私は、30代の一般的なサラリーマンで、ファイナンシャルプランナーというお金に関わる課題を解決する仕事をしています。給料は一般的なサラリーマン程度いただいています。
しかし、一つだけ違うところがあるとすれば、2015年度・2016年度の所得税と住民税がゼロだったことです。これは、脱税しているという訳ではありません。
実は個人で中古不動産への投資を行っているためです。
「投資」というと、普通のサラリーマンには縁のないものに思われるかもしれません。しかし、そんな普通のサラリーマンでも、今の給料のままで、家計のキャッシュフローを増やす方法はあります。そんな数ある手段の一つとして、参考にしていただけたらと思います。
本日は、中古不動産への投資によって税金の負担が軽くなったしくみについて、具体的に順序立ててご紹介していきます。全て私自身の経験に基づく話ですので、是非最後までご覧ください。
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私たちは、お客様のお金の問題を解決し、将来の安心を確保する方法を追求する集団です。メンバーは公認会計士、税理士、MBA、CFP、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、行政書士等の資格を持っており、いずれも現場を3年以上経験している者のみで運営しています。
1.中古不動産で所得税・住民税が0円になる仕組み
1.1.中古不動産で所得税・住民税が0円になったのは、確定申告で「不動産所得」がマイナスにできたため
結論から申し上げますと、不動産で所得税と住民税を0円にできた理由は、確定申告で「不動産所得」をマイナスにできたからです。
税金の計算上、給与所得と不動産所得は合算するので、不動産所得がマイナスだと給与所得と相殺されて、課税される所得が低くなります。
例えば、給与所得は1,200万円だと約206万円の所得税・住民税が課税されます。
しかし、不動産所得が「-1000万円」になっていると、給与所得1200と不動産所得「-1,000万円」を合算して課税される所得は200万円になりますので、結果として納める税金は課税所得1,000万円分も少なくなります。
1.2.中古不動産により赤字が出るしくみ
不動産を購入して第三者へ賃貸をすると、賃料収入が発生し、それは不動産所得となります。
これだけですと、確定申告を行うことでむしろ税金が増えてしまうと考えてしまうかもしれません。
しかし、不動産所得は賃料などの収入から、その収入を得るために必要な経費を差し引く必要があります。
必要経費には以下のものがあります。
- 不動産に関わる税金(固定資産税・不動産取得税など)
- 不動産管理会社への管理費用
- 不動産に関わるローンの金利
- 不動産の建物と設備の減価償却費
- 不動産の経営に関わる交通費や飲食代など
つまり、この必要経費を多く計上すれば、課税される利益が低くなるのです。
不動産所得は賃料収入よりも必要経費の金額が上回れば、赤字で申告をすることができます。
ただし、ここで大切なことは、「ただ経費を無駄遣いしても全く意味がない」ということです。
最大のポイントは、必要経費の中でも「減価償却費」を短い期間でより多く計上することです。
減価償却費は目には見えませんが、決まった計算式でその物件の価値の目減りを計上できる制度なのです。手元から現金がなくならないのに、必要経費に算入できる魔法の制度です。
これも後ほど触れていきますが、例えば築23年以上の木造の建物であれば、建物価格のほぼ全額を4~5年で減価償却費として計上できます。このような早期に減価償却が行える不動産を活用することで大きな赤字を計上して、給与所得の所得と合算して課税所得を減らすことで所得税・住民税を抑えることができます。
1.3.必要経費をより多く計上することで赤字を作れる
不動産投資は不動産経営でもありますので、営業活動に必要な経費はしっかりと落とすことが出来ます。
ちなみにこれはやみくもに経費を計上しろということではありません。
固定資産税や不動産管理費、ローンの金利は安いに越したことはありません。
