緩和型医療保険は必要?メリット・デメリットと賢い入り方

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持病がある方や、過去に大病を患ったことのあるお客様から、特に持病の悪化や過去の症状の再発が心配なので、持病や既往症のある人でも加入できる「緩和型医療保険」を検討したいという相談をいただきます。そして、お話をうかがっていると、皆様がご自身とご家族の生活が脅かされるリスクを切実に感じていることが伝わってきます。

ただし、緩和型医療保険が、持病・既往症のある全ての方に向いているわけではありません。それは、一般の医療保険よりも保障内容が弱く保険料も割高だからということが大きいのですが、それだけではありません。メリットとデメリットの両方を理解した上で慎重に加入を検討する必要があります。

この記事では、緩和型医療保険への加入をお考えの方のために、まず、緩和型医療保険の内容とメリット・デメリットを説明します。そして、それらを踏まえた上で、緩和型医療保険がどのような方に向いているのかという条件をお伝えします。

1.緩和型医療保険とは

まず、緩和型医療保険とはどんなものか、一般の医療保険と比較しながらお伝えします。

緩和型医療保険の基本的な保障内容は、一般の医療保険と同じように、入院1日あたり支払われる「入院給付金」、手術を受けたら支払われる「手術給付金」がメインの保障内容(主契約)であり、それにプラスして「特約」を付けることができるというしくみになっています(※)。

しかし、保障内容は一般の医療保険よりも限られていてシンプルです。たとえば手術給付金は、一般の医療保険であれば「日帰り手術2.5万円・入院中の手術10万円」といった具合に、手術の種類に応じて違うものが多いです。しかし、緩和型医療保険のほとんどは手術給付金は「日帰り・入院中を問わず5万円」といった具合に一律に設定されています。

また、後で詳しくお伝えしますが、特約はバリエーションが少なく、選択肢が狭くなっています。

緩和型医療保険に加入するのであれば、こういった一般の医療保険との違いを理解した上で、メリットとデメリットの両方を考慮することが不可欠です。その観点から考えると、「持病の悪化や過去の病気の再発による入院・手術のリスクに備えたい」というだけでなく、以下の条件を満たす必要があります。

  • 現時点で貯蓄が少なく、高額療養費制度があることを考えても、医療費が心配
  • 一般の医療保険にトライしたが、引き受けられなかったか、「部位不担保」等の不利な条件が付いた
  • 割高な保険料を支払う余裕がある

そこで、次に、緩和型医療保険のメリット・デメリットについてお伝えします。

※医療保険のしくみについては詳細は『誰でも簡単に理解できる!医療保険の仕組みについて解説』をご覧ください。

2.緩和型医療保険のメリット・デメリット

2.1.緩和型医療保険の2つのメリット

緩和型医療保険のメリットは以下の2つです。

  1. 持病の悪化・過去の病気の再発も一定範囲で保障される
  2. 診査は告知書の質問項目が少なく「はい」「いいえ」で答えるだけ

2.1.1.メリット1|持病の悪化・過去の病気の再発も原則として保障される

緩和型医療保険は、持病が悪化した場合や、過去の病気が再発した場合も原則として保障されます。保障されないのは、加入の時点で医師に入院・手術等を勧められていた場合です。

2.1.2.メリット2|診査は告知書の質問項目が少なく「はい」「いいえ」で答えるだけ

緩和型医療保険に加入する際には診査を受けなければなりません。医療保険の場合は告知書で行いますが、告知事項は一般の医療保険よりも少なく非常にシンプルです。保険会社によりますが質問項目は3~5項目だけで、しかも「はい」「いいえ」で答えればよく、現在の健康状態や過去の病歴について詳細に申告する必要はありません。

以下は、ある保険会社の緩和型医療保険の告知書の告知事項です。4つの項目が全て「いいえ」ならば加入できます。なお、これはあくまで一例で、保険会社によってはこれよりもさらに告知事項が限られているものもあります。

  • 過去2年以内に病気やけがで入院をしたことまたは手術を受けたことがありますか?
  • 過去5年以内にがん・悪性新生物(肉腫・白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫を含む)および上皮内新生物(上皮内がん)で、入院をしたこと、または手術を受けたことがありますか?
  • 現在、がん・悪性新生物(肉腫・白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫を含む)および上皮内新生物(上皮内がん)、慢性肝炎、肝硬変で、医師の診察・検査・治療・投薬を受けていますか?
  • 最近3ヶ月以内に、医師の診察または検査により入院または手術を勧められたことがありますか?

