
子どもが生まれると検討する学資保険。
皆さんは学資保険に加入したら、どのくらい家計に変化が起きるかを考え、シミュレーションを行ったことはありますか。
実際に、学資保険に加入することで家計に起こる3つの変化があります。
それは、
- 毎月の家計の収支
- 大学進学時の教育費
- 老後資産の準備額
です。
学資保険というと少し保障のついているただの積み立てだと思うかもしれません。
しかし、実際には、保険料支払いの面や、学資金受け取りのとき、そして親に万一のことがあった場合に家計に変化が起きます。今回は、学資保険に加入しない場合と、10年間学資保険を掛けた場合の2つのシミュレーションを行います。
このシミュレーションを見ていただくことで、学資保険を掛けることで家計にどのような変化があるのかがわかりますので、是非最後まで読んでいただきたいと思います。
1. 学資保険のシミュレーション
まず2つのシミュレーションを行います。
- 学資保険に加入しない場合
- 10年間学資保険を掛けた場合
です。
1.1. 前提条件
前提条件としましては
(夫)保険太郎様 30歳男性 会社員 年収500万円
(妻)保険花子様 30歳女性 会社員 年収100万円
(子)保険一郎様 0歳男性
の3人家族です。生活費や貯蓄については以下の通りです。
- 生活費:20万円/月
- 固定支出:夫婦で5万円(携帯電話代や趣味やお小遣いなど)
- 住宅:持家(住宅ローン3,000万円、維持費36万円/年)
- 現在貯蓄:300万円
それ以外に以下のような夢や目標を持っておられます。
- 自動車は5年ごとに買い替えたい
- 国内旅行に毎年家族で行きたい
子供の希望進学像は公立幼稚園⇒公立小学校⇒公立中学校⇒私立高校⇒私立理系で考えておられます。トータルの学費は1.559万円で、そのうち大学の学費は609万円です。
2. 学資保険に加入していない場合
まずは、学資保険に加入していない場合のシミュレーションを見てみましょう。
2.1. 学資保険に加入していない場合の収支グラフ
以下の図は、実際の収支グラフを示しています。
グラフの縦軸はお金で単位は万円です。横軸はご主人様の年齢を表しています。青い線は収入で、薄黄色(下側)の棒グラフが教育関連費用です。
この図からも確認ができるように、長男の一郎くんが大学進学までは、基本的に青い線グラフ(収入)が色付き棒グラフ(支出)を上回っています。中学校まではそこまで学費はかかっていませんが、高校・大学で大きな学費負担が発生していることがわかります。
ただし、高校の学費は300万円程度なので、1年間で100万円、1か月平均8万円程度です。8万円の負担は大きいかもしれませんが、実際は入学金などまとまったお金が支払えればあとは毎月何とか支払っていける金額になります。
大学の費用は609万円に上りますので、1カ月あたりの負担は12~13万円となり、かなり負担が上がってしまいます。実際には入学金が多くかかるため、入学前にお金を準備しておく必要がありますが、それでも半期ごとの授業料を月々貯めて学費を貯めていくというのは非常に難しいということになります。
また、その期間で支出が収入を上回っている箇所は、自動車購入や国内旅行などで出費した時期です。
そのため、保険太郎さん一家は、もし車の買い替えや旅行などの夢の実現を行ったとしても家計はその時点では赤字にはなりません。しかし、黄色の棒グラフ(教育関連費用)がかかる大学のタイミングではどうしても支出が収入を上回ってしまいます。
以下のグラフは、その戦後の時期の収支を数字で表したものです。
一郎くんが大学を卒業する時には(太郎さん52歳、一郎くん22歳)、貯蓄が底を尽きて資産がマイナスになってしまいます。このマイナスは教育ローンなどの借り入れによって、カバーすることになります。これでは、大学へ進学をさせることに少し不安を抱いてしまいますよね。家計を改善するなどの工夫が必要となるかもしれません。
2.2. 学資保険に加入していない場合の貯蓄の推移
下図では、学資保険に加入していない場合の金融資産の増減を時系列で示しています。
