医療費控除|確定申告するときに知っておくべき全知識

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年が明けると確定申告の時期がやってきます。そこで確定申告の時期になると注目されるのが「医療費控除」です。医療費控除とはかかった医療費の一部を税金(所得税)から控除することです。

医療費控除は確定申告をしなければいけませんが、ルールを知らなければうまく活用できません。どのようなものが対象となるのか、そして申請方法など知っておかなければいけないことがたくさんあります。

この記事では医療費控除で確定申告するときに押さえておくべきことをお伝えします。これから確定申告を考えている方も来年以降に考えている方にも役立つ内容となっていますので、是非参考にしてください。

目次

1. 最大で200万円控除される医療費控除

2. 医療費控除の対象となるもの

3. 医療費控除の対象とならないもの

4. 新しいセルフメディケーション税制

5. 医療費控除の申請方法

6. 医療費控除で必ず押さえておくべき7つのポイント

1. 最大で200万円控除になる医療費控除

まずははじめに医療費控除の基本的なことをお伝えしておきたいと思います。

医療費控除とは医療費が多くかかった年に、その医療費の負担を少しでも軽くするために、かかった医療費の一部を税金から控除することです。確定申告にて申告します。

なお、平成29年度から、従来の医療費控除の代わりに、健康診断や予防接種を受けた方が自分で薬を買った代金の額の分について控除が受けられる「セルフメディケーション税制」が利用できるようになっています。後ほど詳しくお伝えしていますので、そして、お得な方をお選びになって申告していただくことをおすすめします。

それでは実際の計算方法からお伝えします。

1.1. 医療費控除の計算方法

自分や家族のために支払った医療費等の実質負担額が、年間(1~12月)10万円(所得金額が200万円未満の人は「所得金額×5%」の額)を超えた場合、その超えた金額をその年の所得から差し引くことができます。控除できる金額の上限は200万円です。

ただ、保険金などで補てんされた場合はその金額を差し引かなければいけません

計算式は以下のようになります。

還付計算式

1.2. 医療費を補てんする保険金

保険金などで補てんされる金額は差し引かなければいけませんが、具体的には以下のものが該当します。

  • 出産育児一時金や配偶者出産育児一時金など健康保険から支給されたもの
  • 高額療養費など健康保険から支給されたもの
  • 損害賠償金、補てんを目的として支払わたもの
  • 傷害費用保険金や医療保険金、入院給付金など生保会社または損保会社等から支払を受けたもの
  • 給付金、医療費の補てんを目的として支払われたもの

2. 医療費控除の対象となるもの

医療費控除の対象となるのは主に治療目的のものが認められます。

医療費控除の対象となるものをチェックして、以下の領収書は必ず保管しておきましょう。

2.1. 入院・通院・治療・検査

  • 医師に支払った診療費・治療費
  • 医師が治療目的で必要だと判断して作成した診断書代
  • 医師の指示による差額ベッド代
  • 治療のためのマッサージ・はり・お灸など
  • 治療のための松葉杖・義足の購入費用
  • 特定健康検査・特定保健指導
  • 入院時に提供される食事代
  • 通院や入院のための交通費
  • 電車やバスでの移動が困難な場合のタクシー代
  • レーシック手術
  • 医師が治療上必要と判断した近視矯正手術・メガネ・コンタクトレンズ代

2.2. 出産

  • 妊娠中の定期検診・出産費用
  • 助産師による分娩の介助料
  • 流産した場合の手術費・入院費・通院費
  • 母体保護法に基づく理由で妊娠中絶した場合の手術費用

2.3. 歯科

  • 虫歯の治療費・金歯・銀歯・入れ歯の費用
  • 治療としての歯列矯正

2.4. 医薬品

  • 医師の処方箋により薬局で購入をした医薬品
  • 病気やケガの治療のために、病院等に行かず、薬局で購入した医薬品

詳しくは国税庁のHPをご覧ください。

3. 医療費控除の対象とならないもの

医療費控除の対象とならないものは主に美容目的や予防、健康増進のものになります。ただし、医師が治療目的と認めたものについては医療費控除が認められることがあります。

医療費控除の対象とならないものは以下のようになります。

3.1. 入院・通院・治療・検査

  • 医師等の謝礼
  • 美容整形
  • 予防注射の費用
  • 医師の指示によらない差額ベッド代
  • 会社や保険会社に提出する診断書代
  • メガネ・コンタクトレンズの購入代金
  • 体の異常がない場合の定期検診や人間ドック費用
  • 通院のための自家用車のガソリン代や駐車代
  • 入院時のパジャマや洗面用具など

