マイナス金利時代で、お子様の学資を効率よく積み立てる方法は慎重に選ばなければなりません。
たとえば、少し前までは学資保険が定番でしたが、今は必ずしもベストとは言えなくなっています。保険にもいろいろな種類がありますし、保険以外の手段もあります。
もしも、お子様の学資を積み立てるベストな方法について知りたいとお考えであれば、お気軽にご相談ください。
学資保険を選ぶときに知りたいのは、返戻率の良い、元本割れしない商品ではないでしょうか?
私が学資保険の相談を受けるときに、真っ先にご要望を受けるのは「元本割れをしない商品を紹介してください」ということです。
たしかに、学資保険は将来の学費を積み立てるのに有効な商品の一つです。
しかし、現在は、マイナス金利政策の影響から、昔のように返戻率の良い学資保険は少なくなっているのが現状です。なので、学資保険の代わりに、終身保険などの死亡保険を選ぶ方も増えています。
今日は学資保険で元本割れしない商品の見分け方と、学資保険以外で効率よく積立ができる商品についてご紹介いたします。ぜひ参考にしてください。
保険の教科書編集部
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目次
学資保険の元本割れとは「支払った保険料よりも受け取る金額が少ない」ことです。せっかく将来の学費の積立をしているのに、お金が増えるどころか減ることになります。
例えば・・・
10,000円×12か月×18年=2,160,000円(支払保険料総額)
この契約の場合、216万円支払うことになりますが、満期金は210万円しか受取ることができず、6万円減っていることになります。このような契約を「元本割れ」といいます。
お子様のための積立をしていくには、元本割れしない商品、できれば増える商品を選びたいものです。
元本割れしない商品は、一言でいうと「シンプルで無駄のない商品」です。
特徴としては、医療保険特約や育英年金など必要のない特約が付いていないものです。特約が付いていると、その分保険料が発生しているので、将来受け取れるお金が減ってしまい元本割れをします。
例えば・・・
10,000円×12か月×18年=2,160,000円(支払保険料総額)
この契約の場合、216万円支払いをして満期金が240万円受取ることができ、18年間で26万円増やすことができます。このような商品が元本割れをしていない商品です。
※参考「学資保険の特約は注意が必要」
最近は、学資保険でも元本割れをする商品が多くなってきています。その理由は大きく分けて2つあります。
1つ目が長引く低金利の影響です。
バブルのころは利率が高く(1990年ごろの予定利率は5~6%程度)保険会社も運用が計画どおりにいっていました。しかし、その後は政府が低金利政策やマイナス金利政策をとり続けているため、保険会社の運用も苦戦を強いられ、予定利率も下がってきています。
2つ目が保障が付いているケースです。
先ほどもお伝えしたように、医療保険や育英年金など、積立以外の保障が付いているものを選ぶと、元本割れの可能性が高くなります。
学資保険で重要なのは「保険料をいくら払って将来いくら戻ってくるか」です。
元本割れするかどうかは「返戻率」で見分けることができます。返戻率とは、支払保険料総額に対して最終的にいくら受け取れるかを%であらわしたものです。
100%を下回ると元本割れです。逆に、100%を超えて高ければ高いほどお金が多くもらえるのでお得になります。
返戻率の計算式は以下の通りです。
先ほどの例だと・・・
10,000円×12か月×18年=2,160,000円(支払保険料総額)
給付金受取総額(満期金)240万円÷保険料支払総額216万円×100=返戻率111%
このように、返戻率は111%で、将来24万円増えて受け取れることになります。
このように、返戻率を計算すると、元本割れするかどうか見分けることができます。
同じ商品でも、契約の仕方によって返戻率を高めることができるのでご紹介していきます。
できるだけ保険料を短期間で支払ったほうが保険料総額が少なくなり、返戻率が上がります。
例えばA生命の商品について、以下の条件で保険料払込期間を「15歳まで」と「10歳まで」で比較してみましょう。
15,970円×12か月×15年=支払保険料総額2,874,600円
給付金受取総額3,000,000円÷2,874,600円×100=返戻率104.3%
23,623円×12か月×10年=支払保険料総額2,834,760円
給付金受取総額3,000,000円÷2,834,760円×100=返戻率105.8%
保険料の額は、払込期間が「15歳まで」ならば2,874,600円なのに対して、「10歳まで」にすると2,834,760円になり、39,840円10歳払込のほうが安くなります。よって、返戻率も1.5%上がり、保険料を早く払込むだけで返戻率が上がります。
