企業型確定拠出型年金(企業型DC)のメリットとデメリット

近年、会社の退職金制度に暗雲が立ち込めています。

退職金がない、または少ないという企業が増えてきており、若いうちから老後の資金について考える必要が出てきました。

マイナス金利政策が打ち出された昨今の日本では、普通預金で老後資金をコツコツ貯金しても金利は低く、効率的な方法とは言い難いです。

そんな中、「企業型確定拠出年金制度(企業型DC・企業型401K)」を導入する企業が増えてきています。掛金を企業が負担することで、加入者も、採用している法人側も様々な恩恵を受けることができます。

今回は企業型確定拠出年金制度の仕組みや、導入することによる法人側のメリットとデメリットを紹介していきます。

企業年金制度として導入を考えている法人の方は、特に一読頂ければと思います。

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保険の教科書 編集部

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1.企業型確定拠出年金制度とは



企業型確定拠出年金(401k・企業DC)とは|節税メリットと導入方法をプライベートバンカーと税理士が解説!
企業型確定拠出年金(企業型DC・企業型401K)とは、企業が毎月掛金を毎月拠出し、加入者が自ら年金資産の運用を行う制度です。

企業は、運営管理機関となる金融機関と契約し、加入希望の従業員または全員に対して、一定の掛金を定め、まとめて加入します。

掛金は別の金融機関(資産管理機関)で管理されます。

加入対象者は「国民年金の第2号被保険者で、労使合意に基づき確定拠出年金制度を実施する企業の従業員」とされており、基本的に確定拠出年金制度を実施する企業に努めていれば誰でも加入することが出来ます。

加入者は運営管理機関が提示する運用商品の中から希望するものを選択し、運用を指示します。

運営管理機関は資産管理機関に掛金として拠出されている資金を利用して商品を運用していきます。

商品の中には有価証券を運用する、ある程度の勉強が必要なものと、元本保証型の定期預金に類似しているものがあります。

大きな特徴として、積立期間が60歳までと、決まっていることが挙げられます。

1度企業型の確定拠出型年金に加入すると、途中解約や引き出しは出来ず、転職したとしても、転職先の制度に移換されます。

もし制度がなかった場合は個人型の確定拠出型年金に切り替えとなり、60歳まで継続されます。

個人型に切り替わった場合は、掛金が自己負担となるため注意が必要です。

1.1.税制優遇について

確定拠出型年金では加入者への恩恵として、様々な税制メリットが存在します。

まずは掛金の支払い時。毎月積み立てられ、運用される掛金は非課税対象となります。

一般的には手取りから積み立てをすることになりますが、確定拠出型年金は会社から支払われたお金を全て運用に回すことが出来るわけです。

次に運用益です。例えば株式等の利益には、「譲渡益課税」や「配当課税」などの税金が発生します。

確定拠出型年金では運用による利益に税金はかからず、全額が元本に加えられていきます。

60歳の満了時まで、効率の良い運用が実現できるというわけです。

最後に受け取り時です。確定拠出型年金は満了後、一括(一時金)、分割(年金)、併用のいずれかの方法で受け取ることが可能です。

この内、一時金で受け取る場合は「退職所得」、年金で受け取る場合は「雑所得」とみなされ、税金が発生しますが、いずれも老後の資金ですので税金が優遇されていて安くなっています。

1.2.マッチング拠出について

企業が導入している確定拠出年金企業型によっては、マッチング拠出を行うことが出来ます。

マッチング拠出とは、企業が毎月積み立てている掛金に加えて、加入者が自腹で掛金を拠出することが出来る制度です。

加入者が積み立てたマッチング拠出の拠出額部分は、所得税、住民税の非課税対象となりますが、社会保険料だけは非課税対象とはなりません。

また、企業が拠出している掛金と同じく、60歳までは受け取ることが出来ないため、注意が必要です。

1.3.運用商品について

確定拠出型年金の運用商品には「元本保証型」と「元本変動型」が存在します。

元本保証型はその名が示すように、元本割れのリスクがないのがメリットです。

具体的な商品は定期預金や保険ですが、マイナス金利政策が打ち出されている現代の日本では、資産が効率的に増えないというデメリットがあります。

元本変動型の運用商品は、投資信託などが該当します。

運用がうまくいけば資産が増えていきますが、元本割れのリスクが存在するのが特徴です。

確定拠出型年金では様々な運用商品を組み合わせて運用することが可能で、元本保証型と元本変動型の商品を半々で運用してリスクヘッジする、というようなこともできます。

2.法人側のメリットとデメリット

ここまで企業型確定拠出型年金の概要と加入者側のメリットについて簡単に説明してきましたが、企業型確定拠出型年金を採用することで、法人側にも様々なメリットがあります。

