長期平準定期保険で会社のキャッシュを増やせる4つの活用法

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長期平準定期保険・改

「長期平準定期保険」という法人保険について、よく、経営者の皆様から、具体的にどのような商品で、どのような使い道があるのか、という質問を受けます。

長期平準定期保険は、上手に利用すれば、退職金等の資金にあてるキャッシュを、加入していない場合と比べて30%程度増やすことができ、それと同時に事業承継の準備もできる保険です。また、急な経営危機の時には赤字を埋めることができ、ここぞというチャンスにはすぐに融資を受けることができるといううまみもあります。

この記事では、長期平準定期保険をどのように活用すれば効果を発揮するのか、具体的なケースをまじえて余すところなくお伝えします。また、長期平準定期保険の変形バージョンというべき「生活障害保障型定期保険」についても、長期平準定期保険との違いと活用の条件・注意点を簡潔に説明します。

はじめに|長期平準定期保険の商品内容と活用条件

長期平準定期保険で会社のキャッシュを増やすことのできる活用法は、以下の4つです。

  1. 退職金を30%多く積み立てる
  2. 退職金を準備しながら事業承継にかかるコストを下げる
  3. 経営危機の場合に赤字を埋める資金を準備する
  4. 急なチャンスにスピーディーにお金を借りられる

なぜこのような活用ができるのか。

まずは、長期平準定期保険という商品がどういうものかということと、活用の条件を説明します。

そのうえで、4つの活用法について具体的にお話ししていきます。

長期平準定期保険とは

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長期平準定期保険は、保険期間が大変長く、その間の死亡保険金額が変わらない(=平準の)定期保険です。

経営者の身に万が一のことがあった場合の会社の事業保障のための保険なので、死亡保険金は高額で、保険料も高額です。

保険料は1/2が損金に算入されます。

また、解約すれば「解約返戻金」が受け取れ、この解約返戻金にはピークがあります。このピークは20~30年後のかなり遅い時期に設定されていて、しかも長く続きます。ピーク期間の解約返戻金の額は、それまでに支払われた保険料の総額の90%~100%程度に設定されることが多いです。

解約返戻金の推移を表すと、以下のように釣鐘型になります。

〈イメージ〉

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  • 死亡保険金額は高額で一定している
  • 解約返戻金のピークが来るのが20~30年目と遅く、ピークの時期が長い
  • 死亡保険金額が高額な分、保険料も高額
  • 保険料の1/2が損金に算入される

長期平準定期保険の活用法を理解するには、特に、保険料の1/2が損金に算入されることと、解約返戻金が釣鐘型に推移してピークが長く続くことに着目してください。

長期平準定期保険の活用法

長期平準定期保険の解約返戻金のピークは20年~30年目です。これは、たとえば経営者が40歳のときに加入すると、解約返戻金のピークが来るのは60歳~70歳ということです。

それほど先の解約返戻金の使い道といえば、明確な目的は、退職金の準備である場合がほとんどです。そして、後で詳しく説明しますが、保険料の1/2を損金に算入することで、解約返戻金の受取の時まで課税のタイミングを繰り延べることができます。しかも、この退職金の準備は、事業承継対策にもつながります。なお、解約返戻金のピーク期間が長いことを考えれば、いざという時のための緊急予備資金の準備を兼ねてということも考えられます。

このような機能を活用しながら、もし経営者の身に万が一のことがあった時には、会社が保険金を受け取れてダメージをカバーできます。

ただし、保険料が高額なので、キャッシュフローを圧迫するリスクがあります。

以上、まとめると、長期平準定期保険は、以下の条件を充たす場合に向いていると言えます。

  • 現在30代か40代で、向こう20年~30年にわたり損益のタイミングを調整しながら退職金を効率的に積み立てたい
  • 事業承継の対策をしたい
  • 退職金準備・事業承継対策と並行して緊急時の予備資金をプールしておきたい
  • 利益とキャッシュフローが概ね安定していて長年にわたり保険料を支払い続けられる

