満期保険金の税金|受け取り方で変わる税金の仕組み


生命保険の中には、満期保険金や解約返戻金を受け取れるものがあります。
主に貯蓄型の保険が満期になったり途中解約したりすることで受け取れるのですが、全額を自分のものにできるわけではありません。
というのも、保険満期金や解約返戻金には税金がかかるからです。
基本的には所得税と住民税が適用されるのですが、受け取り方で所得区分が変化します。また、契約者と受取人が違うと、所得税・住民税ではなく贈与税がかかります。
今回は、満期保険金や解約返戻金を受け取った場合に税金がどのようにかかるか、解説していきます。
1.満期保険金や解約返戻金を受け取れる保険とは
まずは、どんな保険で満期保険金や解約返戻金が受け取れるかを確認しておきましょう。
どの保険も、主に貯蓄目的で活用されることが多い保険です。
1.1.満期保険金を受け取れる保険
満期保険金は、保険期間が満了した際に受け取れる保険金のことです。
満期保険金を受け取れる保険は以下の2つです。
- 養老保険
- 学資保険
①養老保険
養老保険は生命保険の一種です。保険期間中に万一があれば遺族に「死亡保険金」が支払われます。
何事もなく満期を迎えれば、本人が「満期保険金」を受け取ることができます。
1990年代半ば頃までは「お宝保険」と呼ばれるほど高い利率を誇っており、貯蓄性の高い保険として人気を博していました。
しかし、現在では、貯蓄性の面で終身保険等に大きく劣っているものが多く、販売している保険会社も少なくなってきています。
②学資保険
学資保険は、つい最近まで、将来的な子どもの教育資金を準備する手段として人気があった保険です。
大学進学など、大きな出費が必要になるタイミングに祝い金や満期金という名目で給付金を受け取ることができます。
ただし、現在では、日本政府のマイナス金利政策の影響を受け、ほとんど増えないか、増えたとしてもほんのわずかという商品が大半を占めています。そのため、終身保険(特に低解約返戻金型終身保険、米ドル建て終身保険、変額終身保険)等に取って代わられつつあります。
1.2.解約返戻金が受け取れる保険
続いて、解約返戻金を受け取れる保険について見ていきましょう。
解約返戻金は様々な保険で設定されていますが、まとまった金額を受け取れるものとして代表的なのが終身保険です。
①終身保険
保障が一生涯続く終身保険は、保険料の払込期間が設定されており、払込期間満了後に解約することで払い込んだ保険料より多くの解約返戻金を受け取ることができます。
保険料の払込期間が短いほど解約返戻率が高くなり、より多くの解約返戻金を受け取ることができます。
また、米ドル建て終身保険、変額終身保険など、リスクがある代わりに利回りが高くなる可能性がある保険商品も用意されており、死亡保障を準備しつつ資産運用ができる保険として、多くの人に利用されています。
2.満期保険金や解約返戻金にかかる税金
満期保険金や解約返戻金を受け取れる保険について確認したところで、それらを受け取った際にかかる税金について見ていきましょう。
冒頭でお話ししたように、基本的に満期保険金や解約返戻金にかかる税金は所得税と住民税なのですが、受け取り方によって所得区分が変化します。
加えて、契約者と受取人が違う場合、贈与税が課税されることになるのです。
この項では、
- 受け取り方で変わる所得税と住民税の区分について
- 贈与税が課税されるケースについて
を解説していきます。
2.1.給付金を一括で受け取った場合は一時所得
満期保険金や解約返戻金を受け取る際には一括受取か年金受取を選択することが可能です。
契約者と受取人が同一で満期保険金や解約返戻金を一括で受け取った場合、受け取ったお金は一時所得として扱われ、所得税と住民税が課税されます。
課税される一時所得の金額(課税所得金額)の算出方法は以下の通りです。
- 一時所得の課税所得金額 = (総収入金額 – 払込保険料総額 – 特別控除50万円) × 1/2
要は増えた金額から特別控除の50万円を差し引いた金額を半分にしたものが課税所得金額となります。
つまり、増えた金額が50万円以下だった場合、課税させることはないということです。
具体的な例を基に見ていきましょう。
以下はA生命の学資保険の契約例です。
- 契約者:30歳男性
- 子供:0歳
- 保険料払込期間:10年
- 払込保険料総額:1,864,800円
- 受取金額:200万円
受取金額は200万円、払込保険料総額1,864,800円なので、結果的に135,200円増えたことになります。
この場合、増えた金額が特別控除の50万円以下のため、所得税と住民税が課税されることはありません。
また、もし増えた金額が50万円を超えた場合でも、最後に1/2にする影響で、課税所得金額がそこまで多額になることはありません。
税金をなるべく抑えたい場合は、最も有効な受け取り方法といえるでしょう。
2.2.給付金を年金払いで受け取った場合は雑所得
契約者と受取人が同一で満期保険金や解約返戻金を年金払いで受け取る場合、受け取ったお金は雑所得として扱われます。
課税される雑所得金額の算出方法は以下の通りです。
- 雑所得の課税所得金額 = 総収入金額 – 必要経費
ここで言う総収入金額は年ごとに受け取れる年金額、必要経費は払込保険料の総額を満期保険金や解約返戻金の総額で割ったものを年金額にかけたものになります。
- 必要経費 = 年金額(年額)×払込保険料合計額÷年金受取合計額
なお、雑所得の額が25万円以上の場合は、課税所得金額に10.21%の税率をかけた金額が源泉徴収されることになります。
2.3.満期保険金の受取人が契約者と違う場合は贈与税がかかる
夫が契約した保険の満期保険金を妻が受け取るなど、保険の契約者と満期保険金の受取人が違う場合には、所得税ではなく贈与税が課税されます。
これは、契約者が満期保険金を受取人に贈与したと扱われるためです。
贈与税の場合、課税金額は以下のように算出します。
- 贈与税の課税金額 = 総収入金額 – 基礎控除110万円
つまり、受け取った金額が110万円を超えた時点で、即、税金が発生することになります。
また、税率は所得税より高く、結果的に税額が所得税、住民税より高くなることが多いです。
| 基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | – |
| 300万円以下 | 15% | 10万円 |
| 400万円以下 | 20% | 25万円 |
| 600万円以下 | 30% | 65万円 |
| 1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
| 1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
| 3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
| 3,000万円超 | 55% | 400万円 |
参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|相続税 |国税庁
まとめ
満期保険金や解約返戻金を受け取れる保険には、養老保険や学資保険、終身保険等があり、受け取り方法や契約者と受取人が同一か否かで、課税される税金が変化します。
満期保険金や解約返戻金にかかる税金を抑えたいのであれば、契約者と受取人の名義をそろえることが重要です。
その上で、受け取り金額が大きいのであれば、一括受取を選択することで、最も税金を抑えることができます。