この図で、抑えておいてほしいポイントは2つあります。
- 貯蓄残高が減っているのはちょうど長男の一郎くんが大学へ進学するタイミングで、長男の一郎くんが大学を卒業する年度で貯蓄がマイナス(借入状態)になっています。
- 老後の65歳時点では1,695万円程度の貯蓄ができていることがわかります。
これからわかることは、長男の一郎くんが大学に進学するまでは、なんとか貯蓄を切り崩しながらも、借金をせずに生活ができ、その後55歳でローンの返済は終えられるということです。
3. 学資保険に加入した場合
それでは、学資保険に加入した場合は、どうなるでしょうか。
3.1. 学資保険に加入した場合の収支グラフ
以下は学資保険に加入した場合のシミュレーションです。
学資保険加入前と同様に緑色のグラフ(教育関連費用)がかかる大学のタイミングではどうしても大きく赤い線グラフ(収入)を上回ってしまいますが、学資金が大学時代に毎年75万円給付されていることから、学資保険加入前ほどの年間収支の赤字にはなっていません。
3.2. 学資保険に加入した場合の貯蓄の推移
この図で、抑えておいてほしいポイントは3つあります。
- 加入前とは異なり、貯蓄残高はプラスのままで推移している。
- 35歳~40歳までは、学資保険の保険料負担が重かったために、収支がマイナスになっている。
- 老後は65歳からで、65歳時点では1.730円程度の貯蓄ができている。
この3つからわかることは、長男の一郎君が大学を卒業するまでは、なんとか貯蓄を切り崩しながらも、借金をせずに生活ができるということです。
4. 万一の場合のシミュレーション
ここからはお父様の太郎さんが万一亡くなってしまった場合のシミュレーションです。
4.1. 万一の場合の収支推移
やはり最初の段階から、収入は支出を下回ってしまっています。つまり必ず毎年家計は赤字なので、借金がどんどん雪だるまのように膨れ上がってしまうことになってしまいます。
4.2. 万一の場合の貯蓄の推移
もし太郎さまに万一のことがあった場合は、すぐに貯金300万円がなくなり、借金をしなければ生活ができなくなってしまいます。
今回の場合、保険太郎様の万一のさいには、家計が回らなくなってしまうというのが目に取れてわかりますので、学資保険だけでなく、少しでも多くの死亡保障を備えておくべきだということがわかります。
ただし、学資保険は、もし一家の大黒柱に万が一のことがあった場合、保険料の支払いは免除になった上で、進学の際には最初に設定しておいた金額を受け取れるのが基本です。そのため、生命保険と学資保険を同時に入っておくと、学費の面での安心は大きくなります。
まとめ
今回は学資保険に加入していない場合と加入している場合でシミュレーションを行いましたが、いかがでしたでしょうか。
1つ目に、学資保険を掛けることで毎月の家計の収支は支払ている期間は家計が苦しくなり、収支が赤字になりやすくなっていることがわかります。
2つ目に、大学進学時の教育費は学資保険に加入していた方が、貯蓄に余裕が出ることがわかります。実際にグラフで学資保険の加入前と加入後では、加入後は貯蓄がマイナスになっていません。
3つ目に、老後資産の準備額も多少変わってきます。学資保険に加入することでいくらかお金を増やせること、そしてお子様が大学した後に貯蓄がマイナスにならなくて済むことからローンで無駄な金利を支払わなくて済むことで、結果的に老後の資金にも差が出るのです。お子様のための学費への備えとして学資保険に加入していましたが、結果的に老後の準備の1つにもなっていることがわかります。
ただし、上記はあくまで保険太郎様のケースでのシミュレーションです。学資保険を支払うことが困難で、借入をしなければならなくなってしまう場合は、学資保険で増えるお金以上にローンが金利で膨らんでしまうことで、老後を圧迫してしまうという事態も起こりえます。
しっかりと計画を練ったうえで、適正な保険料負担額を算出し、自分自身に適正な学資保険のご加入を検討いただければ幸いです。