マイナス金利時代で、お子様の学資を効率よく積み立てる方法は慎重に選ばなければなりません。
たとえば、少し前までは学資保険が定番でしたが、今は必ずしもベストとは言えなくなっています。保険にもいろいろな種類がありますし、保険以外の手段もあります。
もしも、お子様の学資を積み立てるベストな方法について知りたいとお考えであれば、お気軽にご相談ください。
学資保険は「生命保険」の一種とされているので、保険料を支払うと「生命保険料控除」の対象となります。
ただし、生命保険料控除には上限があるので、他の生命保険に加入をしている場合、学資保険に追加で加入しても、控除を受けられない可能性があります。
今回は、「生命保険」に加入するとどれくらい控除を受けられ、税金から払戻しを受けられるのかを説明した上で、実際に学資保険でどの程度効果があるのか、解説します。
なお、学資保険は現在、積立効率が著しく悪化しており、決して積極的におすすめできるものではありません。詳しくは「学資保険のすべて|ベストな積立方法の選び方のポイント」をご覧ください。
保険の教科書 編集部
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冒頭でもお伝えしましたが、学資保険は生命保険会社が販売している「生命保険」の一種ですので、一応、保険料が「生命保険料控除」の対象となりえます。
生命保険料控除とは、払い込んだ生命保険料に応じて一定の金額がその年の所得から差し引かれ、所得税や住民税の負担が軽減される制度です。
平成22年(2010年)度税制改正によって、平成24年(2012年)1月1日以後に契約した生命保険から、新制度の対象になっています。
生命保険を対象とする「一般生命保険料」、個人年金保険を対象とする「個人年金保険料」、医療保険・がん保険・介護保険などを対象とする「介護医療保険料」の3種類があります。
学資保険は「一般生命保険料控除」の対象です。
控除を受けられる額は、所得税、住民税でそれぞれ以下の表の通りです。
【所得税の生命保険料控除額(新制度)】
【住民税の生命保険料控除額(新制度)】
たとえば、月々1万円の保険に加入すると、年間保険料が8万円を超えるので
の控除を受けることができます。
では、会社員で収入が勤務先からの給与収入600万円のみの人であれば、どの程度の節税になるでしょうか。
この人の給与所得金額は以下の通りです。
600万円-給与所得控除174万円(600万×20%+54万円)=426万円
※給与所得控除計算表
そして、課税所得は以下の通りです。
426万円-38万円(基礎控除)-70万円(社会保険料控除)-38万円(配偶者控除)-38万円(扶養控除)-4万円(生命保険料控除)=238万円
これを以下の所得税速算表に当てはめます。
※所得税速算表
課税所得が238万円だと、所得税の税率は10%になります。また、住民税は所得にかかわらずほぼ全国一律10%です(神奈川県、名古屋市などごく一部の例外を除きます)。
このように、所得税・住民税合わせて6,800円の還付を受けることができます。
では、学資保険でこの生命保険料控除(一般生命保険料控除)が使えるかと言うと、実際には、出る幕はほぼないと言って良いでしょう。
なぜなら、たいていの場合、学資保険より前に、きちんとした死亡保障、つまり、親に万一があった場合に子どもの生活費や教育費などを確保するための生命保険(収入保障保険、定期保険など)に加入するからです。
もしも、そういった重要な生命保険をさしおいて学資保険に加入するのであれば、本末転倒です。
生命保険料控除には上限があるので、他の生命保険で控除を満額受けられている場合は追加で学資保険に加入をしても控除される金額は増えません。
掛け捨ての死亡保障をかっちり組んでいれば、それで一般生命保険料控除の枠をかなり使ってしまうことになり、学資保険に残された枠は少ないか、全くないケースがほとんどだと考えられます。
つまり、学資保険には、事実上、生命保険料控除はほぼ使いものにならないと言って良いでしょう。
このように、学資保険で一般生命保険料控除を活用することはあまりないか、あっても額が限定的だと考えられますが、最後に一応、生命保険料控除の申告方法についてさらっと触れておきましょう。
保険会社から10月~11月ごろに「生命保険料控除証明書」と記載されているハガキまたは封書が届きます。
会社員・公務員は税金が源泉徴収されるので、年末調整の際に「給与所得者の保険料控除等申告書」に「生命保険料控除証明書」を添付して提出すれば終わりです。
確定申告の必要はありません。
還付されるのは12月~1月に給与もしくはボーナス支給の時に還付されるケースが多いです。
なお、勤務先へ期限内に申告書を提出し忘れたとしても、後で自分で確定申告すれば控除を受けられます。
自営業の場合、会社員のような源泉徴収の制度がないので、確定申告が必要です。
翌年の2月16日~3月15日までに所得税の確定申告で、「生命保険控除証明書」を確定申告書に添付し、税務署に提出します。
還付されるのは確定申告をしてから1か月くらい掛かります。
生命保険料控除証明書が10月に届いているので年末調整・確定申告をするまでに時間があります。
その間に無くしてしまったまたは間違えて破棄してしまったなどよくあることです。その時はすぐに保険会社に再発行してもらいましょう。
学資保険も一応「生命保険」の一種ですので、所得税・住民税の計算上、生命保険料控除の対象にはなりえます。
ただし、生命保険料控除を受けられる額には上限があります。たいていの場合、学資保険より前に、収入保障保険、定期保険などの死亡保障をきちんとかけることになります。そうすると、それらの生命保険で控除の枠を全部またはかなりの部分使いきってしまうことが多いのです。
したがって、学資保険で生命保険料控除を使えるケース、金額はそうとう限られることになります。
このように、学資保険は積立の効率が悪いのみならず、税制面のメリットも乏しいと言わざるを得ません。もし学資を効率よく積み立てたいのであれば、学資保険以外の方法も検討することをおすすめします。詳しくは「学資保険のすべて|ベストな積立方法の選び方のポイント」をご覧ください。
マイナス金利時代で、お子様の学資を効率よく積み立てる方法は慎重に選ばなければなりません。
たとえば、少し前までは学資保険が定番でしたが、今は必ずしもベストとは言えなくなっています。保険にもいろいろな種類がありますし、保険以外の手段もあります。
もしも、お子様の学資を積み立てるベストな方法について知りたいとお考えであれば、お気軽にご相談ください。
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