持病でも入れる保険を検討するのに知っておきたいこと


持病がある方は、そうでない方と比べて医療保険等に加入しにくくなっています。
しかし、持病にもいろいろあり、加入しやすいものと加入しにくいものがあります。また、必ずしも医療保険にこだわらなければ、特に問題なく加入できる保険の種類もあります。
この記事では、持病のある方が医療保険に加入できるか、他に選択肢があるか、など、医療保険の加入を検討するにあたり知っておいていただきたいことをまとめて解説しています。
1.はじめに | 持病があると保険で医療費の保障が確保できない?
持病があると、入院や手術をしたときの医療費負担が重くならないか不安に感じるかもしれません。
しかし、持病が原因となり、民間の保険の加入を断られた経験があるという方も少なくはないでしょう。
結論から申し上げると、持病があるからといって必ずしも入院・手術費用を民間の保険で備えられないわけではありません。
持病のある方が医療費を民間の保険で備えるためのポイントは、医療保険にこだわらないことです。
もちろん、医療保険なら幅広い病気・ケガによる入院・手術の費用等の負担に備えられるのですが、場合によっては、その他の保険の方がずっと役立つこともあるのです。具体的な方法に関しては後述します。
2.持病のある方が入院・手術等の費用を保険で備える方法3つ
持病がある場合に、医療費等の保障を民間の保険で確保するため、考えられる方法としては、主に以下の3つです。
- 一般的な医療保険に加入できるか試す
- 引受基準緩和型の保険を選ぶ
- 医療保険以外で備える
なお、持病のある方でも無条件に加入できる「無選択型医療保険」もあるにはありますが、おすすめしません。理由は後述します。
以下、それぞれについて簡単に解説します。
2-1.一般的な医療保険に加入できるか試す
まず1つ目の方法は、持病のない方も利用されている一般的な医療保険に加入できるか試してみることです。
持病があるからといって、必ずしも医療保険に加入できないわけではありません。
たとえば、高血圧の方は保険加入を断られることもありますが、きちんと治療を受けていて降圧剤を服用しており、なおかつその状態で血圧が正常値であれば問題なく加入できることも多いです(詳しくは「高血圧でも保険に加入できるか?知っておくべきポイント」をご覧ください)。
また「特定疾病・特定部位不担保」といった条件付きでの加入が認められる場合もあります。
特定疾病・特定部位不担保とは、持病に関連した疾病や特定の身体の部位に関する保障を、「加入後●年間」など一定期間、保障の対象から外すことです。
逆に言えば、それ以外の保障は受けられるわけですし、一定期間経過後は、対象から外れた疾病なども保障されるようになります。
持病のない方が加入する場合と比べ条件が悪くなることは否めませんが、入院・手術等の保障が必要であれば、検討の余地は十分にあるでしょう。
できるだけ多くの情報を伝えると入りやすくなるかも
持病をもつ方が一般の医療保険へ加入する際のコツとして、覚えておきたいのは持病の程度や治療の状況などの情報をできるだけ多く保険会社へ伝えることです。
プラスになることはあっても不利になることはありません。
たとえば高血圧の場合、ただ単に「高血圧」とだけ申告しても加入を断られる可能性が高くなります。
しかし、あわせて以下の内容まで申告すれば、逆に加入が認められやすくなるのです。
- 治療開始前の血圧値/現在の血圧値(上・下)
- 薬の名前
- 合併症(腎臓疾患・眼疾患・動脈硬化など)の有無
その他、医師の診断書や検査の結果を加えて申告するのもよいでしょう。
この場合、診断された直後より、治療をある程度継続し安定した検査結果等がでている方が加入を認められやすくなることもあります。
2-2.引受基準緩和型の保険を選ぶ
医療保険には一般的なタイプの他に、引受基準緩和型医療保険があります。
引受基準緩和型は一般的な医療保険と比べると、保険会社へ告知すべき内容が少なくてすむため、持病もちの方でも比較的加入しやすいのが特徴です。
また、いったん加入できれば、持病で入院等した場合にも保険金を受け取ることができます。
以下、参考までにA生命の引受基準緩和型医療保険の告知事項を紹介します。一般的な医療保険と比べ、項目が少なくシンプルです。
3つの告知事項に対して、全て「いいえ」で答えられれば加入できます。
| 最近3ヵ月以内に受けた医師による検査、検診または診察により、以下の①または②をすすめられたことはありますか。
② 入院または手術 |
| 過去1年以内に、病気やケガで入院や手術を受けたことがありますか。 |
| 過去5年以内に、以下①~③の病気と新たに診断されたこと(再発や転移を含みます)、あるいは以下①~③の病気により入院や手術を受けたことがありますか。
① ガン(悪性新生物*2または上皮内新生物) |
引受基準緩和型の注意点2つ
引受基準緩和型医療保険は持病がある方でも入りやすいメリットはありますが、注意すべき点があります。
まず1つ目は、保険料が割高になるということです。
実際にどのくらいの差がでるのか、B生命の医療保険の契約例を見てみましょう。
【加入条件】
- 契約者:40歳男性
- 契約期間:終身
- 払込期間:全期
- 入院日額:5,000円/月
- 手術費用:(入院)5万円、(外来)2.5万円
- 先進医療特約:あり
この条件だと、一般的なタイプなら保険料が1,850円/月なのに対して、引受基準緩和型では1.5倍以上の3,089円/月となります。
2つ目の注意点は、引受緩和型医療保険の多くは、加入後1年間は保険金が半分しか受け取れないことです。
