高度障害とは?知っておきたい認定条件と働けない時の備え


生命保険で「死亡」と並んで保険金を受け取れる「高度障害」は、ケガや病気などによって体の機能が損なわれている状態を指すのですが、具体的にはどのような状態なのかはイメージしにくいものです。
高度障害と認定されるのは相当重篤な場合に限られています。
もし高度障害を「働けなくなる程度の障害」であると勘違いしていると、いざ働けなくなった時に痛い目を見てしまう可能性があるのです。
今回はそんな高度障害について、具体的な定義を紹介すると共に、働けなくなくなった時に備えることのできる保険についても紹介します。
1.高度障害とは
高度障害とは、ケガや病気などによって体の機能が一定以上損なわれている状態のことです。
以下の7通りに分類されます。
- 視力の障害
- 言語またはそしゃく能力の障害
- 中枢神経系・精神または胸腹部臓器の障害による終身介護状態
- 両上肢の障害
- 両下肢の障害
- 一上肢の切断と一下肢の障害
- 一上肢の障害と一下肢の切断
それぞれについて、生命保険文化センターによる定義をもとに、詳しく説明します。
1.1.視力の障害
両目の視力を失った場合、高度障害と認定されます。
特筆すべきなのは、全盲の場合だけでなく、メガネ等で矯正した上で両目の視力が0.02以下で、かつ今後回復の目途が立っていない場合も高度障害として認められるということです。
視野狭窄や眼瞼下垂の場合は、視力を失ったわけではないので、高度障害にはあたりません。
1.2.言語またはそしゃく能力の障害
しゃべれなくなったり固形物が食べられなくなったりした場合です。
言語能力については明確な基準が設けられており、以下の発音機構の中で3種類以上が発音できなくなった場合に認定されます。
- 口唇音(こうしんおん)=ま行音、ぱ行音、ば行音、わ行音、ふ
- 歯舌音(しぜつおん)=な行音、た行音、だ行音、ら行音、さ行音、しゅ、し、ざ行音、じゅ
- 口蓋音(こうがいおん)=か行音、が行音、や行音、ひ、にゅ、ぎゅ、ん
- 喉頭音(こうとうおん)=は行音
また、そもそも声帯がなくて言葉を発することができない場合や、中枢性失語症により脳内で言語を作り出せない場合も、もちろん高度障害です。
そしゃく能力については、固形物を噛み砕き、唾液と混ぜることができない場合、高度障害と認定されます。
1.3.中枢神経系・精神または胸腹部臓器の障害による終身介護状態
中枢神経や精神、胸腹部臓器の障害により、以下のすべてにあてはまる状態です。
- 箸、スプーン、フォークなどの食器を使用しても、自力で食物を口まで運ぶことができない
- 様式便器を利用しての大小便の排泄が自分でできない
- 大小便を排泄した後に、身体の汚れた部分を自力でぬぐうことができない
- Tシャツやトレーナーなどのボタンやチャックがない衣服を自力で着たり脱いだりできない
- 横になった状態から、自分で起き上がって座った姿勢を保つことができない
- 他人のサポートがないと自分で歩けない
- 自力で浴槽に入ったり出たりすることができない
上記のうち1つでも自分でできる場合は、高度障害とみなされません。
また、「他人のサポートがないと自分で歩けない」「自力で浴槽に入ったり出たりすることができない」については、手すり等を使えば自力でできる場合は、高度障害として見なされません。
1.4.両上肢とも手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
両腕が手首以上の部分で切断されている、あるいは両腕全体または関節が麻痺などによって全く動かせない場合のことです。
関節が固まっていて動かせない場合は、稼動範囲が通常の1/10以下であれば高度障害とみなされます。
1.5.両下肢とも足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
両脚が足首以上の部分で切断されている、あるいは両脚全体または関節が麻痺などによって全く動かせない場合のことです。
腕の場合と同様に、関節が固まっていて動かせない場合は、稼動範囲が通常の1/10以下であれば高度障害とみなされます。
1.6.一上肢を手関節以上で失い、かつ、一下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
片腕と片脚について、以下のような状態にあてはまる場合です。
- 片腕を手首以上で切断し、片脚を足首以上で切断している
- 片腕を手首以上で切断し、片脚が全く動かせないまたは片脚の関節が完全に麻痺して自力で動かせない
- 片腕を手首以上で切断し、片脚の関節すべてが完全に固まって動かせないか、稼動範囲が通常の運動範囲の1/10以下となり回復の見込みがない
1.7.一上肢の用を全く永久に失い、かつ、一下肢を足関節以上で失ったもの
片腕と片脚について、以下のような状態にあてはまる場合が該当します。
- 片脚を足首以上で切断し、片腕が全く動かせないまたは片腕の関節が完全に麻痺して自力で動かせない
- 片脚を足首以上で切断し、片腕の関節すべてが完全に固まって動かせないか、稼動範囲が通常の運動範囲の1/10以下となり回復の見込みがない
2.高度障害は想像以上に重篤な状態
