医療法人の役員報酬について|役員報酬はいくらがいいのか

公開 2019年2月28日更新 2022年6月30日
医療法人の役員報酬について|役員報酬はいくらがいいのか
医療法人の役員報酬について|役員報酬はいくらがいいのか

医療法人は2007年以降、「出資持分」のある法人を設立することが出来なくなりました。

つまり、これから医療法人化を考えている開業医の方は、法人が解散したときに残った財産を自分の手元に置いておくことができなくなってしまったのです。

となると、なるべく自身の懐にお金が入るように役員報酬を多めにしよう、という考え方に行き着くと思いますが、それでは個人で負担する所得税や住民税、社会保険料が高くなってしまい、法人化するメリットが薄れてしまいます。

では、医療法人設立の際には、役員報酬をいくらにすれば良いのか、気になりますよね。

また、法人化の恩恵を最大限受けるためにはどうすればいいのでしょう。

今回は医療法人の役員報酬について、法人化のメリットを活かしつつ、最適な報酬額を決める際に指針となるポイントについてお話しします。

1.「出資持分」のある医療法人は2007年以降設立できなくなった

元々、社団の医療法人には「出資持分」という考え方がありました。

これは、株式会社の「株主」が持つ権利のようなもので、「出資持分」があると、「出資者=社員」が退社する際に、出資した分の金額の払い戻しが受けられるというものです。

また、医療法人が解散した際にも、出資した割合に応じて残った財産を受け取ることが出来ます。

しかし、2007年に医療法が変わり、現在は「出資持分」がある医療法人を新たに設立することは出来なくなってしまいました。

つまり、社員(出資者)を辞任して退社したり、法人自体が解散したりしても、自身には1円も戻ってこず、国や自治体に納めることになってしまうのです。

そもそも、個人の開業医が、医療法人化を考えている場合、会社にお金をプールしておいて、法人税として税金を納める事による税負担の軽減が主な目的となります。

しかし、会社から退社した際や解散した際にお金が戻ってこないとなると、上記のような目的で法人化するメリットが薄れてしまうのです。

2.退職金としてお金を受け取るという方法

それでは、税負担の軽減のために医療法人化するのは良くないのでしょうか。

実は1つだけ、医療法人化することで税負担を抑えつつ、会社のお金を手元に残す方法があります。

それが退職金制度です。

退職金は法人特有のものであり、退職のタイミングに備えて積み立てておくことで、退職時に多くのお金を受け取ることができます。

また、退職金は退職所得に分類されます。

退職所得は、仕事を引退した人が老後を過ごす生活費として、とても重要なものです。

ですから、一般的な所得に比べてかかる税金が少なくなっています。

詳しくは「退職金にも税金がかかる?覚えておきたい退職所得の基礎知識」をご覧ください。

退職金を会社で積立すれば、個人の所得税ではなく法人税が適用され、一定額以上の場合はかかる税率が低くなります。

個人と法人、両者の税負担を抑えつつ手元にお金を残すことができる退職金については、医療法人の設立時から頭に入れておいたほうが良いでしょう。

3.では役員報酬はいくらがいいのか?

上記の退職金を活用することで、最終的に手元にお金を残すことができることがわかりました。

ということは、役員報酬を高額にしてしまい、あまり法人化の恩恵を受けられないというようなことは避けられるということですね。

では、役員報酬はどのように設定するのが良いのでしょうか。

役員報酬を決める際にポイントになってくるのが、以下の2点です。

  • 自分や家族の生活費
  • 所得税・住民税・社会保険料と法人税とのバランス

それぞれ見ていきましょう。

3.1.自分や家族の生活費

いくら会社内にお金があったとしても、毎年の役員報酬で自身や家族の生活を支えられなければ意味がありません。

自身や家族が最低いくらないと生活ができないかというのは、役員報酬を決める上での大きなポイントです。

3.2.所得税・住民税・社会保険料と法人税とのバランス

役員報酬を多くもらいすぎて、所得税や住民税が高くなってしまっては本末転倒です。

また、役員報酬が高くなると社会保険料も高額になってしまいます。

一方で、役員報酬は損金計上することできるため、役員報酬を高くすることで法人税を抑えることが可能です。

上記のバランスを考えつつ、最適な役員報酬の金額を設定しましょう。

役員報酬と税金のバランスについては「役員報酬の設定で節税効果を最も高める方法と3つのテクニック」もご覧ください。

また中小企業の役員報酬の相場を知りたい方は「中小企業の役員報酬の相場は?決めるときのポイントは?」をご参照ください。

まとめ

医療法人の役員報酬についてお話ししてきました。

2007年以降に設立された医療法人には「出資持分」がないため、以前よりも法人化のメリットが薄くなってしまいました。

しかし、退職金制度を上手に使うことによって、会社のお金を手元に残すことが可能です。

それを踏まえた上で、役員報酬は自身や家族の生活や税金のバランスを考慮して、最適な金額を導き出しましょう。

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