これから、事例を用いて詳しく説明していきます。

1.退職金を30%多く積み立てる

1-1.長期平準定期保険の退職金準備のための具体的な活用事例

以下の契約例をもとに説明します。できればお手元に電卓を用意してお読みください。

税金は、法人実効税率を36.0%として計算しています。

〈契約者のデータ〉

  • 経営者:40歳 男性
  • 経営者の退職予定年齢:65歳
  • 売上:年3億円
  • 税引前利益:1,000万円
  • 従業員数:30名

〈契約内容〉

  • 死亡保険金:3億円
  • 保険料:約614万円/年
  • 解約返戻金のピーク:25年後(65歳)
  • 解約返戻金のピーク時の額:1億5,394.2万円(返戻率100.3%)

経営者の退職予定年齢は65歳なので、解約返戻金のピーク(25年後)はそれに合わせて設定しています。

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この契約の場合、解約返戻金の返戻率は、7年目(47歳)から90%を超えて、退職予定の25年目(65歳)にピークの100.3%になります。また、30年後(70歳)でも97.3%と高い率を維持しています。つまり、ピークが来るのが遅く、また、ピークは長く続きます。

そのため、長期平準定期保険は解約時期の幅を持たせやすいと言えます。

長期平準定期積立プロセス

保険料支払~解約返戻金受取段階

まず、税引前利益1,000万円のうち 約614万円を保険料に充てると、その1/2の約307万円を損金に算入することができます(残りの1/2(約307万円)は資産計上)。その結果、その年度は益金に約614万円、損金に約307万円が算入されるので、法人税の額は約110.5万円です。そのため、25年間で税金を約2,763万円支払うことになります。

そして、解約返戻金のピーク時に解約すると1億5,394.2万円を受け取れます。そのため、この時点で実質的に手元にあるキャッシュは、税金の総額約2,763万円を差し引くと約1億2,631.2万円ということになります。

他方、同じ約614万円の利益から現金・預金で積み立てようとすると、1年度につき税引後利益約393万円、25年間で約9,824万円しか残りません。

したがって、会社に残るキャッシュは、長期平準定期保険に25年間加入した場合約1億2,631.2万円、現金・預金で積み立てた場合約9,824万円なので、長期平準保険の方が約2,807.2万円多く残ることになるわけです。

解約返戻金受取~退職金支給段階

加入から25年後に解約して解約返戻金約1億5,394.2万円を受け取ると、そのうち、それまで25年間にわたって資産に計上されてきた約7,675万円を差し引いた額・約7,719.2万円が益金に算入されます。したがって、たとえば退職金を7,000万円支払うとすると719.2万円が残ります(そこに税金が258.9万円かかります)。

なお、これとの比較で、毎年約614万円の税引前利益から現金・預金で積み立てて退職金7,000万円を支給する場合はどうなるか見てみましょう。この場合、上で述べたように、25年間で約9,824万円しか手元に残りません。しかも、退職金7,000万円の支給によりそれが損金に算入されるので、何とかそれをカバーする益金を計上できないと、大幅な赤字を計上してしまうリスクが高くなってしまいます。

以上、「保険料の支払」→「解約返戻金の受取+退職金の支払」というプロセスを全体としてみると、毎年約614万円の利益の中から25年間で約1億2,631.2万円の退職金を積み立てて退職金を支払ったことになります。同じ約614万円の利益の中から現金・預金で積み立てられるお金は約9,824万円にとどまるので、それと比べると約2,807.2万円、約30%多く積み立てられたことになります。

しかも、退職金の支払いにより大きな赤字を出してしまうリスクがあったところ、約719.2万円の黒字を計上できています。

したがって、現金・預金で積み立てるよりも、手持ちのキャッシュを有効活用できたことになると言えます。

1-2.長期平準定期保険を利用する際の注意点

長期平準定期保険を利用する際に特に注意していただきたい点は以下の2点です。

  • 適切な保険料を設定しないと会社のキャッシュフローを悪化させるリスクがある
  • 解約返戻金のピーク期間に引退しないとキャッシュが増えたことにならない

上の契約例では、毎年、保険料約614万円がキャッシュアウトすることになります。したがって、その分、会社のキャッシュフローが悪くなります。

キャッシュフローの悪化は、経営にとって致命傷になるリスクがあります。加入する前に必ず、キャッシュフローの試算して適切な保険料を設定するようにしてください。

解約返戻金のピーク期間に引退しないとキャッシュが増えたことにならない

長期平準定期保険の解約返戻金のピークの期間は長いので、その間に解約できないというリスクはそれほど高くはありません。しかし、そうは言っても、たとえば、後継者がどうしても見つからずどうしても引退できなくなってしまうことが絶対にないとまでは言い切れません。