これらの質問に対する答えが全て「いいえ」ならば加入できます。

2.2.緩和型医療保険の4つのデメリット

緩和型医療保険は、一般の医療保険と比べて以下の4つのデメリットがあります。

  1. 保険料が割高
  2. 診査で細かな事情を一切考慮してもらえない
  3. 最初の1年間はどんな病気・ケガでも保障が半分しか受けられない
  4. 付けることのできる特約が限られている

2.2.1.デメリット1|保険料が割高

緩和型医療保険のデメリットとして、まず、保険料が割高ということが挙げられます。どれくらいかというと、だいたい一般の医療保険の1.5倍~2倍程度に設定されています。これは、健康な人と比べて入院・手術が必要になるリスクが高いからです。

この割高な保険料は、費用対効果を考える上でネックになってきます。

2.2.2.デメリット2|診査で細かな事情を一切考慮してもらえない

緩和型医療保険の診査は、上述のとおり、告知項目が限られていてしかも全ての項目に「いいえ」がつくかどうかでされます。持病や既往症が軽いか重いか、完治後何年経っているかといった事情は一切考慮してもらえません。これは、加入しやすいという意味ではメリットです。しかし、裏を返せばデメリットでもあります。

どういうことかというと、一般の医療保険だと、告知項目が多く、場合によっては詳細に文章で申告しなければならないことがあります。特に、持病や既往症については、症状の程度や治療歴、直近に医者にかかった経緯等を申告する必要があります。それによって、それぞれの方の具体的な事情をきめ細かく考慮して、無条件で引き受けるか、条件付きで引き受けるかを決められるのです。

しかし、緩和型医療保険は診査の過程でそういった事情は一切考慮されません。後で改めてお伝えしますが、よく「まず一般の医療保険を検討すべき」と言われるのはそのためです。

2.2.2.デメリット3|最初の1年間はどんな病気・ケガでも保障が半分しか受けられない

これは、診査で細かな事情を一切考慮してもらえないということと関係しますが、緩和型医療保険は、最初の1年間は保障が半分しか受けられません。極端な話、持病・既往歴と全く関係のない病気でも、ケガでも、保障は半分になってしまいます。

たとえば、「入院日額5,000円・手術5万円」であれば、最初の1年間は「入院日額2,500円・手術2.5万円」しか受け取れません。

そうなっている理由は、保険会社の側で加入者の健康状態やリスクを把握できないのと、最初の1年間に病気になるリスクが高いからです。

どういうことかというと、上述したように、緩和型医療保険は告知書の告知項目が限られています。そのため、保険会社が個々の加入者の持病・既往歴のリスクを把握できないだけでなく、それ以外の健康状態や病気のリスクも把握しにくいのです。

また、持病・既往歴がある方は、加入後の早い時期に持病での治療が必要になったり、既往歴が再発したりするリスクが高いのです。

したがって、最初の1年間は保障が半分しか受けられないという設計がされているのです。

2.2.3.デメリット4|付けることのできる特約が限られていて保険料も割高

4つめのデメリットは特約のバリエーションの少なさです。

一般の医療保険だと、付けられる主な特約は以下の通りです。

  • 先進医療特約(※)
  • 三大疾病(がん(悪性新生物)・急性心筋梗塞・脳梗塞)で所定の状態になった場合の保険料支払免除特約
  • がん、三大疾病で所定の状態になったらまとまった額の一時金を受け取れる特約

しかし、緩和型医療保険は、先進医療特約は付けられますが、それ以外の特約の種類が少なく選択肢が限られています。つまり、ほとんどの緩和型医療保険は、三大疾病の場合の保険料支払免除特約自体がありません。また、がんや三大疾病の一時金特約を付けられるものも限られています。

しかも、特約の保険料も割高に設定されています。

なお、特にがんに関する特約を検討する際は、一般のがん保険と比較検討することをおすすめします。なぜかというと、医療保険だと緩和型しか加入できない方でも、がん保険には普通に加入できることが多いからです。たとえば、精神疾患、糖尿病、心疾患等であれば、がんのリスクとの関係が希薄なので、それらの持病があっても、がん保険には問題なく加入できます。したがって、緩和型医療保険にがんの特約を付けるよりも普通のがん保険に加入した方が、保障が充実し、保険料も割安で済む可能性があります。

