個人年金保険は必要か?公的年金や他の手段との比較

近年、いわゆる「老後2,000万円問題」など、年金に関するニュースが増え、個人で老後資金を貯める手段が注目されています。

その中でも比較的昔からあり、知名度が高いのが個人年金保険です。

しかし、最近ではiDecoをはじめとして、他にも様々な制度が認知され始めています。

そのような制度と比較して、個人年金保険はどこまで有用なのか、気になるところです。

そこで今回は、個人年金保険の必要性について、他の手段と比較しつつ解説していきます。

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保険の教科書 編集部

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1.個人年金保険とは?

個人年金保険とは、毎月、あるいは毎年一定額の保険料を払い込み続け、老後にまとまった額の年金を受け取れる保険です。

「保険」という名前が付いていますが、老後に備えるための金融商品であり、実質的に貯蓄型の資産運用と考えて差し支えありません。

1.1.どのくらいお金が増えるのか

A生命の個人年金保険を例にして、実際にどのくらいお金が増えるか見てみましょう。

【契約例】

  • 契約者:30歳男性
  • 払込期間:65歳まで
  • 年金受取開始:65歳から
  • 年金種類:確定年金(10年)
  • 保険料:(月払い)15,000円

この契約例では年間66.2万円の年金を10年間受け取ることができます。

その結果、保険料累計額・個人年金保険受取累計額・返戻率は以下のようになります。

  • 保険料累計額:630円
  • 個人年金保険受取累計額:662万円
  • 返戻率:105.0%(+32万円)

このように、ほとんどお金が増えない銀行預金と比べれば、効率が良いとは言えます。

ただし、昨今では、日本政府のマイナス金利政策が長く続いている影響を受け、円建ての個人年金保険は魅力が薄れていると言わざるを得ません。代わって「米ドル建て」や「変額」の個人年金保険の人気が上昇しています。

米ドル建て個人年金保険は、米ドルで積立を行う個人年金保険で、為替変動による元本割れのリスクがありますが、高い利率で運用できるのが特徴です。

変額個人年金保険は、払い込んだ保険料の一部を特別勘定として運用し、運用実績によって年金の総額が変化する投資要素の強い保険で、上手くいけば保険料総額の2倍を超える額を積み立てることができます。

いずれも、積立効率が高く、お金を大きく増やせる可能性がありますが、その反面、リスクもあります。なので、リスクの内容と対処法を理解して活用することが重要です。

リスクを抑え、積立の効率を高めるためのポイントについては、詳しくは「個人年金保険を考える時に必ず知っておきたい種類と特徴」をご覧ください。

1.2.個人年金保険で節税もできる

個人年金保険の保険料は「生命保険料控除」の対象です。

円建ての個人年金保険と米ドル建て個人年金保険は「個人年金保険料控除」の対象です。また、変額個人年金保険は「一般生命保険料控除」の対象です。

所得税・住民税の確定申告時に、年間保険料の一部について所得控除を受けることができます。

所得税は年間所得から最大40,000円まで、住民税は最大28,000円まで控除を受けることができます。

年間の保険料ごとの控除額は以下のようになっています。

所得税 住民税
年間払込保険料 控除額 年間払込保険料 控除額
2万円以下 保険料全額 12,000円以下 保険料全額
2万円超~4万円 (保険料×1/2)+ 1万円 12,000円超~32,000円 (保険料×1/2)+ 6,000円
4万円超~8万円 (保険料×1/4)+ 2万円 32,000円超~56,000万円 (保険料×1/4)+ 14,000円
8万円超 4万円 56,000円超 2,8000円

所得税 住民税
年間払込保険料 控除額 年間払込保険料 控除額
2万円以下 保険料全額 12,000円以下 保険料全額
2万円超~4万円 (保険料×1/2)+1万円 12,000円超~32,000円 (保険料×1/2)+6,000円
4万円超~8万円 (保険料×1/4)+2万円 32,000円超~56,000万円 (保険料)×1/4+14,000円
8万円超 4万円 56,000円超 2,8000円