もしそうなってしまった場合、対処法はあるにはあります。長期平準定期保険の場合、ピークの期間が比較的長いので、ピークの期間内に何年度かに分けて少しずつ段階的に死亡保険金額を減額していくのです。保険金の減額=保険契約の一部解約ということになりますので、死亡保険金の減額の割合に応じた解約返戻金が返ってきて、その都度、ちびちびと益金に計上されます。そのため、とりあえず、ひとつの年度に大幅な黒字を計上してしまうという事態だけは避けられます。ただ、これはあくまでダメージを最小限にとどめる措置にすぎません。やはり、ピーク時にきちんと引退できるに越したことはありません。

2.退職金を準備しながら事業承継にかかるコストを下げる

事業承継は、自分が経営する事業を、引退に伴い後継者に引き継ぐことです。株式会社であれば、後継者に株式の全部または大部分を引き継がせることになります。

後継者が誰であっても、どのような承継の方法をとるにしても、最も重要なことは、後継者の経済的負担を軽くしてあげるということに尽きます。

事業承継対策に利用できる保険の種類と活用法は下図の通りです。

長期平準・事業承継対策(身内)

長期平準・事業承継対策(身内以外)

事業承継での保険の活用法全般についてはこちらの記事をご覧いただくとして、この記事では長期平準定期保険でできることを、ケースごとに説明していきます。

2-1.「後継者=法定相続人」の場合の問題と、長期平準定期保険でできる対策

まず、あなたの後継者が「法定相続人」の場合についてお話しします。

なお、民法によれば「法定相続人」は以下の通りです。

①配偶者+子 ※死亡の場合は孫、孫が死亡の場合はひ孫

↓子・孫・ひ孫がいない

②配偶者+両親

↓子・孫・ひ孫も両親もいない

③配偶者+兄弟姉妹 ※死亡の場合はおい・めい

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そして、あなたの株式を法定相続人が後継者として承継するときに起こる可能性がある問題は、以下のとおりです。

なお、これらのうち、3.については中小企業事業承継円滑化法による手当てがなされていますので、こちらをご覧ください。

  1. 後継者が相続税(相続による株式承継の場合)または贈与税(生前の株式承継の場合)を納税する資金が必要になる
  2. 株式以外の相続財産が少ない場合、後継者が他の法定相続人から相続分または遺留分を主張され、代償交付金(※)を支払わなければならない可能性がある
  3. 後継者の社会的信用が少ないため、運転資金を融資してもらうのが難しくなることがある

※代償交付金:相続財産の中に分けられない財産がある場合(土地、株式等)に、その財産を相続した者が、他の法定相続人の相続分・遺留分を得させるために支払うお金

事業承継to法定相続人の問題点

 

特に「遺留分」は、法定相続人(兄弟姉妹以外)の最低限の取り分なので、たとえ「株式の全部を○○(後継者)に相続させる」という内容の遺言を遺したとしても、無効です。

では、生命保険を利用してできる対策にはどのようなものがあるでしょうか。それは以下の3通りです。

  1. 後継者のために必要な資金を準備する →生命保険(経営者個人加入)
  2. 生前贈与に備えて株式(相続財産)の評価額を引き下げる →逓増定期保険・長期平準定期保険
  3. 相続に備えて、会社が後継者から自社株を買い取る資金を準備する→終身保険(法人加入)・長期平準定期保険

これらのうち、2.と3.の手段はある意味矛盾していて両立が難しいものです。というのは、「2.株式の評価額を引き下げる」ことは会社の資産を減らすこととイコールであり、他方、「3.会社が後継者から自社株を買い取る資金を準備する」ことは会社の資産を増やすこととイコールだからです。

