次のようなことでお悩みではありませんか?
・自分にピッタリの保険を選んで加入したい
・現在加入中の保険の内容で大丈夫か確認したい
・保険料を節約したい
・どんな保険に加入すればいいのか分からない
もしも、保険についてお悩みのことがあれば、どんなことでも構いませんので、お気軽にご相談ください。
生命保険の中には、契約を解約すると解約返戻金が戻ってくるタイプがあります。
そのようなタイプは、主に、積立の目的に活用されます。ただし、保険の種類によって、解約返戻金がどのくらいの期間でどの程度貯まるか、あるいは、何のために積立をするのに向いているかが違います。
この記事では、生命保険の解約返戻金とはどんなものか解説した上で、どの保険がどの積立目的に向いているのか、損しないためにはどういった点に気を付ければ良いか、実際の契約例を紹介しながらお伝えしています。
出岡 大作
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目次
解約返戻金のある生命保険の多くは、定期預金のように、定期的に保険料を払い込み続けると、解約返戻金が増えていくものです。
適切なタイミングで契約を解約すると、保険料総額を上回る額の解約返戻金が戻ってくるのです。
主な保険は以下の通りです。
1つずつ簡単に解説します。
終身保険は一生涯保障が続く生命保険です。解約しない限り、いつ亡くなっても、家族の方に死亡保険金が支払われます。
ただし、終身保険は保険料が割高なので、万一の場合に受け取れる死亡保険金の額は、整理費用(葬儀代)程度にとどまり、遺族の生活費等まで確保するのには向いていません。
死亡保障よりも、解約返戻金という形で積み立てを行う目的で加入するものです。
生きている間に適切なタイミングで契約を解約すると、保険料総額より多くの解約返戻金を受け取ることができます。
なお、「終身保険」という名前が付いていても、保険料が掛け捨てとなる定期保険を特約として追加する「定期保険特約付終身保険」というタイプがあります。これは貯蓄性が高いものとは言えず、終身保険とは似て非なるものですので、区別する必要があります。詳しくは「要注意!定期保険特約の必ず知っておくべき3つのこと」をご覧ください。
個人年金保険とは、老後に備え、年金を受け取れるように貯蓄を行う私的年金制度の1つです。
民間の保険会社が、保険商品の1つとして販売していますが、実質的には保険と言うよりも貯蓄です。
保険商品や運用の仕方によっては、支払った保険料の総額よりも多い年金を受け取ることができます。
一方、年金を受け取る前に解約をすると、解約返戻金が支払われます。
養老保険は保険期間中に亡くなった場合は遺族が「死亡保険金」を受け取れて、満期時には本人が「満期保険金」を受け取れる保険です。
以前は、保障と貯蓄を兼ね備えた保険として人気がありましたが、現在では利率・返戻率が大きく下がってしまっており、個人で加入する魅力は薄れています(詳細は「利率・返戻率につられるな!養老保険がおすすめできない理由の全て」をご覧ください)。
その代わり、現在ではむしろ、法人の従業員の退職金を効率よく積み立てる方法として活用されています。
養老保険もまた、満期前に解約すると解約返戻金を受け取ることができます。
解約返戻金の特徴として覚えておく必要があるのは、加入期間が長くなるほど解約返戻金の金額が多くなるということです。
逆に言うと、早い段階で解約すると、それまでに支払った保険料の総額に対して解約返戻金が少なくて損をするリスクがあるということです。
また、保障期間に期限がない終身保険と、期限がある個人年金保険・養老保険とでは区別して考える必要があります。
終身保険は、払込満了後も保険期間が続くので、その後に解約しない限り、解約返戻金の金額が増えていきます。
一方で個人年金保険と養老保険は、保険料の払込が完了した時点で保険期間が終わり、原則として、解約しなくても当然に「年金」や「満期保険金」が支払われることになります。
このことからすると、終身保険は加入期間が長くなりやすいので、他の2つの保険と比べて解約返戻金の金額が大きくなりやすいと言えるのです。
保険料を支払い続けるのが厳しくなったなどの理由で、保険の解約を検討しなければならなくなることもあるでしょう。
しかし、上に書いた通り、加入してあまり時間がたっていないときに解約すると、受け取れる解約返戻金が少なくて損をしてしまうことになります。
そんなときに検討したいのが「払い済み保険」です。
払い済み保険とは、保険料の支払いをストップして、それまでに貯まっている解約返戻金の額の範囲内で、死亡保障を受け続けられるようにする制度のことです。
この払い済み保険が利用できる保険は、解約返戻金がある終身保険、個人年金保険、養老保険等に限られます。
保険料の払込をストップするので以後の死亡保険金の額は下がりますが、保障は続きます。また、解約返戻金はそこからまた増え続けていくことになります。
したがって、解約してしまうよりも、損失が少なくて済みます。場合によっては、最終的にそれまでに払い込んだ保険料総額よりも多くの額を受け取れる可能性もあります。
