法人保険が会社に利益をもたらす仕組み|キホンのキホン編

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法人が契約者(保険料を払う人)となり、経営者や役員、従業員が被保険者(保障の対象となる人)で保険に加入することを法人契約といいます。

法人保険に契約すると会社にとって節税になるとはいいますが、実は法人保険に加入しただけでは、逆に会社のキャッシュフローを圧迫してしまうことも有りえます。節税のほかにも、退職金の準備や福利厚生にもなる法人保険ですが、これらの仕組みをしっかりと理解しておくことは、経営者の方にとってたいへん重要なことです。

とはいえ、経営者に取って最も大切なことは自社の業績を伸ばすことにありますから、法人保険の仕組みについて、じっくりと勉強する時間をとることが難しく、税理士の方に一任されていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?

この記事では、法人保険に加入することで得られるメリットと仕組みについて

・利益の繰り延べ
・退職金の準備
・従業員の福利厚生

の3点を中心に、主なポイントについて分かりやすくご説明させていただきます。

法人保険の基本中の基本について解説しておりますので、事業を立ち上げたばかりの経営者の方や、これから法人保険を活用しようとお考えの方に、お役に立てるよう解説させていただきます。

1. 利益が繰り延べられる仕組み

まずは、法人保険に加入する大半の方が目的としている税的効果についてです。先程も申し上げた通り、法人保険に加入しただけでは最終的に損をしてしまう可能性もあります。一体、どういった仕組みなのか、順に見ていくことにしましょう。

1-1.利益が多いと法人税が高くなる

まずは法人税について、確認していきます。法人税は会社の利益(サラリーマンでいえば給与)がいくらかによって、かかる税率が異なります。細かな規定はあるのですが、大まかに言うと、利益が400万円以下なら税率は約21%、400~800万円なら23%、800万円以上なら32%となっています。

例えば、年間の売上が2,000万円の会社、ここでは仮にA株式会社としましょう。A株式会社を例にして利益の差から法人税がどれ位変わるのかを確認していくことにします。

・利益が300万円なら → 税率21%なので 300万円×21% = 税金63万円
・利益が600万円なら → 税率23%なので 600万円×23% = 税金138万円
・利益が900万円なら → 税率32%なので 900万円×32% = 税金288万円

いかがでしょうか?利益900万円のケースだと利益の約3割を税金として納めなくてはならないのです。このように利益が増えれば税率も高くなり、多くの税金を支払うことになるため、経営者の方は少しでも利益を抑えて税金を少なくする方法を模索しているわけです。

1-2.保険料は損金として算入できる

では、法人保険に加入すると、なぜ税金が安くなるのでしょうか?

既に法人保険の仕組みついてご存知の方にとっては当然のこととは思いますが、保険料は損金としカウントすることができ、経常利益からマイナスすることができます。このことを、「損金算入」と言います。損金とは、簡単に言えば費用のことを表します。

法人保険では保険料を損金算入できるので、結果的に利益を圧縮し税金を少なくできる仕組みになっています。

保険料を損金算入できる割合は、保険種類によって「全額・2分の1・3分の1」というように異なります。現在は全額損金できる商品はほとんど売り止めになり、主流になっているのは2分の1損金となります。

1-3.戻ってくるお金の使い道がないと損をする!

ここまでの説明だけであれば、保険料が損金算入できる法人保険を誰もが活用すれば絶対に得をすることになります。しかし、実際は保険料を損金算入しているだけでは、単に利益を繰り延べているだけ、つまり「税金の支払いを先延ばしにしているだけ」にすぎません。

法人保険で活用される保険種類はいくつかあるのですが、その多くが保険期間に定めがある定期タイプとなっています。これらは途中で解約すると、解約返戻金が発生するので会社に多額のお金が入ってくることになります。この解約返戻金は益金(損金の逆)として扱われ、課税の対象となります。