2.1.法人側のメリット

①掛金は全額損金に算入できる

法人が個々の従業員の為に拠出した掛金は、損金として計上することが出来ます。

これは節税対策として大変効果的です。

企業型確定拠出型年金を退職金制度として導入することで、毎月積み立てて用意する分の退職金を損金として計上することで、毎年の税金を抑えることが出来ます。

従業員が多い企業では毎月の拠出額がかなり大きくなるため、おすすめです。

②社会保険料のコストダウンが出来る

法人のキャッシュフローを悩ませる社会保険料。

企業は基本的に従業員の社会保険を半額負担することになります。

企業型確定拠出型年金を導入し、従業員のに支払う給与の一部を掛金として拠出することで、見かけ上の給与が減少します。

社会保険料は所得に比例して変動するため、結果的に社会保険料のコストダウンを図ることが出来ます。

社会保険料の中でも健康保険は、支払額の大小によって保障が変わることはありません。

また、厚生年金についても50歳未満の人は払い損になると推計されています。

社会保険料を抑えることは、企業にとっても従業員にとっても恩恵があるといえるでしょう。

③福利厚生の拡充によるPR

一般的に企業年金制度を採用している企業は中堅企業と呼ばれる企業以上のところが多いです。

新卒採用を行う予定があり、福利厚生をアピールポイントにしたい場合は、導入を検討してみても良いでしょう。

2.1.法人側のデメリット

①ランニングコストがかかる

企業型確定拠出型年金を導入することで、加入している従業員数に応じたランニングコストが発生することとなります。

これは毎月必ず支払う必要があるため、会社のキャッシュフローの状態によってはとても大きな負担になる可能性があります。

自社運用を行う場合はより柔軟なキャッシュのやりくりが出来る分、売掛回収のスパンが遅い企業などの場合は導入が難しいと感じてしまうかもしれません。

運用機関にあたる証券会社によっては、ランニングコストが安いところもあるので、導入段階でよく吟味しましょう。

②従業員への研修が必要

確定拠出型年金の導入する際は、従業員に正しく理解してもらうための研修等が必要となってきます。

確定拠出型年金はその仕組み上、中途退職金として受け取ることが出来ません。

また、加入を選択制にする場合は、加入しない方が見かけ上の給与が増える為、従業員は何も考えずに加入をためらう可能性が高いです。

仕組みを理解して計画的に運用すれば大きな恩恵をもたらしますが、正しい理解がなされていないと大きなトラブルの原因となります。

導入を考えている経営者の方は、従業員の研修にかける時間や、外部講師の招致によって発生する費用も考慮して上で検討しましょう。

まとめ

いかがでしたか?

企業型の確定拠出型年金は、特に税制メリットの部分で、法人側にも従業員側にも大きな恩恵をもたらします。

特に従業員が多い企業では、導入することで毎月多額の損金が発生し、毎年頭を悩ませる法人税等を大きく抑えることが可能です。

デメリットとして一番大きいのは、一見難しい制度の仕組みを正しく従業員に理解させるためにそれなりの時間と費用が必要となることでしょう。

従業員自身が正しく運用してくれないと導入した意味が薄れてしまいます。

研修は労力を惜しむことなく、しっかりと行いましょう。

年金制度の崩壊が危惧されている現代において、確定拠出型年金は老後資金の形成方法の1つとして充分選択肢に入ります。

経営者の方々は是非、従業員・法人双方のメリットやデメリットを把握した上で導入をけんとうしてみてください。

長年勤めてくれた従業員に対し、老後の生活をある程度保障することも企業の大切な責任の1つといえるでしょう。

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