3.2. 出産

  • 出産のために実家に帰る交通費
  • カルチャーセンターでの無痛分娩の受講料
  • 母体保護法によらない妊娠中絶のための手術費

3.3. 歯科

  • 美容のための歯科矯正
  • 歯石除去のための費用

3.4. 医薬品

  • 疲労回復・健康増進・病気予防などのために購入した医薬品

4. 新しいセルフメディケーション税制

実は、2017年から、所得税の医療費控除の制度が使いやすくなり、人によっては今までよりも簡単に節税できるようになりました。「セルフメディケーション税制」と言われるものです。

具体的には体調不良の時に「ガスター」や「パンシロン」、「パブロン」や「ナロン」を買って飲んだことがあることと思います。あるいは、肩こりを治そうとして「フェイタス」を貼ったり「アリナミンEXゴールド」を飲んだりしているかも知れません。

もしそうだとしたら、所得税が大幅に節税できる可能性があります。

4.1. 自分で医薬品を買うと所得税・住民税が節税できる

その年に総額1万2,000円超の「スイッチOTC医薬品」を購入した人は、所得税・住民税の確定申告をすれば、1万2,000円を超えた部分を所得から差し引いてもらえます。ただし上限があり、8万8,000円までです。つまり、メリットがあるのは代金総額10万円までということです。

たとえば、私が肩こり対策でよく買う「アリナミンEXゴールド」は「スイッチOTC医薬品」ですが、もしもこの「アリナミンEXゴールド」(90錠入り1瓶・メーカー希望価格税込5,400円)を1日3錠飲むと1年に12瓶(360日分)購入することになります。そして代金は総額6万4,800円になります。

これで、もし私の所得の額に所得税・住民税が合計20%かかるとすると、セルフメディケーション税制を利用すれば

(6万4,800円-1万2,000円)×20%=1万560円

で、年間約1万560円の節税になります。

4.2. 健康診断・予防接種を受けるのが必須

セルフメディケーション税制の適用を受けるには、以下のいずれかの健康診断・予防接種を受ける必要があります。

  • 勤務先で受ける健康診断・人間ドック等
  • 健康保険組合・市町村国保等が実施する健康診断・人間ドック等
  • 市町村が生活保護受給者等を対象として行う健康診査
  • メタボ検診(特定健康診査)または特定保健指導
  • 市町村で受けられるがん検診

なぜかというと、セルフメディケーション税制の趣旨はそもそも、「できるだけ医者に行かずに自分で健康管理して、病気を予防して、治してほしい」ということだからです。

「健康管理・病気の予防の努力をしていること」+「自分で治そうとしていること」

の両方が求められているというわけです。

4.3. セルフメディケーション税制対象商品の見分け方

セルフメディケーション税制の対象となるのは「スイッチOTC医薬品」のみです。

イメージが湧きにくい名前ですが、「もともと医者の処方箋がなければ買えなかったが、今は気軽に買える医薬品」だとイメージしていただけば間違いありません。

「スイッチOTC医薬品」かどうかは薬効・用途ではなく「有効成分」で決められています。有効成分は85種類で、厚生労働省のHPで公表されています(平成30年10月30日時点)。

胃腸薬、風邪薬、水虫の薬や塗り薬、肩こりの薬、湿布まで、幅広く約1700商品が指定されています。

やっかいなのは、同じジャンルの商品でも、「スイッチOTC医薬品」になっているものとそうでないものがあることです。一例を挙げると「アリナミン」シリーズのうち「スイッチOTC医薬品」は「アリナミンEXゴールド」だけで、他の商品は全部違います。