高度障害に対する保障は生命保険に当然に付いていることがほとんどです。
基本的には死亡と同額の保険金を受け取ることができ、死亡時と同じように保険金の支払いと同時に保険契約自体が終わります。
死亡時と同等の保障を受けられることから分かるように、保険会社では高度障害は死亡と同程度に重篤な障害であると扱われているのです。
高度障害という言葉だけだと「働けなくなる程度の障害」かなと思ってしまいますが、実際には先述した要件を見れば分かるように、かなり重篤な状態にならない限り、高度障害とはみなされません。
つまり、万一働けなくなった時に備えるのであれば、高度障害に対する保障だけでは不十分なのです。
一応、会社員(従業員)や公務員であれば「傷病手当金」や「障害年金」といった社会保障を受け取ることができますが、自営業の場合は「傷病手当金」を受け取ることができず、直近の生活が保障されません。
もし働けなくなった時に備えたいのであれば、高度障害に対する保障に加え、「所得補償保険」や「就業不能保険」への加入をおすすめします。
2.1.働けなくなった時の社会保障について
ケガや病気などで働けなくなった際には、以下のような社会保障を受け取ることができます。
- 傷病手当金
- 障害年金
それぞれについて説明します。
①傷病手当金
「傷病手当金」とは、業務外の病気やケガで働けなくなってしまい、給料が支払われないまたは給料が下がってしまった場合、その間の生活を保障をしてくれる社会保障制度です。
医師からドクターストップが出た段階で申請することが可能で、支給金額も標準報酬日額の2/3と、何とか生活できる金額を受け取ることができます。
ただし、支給期間の上限が1年6ヶ月と決まっており、それ以降については全く保障されないので注意が必要です。
また、傷病手当金を受け取れるのは会社員(従業員)・公務員のみとなっています。
自営業者は受け取ることができません。
詳しくは「傷病手当金とは?支給額と支給期間と押さえておきたい申請の方法」をご覧ください。
②障害年金
「障害年金」は長期的に働くことができなくなった人の生活を保障するために作られた社会保障制度です。
障害状態に至った病気・ケガの初診日から1年6か月後に申請を行い、審査などを経て支給が開始されます。
ちょうど傷病手当金の支給期間が終了してから申請を行うことになるため、基本的には1年6ヶ月で傷病手当金から障害年金へ移り変わるといった流れです。
障害年金は傷病手当金と違い、自営業者でも受け取ることができるのですが、会社員とは支給額に大きな違いがあります。
年間で受け取れる障害年金人によって違い、自営業者なら年間78万円~140万円程度、会社員は年間58万円~300万円程度です。
上記の数値からも分かるように、生活資金として見るには不安な額である場合を多いのが実情といえます。
詳しくは「障害年金とはどういうもの?必ず知っておきたい基礎知識」をご覧ください。
2.2.働けなくなった時に備える保険について
上記の社会保障では、もし働けなくなった際に生活を維持できるか不安という人のために、以下のような保険があります。
- 就業不能保険
- 所得補償保険
詳しく見ていきましょう。
①就業不能保険
「就業不能保険」は、「就業不能状態」になった際に、一定期間保険金を受け取ることができる保険です。
基本的には定年となる60歳や65歳までを保障期間にすることが多く、月当たり数千円程度の保険料を支払えば、毎月十数万程度の保険金を受取ることができます。
「就業不能状態」と見なされる条件は保険会社ごとに定められており、意外と厳しめです。
例えば、とある保険会社では、「60日以上」や「180日以上」といった長期間、入院しているか、もしくは自宅療養中で全ての業務に従事できない状態が続いていることをさします。
つまり、上記の条件の場合は一定期間以上働けない状態が続かないと、保険金を受け取ることができないというわけです。
就業不能保険を検討する際は、どんな場合に給付金を受け取れるか確認しておくことが重要になります。
詳しくは「就業不能保険とは?知っておきたい保障内容と必要性」をご覧ください。
②所得補償保険
今後の就労が困難な場合にお金が受け取れる就業不能保険に対して、所得補償保険では仕事を休んで療養が必要との医師の診断書さえあれば、保険金を受け取ることが可能です。
ただし、保険期間は短く、最長で2年程度です。
比較的簡単に保険金を受け取れることや保険期間が短いことなど、傷病手当金と共通する部分が多くなっています。
特に、傷病手当金を受け取ることができない自営業者の方におすすめしたい保険です。
詳しくは「所得補償保険とは?加入を考える上で知っておきたいこと」をご覧ください。
まとめ
高度障害は目が見えない、しゃべれない、動けないなど、日常生活を送るのも困難なほどに重篤な状態を指します。生命保険では、高度障害状態に陥ると、死亡と同様に保険金を受け取れます。
「高度障害に対する保障のある生命保険に加入しているから大丈夫」と思っていると、働けなくなった時に大変なことになりかねません。働けなくなった時の保障を備えておきたいのであれば、生命保険とは別に、働けなくなった時に備える保険への加入も検討することをおすすめします。



