法人保険の損金は全損、半損、1/3損のどれがいいの?選び方のポイント

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法人保険に加入すると保険料が損金になり、節税できるという話を聞いたことがあると思います。

たしかに、保険料が損金になれば、法人税を抑えることができます。しかし、法人保険を選ぶ時は、保険料が損金になることだけでなく、解約する時のことまで考えておく必要があります。また、法人保険は全額損金になるものだけでなく、1/2損金、1/3損金のものもあり、それぞれに向き不向きがあります。

そこで、この記事では、法人保険で損金算入して効果を最大にする選び方のポイントと、全額損金タイプ、1/2損金タイプ、1/3損金タイプのそれぞれの活用法をお伝えしたいと思います。

1. 法人保険の損金タイプを選ぶ4つのポイント

法人保険は全額損金、1/2損金、1/3損金のものがあり、それぞれ保険会社によっても内容が違います。そこで、3タイプそれぞれについてお伝えする前に、自分の会社に合った法人保険を選ぶうえで必ず押さえていただきたいポイントをお伝えします。以下の4つです。

  1. 保険料を支払うといくら税金が抑えられるか
  2. 解約したら支払った保険料の何%が戻ってくるか
  3. 解約して受け取ったお金を何に使うか
  4. 保険料を支払い続けられるか

どのタイプを選ぶにせよ、この4つのポイントを押さえていただけば、ご自身の会社に合ったものを選ぶことができるはずです。以下、詳しくお伝えしていきます。

1.1. 保険料を支払うといくら税金が抑えられるか

まず、保険料を支払うと、いくら税金が抑えられるかということです。

それは、保険料のうちどれくらいの割合が損金に算入されるかによります。法人保険には全額損金タイプ、1/2損金タイプ、1/3損金タイプがあります。

たとえば保険料年300万円だと、損金に算入される額は、全額損金タイプは300万円、1/2損金タイプは150万円、1/3損金タイプは100万円です。

これだけ見ると、全額損金タイプが最もお得なようにも思えます。ただし、それが最終的に「節税」につながるかは、この後の3つの要素も含めて考える必要があります。

1.2. 解約したら支払った保険料の何%が戻ってくるか

法人保険は、解約するとお金(解約返戻金)が戻ってきます。

良いタイミングで解約すれば、戻ってくる率(返戻率)は高くなります。しかし、返戻率が低いと損をしてしまうことがあります。たとえば、保険料総額が3,000万円、返戻率40%だとすると、1,200万円しか戻ってこないということです。

なので、解約返戻金の返戻率の高さと、高くなる時期(ピーク)がいつなのかが重要です。返戻率が高くてピークが長く続くものが望ましいということになります。

返戻率のピークのイメージ

ただし、返戻率の高さは保険の種類によっても、保険会社によっても様々ですので、比較して最もご自身の会社に有利なものを選ぶことになります。その際、重要なのは、解約返戻金の使い道です。次にお伝えします。

1.3. 解約して受け取ったお金を何に使うか

保険料が全額損金になれば、その年度の法人税は抑えられます。しかし、それが「節税」になるとは限りません。

なぜなら、保険料が損金になる法人保険は、解約返戻金を受け取ると、益金が発生するからです。益金の額の計算方法は、全額損金タイプ、1/2損金タイプ、1/3損金タイプのそれぞれで以下の通りです。

  • 全額損金タイプ:解約返戻金額
  • 1/2損金タイプ:解約返戻金額-保険料総額×1/2
  • 1/3損金タイプ:解約返戻金額-保険料総額×2/3

解約返戻金額から差し引かれるのは、保険料のうち、損金に算入されなかった部分です。その部分についてはすでに税金が取られているからです。

たとえば、保険料1,500万円、解約返戻金額1,350万円(返戻率90%)の場合、益金算入額は、全額損金タイプ、1/2損金タイプ、1/3損金タイプでそれぞれ以下の通りです。

  • 全額損金タイプ:1,350万円
  • 1/2損金タイプ:1,350万円-1,500万円×1/2=600万円
  • 1/3損金タイプ:1,350万円-1,500万円×2/3=350万円

これらの額が益金に算入されるので、そのままだと、以下のように法人税がとられてしまいます(法人実効税率30%で計算)。

  • 全額損金タイプ:405万円
  • 1/2損金タイプ:180万円
  • 1/3損金タイプ:105万円

たとえば、全額損金の保険の場合、保険料総額1,500万円のところ、90%(1,350万円)に減って戻ってきて、そこから税金が405万円差し引かれ、945万円になってしまうということです。

なので、最終的な「節税」の効果を得るためには、同じタイミングで、益金と同額以上を損金に算入する必要があります。

そこで、特に重要なのは、解約返戻金の使い道です。たとえば以下のようなものがあります。

  • 役員に退職金として支払う
  • 赤字をカバーする
  • 大規模な設備投資を行う

会社にぴったりの保険を選ぶのに最も重要なことは、これらの支出をするタイミングに合わせて解約するよう計画を立てることなのです。

1.4. 保険料を支払い続けられるか

最後に、保険料を無理なく支払い続けられる額に設定することが必要です。

法人保険に加入して税金を抑えることができたとしても、運転資金をはじめとして事業に必要なお金がまかなえなくなってしまっては意味がありません。

たとえば、弊社にご相談いただいた法人様で、前期に1,200万円の利益が出て、「節税のため」ということで、営業マンにすすめられるまま、1,200万円の保険に加入してしまったという話がありました。