ここでいう、必要経費とは、交通費や飲食費です。といっても、日常の交通費や飲食代は経費にはできません。
経費にできるのはあくまで、不動産投資を行うのに関連してかかった交通費や飲食代、その他の雑費です。
たとえば、不動産投資・不動産経営に詳しい友人に会いに行き、その友人と食事しながら入居の勧誘や物件に関しての経営相談をした場合は、その時の交通費や飲食代を経費にすることができます。
また、私は、妻と旅行で西日本方面にいくときには必ず大阪にある自分の物件を視察しに行きますので、その時の交通費の一部を経費に計上しています。
このように、不動産経営では、きちんとした理由があれば、給与所得者では計上できない経費をしっかりと計上することができるのです。
1.4.中古不動産を活用した場合の不動産所得の計算
ここでは、これまでお話したことをふまえて、実際に不動産所得の計算をしてみます。
〈収入〉
〈支出〉
- 固定資産税100万円
- 不動産管理料100万円
- 不動産に関わるローン500万円
- ローンの金利100万円
- 減価償却費1,000万円
- 交通費・飲食代・その他雑費100万円
この場合の現金の動きを見てみると、以下のとおり、100万円の現金がプラスになっています。
賃料収入1,000万円-(固定資産税100万円+不動産管理料100万円+不動産に関わるローン500万円+ローンの金利100万円+交通費・飲食代・雑費100万円)=100万円
次に、この場合の計算上の収支の動きを見てみましょう。支出のうちローン500万円以外が経費になりますので、以下のように、400万円の赤字になっています。
賃料収入1,000万円-(固定資産税100万円+不動産管理料100万円+ローンの金利100万円+減価償却費1,000万円+交通費・飲食代・雑費100万円)=-400万円
つまり、現金は150万円増えているのに、収支は200万円の赤字になっています。
1.5.短期で減価償却しやすい不動産とは
ここまでで、中古不動産への投資で税金が抑えられる仕組みをご説明してきましたが、決定的に重要なのは減価償却費です。
実際にどのような不動産であれば、多く減価償却費を計上できるのかをご説明していきます。
ポイントは2つです。
- 木造か軽量鉄骨造の中古物件であること
- 10戸以上の物件であること
木造か軽量鉄骨造の中古物件がおすすめな理由
まず、ポイント1についてご説明します。
減価償却費を多く計上する上で大切なのは、タイトルにもあるように「中古」の不動産であることです。そして、それに加えて、建物の構造が木造あるいは軽量鉄骨であれば、より短い期間で減価償却費を計上することができます。
減価償却費は購入金額を対象の建物の構造によって耐用年数を定めて計算を行います。
〈構造別の耐用年数〉
- RC:47年
- 重要鉄骨:34年
- 軽量鉄骨:27年
- 木造:22年
新築の場合は、上記の耐用年数で購入金額を割れば年間の償却費が計算できます。
これに対し、中古の場合は以下の計算式を使用します。
中古物件の償却期間=法定耐用年数-築年数×0.8
加えて、法定耐用年数<償却期間 の場合は、以下の耐用年数を使用します。
- RC:9年
- 重要鉄骨:6年
- 軽量鉄骨:5年
- 木造:4年
ここで実際の計算をしてみましょう。
例1)4,000万円の中古の木造建物(築23年)を減価償却する場合
⇒購入金額4,000万円÷4年(耐用年数)=年間減価償却費1,000万円
例2)4,000万円の新築のRC建物を減価償却する場合
⇒購入金額4,000万円÷47年(耐用年数)≒年間減価償却費85万円
同じ4,000万円の建物価格でも、新築のRC建物と中古木造建物(築23年)では、年間の減価償却費は915万円(10倍以上)の差となります。
したがって、節税を考えて不動産を購入するのであれば、以下の建物がおすすめです。
- 築35年の重量鉄骨の建物:6年償却
- 築28年の軽量鉄骨の建物:5年償却
- 築23年の木造の建物:4年償却
この中でもっとも償却が早いのは、やはり4年で減価償却ができる築23年の木造建物です。