将来の解約返戻金の使い道を決めずに法人保険に加入してしまうと、解約返戻金を受取った単年に多額の法人税がかかることになるので注意が必要です。このような事態を避けるためには、保険料の入口と出口の使い道を予定し、そこから保険期間や保険料を見極めたプランを保険会社や信頼できる代理店の担当者とじっくりご相談していただきますよう、お願いいたします。

2. 退職金を効率よく積み立てる仕組み

サラリーマンとは違い、自営業や経営者の方にとって、退職金はご自身で積立てていく必要があります。退職金は老後の生活を支える大切な資産となりますので、法人保険のメリットを活用しながら確実に積立てをしていただきたいと思います。

次からは法人保険を使って退職金を積み立てる仕組みについて、確認していきましょう。

2-1.解約返戻金を退職金として活用する

法人保険で退職金を積み立てる時に適しているのが、解約返戻金を退職金として活用する方法です。保険料を支払っている間は、保険料が損金算入され利益が繰り延べられることは、さきほどもご説明しましたね。しかし、出口がないままに法人保険に加入すると、結果として多額の税金が課税されることになります。

これを避ける方法として、経営者や役員のご勇退時期を予測して、その時期に解約返戻金がピークになるような法人保険に加入することが有効な手段となります。解約返戻金の使い道がなければ、それは丸ごと課税の対象となるので、法人保険の加入時には、その目的を明確にする必要があります。退職金の他にも、大きな設備投資や店舗拡大などの使い道があれば、そちらに解約返戻金を充てる会社もあるでしょう。

2-2.保険料は損金算入できるので貯蓄よりもお得

法人保険では、実際に支払った保険料と解約返戻金を比べた場合、その戻り率は100%を超えることはありません。つまり、支払った保険料よりも解約返戻金の方が下回ることになります。これでは損をしてしまうと思われるかもしれませんが、法人保険で支払った保険料は損金算入することができます。

詳しい計算は割愛させていただきますが、法人税の税率を考慮すると、会社に残るキャッシュは法人保険に加入しなかった時と比較して、大きくなる仕組みになっているのです。

経営者の方の中には、手堅く毎月決まった金額を退職金として貯蓄されている方もいらっしゃるかもしれません。ただ銀行預金は金利もほとんど付きませんし、税的な控除を受けることも出来ません。このようなことからも、法人保険の仕組みを上手に活用して退職金を積み立てることは、経営者の方にとってたいへん有益な方法かと思います。

2-3.セーフティー共済(中小企業倒産防止共済)は全額損金!

退職金はリスクなく確実な積み立てを行うことも重要です。現在、民間の保険会社で販売している法人保険では、全額損金算入できる商品はほとんどありません。その中で、セーフティー共済(正式名称:中小企業倒産防止共済)は保険料を全額損金に計上できるので、多くの経営者の方が活用されています。この制度をご存知でない方は、是非取り入れていただきたい優れた内容です。

セーフティー共済は、経済産業省所管の独立行政法人である中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)が管理しています。

中小企業倒産防止共済のメリットは以下の通りです。

・掛金を月額5,000円~20万円の範囲で設定、変更できる
・年240万円、累計800万円(3年4ヶ月分)まで全額が損金に算入できる
・40ヶ月(3年4ヶ月)以上加入していれば解約時に掛金全額が戻ってくる
・急な資金が必要になった時に無担保・低利率での貸付が受けられる
・取引先が倒産して債権回収が困難な場合に、払い込んだ掛金の10倍(最大8,000万円)まで
共済金の貸付が受けられる
・いつでも解約でき、また再加入もできる

※「経営者の退職金を約30%多く積み立てられる5つのポイント」より抜粋

セーフティー共済については「中小機構ホームページ」も合わせてご覧ください。

3. 従業員の福利厚生になる仕組み

不測の事態が起きた時、経済的に助けとなってくれるのが保険という商品の最大の特徴です。このことから、従業員の方を対象として法人保険をかけておくと、それが福利厚生の機能をもたらしてくれます。

3-1.従業員の病気やケガを保障する

優秀な従業員は、会社にとって大切な財産です。自営業の方などは別かもしれませんが、従業員がいなければ会社は円滑に回りません。手厚い福利厚生を取り入れることは、従業員の方が安心して働ける環境作りにつながります。

