逓増定期保険を考えるときに必ず知っておくべき有効な5つの活用法

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
a0008_001844

法人保険の代表的な商品が逓増定期保険です。逓増定期保険の特徴は定期保険の中でも死亡保険金が年々増加するものです。そして貯まっていくお金(解約返戻金)が早期にピークを迎えることです。

その特徴を利用して、節税・退職金の準備・事業継承対策など様々な使い方があります。

法人保険の中でも活用法が多い商品ですが、使い方次第でメリットにもデメリットにもなる商品です。

今日は逓増定期保険の有効な活用法と注意点をお伝えします。逓増定期保険を上手に活用して会社のお金を有効に使っていきましょう。

1. 経営者の死亡保障として活用する

逓増定期保険ですが、基本は生命保険なのでまとまった死亡保障になります。経営者に万一のことがあった場合、社内が混乱し、銀行や取引先などからの信用が落ち、経営が危機に立たされることもあります。

また、役員や社員への給与や賞与が十分に支払われない可能性もあります。 逓増定期保険に加入していれば、ある程度まとまった死亡保険金が支払われ、経営を立て直し資金にすることができます。

逓増定期保険は初めに契約をしたときから死亡保険金が増えるという特徴があります。会社の成長に合わせて保障も増えていくので合理的と言えます。

逓増定期保険 図

上記の例では契約当時(40歳時点)では死亡保険金額が1億円ですが年々上昇していき、65歳から70歳は死亡保険金額が5億円になります。

2. 節税として活用する

逓増定期保険を使う1番の目的はこの節税です。契約の内容によって違いますが保険料の1/2が損金計上できます。例えば年払保険料が1,000万円だった場合500万円が損金になります。

そこで「保険料を払うと会社にお金が残らないじゃないか」と疑問を感じた人もいたと思いますが、この逓増定期保険はお金が貯まっていくので解約返戻金があります。

たしかに保険料を支払うと保険会社にお金を払うことになりますが、そのお金は解約すれば解約返戻金として戻ってきます。その解約返戻金が逓増定期保険の場合ピークになるのが早いので商品によっては5年ほどで支払保険料の100%ほど戻ってくる商品もあります。

イメージとしては保険会社にすぐに引き出せるお金をプールしてある状態になります。

他の節税方法を使っている人も多いと思いますが、経費を増やす、福利厚生に使うなど場合、法人税は減らせても、個人の所得税は増えるなど実際は節税になっていないケースが多々あります。

そこでこの逓増定期保険を使うと確実に法人税を減らすことができます。

例えば、、、

これから以下の人を例にして解説します。

  • 40歳男性
  • 死亡保険金額:1億円
  • 保険料:年払1,000万円
  • 保険期間:70歳

年払保険料約1,000万円支払っていくと上記の契約だと、1/2を損金計上することができますので約500万円損金として計上できます。

そして、この保険はお金が貯まっていきます。例えば6年後に解約をするとそれまで支払った保険料総額が6年間で6,000万円に対して解約したら今まで支払った保険料がほとんど戻ってきます。

お金を貯めながら決算前に利益を圧縮して節税をすることができます。

そして実際の経理処理は以下のようになります。

経理処理

逓増定期経理処理

初めの6/10期間(18年間)は支払保険料の1/2が損金として計上されます。よって500万円の利益が圧縮できます。決算が近づいてきて利益が出ている場合、逓増定期保険を使って節税するのも有効な方法です。

3. 短期で退職金を貯めるために活用する

逓増定期保険の特徴としては解約したときの返戻率が契約後早い段階で高率になります。商品によっては解約時に、5年~10年で支払った保険料が100%戻ってくる保険もあります。在職時には手厚い保障を掛けておき、退職するときには解約して積立部分を退職金にすることができます。

また、現金が会社に雑収入として戻ってくるので退職金支給時の財務状態が圧迫することも避けることができます。雑収入として会社で受け取っても退職金として支払うと課税はさせません。