こう書くといかにもやっかいそうに思えますが、実は見分けるポイントが3つあります。

以下、購入する前にスイッチOTC医薬品かどうかを見分ける3つの方法を、確実性が高い順に説明します。

  • 見分け方1:厚生労働省のHPで確認する
  • 見分け方2:ドラッグストア等のHPで確認する

なお、購入後にレシートを受け取ると、スイッチOTC医薬品である旨の印が付いています。この点については後でお伝えします。

見分け方1:厚生労働省のHPで確認する

スイッチOTC医薬品は厚生労働省HPの『セルフメディケーション税制対象医薬品 品目一覧』を確認することができます。公的なデータですし、全ての商品が網羅されていて、あいうえお順に並んでいるので、これが最も確実です。

見分け方2:ドラッグストア等のHPで確認する

ドラッグストアチェーン「ココカラファイン」「マツモトキヨシ」等のHPでは、対象商品が一目で分かるようになっています。
ただし、全部の商品が掲載されているわけではありません。

4.4. セルフメディケーション税制で節税する上での注意点

次に、セルフメディケーション税制で節税するには、次の年度の初めに確定申告をする必要があります。その際、事前に準備しておくべきもの等、注意点についてお伝えします。

注意点:1 健康診断結果通知書・領収書をとっておく

上でお伝えしましたが、セルフメディケーション税制の適用を受けるには、以下のいずれかの健康診断・予防接種を受ける必要があります。

  • 勤務先で受ける健康診断・人間ドック等
  • 健康保険組合・市町村国保等が実施する健康診断・人間ドック等
  • 市町村が生活保護受給者等を対象として行う健康診査
  • メタボ検診(特定健康診査)または特定保健指導
  • 市町村で受けられるがん検診

そして、これらを受けたことの証明として、健康診断結果通知書や、予防接種の領収書をとっておく必要があります。

健康診断結果通知書はコピーを出せば大丈夫ですが、その際、コピーは診断結果の部分を黒塗りにして出すことをおすすめします。なぜなら、健康診断を受けたことが分かりさえすれば「日頃から健康管理に気を使っている」という証明になるからです。

注意点:2商品を買ったらレシート・領収書をとっておく

対象商品を買ったら、レシート・領収書をとっておきましょう。レシートで大丈夫です。

法令で、販売業者はレシートに、セルフメディケーション税制の対象医薬品であることが分かるように目印を付け、それが「セルフメディケーション対象商品です」などと記載しなければならないことになっています。一応、確認しておきましょう。

以下の画像はドラッグストアチェーン「ダイコクドラッグ」のレシートです。こんな感じです。

レシート画像

このように、どれがセルフメディケーション税制の対象なのか、一目で分かるようになっています。

注意が必要なのは、インターネットで購入した場合です。領収書のデータをプリントアウトしたものは、領収書として認められません。必ず、業者に依頼して領収書を発行してもらう必要があります。また、その領収書には「セルフメディケーション税制対象商品」といった記載が必要です。

5. 医療費控除の申請方法

5.1. 医療費控除に必要なもの

医療費の控除を受けるためには、確定申告が必要です。 まずはじめに確定申告の申請に必要なものについてお伝えしたいと思います。

サラリーマンの場合 1.源泉徴収票 2.領収書など医療費の支出を証明する書類 3.領収書のない医療費(通院交通費等)の支払明細(自分で作成する)

サラリーマン以外の方の場合 1.領収書など医療費の支出を証明する書類 2.領収書のない医療費(通院交通費等)の支払明細(自分で作成する)

5.2. 医療費の明細書の記入方法

確定申告書に設けられている医療費控除の記入欄は1行ですので、自分で明細書を作成して申告書に添付しても良いのですが、税務署に「医療費明細書」がありますので、そちらを使うと便利です。

医療費明細書の記入例は、国税庁の『平成30年分確定申告特集(準備編)』に掲載されています。

【「確定申告書等作成コーナー」】
自分で確定申告書を作成する場合は、国税庁のホームページの「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば必要事項を入力するだけで確定申告書を作成することができます。画面に従い、源泉徴泉票などから必要事項を入力し、プリンターでプリントアウト、押印して必要な書類を添付して税務署に送付すれば完了です。税務署にわざわざ出向く必要もないので忙しい方にはおすすめです。

5.3. 医療費控除を上手に利用する3つのコツとは

ここでは医療費控除を上手に利用する3つのポイントについてお伝えします。

以下の3つのポイントを押さえておいてください。

① 医療費の領収書はきちんと管理しておく

出産費用や入院費用、歯の治療(自由診療)は医療費控除の要ともいえる存在です。この3つの医療費はどれも多額の医療費の支出を伴うものだからです。医療費の出費が多い年こそ領収証を大切にとっておかなければいけませんが、それだけを対象に医療費控除の申請を行う方も多いのではないでしょうか。

