現代における主な会社の形として挙げられるのが、合同会社と株式会社です。
特に合同会社は、2006年の会社法改正以降、年々数を増やしており、2015年には設立数が2万件を超えました。
合同会社と株式会社では、経営陣の権利関係や利益の分け前の決め方や、設立のハードルといった部分で大きな違いがあります。
今回は合同会社と株式会社の違いについて
- 経営方針の決定や利益の分け前について
- 設立費用や運営コストについて
- 社会的な信用について
の3つに分けてお話ししていきます。
起業を考えている方は、しっかりと違いを理解しておきましょう。
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1.経営方針の決定や利益の分け前について
上述のように、株式会社で最も強い権利を持つのは、「株式」を購入した「株主」です。
「株主」は具体的に、以下のような権利を持つことになります。
- 会社の方針などを決める「株主総会」に出席し、意見できる権利
- 「配当金」などの利益分配を受け取る権利
- 会社が解散する際に、会社に残っている資産を分配して受け取る権利
重要なのは、これらの権利が、持っている株式の「割合」によって変わることです。
例えば、Aさんが400万円出資し、Bさんが600万円出資した、資本金1,000万円の株式会社があったとします。
この場合、AさんとBさんの出資額の割合は4:6ですね。
すると、上記の権利についても割合が4:6になります。
つまり、「株主総会」での発言権はBさんの方が強く、配当金についても、Bさんが全体の60%と、多く受け取ることが出来るのです。
万一会社が解散することになった時も、得られる資産はBさんが60%、Aさんが40%になります。
このように、最初に出資した金額によって権利の割合が決まってしまうのが、株式会社の特徴です。
一方、合同会社では、配当金の分け前や会社の方針に意見する権利について、「割合」を自由に決めることができます。
出資者全員に均等に権利を分けたり、出資だけして経営には関わりたくない人がいる場合は業務執行役員から外したり等、融通を効かせやすいです。
出資額と関係なく、出資者=経営者がどれだけ会社貢献したかなど、単なるお金以外の部分で柔軟に権利の割合を決められることが、合同会社の最大の特徴と言えるでしょう。
2.設立費用や運営コストについて
合同会社は株式会社と比べ、設立費用や運営コストがお手頃です。
そのため設立のハードルが低く、起業を考えている個人事業主などには、株式会社より選ばれることが多くなってきています。
会社の設立には、以下のようなお金が必要です。
- 登録免許税
- 収入印紙代
- 公証人手数料
- 定款の謄本手数料
株式会社と合同会社で上記の金額を比べてみましょう。
①株式会社の場合
- 登録免許税:15万円
- 収入印紙代:4万円
- 公証人手数料:5万円
- 定款の謄本手数料:2,000円
- 合計:242,000円
②合同会社の場合
- 登録免許税:6万円
- 収入印紙代:4万円
- 公証人手数料:0円
- 定款の謄本手数料:0円
- 合計:100,000円
上記の通り、株式会社と合同会社では、設立時の費用に約14万円もの差があります。
この金額差だけでも、起業の際に合同会社を選ぶ理由になりますよね。
さらに言えば、収入印紙代については電子定款にすることで必要がなくなり、合同会社については最低6万円で設立することができます。
また、株式会社では役員に任期があり、期限が切れる度に「重任登記」をしなければなりません。
その際手数料として1万円(資本金1億円以上なら3万円)必要なのですが、合同会社にはそもそも役員の任期がないため、そのような手数料が必要ないのです。
加えて、決算の公告義務もないため、公告手数料である年間3~6万円の費用が節約できます。
3.社会的な信用について
会社員の方はあまり意識することがないかもしれませんが、自営業及び企業にとって、社会的信用というものはかなり重要なものとなってきます。
銀行から融資を受ける、事務所を借りるといった際に、必ず注目されることになるからです。
そんな社会的信用については、設立のハードルが高いこともあり、株式会社の方が有利であるといえます。
設立の際には、その点をしっかり把握しておいた方が良いでしょう。
まとめ
ここまで合同会社と株式会社の違いを見てきました。
大きな違いはやはり、柔軟な経営の体系による会社方針の決定速度の違いと、設立コストの違いです。
変化の大きな業種や小規模な会社では、そういった小回りの良さが重宝されるでしょう。
また、出資金額によって権力に差が出ないというもの大きなポイントで、自由な経営が可能になっています。
配当金目当てのキャピタリストなどには、こういった制度は有利に働くでしょう。
設立費用や運用コストは合同会社のほうが安く、設立のハードルが低いです。
特に税負担の悩みから法人化を考えているような個人からすれば、起業にかかるコストが少なければ少ないほど良いわけです。
個人事業主が増えている近年の状況からすると、合同会社の増加は、今後さらに増加していくことでしょう。
株式会社と合同会社の違いをしっかり理解し、自分に合った会社を作り出すことが大切ですよ。