ただし、ピークを越えると解約したときに戻るお金が減ってくるので、契約するときに何年後に受け取るかしっかりと計画を立てなければいけません。

特に50代~60代の経営者の方におすすめします。

4. 節税をしながら法人から個人に資産移転をさせるために活用する

逓増定期保険を使って法人から個人に資産を移転することができます。すなわち、法人から経営者または後継者などに会社のお金を移すことになります。通常は法人のお金を勝手に個人の資産に移すことはできません。それはあくまでも法人と個人とは別の資産だからです。

資産移転に使う商品としては「低解約返戻金型の逓増定期保険」を活用します。低解約返戻金型とは一定期間の解約返戻金が抑えられその後一気に上昇する商品のことを言います。その特徴を利用して、一気に上昇するタイミングを狙って法人から個人に名義変更をします。

ただし、リスクもありますので、積極的におすすめはしません。

詳しくは『逓増定期保険名義変更プランのしくみと3つの注意点』をお読みいただくとして、以下の例でお伝えしていきたいと思います。

逓増名変プラン

上記の例だと毎年保険料を500万円を法人で4年間支払い、法人から個人に名義変更をします。名義変更をするときは解約返戻金の金額を法人に支払って買い取る形になるので個人で360万円法人に支払い名義変更します。その後1年分の保険料500万円だけ個人で支払い、5年目に解約返戻金が一気に上昇したところで解約します。そうすると2,385万円が受け取ることができます。

買取金額360万円と1年分の保険料500万円を支払うだけで、2,385万円受取ることになります。

そして法人は元々1/2損金で保険料1,000万円と売却によって640万円で合計1,640万円の損金になります。

このように個人は860万円しか支払っていないのに2,385万円受取ることができます。そうすると当然法人は損金が発生するのでその分640万円が損金として計上できます。

個人で解約返戻金を受取った場合は所得税の中でも「一時所得」になります。

一時所得の計算は以下のようになります。

一時所得の計算
上記の契約だと課税所得が737万円(×税率)になるので法人税で支払うよりも有利になります。

ただし、この契約の場合名義変更の時期を逃すと資産をうまく移転できなくなるので注意しなければいけません。また、この方法は会社に損失が発生するので今後法改正により禁止される可能性がありますので積極的にはおすすめしません。もしご検討するにしても、慎重に検討していただきたいと思います。

5. 事業継承対策として活用する

中小企業経営者の頭を悩ませる1つが事業継承ではないでしょうか?事業承継対策の方法はたくさんありますが、生命保険は有効な方法です。その中でも逓増定期保険の特徴を生かして対策をする方法がありますのでお伝えしていきます。

自社株の引き下げを行う

事業承継で最も頭を悩まされるのは、自社株です。自社株を買い取るには多額の資金が必要になります。自社株の評価に資本金は基本的には関係ありませんので、特に長く利益が伸びている会社は資本金が1千万であっても純資産が多く、1株当たり数十倍、数百倍というケースもあります。

そこで自社株の評価を一時的に下げ、そこで会社を引き継がせる場合に活用するのが逓増定期保険です。自社株の評価を下げたいからといって単純に損を出すのは会社にとってよくありません。

そこで逓増定期保険を使えば実質損をせずに、自社株の評価を下げることができます。

自社株の評価は会社の規模によってことなりますが類似業種比準方式を採用することが多いです。

※類似業種比準方式とは 評価する会社と事業内容が類似する事業を営んでいる公開会社の株価と比べて株価を算定する方式です。 株価の価格に重要とされる「配当金額」「利益金額」「純資産額」の3つの要素について、「参考にする公開会社の要素の数値」に対して「評価する会社の数値」がどんな偏差があるのか、その割合を求める方法で比較します。