配偶者や子どもが頭痛や風邪などで医者にかかったり、医薬品の購入代金なども医療費控除の対象になります。

医療費が10万円に満たないふつうの年ですと意味がないかもしれません。しかし、たとえば18万円医療費がかかった年ですと、数千円などの細かい支出でも申請すればまるごと控除できることを覚えておきましょう。少額のレシートや領収証だけでも年間を通して数万円になるケースもあるので、きちんと保管しておくことが望ましいです。

② 医療費の支払いは年中にすませておく

例えば医療費18万円を今年9万円、翌年9万円と分けて支払うのは避けるようにしましょう。

なぜかといいますと、医療費の支出が10万円を超えないと医療費控除の額がゼロになってしまうからです。一度に支払うと8万円(18万円-10万円)の控除を受けることができますが、18万円の支払いを今年14万円、翌年に4万円と分けて支払う場合、翌年の支払い分が控除されにくくなってしまいます。したがって、医療費控除の効果を最大限活用するためには医療費の支払いは年中にすませておくことをお勧めします。

③ 領収証がなくても控除にできる可能性はある

医療費控除の申請をする際に医療費の支払いを証明する領収書の添付が必要ですが、領収証をもらい忘れてしまったり、紛失をしてしまったりすると、医療費控除の申請ができないと考える方もいるかもしれませんが、領収証がなくても控除にできる可能性はあります。

例えば、病院などの診察券と処方された薬の袋で支払い先がわかります。そして家計簿などの収支を記してあるものによって支払った金額がわかれば、領収証がなくても支払った事実を証明することができるのです。これらを税務署に持っていき内容をチェックしてもらい係官に理解してもらうことができれば、領収証がなくても医療費控除が認められることになります。

6. 医療費控除で必ず押さえておくべき7つのポイント

最後に医療費控除で必ず知っておくべきことをお伝えします。以下の7つは押さえておきましょう。

6.1. 医療費控除は自分だけではなく家族の支払いも対象となる

医療費控除は会社員本人だけが支払った分だけではありません。自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族(両親や子供など)のために支払った医療費も含みます。

健康保険証が別々でも税法では医療費に合算できます。健康保険法の扶養家族と税法上の家族の定義は異なります。なので自分だけでなく配偶者や家族の分も合計して控除を受けることができます。

6.2. 会社員も確定申告をする

よく生命保険料控除などの年末調整と混同する人がいますが、医療費控除は会社員でも2月16日~3月15日までに確定申告をしなければいけません。

6.3. 医療費控除は5年まで遡って申告できる

医療費控除は仮に申告をし忘れても5年間は遡って申告することができます。

6.4. 住宅ローン控除などで所得税の支払いがなくても確定申告する

住宅ローン控除などにより所得税の支払いがなくても医療費控除により課税所得を下げることによって、住民税が軽減されるので所得税の支払いがなくても医療費控除の確定申告をしておきましょう。

6.5. 家族の中で1番収入が多い人が申告をする

所得税は所得が高い人ほど税率が高くなるので所得の高い人にまとめて申告したほうが有利になる場合があります。

6.6. 確定申告はインターネットでもできる

確定申告をする場合、基本は住民票がある地域の税務署で行います。

インターネットで確定申告をする「e-Tax」というものもあります。

こちらがe-Taxです。

6.7. 確定申告に必要なもの

確定申告をする場合には以下のものが必要となります。

  • 給与所得の源泉徴収票(原本)(給与所得のある人)
  • 領収書など医療費の支出を証明する書類
  • 医療費明細書

まとめ

医療費控除は確定申告をしなければ還付を受けることができません。思ったよりも多くのものが医療費控除の対象となります。特に家族がたくさんいる人は1年間で医療費控除の該当する支払いが多くなるので是非、領収書は取っておきましょう。

なお、平成29年度から、従来の医療費控除と選択的に利用できる制度として「セルフメディケーション税制」が施行されています。詳しくは『誰でもできる!セルフメディケーション税制で超簡単に節税する方法』で説明しておりますので、ご参照ください。

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