また、木造だと解体も比較的に安価な値段でできますので、将来建物を解体して土地(更地)として売却するならば解体コストも低くて済みます。したがって、節税のための不動産としては優位性があることがわかります。
10戸以上の物件を所有するのがおすすめな理由
2つ目のポイント、10戸以上の物件の所有をおすすめする理由をお伝えします。
お金を掛けずに経費を増やせないかとお考えの方は、10戸以上所有することで、確定申告は青色申告が可能になります。
そして、青色申告ができると65万円の申告特別控除を受けることができます。
したがって、10戸以上所有するだけで65万円も控除が受けられるので、お金を使わずに65万円の経費が増えたのと同じ効果があります。
これらのポイントを踏まえると、建物の構造は木造か軽量鉄骨で戸数は10戸以上の中古不動産を購入することで赤字を作りやすくなり、所得税・住民税を抑えることができるようになります。なので、節税目的であれば、これらの条件を満たす物件をご検討されることをおすすめします。
1.6.物件の探し方
それでは、どのように物件を探せばいいでしょうか。
物件の探し方は様々ですが、大きく分けると以下の3つの方法があります。
- 不動産検索サイト(健美家・楽待・ニフティ不動産)
- ターゲット地域の不動産屋さん
- オーナー様へ直接交渉
不動産検索サイトで、不動産投資に特化しているサイトは「健美家」「楽待」です。
条件検索でも、築年数や構造、戸数で探せるようになっていますので、ここまででご説明してきた不動産はウェブで検索して探していただくのがもっとも手軽です。
次に、ターゲットにしている地域が決まっていれば、そこの不動産屋さんを歩いて回ることをおすすめします。
地域密着で営業をしている不動産屋さんには、まだウェブには載っていない段階の物件もおりてくることもありますので、条件のよい物件に巡り合える可能性もあります。
そして、最後はオーナー様への直接交渉です。
これはプロでなければ難しいのですが、ターゲット地域を歩いていると気になる物件もあるはずです。そこで見つけた物件の所有者を探して、直接交渉することも可能です。
この場合は自分自身で見つけにいっているため、条件のよい物件に巡り合う可能性が増します。
ウェブで探してもよい物件があるときもありますが、やはりいい物件を見つけるには、このような地道な努力が意外と必要になっています。
2.不動産投資の節税の「出口対策」は5年度以降の売却
ここまでで、中古不動産への投資で税金が抑えられるというお話をしました。しかし実は、減価償却費を短い期間で計上できる物件は、その後は逆に減価償却費で赤字が作れなくなってしまうため、黒字になってしまいます。そう、不動産投資で悩むのは、最終的にどう節税の効果を確かなものにするかという「出口対策」です。
それでは、どうすれば節税の出口対策ができるのかをこれからご説明していきます。
それは、5年度以降に売却をすることです。
なぜ所有してから5年度経過している必要があるかといいますと、5年度以上保有している不動産を売却した場合、その収益(長期譲渡所得)には20%程度しか税金はかからないようになっているからです。いくら高く売却できたとしても、税率は一律約20%です。
また、譲渡所得は、「分離課税」といって給与所得とは合算されずにそれぞれ課税がされる制度なのです。
譲渡所得の税率は以下のように定められています。
- 5年度未満の譲渡所得(短期譲渡所得):約40%
- 5年度以上の譲渡所得(長期譲渡所得):約20%
減価償却費などで節税をしたときには、給与所得と合算していましたので、給与所得が高い人は所得税と住民税を合わせて約33~55%の所得税率が掛かってしまっています。ところが、所有してから5年度以上の譲渡所得にはたったの20%しか税金がかからないのです。
なおご参考までに、譲渡所得の額の計算式は以下の通りです。
課税譲渡所得金額=収入金額-(取得費(※1)+譲渡費用(※2))-特別控除額
※1:取得費について
取得費には、①売った土地や建物の購入代金、②建築代金、③購入手数料、④設備費・改良費なども含まれます。
なお、建物の取得費は、購入代金などの合計額から減価償却費相当額を差し引いた金額となります。