類似業種比準方式の場合「配当金額」「利益金額」「純資産額」の3つの評価が下がれば自社株の評価も低くなります。

それでは事例でお伝えをしていきます。

例 逓増定期保険を使った場合

  • 契約年齢:50歳
  • 保険期間:20年
  • 保険金額:1億円
  • 保険料:年払1,000万円

保険料の経理処理

逓増定期経理処理

毎年の保険料の1/2が損金になりますので、その分自社株の評価は押し下げられます。そして一定期間で解約をすると支払った保険料がそのまま戻ってくるので、会社を引き継いだ後に解約をして保険会社の貯めておいたお金を受取れば、損をせずに、自社株の評価を下げた状態で会社を引き継ぐことができます。

6. 緊急予備資金を簿外資産を貯めていく

逓増定期保険を使うとお金を貯めていけますが、簿外にお金を貯めていけるのがメリットの1つです。通常会社の資産はすべて貸借対照表に記載されますが、保険に加入をすると保険料を支払っていきますが、お金はあくまでも保険会社に保険料として支払っているお金なので保険会社にプールしてある状態になります。解約すればすぐ手に入るお金なので実質的には資産ですが、貸借対照表には記載されません。つまり簿外資産を作ることができます。

簿外資産を作ることによって将来のお金が必要な時でもすぐに現金が用意できます。

例えば毎年の保険料は1,000万円で、2分の1の500万円は保険料として経費で処理され、残りの500万円が保険資産としてBS上に載っていきます。契約から10年がたつと、BSには保険料積立金が5000万円たまります。

この保険は契約から10年で100%が戻ってくる設計となっていて、解約すれば解約返戻金は1億円になります。帳簿(BS)上には出ていない5000万円が解約益として現実化することになります。

損益計算書

貸借対照表

簿外に緊急予備資金を貯めておくことによって、非常事態でまとまったお金が必要になってもキャッシュフローを痛めずにすぐに準備できます。

逓増定期保険の注意点

ここまで逓増定期保険の特徴を利用して活用法をお伝えしていきましたが、最後に気をつけていただきたい注意点をお伝えします。逓増定期保険の特徴は解約したときの返戻率が契約後早い段階で高率になることにあります。

簡単に言うと貯まっているお金のピークが数年と早いです。その特徴を使って節税や退職金準備として加入しますが、ピークを越えると下がっていきます。よって解約するタイミングが遅くなると損してしまう可能性があります。

契約をした後にしっかり管理しておかないと忘れていると、大事なお金がどんどん減っていきます。

逓増定期保険に加入をするときには目的をしっかり決めて、いつ解約してお金を受取るか具体的な計画を立ててから契約をすることが重要です。

まとめ

逓増定期保険は以下のような場合に使うのが有用です。

  1. 税金対策
  2. 経営者や役員の死亡保障をしたい
  3. 短期間(5年~10年)で退職金などお金を貯めていきたい
  4. 法人から個人に資産を移転させる
  5. 事業継承対策
  6. 緊急資金を簿外に貯めていく

逓増定期保険は使い方によって会社にとって有益なものになります。内容を理解して1番効果的な使い方をしましょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
会社の現金を今までより30%多く残す!法人保険の具体的活用術

会社が軌道に乗って利益が出てくるようになったとき、取られる法人税の額に驚いたことはないですか?

会社のキャッシュは自分自身で守ることができます。30%多く残すというのも現実的な話です。たとえば、以下のようなことも可能です。

  • ・ 損益計上のタイミングを調整しながら資金を30%以上多く準備する
  • ・ 同じキャッシュで従業員の退職金を45%以上多く準備する
  • ・ 合計800万円を全額損金にして、利益を繰り延べ確保する

本書では、より多くのキャッシュを残すための法人保険の活用法を、71ページにわたって具体例をもとに詳しく解説しています。

是非ダウンロードして、今後の会社経営にお役立て下さい。


無料Ebookを今すぐダウンロードする

長井 大輔

長井 大輔

保険のパートナー・保険の教科書 運営責任者、今まで1000名以上の個人・法人のお客様のご相談にお応えしてきた生命保険・社会保障・税務・資産運用に精通しているファイナンシャルプランナー
保険の教科書の購読はSNSが便利です。