法人保険で節税を考えるとき必ず知っておきたいメリットとデメリット

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法人保険で節税を検討されている人はインターネットや書籍などで調べていると思いますが、そこにはメリットがいっぱい書いてあったと思います。

もちろん法人保険はメリットがたくさんあります。ただし注意しなければいけないデメリットもあります。法人保険を会社にとって最大限生かすためには両方を理解する必要があります。

この記事では法人保険で節税するときのメリット・デメリットを全てお伝えします。これを理解していただくことによって法人保険で失敗することが無くなり、かつ最大限生かすことができるようになることと思います。

1.法人保険4つのメリット

法人保険のメリットは、節税の面でも、それ以外の面でもいろいろあります。特に、以下の4つは法人保険ならではのメリットと言えるでしょう。

  1. 一般的な節税方法よりも節税効果が高い
  2. 緊急時の予備資金を貯めておくことができる
  3. 決算の直前でも行えるものがある
  4. 節税しながら保障を受けられる

ひとつ一つ解説していきますので、しっかりと確認しておきましょう。

メリット1:一般的な節税方法よりも節税効果が高い

おそらく法人税の節税するときに真っ先に考えるのが経費(損金)を増やして利益を圧縮することだと思います。一般的には、社員寮や社員旅行、社用車の購入などですね。

法人保険も保険料を損金にするのでイメージは同じです。しかし単純な節税の観点から考えると、法人保険がもっとも効果が高くなります。簡単に言うと、以下のような違いがあります。

  • 社員旅行:経費として認められるのは旅行費用が社会通念上一般的な範囲まで。
  • 車の購入:減価償却分が経費となるので節税効果は小さい。
  • 法人保険:大きな損金の金額が設定できる。さらに解約するとお金が戻ってくる。

社員旅行の場合は当然旅行費は返ってきませんし、社員旅行として認められるには4泊5日以内で、全従業員の半分以上が参加していることが条件となります。また、一人あたりの旅行費が不相応に高額だと経費とは認められません。

次に、車の購入の購入金額の全額をすぐに経費にできるわけではありません。一度、資産として計上した上で、その減価償却分が経費となります。例えば1000万円の新車を購入した場合、新車の減価償却期間は6年なので、1年間に減価償却できる額は、1000万円÷6年=166.6万円にすぎません。しかも、減価償却は月割で計算されるので、期中に購入した場合はそれより少ない額しか計上できません。

それに対して、法人保険は、1000万円の保険料を支払うと、その全てまたは1/2を損金とすることができます。つまり、同じ1000万円を支払っても、法人保険のほうが節税効果が高いのがわかります。

このように法人保険は、一般的な節税方法よりも節税効果は遥かに高いものが多いのです。

また詳しくは「メリット2」で後述していますが、法人保険は解約したら、全額に近いお金が戻ってくることもポイントです。社員旅行や社用車の購入では、お金は戻ってこないので大きなメリットの一つと言えます。

メリット2:緊急時の予備資金を貯めておくことができる

会社を経営をしていると、何度も現金がなくて不安になった時期があったことでしょう。

今は順調でも、いつ天災などの不慮の事態が発生するか分かりません。そこで、法人保険に加入しておくと、そんな時のために緊急予備資金を「解約返戻金」として貯めておけます。

法人保険は解約してから約1週間ほどで解約返戻金を受け取ることができます。保険商品にもよりますが、満期近くまで加入していると返戻金はほぼ全額近く戻ってきます。つまり、支払った保険料がそのまま戻ってくるということですね。

このように、法人保険に加入するといざという時のための緊急予備資金を貯めておけるのです。

それではわかりやすく事例で解説していきたいと思います。以下の規模の会社を例にして詳しく解説していきます。

  • 売上:2億円
  • 税引前利益:2000万円
  • 社員:20名
  • 保険金:1億円
  • 保険料:1000万円
  • 損金計上:1/2
  • 10年後の解約返戻金の返戻率100%

このケースの場合、PL(損益計算書)には以下のように保険料を損金として算入することができます。
損益計算書
支払い保険料(1000万円)の半分を損金として算入できる保険なので、500万円を損金に算入します。そして、貸借対照表には、残りの500万円を「保険料積立金」という名目で固定資産として表記します。このまま10年経ったとしたら、10年後、貸借対照表は以下のようになっています。