※2:譲渡費用について
譲渡費用とは、土地や建物を売るために直接かかった費用のことで①仲介手数料、②印紙税、③立退料、③取壊し費用とその損失額、④違約金、⑤名義書換料などがあります。
長期譲渡所得であれば、この計算式で算出した譲渡所得金額に対して20%の税率がかかりますので、とにかく5年度以上経過していれば、20%の税金だけで済み、節税ができたということになります。
ただし、損をしないで売却するにはどうすればいいのか、本当に損せずに希望の金額で売却できるのかは一番の不安の種になります。
実際に不動産の売却をするには、立地条件が良くなければやはり販売はすぐにはできないと考えてください。
3.不動産投資に向く人と向かない人
ここまでで、中古不動産で税金が抑えられる仕組みなどをご説明してきましたが、当然リスクもあり、いいことばかりではありません。
ここからは不動産投資のリスクをご説明していきます。
そして、最後にそのリスクをふまえて、不動産投資に向いている人と向いていない人をご紹介していきます。
3.1.不動産投資のリスク
不動産投資のリスクは主に以下の3点です
- 家賃収入が入らない
- 売却のときに希望の値段で売却できない
- 手続きが面倒
まず、不動産投資は他人に部屋を貸して家賃収入を得る必要があります。そうでなければ、ただ損をしてしまうだけになってしまいますし、何よりもそれが原因で破産してしまう方もいます。
不動産投資はローンを組んで購入する場合がほとんどですので、家賃がはいらないと自分自身でローンなどをご負担していただくことになってしまいます。
加えて、売却のタイミングで希望の値段で物件が売却できないこともあります。
これによって、希望の金額で売却ができなければ、損をしてしまう可能性が高いです。
また、逆のパターンで住民税が上がってしまうこともあります。
例えば、売却せずに不動産を持ち続けていると、むしろ家賃収入の分、所得が増えたことで、税金をたくさん支払わざるをえないケースがあります。
そして、最後の手続きが面倒という内容は、不動産を購入すると様々な書類をかかなければなりますし、確定申告をする必要性が出てきてしまうため、手続きが本当に大変です。
この事務処理や手続きの大変さで不動産投資が嫌になってしまうひとも大勢います。
中古不動産を活用するのであれば、この事務の大変さはどうしても付きまとってしまいます。
3.2.不動産投資に向いている人
不動産投資に向いている人は、上でお伝えしたリスクに経済的にも精神的にも耐えられる人です。
また、売却も希望の値段、希望の期間で売却できないことがあるため、そのような場合でも冷静に対応できるだけの資金をもっていることが重要です。
また、家賃収入の減少などのリスクに耐えられるほどの精神力がなければなりません。
したがって、不動産投資が向いているのは
ということになります。
逆に言えば、資金的な余裕も心の余裕もなく、リスクに対して敏感な方には、不動産投資はおすすめできないということになります。
自分自身がこのような投資に向いているかいないかをしっかりと見極めて、中古不動産を活用した節税を実践していってほしいと思います。
まとめ
サラリーマンの私が中古不動産への投資で、結果的に所得税と住民税を0円にできた話をお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。
最大のポイントは減価償却費です。中古で、より多くの減価償却費を計上できる建物を購入できれば所得税・住民税を抑えることができます。
ただし、単に目先の所得税・住民税を抑えることだけを目的として不動産投資を行うことはおすすめしません。
中古不動産は早期で償却ができてしまうため、将来的に給与所得に不動産所得のプラスが加算されて住民税を多く支払うリスクなどもあります。
出口対策であまり税金がかからないように5年度以降に売却をすることをおすすめします。
そして、このような不動産に関わるストレスに耐えられる方や、資金的な余裕のある方であれば、不動産投資は向いていると思いますので、中古不動産の活用を前向きに視野にいれてもいいのではないかと思います。