法人保険と損金の関係|全額損金・1/2損金・1/3損金それぞれの活用法

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あなたは法人保険で「節税」したいとお考えのことと思います。

法人保険には、保険料の全部または一部が損金になるものがあります。

インターネットなどで調べると「全額損金」、「1/2損金」、「1/3損金」等が出てきますが、それぞれ、どういう使い道があるか、あなたの会社に向いているのはどのタイプか、なかなか分かりづらいと思います。

そこで今日は、法人保険の「全額損金」、「1/2損金」、「1/3損金」のそれぞれの活用法についてお伝えします。是非ご参考にしてください。

はじめに

まずは法人税の仕組みについて簡単にお伝えしたいと思います。法人税は「所得」に課せられます。これは期末に残った「利益」とほぼイコールと考えていただいて結構です。

所得=益金(課税対象となる会社の稼ぎなど)-損金(経費・損失など)

つまり、損金を作ればその分所得は減ります。

極端な例だと利益(益金)が1,000万円の会社であれば、損金を1,000万円作ることができれば、所得が0円となり法人税が課税されなくなります。

そして、法人保険の保険料も損金になりますので、結果的に税負担を軽くすることができます。ただし、商品によって損金にできる金額が違いますので注意しなければいけません。

1.法人保険は商品によって損金にできる割合が違う

法人保険を検討するときに必ず知っておかなければいけないのは、商品によって損金にできる割合が違うということです。

昔はほとんどの商品が保険料を全額損金にすることができましたが、今では全額損金にできる商品が少なくなりました。なぜなら、ある程度の貯蓄の機能があるのに、資産計上がゼロで全額損金というのはおかしい、ということになったのです。

まずは以下の表をご覧ください。

損金タイプ比較表

このように商品によって損金にできる割合が違います。

2.「全額損金」「1/2損金」「1/3損金」の比較

目先の法人税を軽減するのであれば「全額損金」が1番いいと思うでしょう。しかし、必ずしも全額損金タイプがいいとは限りません。なぜなら、全額損金の保険は返戻率が低めだからです。

ここでは「全額損金定期保険」と「逓増定期保険(1/2損金タイプ)」と「逓増定期保険(1/3損金タイプ)」を比較してお伝えしたいと思います。

なお、1/2損金の「長期平準定期保険」「養老保険(福利厚生プラン)」については『長期平準定期保険で会社のキャッシュを多く残す4つの活用法』『養老保険で従業員の退職金を準備するメリット・デメリット』を、ご覧ください。

2.1.全額損金定期保険

まず、全額損金の定期保険です。全額損金定期保険は、保険料を支払っている間は税負担の軽減効果が大きいです。

しかし、解約返戻金の返戻率が低めであることと、解約返戻金の使い道を見つけにくいという点に難があります。

どういうことかというと、解約返戻金の返戻率のピークは10年前後で、返戻率は低めです。そして、解約返戻金を受け取ると全額が雑収入として益金になります。したがって、同じタイミングで損金を計上しないと、結局、保険料が目減りして返ってきて、しかも税金が取られてしまうという「泣き面に蜂」状態になってしまうのです。

実際に、A生命の全額損金定期保険の契約例を見てみましょう。

【A生命の全額損金定期保険】

〈45歳・男性〉

  • 保険期間:30年(75歳まで)
  • 死亡・高度障害・生活障害保険金:5,000万円
  • 保険料:1,309,100円/年

全額損金定期保険試算

このように、45歳男性の場合、解約返戻金の返戻率は10年後がピークですが、80%未満と低くなってしまいます。

しかも、10年後は55歳とまだ若いので、退職金に充てることもできません。

しかし、以下のように、年齢が若い方、特に女性であれば、返戻率は90%を超えることもあります。

〈30歳・女性〉

  • 保険期間:40年(70歳まで)
  • 死亡・高度障害・生活障害保険金:5,000万円
  • 保険料:528,300円/年

全額損金定期保険試算(30歳女性)

したがって、貯蓄機能重視ならば若い経営者・役員を被保険者にすることをおすすめします。

たとえば、あなたが50代~60代であれば、お子様等の若い役員の方にかけておいて、あなた自身の退職金に充てるという方法があります。

詳しくは、「全額損金の保険で会社のキャッシュを守る最適の活用法」で説明していますので、ご覧ください。

なお、最近は、年齢の高い方でも、死亡保険金が受け取れるケースが限られる代わりに返戻率を高めにしている商品も登場しています。

2.2.逓増定期保険(1/2損金タイプ)