ただ、長期平準定期保険は、これらのどちらにも活用できます。

・・・と言うと、「2.と3.は矛盾しているのにどういうこと?」という疑問を抱くかも知れませんね。

どういうことなのか、それぞれについて説明します。

株式を生前贈与したい場合|株式の評価額を引き下げる(2.の手段)

生きているうちに後継者に承継を済ませて引退したい場合、つまり生前に後継者に株式を全部贈与しておきたい場合はどうすればよいでしょうか。

この場合は、後継者にかかる贈与税の額を抑えるために、株式の資産価値(評価額)を引き下げる方法があります。

株式の価格の評価方法について、最もよく使われるのは「類似業種比準方式」という方法です。これは他の似たような業種・規模の会社と比べて適正な額を算定する方法で、単純に言えば、利益が圧縮されれば株式の価値が下がることになります。

そのため、利益を圧縮するには、あなたの退職金の資金の準備もかねて長期平準定期保険、逓増定期保険に加入することが考えられます。どちらの保険も保険料が高額なので、その1/2を損金に算入することで大きな損金を計上でき、利益が圧縮されるため、株式の評価額が抑えられることになります。

それでは、長期平準定期保険はどのような場合に活用すればよいのでしょうか。

長期平準定期保険は解約返戻金のピークが来るのが20~30年後と遅く、しかもピークが長く続きます。したがって、事業承継を20~30年後に予定している場合に向いていることになります。

逆に、短期間で株式価値を下げたい場合には、引退時期を明確に決めた上で、逓増定期保険を活用した方が良いでしょう。

株式を相続させたい場合|会社が後継者から自社株を買い取る資金を準備する(3.の手段)

次に、あなたが一生現役でいたい場合、つまり後継者に株式を相続で承継させたいという場合はどんな問題があるでしょうか。

株式を相続した後継者は相続税を納税しなければなりません。しかし、相続税の納税資金が足りなくなるおそれがあります。

そんな時、会社法の「自己株式の買取」の制度を利用することができます。つまり、会社が後継者から自社株を買い取り、後継者が代金を受け取ってそれを相続税の納税の資金に充てるのです。

自社株買取

 

これには、会社の側で、自社株=自己株式を買い取る資金を準備しておかなければなりません。

そのために、会社が生命保険に法人契約で加入することが考えられます。つまり、あなたが死亡した場合、会社が死亡保険金を受け取るようにしておくのです。そうすれば、会社はそのお金を、後継者から自己株式を購入する資金に充てることができます。

生命保険の種類としては、終身保険、または長期平準定期保険が考えられます。

いずれの保険も、解約すれば解約返戻金が受け取れるものです。しかし、自社株式の購入資金として利用するのは解約返戻金ではありません。重要なのは、あくまで、あなたが死亡した場合に会社が受け取る死亡保険金です。

ただし、多くの場合は、終身保険よりも長期平準定期保険を選ぶほうがベターでしょう。

終身保険は保険期間が一生涯なので、どれほど長生きしても必ず保険金が受け取れます。しかし、それ以外のメリットはありません。しかも、保険料が割高でキャッシュフローを食ってしまう上、保険料の全額が資産計上で全く損金に算入されないため税負担が軽くできません。デメリットばかりが目立つのです(くわしくはこちらの記事をご覧ください)。

これに対し、長期平準定期保険は、保険期間は最長でも100歳までなので、自己株式の買取のための資金を準備する手段としては、終身保険ほど確実ではありません。しかし、あなたが100歳を超えて長生きし、しかも後進に道を譲らず生涯現役でいる可能性は限りなく低いでしょう。したがって、保険期間が限られている点は、終身保険と比べてたいしたデメリットとは言えません。

また、保険料は終身保険と比べれば低額なので、キャッシュフローが悪化するリスクは比較的低いと言えます。さらに、保険料は1/2が損金に算入されます。そのため、その分だけ税負担を軽くすることができます。

なお、保険料の1/2を損金に算入して利益を圧縮することは自社株の評価額を引き下げることにもつながります。したがって、たとえば加入時は「生涯現役、死ぬまでやるぞ!」と思っていたとしても、後に気が変わって、生きているうちに引退して後継者に株式を生前贈与しようと思えば、後継者の税負担を軽くしてあげることにもつながります。