法人保険で従業員の方を医療保険やガン保険に加入させてあげれば、それが福利厚生の一環となります。2人に1人がガンになると言われている現代において、特にガン保険を福利厚生に取り入れたことで、従業員の方にたいへん喜ばれた、という経営者のお声を多くお聞きします。

3-2.従業員の退職金を準備できる

先にもご説明しましたが、法人保険の解約返戻金を活用すると、保険料を損金に算入しながら退職金を積み立てることができます。この仕組みを従業員の方に当てはめることも出来ます。

従業員の退職金を準備するのに有功な保険に「養老保険」があります。

養老保険は満期時に保険金が受け取れる商品なのですが、この保険金を会社が受取り、会社から従業員に保険金を退職金として渡す、という流れです。ポイントは、満期時期と退職時期をあらかじめ合わせておく点にあります。

理由はすでにお分かりかもしれませんが、満期金の使い道が決まっていないと、保険金が益金としてカウントされてしまい、それに対して法人税が課税されてしまうからです。

養老保険の他では、中退共(正式名称:中小企業退職金共済事業本部)の活用も有功です。詳しい内容については、「中退共のホームページ」をご覧ください。

3-3.従業員の家族の生活を守る

従業員の方を対象に養老保険に加入すると、退職金の準備と同時に、従業員の身に万一のことがあった場合、その方のご家族が死亡保険金を受け取ることができます。死亡保険金は満期金と同額となります。

個人で生命保険に加入すると、毎月の保険料は個人の負担になりますが、この保険料を会社が負担してくれるわけですから、特に働き盛りの世代で一家の大黒柱となっているような従業員の方にとって、たいへんありがたい福利厚生ではないでしょうか?

福利厚生で養老保険を活用する時は、従業員全員の加入が必要などの決まりもあります。ある程度の利益が見込まれていて、条件を満たした上であれば、活用してほしい保険になります。

詳しくは「従業員の福利厚生に役立つ法人保険3種類の活用法」をご覧ください。

4. 事業承継にも有効な仕組み

最後に、事業承継について簡単ではありますがご紹介させていただきます。事業承継とは、経営者のご勇退にともなって経営を後継者に引き継ぐことをいいます。

個人で例えると、親御さんがお亡くなりになった時に、お子様が家や現金などの財産を相続します。相続では相続税が発生します。それと同様に、会社という資産を後継者に相続すると税金がかかるのです。資産が多ければ多いほど、たくさんの税金がかかります。

法人保険の保険料を損金に算入できる仕組みを活用することによって、会社の資産を減らして法人税を軽減することができます。

会社の預金口座にある現金については、その会社の資産評価の対象となります。ですから、法人保険に加入して会社の現金を保険会社に預けておくほうがムダな税金を支払わずに済むことになるのです。

 5. まとめ

今回は、法人保険を活用すると「利益の繰り延べ・退職金・福利厚生」の3点を中心に、どんな仕組みから会社にメリットがあるのか?についてご説明させていただきました。

法人保険というと難しいイメージをお持ちになるかもしれませんが、個人でも法人でも、その基本は経済的な保障という点では変わりません。ただし、法人保険については、その仕組みや注意点を理解しておかないと、会社の経営を圧迫させてしまう可能性もあります。

法人保険については民間の保険会社だけでなく、共済など公の機関から加入できる優れた商品もあります。民間と公の両方の法人保険を組み合わせ、会社にとって最善の選択をすることが大切です。

この記事では、詳細について解説しきれていない部分がありますので、法人保険について少しでもわからないことがあれば、私たちにお気軽にお問い合わせください。

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宮阪 沙織

宮阪 沙織

私は10年以上にわたり、生命保険業界で働いております。マイホームの次に高い買い物と言われることもある保険ですから、本当に必要な商品を無駄なく加入してもらうことが大切だと考えています。お一人お一人のご希望やライフプランをおうかがいし、少しでも豊かな人生を送るお手伝いが出来ればと思っております。
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