※先進医療特約に関する詳細は『先進医療特約とは?』をご覧ください。

3.緩和型医療保険に加入をおすすめする4つの条件

以上のメリット・デメリットを踏まえると、緩和型医療保険は、以下の4つの条件をみたす方に向いていると考えられます。

  1. 現時点で貯蓄が少なく、高額療養費制度があることを考えても、医療費が心配
  2. 一般の医療保険にトライしたが、引き受けられなかったか、「部位不担保」等の不利な条件が付いた
  3. 割高な保険料を支払う余裕がある

以下、具体的にお伝えします。

3.1.条件1|現時点で貯蓄が少なく、高額療養費制度があることを考えても、医療費が心配

これは、一般の医療保険にも言えることですが、医療保険に加入するかどうかを検討する際には、高額療養費制度があり月々の医療費の自己負担に上限があることを考慮に入れる必要があります(※)。

したがって、現時点で貯蓄が少なく、高額療養費制度を計算に入れても医療費の負担が心配な方には、緩和型医療保険は有力な選択肢になります。

※高額療養費制度における自己負担額の上限はその人の収入、年齢等に応じて決まります。詳しくは『高額療養費制度とは?押さえておくべき申請方法と活用するポイント』をご覧ください。

3.2.条件2|一般の医療保険にトライしたが、引き受けられなかったか、「部位不担保」等の不利な条件が付いた

3.2.1.場合によっては一般の医療保険に無条件で引き受けてもらえる可能性がある

もしも、あなたが持病・既往症があることだけを理由に「緩和型医療保険しかない」とお考えであれば、まず、一般の医療保険に加入できないかトライしてみた後で緩和型を検討することをおすすめします。

なぜかというと、診査の結果、一般の医療保険に無条件で引き受けてもらえる可能性がゼロではないからです。つまり、一般の医療保険の告知書は緩和型と違って質問項目が多く、場合によっては詳細な記載が求められるため、個々人の具体的な事情を考慮してきめ細かな診査が行われます。

そしてその結果、持病や既往症のある方でも、その症状の程度、完治からの経過年数、現在の健康状態等によっては、無条件で加入できる場合もあります。

その結果、持病や既往症の症状の程度、完治からの経過年数、現在の健康状態によっては、うまくいけば無条件で引き受けてもらえる可能性もあります。たとえば、がんを患ったことのある方が、一般の医療保険に無条件で加入できた例もあります(※)。

したがって、最初から諦めてしまわないで、ダメもとで、まずは一般の医療保険にトライしてみる価値があると思います。

※詳細については『癌でも入れる保険の3つのパターンと具体的な告知事項と注意点』をご覧ください。

3.2.2.部位不担保の条件が付くならば緩和型医療保険の方が良いこともある

なお、そうは言っても、残念ながら、診査の結果、引き受けてもらえない可能性もかなりあります。また、引き受けてもらえるとしても条件付き、つまり「保険料割増」の条件や持病や既往症の部位について保障を受けられなくなる「部位不担保」等の条件が付いてしまう可能性の方が高いと思います。

一般の医療保険に加入できても持病の悪化や既往症の再発が保障されないのでは加入の意味も半減してしまいます。そうなって初めて、緩和型医療保険を検討するのをおすすめします。

3.3.条件3|割高な保険料を支払う経済的余裕がある

緩和型医療保険は一般の医療保険と比べて保障内容が弱く、保険料が割高です。したがって、加入するかどうかを決めるにあたっては、割高な保険料を支払い続ける経済的余裕があるのか、保険料の額とそれを支払うことで得られる保障内容・安心とが見合っているかといったことをシミュレーションするために、ファイナンシャルプランナー等との専門家とも相談して綿密なライフプランニングを行い、慎重に検討する必要があります。

まとめ

緩和型医療保険は持病・既往症のある方全てに向いているわけではありません。まず、一般の医療保険を加入する時と同様、高額療養費制度で医療費の自己負担が限られていることを考慮しても加入する必要があるのか、ということを考えなければなりません。また、保障が弱く保険料が割高なので、一般の医療保険に無条件、あるいは有利な条件で加入できるならばそれに越したことはありません。そして、割高な保険料を支払い続ける経済的余裕と、それによって得られる保障内容と安心に見合っているのか、ということを慎重に検討する必要があります。

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出岡 大作

出岡 大作

行政書士資格保有。保険や税金や企業関係法、民法、行政法といった分野について幅広い知識を持つ。また、初めての人にも平易な言葉で分かりやすく説明する文章技術に定評がある。
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