つまり、生涯現役のつもりでも、場合によっては生きているうちに後継者に事業承継する可能性があるというのであれば、長期平準定期保険を選んだ方が良いでしょう。

2-2.「後継者≠法定相続人」の場合の問題と、長期平準定期保険でできる対策

後継者が法定相続人でない場合には、後継者に株式を買い取ってもらうか、無償で譲渡することになります。

その場合の問題点は以下の3つです。

  1. 無償譲渡の場合、後継者が贈与税を納税する資金が必要になる
  2. 後継者が法定相続人から遺留分を主張され、賠償義務を負う可能性がある
  3. 後継者の社会的信用が少ないため、運転資金を融資してもらうのが難しくなることがある

これらのうち、3.については「中小企業事業承継円滑化法」で様々な手当てがされています。詳しくはこちらをご覧ください。

1.と2.については、まず、後継者がいずれまとまったお金が必要になることを見越して、予めその人の給与の額をある程度多めに設定して支給しておくことが考えられます。

そして、法人保険を利用してできる対策は、1つです。

  • 長期平準定期保険・逓増定期保険を利用して株式の価値を引き下げる

どういうことかというと、生命保険の保険金の受取人は原則として「2親等内の血族」に限られていることを思い出してください。後継者が法定相続人でないアカの他人である場合、経営者はその人のために個人で生命保険に加入して資金を準備してあげることはできません。

したがって、とるべき対策は、株式の価値をできるだけ引き下げることです。というのは、まず、後継者に株式を買い取ってもらうのであれば、株式の評価額を低く抑える必要があります。

また、後継者に株式を無償で譲渡する場合には、後継者にかかる贈与税の額を少しでも低くしてあげるために、やはり株式の評価額を抑える必要があります。

いずれにしても株式の評価額を引き下げることが必要なのですが、そのためには、会社の利益を圧縮しなければなりません。このことを考えると、会社が長期平準定期保険か逓増定期保険に加入して、経営者の退職金を準備しながら保険料の1/2を損金に算入していくことが最も現実的だと言えるでしょう

それでは、長期平準定期保険と逓増定期保険の使い分けはどうすべきでしょうか。

長期平準定期保険の活用条件は上に述べたとおりですが、ここでもう一度おさらいしておきましょう。

〈長期平準定期保険の活用条件〉

  • 現在30代か40代で、向こう20年~30年にわたり損益のタイミングを調整しながら退職金を効率的に積み立てたい
  • 退職金の準備をしたい
  • 事業承継の対策をしたい
  • 退職金準備・事業承継対策と並行して緊急時の予備資金をプールしておきたい
  • 自分の身に万一のことがあった場合の事業保障を備えたい
  • 利益とキャッシュフローが概ね安定していて長年にわたり保険料を支払い続けられる

これに対し、逓増定期保険の活用条件は、以下の通りです。詳しくはこちらをご覧ください。

〈逓増定期保険の活用条件〉

  • 5年~10年以内に退職金や設備投資等のまとまった資金が必要なので、損益のタイミングを調整しながら資金を効率的に積み立てたい
  • 事業承継の対策をしたい
  • 利益が大きく安定していて、キャッシュフローが潤沢で、5年~10年にわたり保険料を支払い続けられる

3.経営危機の場合に赤字を埋める資金を準備する

予期しない天災や損害が発生するなどして、緊急に多額の資金が必要になるということがあるかも知れません。そんな時、タイミングによっては保険を解約し、解約返戻金を受け取って対応することもできます。

長期平準定期保険は、上に述べたように、解約返戻金のピーク期間が長く続きます。そのため、解約時期の幅を持たせやすく、解約返戻金をいざという時のための予備資金として役立てることもやりやすいと言えます。

4.急なチャンスにスピーディーにお金を借りられる

長期平準定期保険には、契約者貸付の制度があります。借入できる限度額はその時点の解約返戻金の90%程度です。

利率は年3%程度ですが、担保は不要だし、面倒な審査もなく、申請から1週間程度で受け取れます。したがって、したがって、お金を儲けることのできる千載一遇のチャンスをみすみす逃すリスクが少なくなります。

