医療保険を福利厚生で活用するとき必ず知っておくべきポイント

福利厚生で保険を考えようと思ったときにまず思い浮かぶのが従業員が病気・ケガになった時の医療保険ではないでしょうか。

法人で医療保険に加入をすると保険料を損金としながら、従業員が病気・ケガで入院をしたときに保障を受けることができます。会社の利益が出たときに考えたい保険です。

ただ、正しく活用しなければ会社にとって有意義なものにはなりません。

この記事では医療保険を福利厚生で活用するときに知っておくべきことをお伝えします。最後に福利厚生規定についても解説していますので是非参考にしてください。

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保険の教科書編集部

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1.医療保険の福利厚生プランのメリット

医療保険は病気やけがの場合の入院・手術の費用等を一定の範囲で保障する保険です。

医療保険を福利厚生で活用するときには、従業員が全員加入で契約者が会社となり保険料を負担していきます。

医療保険は病気やケガで入院したときに保障が受けることができるものですが、医療保険は掛け捨て型のものばかりなため、他の法人保険の商品のように返戻金がありません。よって退職金などの準備はできない点に注意が必要です。

医療保険の福利厚生プランのメリットは以下の通りです。

  • 保険料の全額が損金に算入される
  • 従業員が病気・ケガの時の治療費をサポートできる
  • 健康相談や名医の紹介や各種割引サービスを受けられる

1.1.保険料の全額が損金に算入される

保険料の全額が損金に算入されるため、法人税を抑えることができます。

1.2.従業員が病気・ケガの時の治療費をサポートできる

次に、従業員の医療費をサポートすることができます。

従業員が病気・ケガをして入院・手術をすると、会社が入院給付金や手術給付金を受け取ります。そのうち全部または一部を見舞金として従業員に支払う形になります。

なお、会社が給付金を受け取ると益金に算入され、その中からその従業員に「見舞金」を支給すると損金に算入されます。

1.3.健康相談や名医の紹介や各種割引サービスを受けられる

保険会社によっては、各種の無料付帯サービスが充実しているところもあります。

たとえば、24 時間対応の電話での健康相談やカウンセリングサービスが利用できるものがあります。これは、従業員の心身の健康管理に役立ちます。

また、日本を代表する各門分野の名医に現在の診断に関する見解や今後の治療方針等の意見を聞くことができる「セカンドオピニオンサービス」を利用できます。

さらに、保養所やリゾート施設等の各種割引サービスが受けられるものもあります。

2.福利厚生ならば保険料が割安な「定期タイプ」がおすすめ

医療保険には、保険期間が一生涯のもの(終身タイプ)と、「5年」「10年」などと決まっているもの(定期タイプ)があります。

終身タイプは一生涯保険料が変わりません。これに対し、定期タイプは期間満了ごとに更新され、そのつど保険料が上がっていきます。

もし法人で加入するならば、おすすめは定期タイプです。なぜなら、60歳くらいまでの保険料の総額が終身タイプよりも割安だからです。

このように、定期タイプの方が終身タイプよりも保険料が安くなっています。したがって、定期タイプを選ぶ会社が多くなっています。

3.福利厚生で医療保険を活用するときの注意点

また、福利厚生制度とその導入目的を全従業員に周知徹底するとともに、税務調査が入った場合に福利厚生目的であることの証拠とするため、「福利厚生規程」を作成しなければなりません。

福利厚生規程に関しては後ほど詳しく解説していますので、参考にしてください。

また、会社が給付金の中から従業員に支給する「見舞金」の額は、社会通念上相当な額、つまり常識の範囲内の額でなければなりません。それを超えると、従業員の側で「給与」と扱われ所得税が課税されてしまうので、注意してください。

参考|医療保険を福利厚生で活用するときの福利厚生規定

医療保険のみならず、福利厚生で法人保険を活用するときに行っていただきたいのが、福利厚生規定の作成です。福利厚生規定を作成したら、全従業員にメールもしくは書面にて知らせるのがいいでしょう。