お金が増える効果に加え、所得控除を受けられることで、より効率的に老後の資金を貯めることができます。

詳しくは「生命保険料控除制度|控除のしくみと対象となる保険と注意点」をご覧ください。

2.個人年金保険の必要性を他の手段との比較で考える

個人年金保険が将来の生活費を貯めるための保険であることが分かりましたが、本当に必要なものなのでしょうか。

この項では、他の年金を用意できる手段を比較しつつ、個人年金保険の必要性について考えていきましょう。

2.1.前提|厚生年金は効率が高い貯蓄手段

昨今では「年金制度の崩壊」がまことしやかに囁かれ、実際にマスコミなどでも大きく取り上げられてます。

報道を見た人の中には、「どうせもらえないなら年金は払いたくない」と考える人もいるでしょう。

しかし、公的年金、特に厚生年金は老後の生活費を貯蓄する上で、かなり効率的な手段であることを見逃してはいけません。

厚生年金は社会保険の一種で、会社に雇用されている人が加入することになる保険です。

保険料が一律である国民年金と大きく違うのが、厚生年金の保険料が月給に保険料率をかけて算出されることと、1/2は勤めている会社が負担することです。

つまり、厚生年金は保険料の負担が実質半額で、年金を積み立てることができるのです。

単純に考えて、利率が圧倒的に良いことが分かるでしょう。

しかも、公的年金は受給開始年齢を引き上げることで受給額が増加します。

とはいえ、受け取れる金額自体が減っていることは事実です。したがって、将来のことを考えると、公的年金はしっかり支払いつつ、他の手段でさらに貯蓄していくことが重要です。

これに対して、自営業は、公的年金が国民年金なので、厚生年金の恩恵を受けることができません。したがって、さまざまな手段を駆使して年金を補強する必要が出てきます。

2.2.年金が用意できる手段は様々

個人年金保険以外にも老後の資金を準備する手段には様々なものがあります。

主な手段として挙げられるのは以下の通りです。

  • iDeco(個人型確定拠出年金)
  • 国民年金基金
  • 小規模企業共済

それぞれ見ていきましょう。

①iDeco(個人型確定拠出年金)

老後資金を貯める手段として知名度の高いiDecoは、会社員はもちろん、自営業から主婦に至るまで加入することができる制度です。

掛け金は5,000からであり、ハイリスクハイリターンのものから利率は低い分安全なものまで、様々な運用商品を自分で選ぶことができるのが特徴となっています。

60歳まで積立金や年金が引き出せないのが難点ですが、掛金が全額所得控除になることもあり、効率的な手段であると言えます。

詳しくは「会社員にもおすすめ!今最も節税できる個人型確定拠出年金iDeCoの全知識」をご覧ください。

②国民年金基金

国民年金の保険料は自営業者も会社員も一律なので、自営業者は厚生年金で保険料を支払っている会社員より年金が少なくなる傾向があります。

国民年金基金は、そんな自営業者と会社員の年金額の差を解消するために作られた制度です。

掛金は6万8,000円以内で選択することができ、iDecoと同じく掛金は全額所得控除を受けられます。

例えば30歳で国民年金程度の掛金を支払うと、年額で30万円程度の年金を終身で受け取ることができます。

詳しくは国民年金基金のホームページをご覧ください。

③小規模企業共済

小規模企業の会社役員や、自営業者のための退職金制度として誕生したのが小規模企業共済です。

こちらは掛け金を1,000~7万円の内500円単位で選択が可能で、やはり先述の制度と同じく全額所得控除を受けられます。

また、小規模企業共済特有の特徴として、経営者が加入した場合は掛け金を損金計上することが出来るということが挙げられます。

自営業者のみならず、経営者の老後資金を貯める手段として、特に有用な手段です。

詳しくは「小規模企業共済で退職金を準備する5つのメリットと3つの注意点」をご覧ください。

ここで紹介した全ての制度で共通なのが、掛金を全額所得控除にできるという点です。

この点については、保険料の一部しか所得控除されない個人年金保険より優れているといえます。

上記のように老後資金を貯める手段が多様化したことによって、個人年金保険、特に積立効率が低下している円建ての個人年金保険の必要性が低下しているのは否定できません。

個人年金保険を選ぶならば米ドル建てか変額の方がおすすめですし、かつ、他の手段とも比べて自分に合ったものを選び、場合によっては併用することをおすすめします。

どうしても手段を決めきれないという場合は、信頼できるファイナンシャルプランナー等の専門家に相談してみることをおすすめします。

まとめ

個人年金保険の必要性について、他の手段と比較してお話ししてきました。

個人年金保険は貯蓄を目的とした保険で、老後の年金を補う形で運用するものですが、最近では円建てのものは減ってきており、米ドル建てや変額など、リスクがある分大きな見返りを見込めるものが多くなってきています。

また、iDecoをはじめとした他の手段と比較すると、特に積立の効率が大幅に低下している円建ての個人年金保険は、必要性が必ずしも高いとは言えません。

個人年金保険を選ぶならば米ドル建て個人年金保険か変額個人年金をおすすめします。また、他の手段とも比べて、それぞれの特徴を踏まえつつ、自分に合った貯蓄手段を選びましょう。

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