おまけ.生活障害保障型定期保険|「全額損金」だが長期平準定期保険よりもハイリスク

長期平準定期保険の変形バージョンとして、「生活障害保障型定期保険」という商品があります。

保険料が全額損金になるという点をウリにして販売されていますが、実はリスクも高い商品なので注意が必要です。

保険期間が長期にわたり、その間の死亡保険金額が一定であるという点、解約返戻金のピークがある点については長期平準定期保険と共通です。

詳しい活用法や問題点についてはこちらの記事をご覧ください。この記事では、長期平準定期保険との違いにスポットを当てて説明します。

長期平準定期保険との違いは、以下の3点です。

  • 保障内容が手厚い
  • 解約返戻金の返戻率が低い
  • 保険料は全額が損金に算入される

生活障害保障型の表

保障内容が手厚い

まず、死亡・高度障害状態の場合にプラスして、一定の介護状態(「生活障害状態」)になった場合にも死亡の場合と同額の保険金が支払われることです。つまり、保障内容が長期平準定期保険よりも手厚いということです。

ただし、実際は、ほとんどの場合、保障目当てではなく、「全額損金」と解約返戻金の活用目当てで活用されています。

解約返戻金の返戻率が低い

生活障害保障型定期保険の解約返戻金は長期平準定期保険や逓増定期保険より返戻率が低く、年齢にもよりますが返戻率はピーク時でもせいぜい概ね支払った保険料総額の60~80%台になる場合が多いです。ただし、20~30歳くらいの若い女性の場合には解約返戻率が90%を超えることもあります。

生活障害保障型定期保険イメージ

保険料は全額が損金に算入される

生活障害保障型定期保険は、長期平準定期保険と比べて解約返戻金の返戻率が低い代わりに、保険料の全額を損金に算入するという扱いが認められています。

ただ、この全額損金というのは、リスクもあります。詳しくは次に説明します。

生活障害保障型定期保険の活用を考える場合の注意点

生活障害保障型定期保険は、解約返戻金の返戻率が低くなるケースが多いです。しかし、20~30歳くらいの若い女性の場合には解約返戻率が90%を超えることもあります。なので、若い役員にかけておいて、保険料の支払いによって税金を減らすことができれば、現金・預金として貯めた場合よりも多くのキャッシュが用意できる可能性があります。

ただし、そのためには、加入期間中ほぼ全ての年度で保険料の額以上の益金を計上し続けられることが条件です。そうでないと、保険料を全額損金に算入してもただ収支が赤字になるだけで、税金を減らせないからです。「税金を減らせない」=「手持ちのキャッシュが増やせない」となれば、最終的に手元に残るキャッシュは少なくなってしまいます。特に、生活障害保障型定期保険はもともと解約返戻金の返戻率が低いので、保険料を支払う段階で税金が減らせないと最終的にキャッシュが大きく目減りしてしまうリスクが高いのです。

また、保険料を適切な額にしないと、保険料の支払いがキャッシュフローを圧迫してしまうおそれもあります。

したがって、加入するのであれば、保険料を無理なく支払い続けることができ、ほぼ全ての年度で保険料以上の利益を上げられることが必要です。

「全額損金」とはいっても、長期平準定期保険よりもリスクが高いことを覚えておいてください。

なお、活用法は逓増定期保険の「全額損金タイプ」(こちらの記事をご覧ください)とも似ています。

まとめ

長期平準定期保険で会社のキャッシュを増やすことのできる4つの活用法について、整理して説明してきました。

長期平準定期保険は、特に、経営者が比較的若くてキャッシュフローが安定している会社が、長い時間をかけて、退職金の積立や事業承継の準備をするのに向いている保険だと言えます。また、経営危機や急な資金需要にも対応できます。

長期平準定期保険は、保険料を身の丈に合った額に設定するのと、解約のタイミングを大きく外さないことに気をつければ、比較的リスクが少なく、使い勝手のすぐれた保険だと言えるでしょう。

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出岡 大作

出岡 大作

行政書士資格保有。保険や税金や企業関係法、民法、行政法といった分野について幅広い知識を持つ。また、初めての人にも平易な言葉で分かりやすく説明する文章技術に定評がある。
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