法人住民税とは|覚えておきたい用語と計算方法について

法人の儲けに係る税金の1つである法人住民税。

国税に当たる法人税と違い地方税として扱われ、法人の事業所がある地方自治体から課税されます。

そんな法人住民税の計算には、「法人税割」や「均等割」等、一般的には聞きなれない用語が用いられます。

今回は法人住民税の計算方法や、関連する用語について解説していきます。

これから起業を考えている方や、税理士や経理担当に税金関係を任せっきりにしたくない経営者の方などは、しっかりと理解しておきましょう。

1.法人住民税とは

法人住民税は、法人が地方自治体に対し、納付する義務のある税金です。

事業者は、事業を行っている事務所や支社等が存在する土地の公共サービスを利用していると見なされ、各地方自治体への納税義務を負うこととなります。

一般的に個人で支払っている住民税と同じように、自治体毎に税率が違うのが特徴で、各自治体が設定している「住民税率」から算出される「法人税割」と、法人毎の資本金や従業員数等で決定される、「基本料」のような意味合いを持つ「均等割」を合計することで算出されます。

1.1.赤字でも支払い義務がある

法人住民税は法人税、法人事業税等の他の法人に係る税金と違い、年度決算の結果、赤字計上になった場合でも支払い義務が生じます。

どんな状況でも支払い義務がある税金として、何度内の予算計画にはしっかりと組み込んでおきましょう。

2.法人住民税の算出方法

前述したように、法人住民税は下記計算方法で産出されます。

  • 法人住民税=法人税割+均等割

具体的に法人住民税を算出する為に、それぞれの用語についてみていきましょう。

2.1.法人税割

法人税割は、個人の住民税における所得割にあたるもので、

  • 法人税額×住民税率

によって算出されます。

法人税額は法人所得に実効税率を乗じたものです。

法人所得とは、会社に入ってくる収益である「益金」から、商品の原価や諸経費等、会社から出ていくお金や資産である「損金」を引くことで算出されます。

要は純粋な利益といえます。年度内の益金の合計から損金を引いた金額が、その年度の法人所得となります。

益金は会社の財産をプラスするものであればその全てが含まれ、下記のような注意点があります。

  • 収益を得る権利が確定した年度に益金に計上される(権利確定主義)
  • 「無料サービス」(無償取引)にも益金が発生する
  • 借入金は益金に算入されない
  • 株式をめぐるお金のやりとり(資本等取引)からは益金は発生しない