メリットをまとめると、以下の通りです。
保険料の払込を続けることが困難になった場合は、解約する以外にこういった方法もあることを覚えておきたいものです。
次に、終身保険、個人年金保険、養老保険のそれぞれについて、解約返戻金の金額がどのくらいになるか見ていきましょう。
A生命の「低解約返戻金型終身保険」の例を見ていきます。
低解約返戻金型終身保険とは、保険料払込期間中の解約返戻金が低く抑えられている代わりに、保険料が割安になり、払込期間後の解約返戻金の返戻率が高く設定されている終身保険です。
保険料を円で支払う通常のタイプ(円建て)の終身保険の中では最も人気がある保険です。
契約条件を以下の通りとします。
この場合の解約返戻金の額や返戻率は以下の通りです。
経過年数 | 保険料累計(円) | 解約返戻金(円) | 返戻率 |
1年 | 162,780 | 65,500 | 40.2% |
2年 | 325,560 | 184,000 | 56.5% |
3年 | 488,340 | 303,000 | 62.0% |
4年 | 651,120 | 423,000 | 65.0% |
5年 | 813,900 | 544,000 | 66.8% |
15年 | 2,441,700 | 1,765,500 | 72.3% |
20年 | 3,255,600 | 2,394,500 | 73.6% |
25年 | 4,069,500 | 3,052,000 | 75.0% |
26年 | 4,069,500 | 4,381,500 | 107.7% |
27年 | 4,069,500 | 4,402,500 | 108.2% |
28年 | 4,069,500 | 4,423,500 | 108.7% |
29年 | 4,069,500 | 4,444,500 | 109.2% |
30年 | 4,069,500 | 4,465,000 | 109.7% |
ご覧の通り、保険料の払込が完了する25年目まで返戻率は100%を割っており、その前に解約すると損してしまいます。
これに対し、払込完了の後は返戻率が100%を大きく超え、その後も解約をせずに置いておくと返戻率が上がっていきます。
なお、今回は円建ての終身保険の例を紹介していますが、現在はマイナス金利の下、利率のよい米ドル建ての終身保険の方が解約返戻金の返戻率が高くなっています。
外貨建ての終身保険については、為替のリスク(円高ドル安のリスク)とそれに対する対処方法をきちんと知った上で活用することをおすすめします。詳しくは「終身保険で貯蓄する効率の良い方法」で紹介しているので、興味があればあわせてご覧ください。
次にB生命の個人年金保険を例に、解約返戻金がどのくらいになるか見ていきます。
契約条件を以下の通りとします。
「確定年金5年」とは、保険料の払込が完了した後、5年間にわたって年金(保険金)を受け取れるという意味です。
この例だと、年100万円を5年間(合計500万円)にわたって受け取れるということです。
解約返戻金の額や返戻率は以下の通りです。
経過年数 | 保険料累計(円) | 解約返戻金(円) | 返戻率 | 死亡保険金(円) |
1 | 196,200 | 108,000 | 55.04% | 196,200 |
2 | 392,400 | 295,000 | 75.17% | 392,400 |
3 | 588,600 | 484,000 | 82.22% | 588,600 |
4 | 784,800 | 673,000 | 85.75% | 784,800 |
5 | 981,000 | 865,000 | 88.17% | 981,000 |
15 | 2,943,000 | 2,831,000 | 96.19% | 2,943,000 |
20 | 3,924,000 | 3,857,000 | 98.29% | 3,924,000 |
21 | 4,120,200 | 4,067,000 | 98.70% | 4,120,200 |
22 | 4,316,400 | 4,280,000 | 99.15% | 4,316,400 |
23 | 4,512,600 | 4,494,000 | 99.58% | 4,512,600 |
24 | 4,708,800 | 4,708,000 | 99.98% | 4,708,800 |
25 | 4,905,000 | 4,905,000 | 100.00% | 4,905,000 |
ご覧の通り、保険料の払込が完了した時点での返戻率は100%となっており、仮にこの時点で解約返戻金を受け取ると損もしない代わりに増えてもいない計算です。
一方、その後に年金として保険金を受け取れば総額500万円となるため、約2%分の利率が得られていることにはなります。
それに加え、後でお伝えしますが、年末調整・確定申告の際に「個人年金保険料控除」の対象となるので、所得税・住民税の節税効果も高くなっています。