貸借対照表

保険が10年で満期になるとして、このときに解約したら今まで支払った保険料1000万円×10年で1億円が返戻金として戻ってきます。しかし、貸借対照表に記されている、保険料積立金は5000万円ですね。

つまり、この契約の場合、解約返戻金と保険料積立金との差額5000万円を帳簿外に貯めておけるということですね。

この5000万円が緊急予備資金となり、急にまとまったお金が必要になった場合に、キャッシュフローを痛めずにお金を準備することができます。会社にとっては非常に心強いお金となります。

これも、他の節税方法にはない、法人保険ならではの大きなメリットと言えます。

メリット3:決算の直前でも行えるものがある

決算期直前で予想以上の利益が出ることが確実になって慌てて法人税の対策を考える経営者の方もいらっしゃると思います。その時に心配なのが今からでも決算に間に合うのかどうかではないでしょうか?

結論から言うと法人保険は、2週間は欲しいところですが、急ぎの場合は最低1週間あれば間に合います。

法人保険に加入してから損金計上までの流れは以下のようになります。

法人保険

ポイントは、法人保険は、審査が通った時点ではなく、契約して保険料を銀行で振込んだ時点で損金に計上できるということです。そのため、最低1週間で決算に間に合わせることができます。

ただし、保険に加入をするときには健康状態などの審査があります。結果が出るまでに約2週間ほど掛かります。もし審査の結果加入できなければ保険料は戻ってきます。損金算入はできません。

そのため、しっかりと検討する時間を取っておいた方が良いのは言うまでもありません。

メリット4:節税しながら保障を受けられる

当たり前のことですが、法人保険のメリットは何といっても保障があることです。

経営者の方は「自分に何かあったときに会社は大丈夫だろうか」と心配になることもあるでしょう。保険に入ることによって、そういった万が一の時のリスクに備えることができます。

例えば、経営者に万が一があると社内が混乱し、銀行や取引先などからの信用が落ち、融資が止められてしまうなど、経営が危機に立たされることもあります。また、役員や社員への給与や賞与が十分に支払われない可能性もあります。

そんな時に、例えば死亡保険金を1億円受け取ることができるとすれば、十分に経営の立て直しをはかることができます。

他にも、解約返戻金を、経営者または従業員の退職金に充てることもできます。将来の退職金を準備しようと思っても銀行預金などいつでも引き出せるものだと貯められないという経営者の人も多いと思います。そこで法人保険であれば節税をして、保障を受けながら退職金を貯めることができます。

社員にとって退職金がしっかりとしているかは重要です。法人保険を利用して、退職金規定を整えて優秀な人材確保に繋げることもできます。

2.法人保険の3つのデメリット

次に、法人保険で節税するときに重要なのがこのデメリットです。単にメリットだけを見て加入を検討することのないようにしてください。これらのデメリットを把握しておかなければ、後になって後悔する可能性があります。

簡潔にお伝えすると、以下が法人保険のデメリットです。

  1. 会社のキャッシュフローが悪くなる
  2. 保険の解約のタイミングを間違えると損をする
  3. 保険は税金の繰り延べに過ぎない

デメリット1:会社のキャッシュフローが悪くなる

法人保険に加入をすると当然保険料を支払わなければいけません。年払保険料が1000万円の場合、単純に年間1000万円がキャッシュアウトしてしまいます。 また、保険料は一回払って終わりではなく、毎月毎年支払う必要があります。

つまり、その分、会社の現金が減りキャッシュフローが悪くなります。

会社を成長させるために、キャッシュを新規事業の投資や人員の拡充に充てたいときは、キャッシュフローの悪化は経営にとって致命的になってしまいます。つまり、今後、多くのキャッシュが必要になりそうな場合は、法人保険による節税は向いていないでしょう。

