高齢者の生命保険の必要性と検討して頂きたい2つのケース

高齢者が生命保険を考える理由として、「お葬式代程度は残したい」「家族に負担をかけたくない」というものが多いです。

しかし、お子様が独立し、夫婦二人の年金生活の暮らしであれば、平均的な年金受給額や退職金から計算すると、多くの場合で生命保険はなくても何とかなる場合が多いです。また、高齢者が生命保険に加入すると高額な保険料がかかり、保険そのものが大きな負担となってしまいます。

この記事では、

  • 高齢者の生命保険の必要性
  • 葬儀代を生命保険で賄いたい場合のアドバイス
  • 相続対策で有効な生命保険の使い方

の3つをお伝えしていきます。

先にお伝えすると、基本的には、高齢になってから生命保険を検討するのは難しい場合が多いです。だからこそ、私たちは、若い内にできるだけ具体的に検討して頂けるように活動させて頂いています。しかし、相続対策で生命保険を扱うのは、とても効果的ですし、葬儀代の補填のためというのも悪くはありません。

その理由や、具体的な使い方をこれから詳しく説明させて頂きます。その上で、再度、生命保険についてお考え頂ければ幸いです。

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保険の教科書編集部

保険の教科書編集部

私は10年以上にわたり、生命保険業界で働いております。マイホームの次に高い買い物と言われることもある保険ですから、本当に必要な商品を無駄なく加入してもらうことが大切だと考えています。お一人お一人のご希望やライフプランをおうかがいし、少しでも豊かな人生を送るお手伝いが出来ればと思っております。

1.高齢者の生命保険の必要性

65歳以上を高齢者と定義して解説します。

基本的に、高齢者の方に生命保険は必要ありません。というよりも、生命保険が役に立つケースが少ないということです。

なぜなら、現在の高齢者の方は、以下の2つを受け取っていることが多いからです。

  • 公的年金
  • 退職金

この2つを受け取っているなら、老後の生活費で困るというケースは少ないでしょう。また、心苦しいのですが、高齢になってから生命保険を検討するのは、割に合わない場合が多いという事情もあります。

詳しく解説します。

1.1.現在の高齢者世帯は年金があるので生活に困ることは少ない

老後の生活資金の主な手段は公的年金です。年金保険料を支払っていて、受給資格の要件を満たしていれば、65歳からは年金を受け取ることができます。実際にどれぐらいの年金を受け取れるかは、日本年金機構の『年金見込試算額』で算出することができますので、ご自身でも確認してみてください。

なお厚生労働省年金局「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和元年(2019年)度版)」によると、厚生年金の平均受給額は月額14.6万円、国民年金の平均受給額は月額5.6万円です。

たとえば会社員の夫と専業主婦の妻の世帯であれば、それぞれが厚生年金・国民年金を受け取れるので、ご夫婦で月額約20万円の収入があることになります。

1.1.2.年金受給開始後すぐに亡くなった場合は生活費が不足することが多い

次に、平均標準報酬月額35万円の会社員の夫が65歳で死亡したと仮定しましょう。その場合、妻には、毎月11.1万円の遺族年金が支払われます。なお、遺族年金の算出方法に関しては、同じく日本年金機構の『遺族厚生年金』のページでご確認ください。

一方、総務省の「家計調査年報(2019年)」によると、65歳以上の女性の生活費は平均月額約14.6万円とのことです。仮にこの金額を確保したい場合、この例では毎月3.5万円が不足するということになります。

厚生労働省の「令和元年簡易生命表の概況」によれば女性の平均寿命は87.45歳なので、65歳から考えると約23年あります。それまでの必要生活費の不足額は、月3.5万円×12ヶ月×21年間で約966万円となります。

この金額をどのようにカバーするかが問題なのですが、実際には、預貯金や退職金、私的な個人年金保険などを老後の生活資金に充てる方が多いです。その中でも、重要なのは退職金です。そこで次からは、退職金の給付実態について見ていくことにしましょう。

1.2.老後の生活のために退職金は重要

厚生労働省の『平成30年(2018年) 退職給付の支給実態』によると、平成30年(2018年)時点で勤続35年以上の定年退職者の退職給付額は以下の通りです。

  • 大卒:平均2,173万円
    「退職一時金制度のみ」が1,897万円、「退職年金制度のみ」が1,947万円、「両制度併用」が2,493万円
  • 高卒:平均1,954万円
    「退職一時金制度のみ」が1,497万円、「退職年金制度のみ」が1,901万円、「両制度併用」が2,474万円