「たった1.5%か…」とお感じになった方もいるかと思いますが、現在の銀行預金の金利は定期預金で0.2%程度がいいところです。こういったことを考えれば、保険会社にお金を預ける学資保険の方が、有利な金利でお金を増やすことができるのです。
保険料を一括で支払うと、前納割引率が適用され、保険料が安くなるため支払保険料総額が少なくなり、返戻率が上がります。
先ほどと同じA社で、以下の条件で保険料を15歳まで支払った場合と、一括で支払った場合を比較してみましょう。
15,970円×12か月×15年=支払保険料総額2,874,600円
給付金受取総額3,000,000円÷2,874,600円×100=返戻率104.3%
支払保険料総額2,751,781円
給付金受取総額3,000,000円÷2,751,781円×100=返戻率109.0%
いかがでしょうか?15歳まで払込の場合2,874,600円に対して、契約時に一括で保険料を払うと2,751,781円になり、一括で払うほうが122,819円安くなります。返戻率も104.3%に対して109.0%となり、4.7%も上がります。
一括払いが難しい場合でも、月払いより年払いにすれば、わずかでも返戻率は上がります。無理のない範囲であれば、まとめ払いをおすすめします。
※参考「学資保険の払込期間はどうすればお得?必ず知っておきたいこと」
低解約返戻金型終身保険は、貯蓄性が割りと高いので、学資保険の代わりに将来の学費を積み立てることができます。
例えばB社の場合・・・
19,887円×12か月×10年=支払保険料総額2,386,440円
・18年後の解約返戻金:2,447,010円÷2,386,440円×100=返戻率102.5%
・30年後の解約返戻金:2,612,400円÷2,386,440円×100=返戻率109.5%
このプランでは10年間保険料を支払うと保険料払込総額が2,386,440円に対して、18年後に解約した時の返戻金が2,447,010円になっています。このお金を学費に使うことができます。
また、学資保険との大きな違いは、契約者の方に万一があった時の死亡保障になることです。このプランでは死亡時に300万円を受け取ることができるので、学費として有効に使えます。
もしも学費に使わなかった場合は、そのまま置いておけば解約返戻金が増え続けます。上記の場合、30年後には2,612,400円、返戻率109.5%に増えるので、そのお金を子供の結婚資金などに使うこともできます。
ただし、保険料払込期間中に解約をしてしまうと、支払ったお金より戻ってくるお金は減ってしまうので注意が必要です。しっかりと払っていけるだけの保険料を設定するようにしましょう。
マイナス金利政策の影響で、学資保険などの利率が悪くなってきていることは最初にお伝えしましたが、その理由は国債で運用されているからです。
そこで最近注目されているのが、「米ドル」や「豪ドル」といった外貨建ての保険です。こちらのほうが、日本円で支払う保険よりも、圧倒的に有利な条件でお金を増やすことができます。
一体どれくらいの差になるのか?具体例から確認していきましょう。こちらの例では分かりやすいように、1ドル100円で計算いたします。
例えば、先ほどと同じB社の条件で比較してみましょう。
このように、同じ300万円(30,000ドル)の保障でも、円建てより外貨建てのほうが安い保険料で死亡保険を買うことができて、さらに解約返戻率については9.7%も差があることが分かります。
外貨建てには為替リスクが伴うので、一概に比較できない部分もあるのですが、ここまで大きな差になることを考えると、外貨建ての終身保険を学資保険の代わりとして検討する方も増えてきているのが現状です。
※参考「外貨建て保険とはどういうもの?知っておくべきメリットとデメリット」
学資保険は将来の学費を積立てていくのに有効な商品です。
ただ、誤って元本割れしてしまう商品を選んでしまうと、せっかくお子様の将来のために積み立てをしているのに、払い込んだお金よりも少ないお金しか受け取れなくなってしまいます。
元本割れしない商品は、余計な特約のないシンプルな商品です。返戻率を計算して、しっかりと見分けましょう。また、できれば返戻率が高い商品を選びましょう。
ただし、現在は学資保険の返戻率が下がっているため、外貨建ての終身保険など、より貯蓄性の高い商品を検討するケースも増えてきています。学資保険にない終身保険のメリットは、学資を積み立てながら、契約者の死亡保障も備えられることです。
学資保険に関しては「学資保険の全知識」でも詳しくお伝えしていますので、参考にしてください。
お子様の学資を効率よく積み立てたい方へ
マイナス金利時代で、お子様の学資を効率よく積み立てる方法は慎重に選ばなければなりません。
たとえば、少し前までは学資保険が定番でしたが、今は必ずしもベストとは言えなくなっています。保険にもいろいろな種類がありますし、保険以外の手段もあります。
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