なお、個人年金保険では、被保険者が亡くなった際には死亡保険金を受け取れます。表から分かるように、死亡保険金の額はそれまでに支払った保険料の総額と同額です。
したがって、万が一、途中で亡くなってしまったとしても、それまでの保険料の総額が遺族に死亡保険金として支払われるため、損はありません。
今回は円建ての個人年金保険を紹介していますが、米ドル建て・変額の個人年金保険もあります。これらは、投資性のものなので、大きく増やせる可能性がある反面、元本割れのリスクもないわけではありません。
したがって、米ドル建て・変額の個人年金保険を活用する際は、それぞれのリスクの内容と対処法をきちんと知っておくことが絶対に必要です。
米ドル建ての個人年金保険の活用法、リスクの内容と対処方法については「米ドル建て保険のメリットと注意点」、変額個人年金保険については「変額保険とは?メリット・リスクと活用のポイント」で詳しく紹介しているので、あわせてご覧ください。
養老保険は、以前と比べて積立の効率が低くなってしまっています。
C生命の養老保険を参考例として、実際に解約返戻金がどのくらいになるかみていきましょう。
契約条件を以下の通りとします。
この場合の返戻率は以下の通りです。
経過年数 | 保険料累計(円) | 解約返戻金(円) | 返戻率 |
1年 | 205,980 | 0 | 0.0% |
2年 | 411,960 | 188,000 | 45.6% |
3年 | 617,940 | 388,000 | 62.8% |
4年 | 823,920 | 589,500 | 71.5% |
5年 | 1,029,900 | 793,500 | 77.0% |
15年 | 3,089,700 | 2,827,500 | 91.5% |
20年 | 4,119,600 | 3,874,500 | 94.1% |
21年 | 4,325,580 | 4,092,500 | 94.6% |
22年 | 4,531,560 | 4,313,500 | 95.2% |
23年 | 4,737,540 | 4,538,500 | 95.8% |
24年 | 4,943,520 | 4,767,000 | 96.4% |
25年 | 5,149,500 | 5,000,000 | 97.1% |
このように、養老保険では、払込が完了した時点(上記例では25年経過後)で満期保険金を受け取ることになりますが、それでも返戻率が97.1%で、支払った保険料の総額を下回ってしまっています。
これでは、貯蓄の方法としても生命保険(死亡保障)としても、効率が悪いと言わざるを得ません。
したがって、養老保険は現状、すくなくとも、個人で加入するのはおすすめできません(ただし、法人の従業員の退職金を積み立てる方法として利用する場合は、税制上の優遇措置を受けられるため、メリットがあります)。
貯蓄や老後資金の確保を目的とするのであれば、養老保険よりこれまでに紹介した終身保険や個人年金保険を選ぶとよいでしょう。
最後に、終身保険や個人年金保険など貯蓄性のある保険も「生命保険料控除」の対象となり、所得税・住民税の計算上、所得控除を受けられる可能性があります。
終身保険・養老保険は「一般生命保険料控除」、個人年金保険は「個人年金保険料控除」の対象です(ただし、変額個人年金保険は「一般生命保険料控除」の対象なので要注意です)。
したがって、解約返戻率以上に、得をする可能性があります。
ただし、生命保険料控除には金額の枠があります。特に「一般生命保険料控除」の場合、他にご家族のためにきちんと掛け捨ての定期保険・収入保障保険に加入していれば、既にその枠が埋まっている可能性があります。
保険料控除の詳細については「生命保険料控除制度|控除の仕組みと対象になる保険について」にまとめてあるので、よろしければあわせて参考にしてください。
生命保険の中で、解約返戻金があるのは、主に終身保険・個人年金保険・養老保険です。
いずれも、加入期間が長くなるほど、より多くの解約返戻金を受け取ることができます。
これらのうち、一般的に、最も積立の効率が高いのは終身保険です。
次に、個人年金保険は、解約返戻金の額は最高でも支払った保険料総額と同額ですが、代わりに、払込完了後は保険料総額よりも少し多い額の年金を受け取ることができます。
終身保険も個人年金保険も、より高い積立効率を求めるならば、「米ドル建て」「変額」の保険という選択肢もあります。ただし、これらは元本割れのリスクがないわけではありませんので、リスクの内容とそれへの対処法を理解した上で活用することが重要です。詳しくは「米ドル建て保険のメリットと注意点」、「変額保険とは?メリット・リスクと活用のポイント」をご覧ください。
これらに対し、養老保険は、以前と違って利率が悪くなってしまっており、個人でこれから加入するのはおすすめできません。
保険についてお悩みの方へ
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