ご訪問して保険証券をすべて見せていただきましたが、保険料の支払いが今後会社の経営を圧迫するのは明らかで、しかも解約返戻金の使い道も特にあてがないということでしたので、ごく一部を除いてすべて解約していただくのをおすすめするほかありませんでした。

くれぐれも、保険料を無理なく支払い続けられる額に設定していただくことをおすすめします。

では、これから、全額損金タイプ、1/2損金タイプ、1/3損金タイプそれぞれが有効なケースをお伝えしていきます。

2. 全額損金タイプの保険が有効なケース

まず、全額損金の定期保険です。2つの活用法があります。

  • 若い役員にかけて、年長の経営者・役員の退職金を準備する
  • 返戻率80%以上の期間が長いものを選び、3年~20年後までの赤字のリスクに備える

2.1. 若い役員にかけて、年長の経営者・役員の退職金を準備する

全額損金定期保険は、保険料を支払っている間は税負担の軽減効果が大きいです。

しかし、解約返戻金の返戻率が1/2損金タイプ、1/3損金タイプと比べて低めであることと、解約返戻金の返戻率のピークが10年後くらいで、使い道を見つけにくいという点に難があります。

また、全額損金タイプは、解約返戻金を受け取ると全額が雑収入として益金になります。したがって、同じタイミングで損金を計上しないと、結局、保険料が目減りして返ってきて、しかも税金が取られてしまうという「泣き面に蜂」状態になってしまうのです。

そこで、年齢が若い方にかけて、年長の経営者・役員の方の10年後くらいの退職金を準備する方法があります。返戻率は90%を超えることもあります。

たとえば、あなたが50代~60代であれば、お子様等の若い役員の方にかけておいて、10年後くらいに解約して、あなた自身の退職金に充てるのです。

なお、最近は、年齢が50~60歳くらいの方でも、解約返戻金の返戻率が80%以上に設定されているものが発売されています。これは、死亡保険金が受け取れるケースがケガで亡くなった場合に限られる代わりに、返戻率を高めにしているのです。「死亡保障はいらないから、10年くらいで税金を抑えながら退職金を積み立てたい」とお考えの方には、向いていると思います。

2.2. 返戻率80%以上の期間が長いものを選び、3年~20年後までの赤字のリスクに備える

全額損金タイプの2つ目の活用法は、黒字の年度に保険料を損金算入して税金を抑え、赤字のリスクをカバーする方法です。

全額損金の保険の中には、解約返戻金の返戻率のピーク期間、つまり返戻率が80%以上になる期間が3年後~20年後くらいまで長く続くものがあります。

もしもその間に赤字が出たら、必要な分だけ解約して解約返戻金を受け取って、赤字をカバーできます。

3. 1/2損金タイプの保険が有効なケース

1/2損金タイプの保険が向いているのは、以下のケースです。

  • 50~60代の経営者の方の退職金を準備する
  • 返戻率が100%以上になるものを選び、5年~20年後までの赤字のリスクに備える

3.1. 50~60代の経営者の方の退職金を準備する

1/2損金タイプの保険は、解約返戻金のピークが来るのが5~15年後という比較的近い将来です。

なので、5~15年くらいの期間で、税金を抑えながら退職金等の必要な資金を効率よく貯めるのに向いています。

3.2. 返戻率が100%以上になるものを選び、5年~20年後までの赤字のリスクに備える

1/2損金タイプの保険の中には、解約返戻金の返戻率が最終的に100%以上になるものもあります。そういう保険はたいてい、返戻率が90%を超えるピーク期間も5年~20年後までと長くなっています。

もしもその間に赤字が出たら、必要な分だけ解約して解約返戻金を受け取って、赤字をカバーすることができます。

なお、めでたく赤字を出さずに返戻率のピークを迎えたら、その時に解約して税金を払っても、返戻率100%を超えているので、損はしない計算になります。

4. 1/3損金タイプの保険が有効なケース

1/3損金タイプの保険が向いているのは、以下のケースです。

  • 40代~50代の経営者の方で、退職金を着実に積み立てたい

1/3損金タイプの保険は、税金を抑える効果は薄いですが、返戻率が100%を超える期間が長いので、退職金を手堅く積み立てるのに向いています。

返戻率のピークはちょうど70歳前後で、返戻率が高いものだと、その時の返戻率は105%くらいと高くなっています。しかも、返戻率100%超の期間がその前後10~15年間と大変長いのです。

このことは、40代~50代の方にとって、退職金を準備するのにちょうどいいのです。

まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

保険料を損金に算入できる法人保険には、「全額損金」「1/2損金」「1/3損金」の3つのタイプがあります。

これらのうち、とりあえず税金を抑える効果が高いのは、全額損金です。しかし、解約返戻金を受け取ると、今度は逆に全額または一部の額が益金に算入されるので、解約返戻金の使い道を考えておく必要があります。

全額損金タイプ、1/2損金タイプ、1/3損金タイプはそれぞれ、活用法と有効なケースが違います。目先の税金を減らすことだけではなく、将来のことを考えて、ご自身の会社にとってベストなものが何なのか、よく考えていただきたいと思います。

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出岡 大作

出岡 大作

行政書士資格保有。保険や税金や法律といった分野から、自然科学の分野まで、幅広い知識を持つ。また、初めての人にも平易な言葉で分かりやすく説明する文章技術に定評がある。
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