
  3. 死亡退職金・弔慰金については、会社の業績等により当該役員の遺族と協議の上、至急の時期、回数、方法について別に定めることがある。

第10条(その他)

本規程に定めなき事項については、取締役の多数決により決定する。

第11条(施行日)

この規程は、2019年●月●日より施行し、施行後に退職する役員に対して適用する。

まとめ

退職慰労金についてお話ししてきました。

退職慰労金は損金算入ができますが、役員報酬のように変更が容易なため、会社法により株式総会での決議が必要になってきます。

また、その金額は適正である必要があります。

適正な退職慰労金の算出には功績倍率法を利用するのが良いです。

退職慰労金を適正に支払うことで、健全に損金算入を行いましょう。

法人税を減らし会社の預金を30%増やすために絶対知っておくべき7つの方法

会社が軌道に乗って利益が出てくるようになったとき、取られる法人税の額に驚いたことはないですか?

会社のキャッシュは自分自身で守ることができます。30%多く残すというのも現実的な話です。たとえば、以下のようなことも可能です。

  • ・ 損益計上のタイミングを調整しながら資金を30%以上多く準備する
  • ・ 同じキャッシュで従業員の退職金を45%以上多く準備する
  • ・ 合計800万円を全額損金にして、利益を繰り延べ確保する

本書では、より多くのキャッシュを残すための法人保険の活用法を、50ページにわたって具体例をもとに詳しく解説しています。

是非ダウンロードして、今後の会社経営にお役立て下さい。


無料Ebookを今すぐダウンロードする

退職金をより多く受け取る方法を知りたい経営者の方へ

私たちは、FP、相続診断士、MBA(経営学修士)、中小企業診断士、税理士、公認会計士等の資格保有者で構成されています。

・節税・決算対策
・退職金の準備
・資金繰り
・コストダウン
・事業承継・相続

についてお悩みであれば、社外の各種専門家とも協力し、自社で扱っている金融商品にこだわらず、あなたの会社のお金にかかわる問題に、ベストな解決方法をご提案します。

ご期待してご相談ください。

telhoken

ご相談はこちら

法人保険で最大限かつ最良の効果を出すために
必ず知っておくべき7つの方法

法人保険を使うなら、最大、最良の節税を行いたいですよね。

法人保険は、節税だけでなく、会社の資金繰りの改善や、経営者自身の手取りの賢い増加、キャッシュが足りない時の資金調達など、正しく使えば、大きなメリットがあります。しかし、残念ながら、ほとんどの会社さんが、そもそも知らなかったり、間違った使い方をしていたりして、そうした絶大なメリットを受け取ることができていません。

こうした最大限のメリットを享受するために、必要なことを、以下の7つの記事で解説しています。


法人保険による節税の基本

生命保険に法人契約で加入するメリットと注意点


やってはいけない名義変更プラン

逓増定期保険の名義変更プランのしくみと3つの注意点


後継者の相続税の負担を最小限にする事業承継対策:

事業承継対策に役立つ生命保険4種類の活用法

生命保険で事業承継対策するときの5つのポイント


選ぶべきではない終身保険

終身保険の経理処理からみた法人加入のリスクとデメリット


法人保険で福利厚生を充実させたい時の規定の作り方

必見!福利厚生で法人保険を活用するとき重要な福利厚生規定


お医者さんが知っておきたい医療法人で行うべき保険対策

医療法人のメリット・デメリットと保険で対策すべきリスク

ぜひ、お役立て頂ければ嬉しく思います。

保険の教科書の購読はSNSが便利です。