そして福利厚生規定を作成することにより以下の効果があります。

1.  権利関係を明確にしてトラブルを防ぐ

医療保険の給付金の取り扱いについて規定を明確にしておかないと権利関係を巡ってトラブルになる可能性があります。給付金が支払われた時の取り扱いは明確にしておきましょう。

2.  税務調査などのときに明確な根拠を示すことができる

福利厚生の場合、従業員全員加入のため保険料が大きくなり、損金の金額も大きくなります。そのため福利厚生で行っていることを証明できなければ、税務調査で損金を全額否認される可能性があります。

福利厚生規定で明確に規定しておくことにより福利厚生で行っていることを証明をすることができます。

3.  福利厚生を従業員など関係者に示すことができる

福利厚生が充実しているのは働く従業員にとって重要なことです。福利厚生の充実は会社の信用につながり、優秀な人材確保にも繋がります。ただし福利厚生規定がないと従業員や関係者にはわかりません。

せっかく会社の大事なお金を使って、法人保険で福利厚生を行っても効果が半減してしまいます。福利厚生を充実させるのですから、会社の誰もがわかる形で福利厚生規定を作成しておきましょう。

それでは実際にどのように作成したらいいのか分からない人も多いと思うのでサンプルを記載しておきます。あくまでも一例ですが、参考にしてください。

福利厚生規定のサンプル

医療保険付保規定

(目的)
第1条 本規定は、役員・従業員の入院等に伴う下記の財源確保を目的とした生命保険の付保に付いて定めるものである。

  • 見舞金の財源確保として
  • 入院に伴う売上げ減少など会社が被る損失の補填として

(適応対象者)
第2条 本規定は下記条件に該当する者を対象とする。ただし、パート社員、契約社員およびアルバイトは対象外とする。

  • 就任後の全役員
  • 就任後の全執行役員
  • 勤続年数1年以上の全従業員

なお、引受保険会社の契約条件に該当しない場合や身体上の理由により加入できない場合は、この限りではない。

(契約形態)
第3条 契約者を会社、被保険者を第2条に定める適応対象者とし、給付金受取人を会社とする。なお、解約返戻金の請求権も契約者である会社に帰属する。

(付保金額)
第4条

下記に定める金額とする。

入院給付金

○○○○○円

(事故発生時の扱い)
第5条

1. 支払事由が発生した場合の保険金・給付金に関しては一旦会社が受け取り、その後就業規則、見舞金規程、弔慰金規程等の諸規定に従い所定の金額(以下、所定金額という。)を支払うものとする。

保険金・給付金から所定金額を差し引いた金額については、損失補填費として会社が新規雇用費用等に使用できるものとする。

2. 支払事由に該当した場合は、所定の様式により、所属長を経て総務部長宛に速やかに届け出るものとする。

(退職時の扱い)
第6条 役員・従業員が死亡以外の事由ににより退職した場合には、速やかに契約を解除し、解約返戻金に関しては、一旦会社が受け取り、その後退職金規定等に従い、所定金額を支払うものとする。また、役員または従業員の希望により、保険契約の契約者を変更することをもって退職金の支給に代えることもできる。

(制度変更に関して)
第7条 会社は将来に渡って第1条の目的を達成するためにより合理的な手段がある場合には、会社判断として制度を変更または廃止することができる。またその場合は相当な期間前に役員および従業員に対して周知するものとする。

(診断書の請求)
第8条 会社は、保険金請求のために本人またはその遺族に対して診断書の提出及びその他必要な協力を求めることができる。なお、診断書作成料は会社にて負担することとする。

付則
本規定は、20●●年○月○日より施行する。

まとめ

会社が軌道に乗ってくると、従業員の福利厚生をどうやって充実させるかが課題になってきます。

その際、一つの手段が医療保険の活用です。

医療保険の福利厚生プランのメリットは以下の3つです。

  • 保険料の全額が損金に算入される
  • 従業員が病気・ケガの時の治療費をサポートできる
  • 健康相談や名医の紹介や各種割引サービスを受けられる

法人税を抑えながら従業員の保障もしたいという場合は選択肢の一つとしてぜひお考えください。

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