1/2損金タイプの逓増定期保険は、5~15年という比較的短い期間で必要な資金を効率よく貯めるのに向いています。よくあるのが、50代~60代の方の退職金の積立と、事業承継対策を兼ねた活用です。

B生命の逓増定期保険の契約例を見てみましょう。

【B生命の逓増定期保険(1/2損金タイプ)の契約例】

  • 契約年齢45歳
  • 加入時の保険金額:3,000万円
  • 保険期間・保険料払込期間:67歳満了
  • 保険料:3,712,740円/年
  • 解約返戻金のピーク:9年目(返戻率99.6%)

2分の1損金逓増定期保険試算

この契約の場合、保険料を毎年3,712,740円支払うとその1/2の1,856,370円が損金になります。そして、解約返戻金の返戻率のピークは10年目(99.6%)です。また、返戻率90%以上をキープしている期間が5~11年目と、比較的長くなっています。

保険会社やプランの中身にもよりますが、返戻率の高い期間が長く続くものを選べば、解約返戻金の使い途の幅が広がり、使い勝手が良くなります。

ただし、気をつけていただきたいのですが、解約返戻金の返戻率はピークを越えると減っていきます。したがって、契約時には、解約の時期と解約返戻金の使い道を確認することが重要です。

1/2損金タイプの逓増定期保険の活用法については、『逓増定期保険で会社のキャッシュをより多く残す4つの活用法』で詳しく解説しておりますので、ご覧ください。

2.3.逓増定期保険(1/3損金タイプ)

1/3損金タイプの逓増定期保険は、最近、40代~50代の経営者の方の退職金の積立に役立つ保険として活用されるようになってきています。

特に40代の方は、2017年3月までは1/2損金の「長期平準定期保険」が有効と言われてきました。しかし、2017年4月にほとんどの保険会社が長期平準定期保険の保険料値上げと返戻率の引き下げを行いました。なぜなら、国のマイナス金利政策の影響で、運用が悪くなったからです。

その結果、40代後半~50代の方が、1/3損金の逓増定期保険を活用することが増えてきました。

1/3損金の逓増定期保険の最大の特徴は、返戻率が高く100%を超え、しかもその期間が非常に長いことです。極端な話、解約返戻金を受け取って使い道がなく税金を払ったとしても、トクをするのです。

つまり、損金算入割合が低い代わりに、リスクも低いのです。

C生命の1/3損金の逓増定期保険の契約例を見てみましょう。

【C生命の逓増定期保険(1/3損金タイプ)の契約例】

  • 契約年齢45歳
  • 加入時の保険金額:3,000万円
  • 保険期間・保険料払込期間:82歳満了
  • 保険料:3,142,650円/年
  • 解約返戻金のピーク:21年目、22年目(返戻率107.7%)

3分の1損金逓増定期保険試算

この契約例では、返戻率が100%を超える期間が8年目(52歳)~27年目(71歳)の間と非常に長くなっています。

この期間に資金繰りに問題が生じたら、全部または一部を解約して解約返戻金を受け取って活用できます。

しかも、返戻率のピークが21年目(65歳)で107.7%に達します。また、26年目(70歳)でも104.7%と高い水準を維持しています。したがって、退職金の資金として非常に有効です。

詳しくは、『逓増定期保険の損金の3つのタイプを最大限に活用するポイント』をご覧ください。

まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

「全額損金」「1/2損金」「1/3損金」の法人保険には、それぞれの使い道、向き不向きがあります。

目先の法人税を減らすのであれば、保険料を全額損金にできる商品に魅力を感じるかもしれませんが、解約返戻金を受け取る時のことまで考えると、1/2損金や1/3損金の商品のほうがいい場合もあります。

今期の税金だけではなく、会社の将来まで考えて賢い選択をしましょう。この記事がお役に立つことを願ってやみません。

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出岡 大作

行政書士資格保有。保険や税金や企業関係法、民法、行政法といった分野について幅広い知識を持つ。また、初めての人にも平易な言葉で分かりやすく説明する文章技術に定評がある。
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