そうでない場合も、法人保険に加入する前に、キャッシュフローの試算をしておくことが重要と言えます。

デメリット2:保険の解約のタイミングを間違えると損をする

法人保険は解約したときに解約返戻金を受け取ることができます。しかし、返戻率(どれぐらい受け取れるか?)は、解約するタイミングで大きく違います。商品によって、返戻率のピークは違いますが、特に注意したいのが早期解約をすると40%〜80%程度しか戻ってきません。

以下の事例で具体的に考えてみましょう。

  • 売上:2億円
  • 税引前利益:2000万円
  • 社員:20名
  • 保険金:1億円
  • 年間保険料:1,139.6万円
  • 保険期間:70歳まで(現在40歳)

このようなケースで、返戻率が以下のような保険に加入したとします。

逓増定期(メットライフ)
※返戻率=支払保険料総額に対して解約した時に何%戻るか表したもの

この契約の場合、5年目の返戻率が39.1%なので、もし5年で解約してしまうと、それまで支払った保険料5698万円の39.1%の、2231万円しか戻ってきません。これは非常に大きな損失ですね。

しかし、6年目になると返戻率が98.5%になり、1番ピークになるのが8年目の99.7%になります。よって8年目に解約をすると8年で保険料を総額で約9116万円支払ったのに対して解約をしたときに約9096万円戻ってくるので、ほぼ全額戻ってくることになります。

ただし、注意しないといけないのがピークを過ぎると徐々に返戻率が下がっていくということです。上記の表にあるようにピークを過ぎて15年目になると78.4%まで下がります。そして、そのまま置いて保険期間終了の70歳になると、保険が終了してまったく何も戻りません。

このように解約返戻金をどれだけ受け取れるかは、タイミングによって大きく違います。

もちろんタイミングよくピークで解約できればいいのですが、会社は何が起きるかわからないので、契約したときは保険料を支払っていけると思っても急に資金繰りが悪化して解約に追い込まれることもあります。

このような事態をさけるためにも、「いつ解約するのか?」という出口戦略を立てておく必要があります。そして、保険によって、ピークが早く来るものや遅く来るもの、ピーク期間が長いものや短いものがありますので、その中から、自分の戦略に合った保険を選択する必要があります。

デメリット3:保険を使った節税は単なる税金の繰り延べに過ぎない

法人保険を解約した時に受け取る解約返戻金は受け取った時点で雑収入になります。従って、解約した時に、今まで損金として計上していた金額が、そのまま益金となり、法人税が課されることになります。

つまり、法人保険とは、単に法人税の「繰り延べ」にしかならないということです。

例えばメリット2でご紹介したの事例のように年間保険料1000万円で、1/2損金の法人保険に加入した場合、毎年500万円が損金になります。そしてこの保険を10年間掛けていくと総額保険料が1億円になります。

そうすると10年間で5000万円損金になり、5000万円が資産計上になります。そこで10年目に解約をして、返戻率が100%で1億円を解約返戻金を受け取ると元々損金として計上していた5000万円が雑収入(益金)として法人税の対象となってしまいます。

その時に5000万円以上の赤字またはお金の使い道があれば問題ないのですが、黒字で受取り決算を向えてしまうと、10年間節税した分(5000万円)が一気に課税されます。そうならないためにも、やはり、いつ解約してそのお金をどう使うのか「出口戦略」を立ててから契約しないといけません。

まとめ

このように法人保険で節税を考えるときにはメリットとデメリットがあります。メリットだけを見ていては法人保険を会社の将来に生かすことができません。

法人保険で節税するときのメリットといデメリットは以下のようになります。

メリット

  1. 一般的な節税方法よりも節税効果が高い
  2. 緊急時の予備資金を貯めておくことができる
  3. 決算の直前でも行えるものがある
  4. 節税しながら保障を受けられる

デメリット

  1. 会社のキャッシュフローが悪くなる
  2. 保険の解約のタイミングを間違えると損をする
  3. 保険は税金の繰り延べに過ぎない

特に決算直前だと目先の節税だけを考えて、デメリットを軽視しがちになるので必ず押さえておきましょう。

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長井 大輔

長井 大輔

保険のパートナー・保険の教科書 運営責任者、今まで1000名以上の個人・法人のお客様のご相談にお応えしてきた生命保険・社会保障・税務・資産運用に精通しているファイナンシャルプランナー
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