損金には基本的に

  • 原価
  • 販売費、一般管理費、その他の費用
  • 損失

が含まれ、特に「販売費、一般管理費、その他の費用」に含まれるものが複雑であるため、注意が必要です。

法定実効税率は、法人の所得金額に対する様々な税金の合計額から割り出される税率のことを指します。

どうせすべての税金を納めなければならないなら、税率を合計してしまった方が合理的である、という考えから定められました。

基本的に成立は一律であり、個人の所得税のように所得の大きさによって税率が変化するようなことはありません。

参考:「経営者ならば絶対に知っておくべき!法人税の計算方法

例外として、資本金の額が1億円以下のいわゆる「中小法人」の場合には、1年度の所得のうち800万円分に軽い税率が充てられます。

つまり、所得のうち800万円分は軽い税率、800万円を超過した分には通常の実効税率が適応されるということです。

結果として「中小法人」は税負担が軽くなるので、覚えておきましょう。

2.2.均等割

均等割は個人住民税における均等割と意味合いは同じで、住民税の基本料金として定められている金額です。

法人の場合は、資本金等の額と従業員数によって金額が変わり、具体的な金額は自治体ごとに定められています。

例えば、東京に本社等の主たる事務所が存在する資本金1000万円、従業員数50人以下の法人の場合、均等割額は7万円です。

2.3.分割基準について

2つ以上の都道府県に事業所が存在する法人の場合、課税標準総額を一定の基準で分割し、自治体ごとの分割課税標準額、税額を算出します。

この決まりを分割基準と言い、法人住民税だけでなく、法人事業税等でも採用されています。

分割課税標準額は法人税額を用い、これを従業員数で分割して各自治体へ納付することになります。

例えば東京に本社、大阪に支社が存在し、従業員数が東京30人、大阪20人だった場合、法人税額の5分の3は東京へ5分の2は大阪に納税することになります。

法人住民税額でも同様です。分割された法人税にそれぞれの自治体で定められた税率を乗じることで、それぞれの自治体に納付する金額を算出します。

均等割も基本的には同様で、従業員数によって分割されます。

3.法人住民税を具体的に計算してみる

ここからは具体的な例を挙げた上で、法人住民税を計算してみましょう。

法人税額は計算済みとして考えます。資本金等の金額や事業所数、従業員数の違いによる金額の変化に着目しましょう。

何パターンか計算してみることで、イメージがつかめるはずです。

3.1.パターン①:小さな会社の場合

条件

  • 総従業員数:5人
  • 資本金等:1,000万円
  • 法人税額:50万円
  • 事業所:東京都特別区内に本社

上記の場合、東京都の住民税率が12.9%であるため、法人税割額は

  • 50万円×12.9%=64,500円

均等割額は7万円となるため、法人住民税は

  • 64,500円+70,000円=134,500円

となります。

次は赤字計上だった場合を見てみましょう。

3.2.パターン②:パターン①の会社が赤字計上だった場合

条件

  • 総従業員数:5人
  • 資本金等:1,000万円
  • 法人税額:0円(赤字計上の為)
  • 事業所:東京都特別区内に本社

この場合、法人税割額は法人税額と同じく0円となりますが、均等割額はパターン①と変わらず7万円です。

よって

  • 0円+70,000円=70,000円

で、法人住民税は7万円となります。

この例のように、たとえ赤字計上であっても、各自治体で定められた均等割額は必ず納税しなければならないため、注意が必要です。

3.3.パターン③:従業員が多い会社の場合

条件

  • 総従業員数:60人
  • 資本金等:1,000万円
  • 法人税額:50万円
  • 事業所:東京都特別区内に本社

この場合、パターン①の会社と法人税割額は変わりません。

しかし、従業員数が増えたことで均等割額に変化があります。

上記条件の場合、均等割額は14万円となるので、法人住民税は

  • 64,500円+140,000円=204,500円

となります。

3.4.パターン④:従業員が多い会社の場合

条件

  • 総従業員数:東京40人、横浜市20人
  • 資本金等:1,000万円
  • 法人税額:60万円
  • 事業所:東京都特別区内に本社、神奈川県横浜市に支社

この場合、分割基準による分割が発生し、東京都、神奈川県、横浜市それぞれに分割して納税することとなります。

上記条件の場合、東京都の均等割額は14万円、横浜市は12万円、神奈川県は2万円です。

また、住民税率は東京が12.9%、横浜市が9.7%、神奈川県が1.8%なので、法人税割額は

  • 東京:60万円×12.9%=77,400円
  • 横浜市:60万円×9.7%=58,200円
  • 神奈川県:60万円×1.8%=10,800円

となり、法人住民税は

  • 東京:(77,400円+14万円)×2/3=144,933円
  • 横浜市:(58,200円+12万円)×1/3=98,200円
  • 神奈川県:(10,800円+2万円)×1/3=10,266円

となります。

まとめ

いかがでしたか?

法人住民税は法人税割と均等割の合計額で算出されます。

法人税割の算出には法人税の数値が必要であるため、法人住民税を算出する際にはまず法人税を算出しましょう。

法人住民税において最も注意しなければならないのが、他の法人に係る税と違い、赤字計上になった場合でも発生するということです。

この場合は法人税割額は0円となり、均等割額のみを支払うこととなります。

また、東京都は都民税のみの支払いとなりますが、他の都道府県では都道府県、市町村郡それぞれに住民税率が定められていることにも注意が必要です。

分割基準の影響もあり、2つ以上の都道府県に事業所を持つ場合は単純に計算料が膨大になります。

エクセル等のツールを利用して、計算ミスを起こさないように気を付けましょう。

自身が経営する法人の事業所が存在する自治体のルールをしっかりと理解して、毎年の法人税等の金額を把握した上で、税金対策に臨みましょう。

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