このことから、先に確認した、奥様の生活費の不足額約900万円は、退職金でカバーできるということがわかります。このように、現時点で高齢者の方は、遺族年金や退職金で現金を確保することができている方が多いと思います。

1.3.高齢者の生命保険は割に合わない可能性が高い

以上のことから、退職金や貯金などで老後でも安心して生活していける場合は、生命保険はそもそも役に立ちません。

しかも、高齢になってから生命保険を検討するのは保険料が高く、手遅れに近いのです。

1.3.1.高齢になってからの生命保険は割に合わない場合が多い

生命保険の保険料は、年齢や男女別の死亡率などを元にしても算出されているため、高齢者の保険料は高額になります。

また、高齢者の方から保険のご相談を受けていて感じることは、多くの方が何かしらの持病があり、一般的な保険の加入が難しいことです。結果、持病のある方のための保険商品しか入ることができず、保険料はさらに割高になります。

実際に、70歳の男性が保険金額300万円、一生涯の保障がある終身保険「終身保険」に加入する場合の保険料をご覧ください。

  • 健康な方が入れる保険 :月払15,960円(年191,520円)【A生命の終身保険】
  • 持病がある方向けの保険:月払26,478円(年317,736円)【B生命の終身保険】

年金生活者が多い高齢者にとって、この保険料は家計に対する大きな負担となります。

1.3.2.生命保険やがん保険に加入するなら若いうちに

以上のことから、ご高齢になってから生命保険を検討するのは、かなり難しいと言えます。したがって、必要な保険には若いうちに加入しておくです。

どんな保険が必要なのかということについては『生命保険の必要性をパターンごとに考える』をご覧ください。

なお、医療系の保険は、一般的なイメージと異なり、医療保険の優先順位は低いです。なぜなら、近年は入院日数が短くなる傾向にあるからです。詳しくは「医療保険の必要性を保障内容と医療の現実から考える」をご覧ください。

医療保険よりも優先順位が高いのは、がん保険です。というのも、がんは一生涯を通じての罹患の確率が50%を超え、かつ、長期化すると医療費がかさみ、生活費に困窮する可能性があります。特に、働き盛りの年代でがんになると、ダメージが大きくなります。

こちらに関しては、『がん保険の必要性を60歳より前と後に分けて考える』をご確認ください。

また、これらに加えて、私たちは50歳前後のお客様には、介護保険もご検討頂くようお伝えすることが多いです。

2.高齢者が生命保険を検討するのが有効な2つのケース

ここまでお伝えした通り、生命保険は若いうちに検討しなければならないものです。若い間に終身の生命保険に加入すれば、保険料を安く抑えられるからです。年を取ってから、生活費が足りなくなることに気づいても、出来ることは非常に限られてしまうのです。

それでも、高齢になってから生命保険に加入するなら、その目的が、

  • 葬儀代の補填のため
  • 相続対策のため

であれば、検討する価値は大いにあります。そこでこれらについて解説していきます。

2.1.葬儀費用の平均は約196万円

高齢者の方が生命保険の加入を検討する時に、最も多い声としては「せめてお葬式代くらいは残したい」というものです。では、実際の葬儀費用はいくらかかるのでしょうか。鎌倉新書の「第4回お葬式に関する全国調査」によると約184万円(2020年の調査)です。

都道府県や地域によって平均値は異なりますが、もろもろの雑費なども考慮して200万円あれば、一般的なお葬式をあげることは出来そうです。葬儀費用の備えが足りないときは、場合によってはお子様からの支援を受けられるご家庭もあると思います。家族葬などの場合であれば、費用はさらに抑えることもできます。

そのため、保険でお葬式代をカバーすることを考えるのであれば、保険金額は200万円を上限に設定すると良いでしょう。それ以上で設定するのは、余分に保険料を支払うだけなので、やめておきましょう。

2.2.生命保険を活用した相続対策

最後に、生命保険による相続対策について解説していきます。一定の財産を持っている方の場合は、相続対策として生命保険を活用することもできます。財産を相続した場合は、相続税がかかります。しかし、生命保険を使えば、この課税分を減らすことができます。

詳しくは『相続税対策と生命保険|一時払い終身保険、生前贈与と保険の合わせ技など』をご覧ください。

3.まとめ

心苦しいのですが、高齢者の場合、相続対策などの目的がある場合は除き、生命保険は、あまり役に立てるケースは多くありません。

ただ、個人によって様々な事情があることも考えられるので、ご自身の受け取れる年金額や退職金、現在の預貯金、そして残された家族にどんな生活を送って欲しいのかを熟慮し、「本当に生命保険が必要なのかどうか」について慎重な判断をお願いいたします。

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