これらを踏まえ「それでも加入したい」ということであれば、引受基準緩和型医療保険を検討しても良いでしょう。
2-3.医療保険以外で備える
医療費等に備えられる民間の保険は、医療保険だけではありません。
保障の対象となる病気・ケガの範囲は限られるものの、がん保険や傷害保険等で、重大なリスクにピンポイントで備える方法もあります。
まず、がん保険です。昨今では「生涯で2人に1人はがんになる」とも言われており、がんに備えて保険に加入するのは有効と言えます。
がん保険であれば、がんと診断されたときにまとまった保険金を受け取れるタイプや、入院しているか否かに関わらず抗がん剤や放射線の治療を受けていれば毎月●万円の保険金を受け取れるタイプがあります。
それらを組み合わせられるタイプもあります。
医療保険だと、「入院日額●円」「手術1回●円」といった保障がメインなので、それでは通院での抗がん剤や放射線治療をカバーしてもらえません。特約を付ける必要があります。
このように、がんに備えたいのであれば、がん保険は医療保険よりはるかに有効なのです。
がん保険の必要性や選び方等については、「がん保険のおすすめの選び方2つのポイント」をご覧ください。
次に、傷害保険です。これは骨折など怪我によって入院や手術をした際などに保険金を受け取れるものです。
後遺障害が残ってしまった場合に一時金を受け取れるものや、死亡保険金などの保障がついていることもあります。
そうして、どちらの保険も医療保険と比べて持病があっても入りやすいのが特徴です。
がん保険では、がんと診断されたことがなければ加入できる可能性が高いですし、傷害保険はそもそも持病の有無は告知の必要がありません。
このように入院・手術等の医療費に備えたいのであれば、医療保険以外も検討するとよいでしょう。
特に、がん保険に関しては、がんにかかる人が多いことや、がんになると長期的な治療が必要になる可能性が高くなることから、加入しておくことが推奨されます。
上述した通り、がんになった際には、医療保険より有効な保障を利用することができます。
3.【参考】告知が一切不要の「無選択型」はおすすめできない
持病のある方が加入できる医療保険のタイプとして、無選択型というものがあります。
無選択型とは健康状態や過去の病歴等の告知が一切不要のタイプであり、加入者の健康状態に関係なく加入できます。
しかし、結論から言うと、無選択型はおすすめできません。
なぜなら、まず、無選択型は、引受基準緩和型と比べても保険料がさらに割高となる上に、保障内容が抑えられています。
また、加入時に患っていた病気・ケガに関しては保障の対象外であるため、持病が原因で入院・手術等をする場合は保険金を受け取ることができません。
「持病についての入院や手術費用が不安なので医療保険に入りたい」という要望には一切答えられません。
このように、「告知なしで加入できる」以外のメリットが乏しいため、無選択型はおすすめできません。
無選択型医療保険の契約例
無選択型医療保険がどれだけ割高なのか、一例を見てみましょう。
以下、C損保の無選択型医療保険の契約例を紹介します。
- 契約者:45歳男性
- 契約期間:5年(5年ごとに自動更新)
- 入院日額:5,000円/日
- 手術費用:手術の種類によって5万円・10万円・20万円
- 健康祝い金:5万円(5年間保険金を受け取らなかった場合)
- 賠償責任保険金:5,000万円まで
- 弁護士への法律相談費用:1回1万円/1被害あたり3万円まで
- 弁護士費用:300万円まで
- 保険料:5,930円/月(5年ごとに値上がりする)
比較のために、D保険の一般的な医療保険の契約例も以下に記載します。
入院と手術の保障内容に関しては、できるだけC損保の無選択型医療保険と近づけています。
- 契約者:45歳男性
- 契約期間:終身
- 入院日額:5,000円/日
- 手術費用:(入院中・放射線)10万円、(外来)5万円
- 特約:先進医療特約
- 保険料:2,922円/月(一生涯、値上がりせず)
保険料を見ると、紹介した例に関しては無選択型は一般的なタイプの2倍以上で、しかも、5年ごとに値上がりしていきます。年金生活となる老後になると、どんどん保険料が上がってしまうのです。
この内容で、契約時の持病については保障してもらえないのです。
また、賠償責任保険金や弁護士費用等の保障は火災保険・自動車保険等の特約で安価な保険料で追加できるため、あえて無選択型医療保険で付ける意味はありません。
さらに、5年間何事もなければ「健康祝い金」5万円を受け取れますが、5年間で支払う保険料総額が355,800円と比べると少額なので、メリットとは言えないでしょう。
D生命の契約例と比べると、5年間の保険料総額の差は18万円以上となり、それと比べて5万円という健康祝い金のメリットが小さいことが分かります。しかも、5年後以降は保険料が値上がりしていくのです。
このように、無選択型の医療保険はおすすめできないと言わざるをえません。
まとめ
持病がある方でも、くわしく現在の治療状況等を告知すれば、医療保険へ加入できる可能性があります。
また仮に医療保険へ加入できなかったとしても、持病のある方でも加入しやすい「引受基準緩和型」を選ぶ方法もあります。
さらに、がん保険や傷害保険であれば、持病があっても加入できる可能性が高いので、それらを選ぶ方法もあります。
なお、補足しますと、医療を取り巻く状況が以前と大きく変わった昨今では、そもそも従来の医療保険の必要性がどこまであるのか、という問題もあります。
詳細は「医療保険の必要性を保障内容と医療の現実から考える」で解説しておりますので、参考にしてください。



