配偶者(妻・夫)の保険は何が必要?共済でも大丈夫?

「妻(夫)の保険は、どんなものがいいのですか?」保険相談を受けられる方から、こんなご質問をいただくことがあります。

保険の役割は、ごく簡単に言うと、貯蓄で対応できない経済的なリスクを回避することです。そうだとすると、配偶者に何かあった時にどんな出費があるかを考えれば自然と答えが出ます。

今は、共働きの家庭も多いですし、多くの家庭で何らかの備えが必要と言えるでしょう。

特にお子様がいる場合は、教育費だけで1,000万円以上が必要になります。出費が大きいので、保険に加入しておくと安心です。

そこで、今回の記事では、配偶者に万が一があった場合のために検討しておきたい保険についてお伝えします。最後に共済についてもお伝えしていますので、ぜひご参考にしてください。

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長谷川桂介

長谷川桂介

今まで10年以上、法人や個人の資産運用に従事。また保険だけでなく投資や節税、資金調達など法人の財務に関する実務をこなしてきた企業財政のエキスパート。

1.子供がいなければ死亡保険は400~500万程度

配偶者(妻・夫)が亡くなってしまった場合、子供がいてもいなくても、葬儀やお墓の費用が必要です。

通夜・葬儀一式・寺院の費用などで全国平均は約184万円です。

お墓については都道府県で異なりますが、東京の平均費用は約279万円といわれています。

これを考えると、合計約460万円を準備できるだけの保険に加入しておけば十分ということになります生命保険文化センターHPより)。

ただし、何らかの事情により、配偶者が家計を支えており、自分が配偶者に経済的に依存せざるをえなくなっているケースもあります。その場合は、配偶者の収入分をカバーできる収入保障保険を検討することになります。

収入保障保険については「収入保障保険とは?知っておきたいしくみと活用法のポイント」で解説しています。

2.子供がいる場合、死亡保険金の目安は1,000万円以上

育児費用で1,000万円

子供が小さいうちに配偶者に万一のことがあった場合、葬儀代以外に「育児負担の費用」がかかります。

小さな子供がいる場合、育児負担の費用をカバーするためには、配偶者が収入のない専業主婦・専業主夫だったとしても、1,000万円程度の死亡保障は必要です。共働きで配偶者が家計を支えていた場合には、さらにその分を上乗せした保障が必要になります。

教育費用で1,000万円以上

以下表では「厚生労働省(平成30年度子供の学習費調査)」をもとに、幼稚園~高校における年間の教育費をまとめています。

このデータをみると、幼稚園から高校まですべて公立に通ったとしても約540万円かかる計算です。全て私立なら約1,830万円かかる計算になります。

さらに大学にも通わせる場合は、より大きな備えが必要です。生命保険文化センターが紹介するデータ(「大学生にかかる教育費はどれくらい?」)によれば、大学の教育費は以下の通りです。

  • 国立大学(自宅通学)でかかる4年間の教育費:平均約528万円
  • 私立文系(自宅通学)でかかる4年間の教育費:平均約688万円

これらのデータをもとに計算すると、たとえば幼稚園から大学まで全て国公立に通うとすると、総額約1,070万円の教育費が必要となります。こうして考えると、子供を大学まで卒業させたいなら少なくとも総額1,000万円以上の教育費を準備する必要があると言えるでしょう。

区分 幼稚園 小学校 中学校 高校 準備したい学習費用総額+大学進学費用
平成30年学習費総額(年間) 公立 223,647 321,281 488,397 457,380
私立 527,916 1,598,691 1,406,433 969,911
進学コース別 オール公立コース 約1,070万円
(国立大学)
公立
(幼稚園・小学校・中学校)
私立
(高校)
約1,385万円
(私立大学)
公立
(幼稚園・小学校)
私立
(中学校・高校)
約1,660万円
(私立大学)
オール私立コース 約2,518万円
(私立大学)

※国立大学(自宅通学)の教育費:平均約528万円、私立文系(自宅通学)の教育費:平均約688万円として算出
※参照元:「厚生労働省(平成30年度子供の学習費調査)

3.医療保険・がん保険は?

生命保険文化センターのHP」によれば、入院する場合の平均在院日数は29.3日で、「1日あたりの自己負担費用」の日額21,000円を掛け合わせてると、平均で60万円近くの入院費用がかかる計算になります(生命保険文化センターのHPより)。

このように言うと、あたかも医療保険が必要であるかのように感じるかもしれません。しかし、実際には医療保険は他の保険よりも優先順位が低く、必ずしもすべての人に必要とは限りません。

これに対し、がん保険は、多くの方にとって必要な保険だと考えれます。なぜなら、働き盛りのうちは、がんにかかる可能性は低くても万が一がんになってしまったら経済的ダメージが大きいというリスクがあります(働くのが困難になり収入が減少する、治療が長期化することが多く治療費の負担が重くなりがち)。

また、60歳以降は、がんにかかる確率が急激に高まります。

これらのことを考えると、医療保険とは異なり、がん保険は必要とする方が多いと考えられるのです。

詳しくは「保険業界で働く私が医療保険に入らない理由」「女性のための保険の正しい選び方|医療保険を中心に」「がん保険の必要性を60歳より前と後に分けて考える」をご覧ください。

参考|費用を抑えたければ共済という選択肢も

共済は比較的安い保険料で、ある程度の保障をしてくれますので、経済的に余裕がない場合には検討してみることをおすすめします。共済には以下のような魅力と注意点があります。

59歳まではいつ加入しても掛金が同じ

共済の基本的な掛金は、月額2,000円で、最大の利点は「15歳〜60歳まで保険料が変わらない」という点です。民間の保険会社では、契約年齢が上がると保険料も上がりますので、年を取っている人ほど共済が有利だということになります。

生命保険と医療保険がセットになっている

以下の例をご覧ください。こちらは「埼玉県民共済の医療・生命保険」になります。

月掛金2,000円コースの保障内容
【入院】不慮の事故・すべての病気8,000円
【手術】入院中に受けた手術5万円、外来による手術1万円
【死亡・重度障害】不慮の事故1,000万円、すべての病気400万円

こちらは15歳~59歳の保障内容ですが、たいへん手厚い保障内容になっています。

割戻金が戻ってくる

共済では1年毎に決算を行い、共済加入者の総掛金から保険金の支払額や、若干の経費を引いた額は「割戻金」として契約者に返金されます。これは実質の掛け金が、さらに割安になる!ということになります。

60歳以上は保障が下がる・保障が終了する点に注意!

都道府県やコースによって異なりますが、多くの場合、共済は60歳以上になると保障が下がります。65歳や75歳で保障が終了してしまい「保障は一生涯ではない…」という点に注意が必要です。

この点終身保険は死ぬまで保障が続きますので、将来的なことを考えると、共済だけでは不安になる可能性は高いです。

まとめ

自分の配偶者の方が入るべき保険は、もしもの場合の必要な費用を考えると答えが出ます。

子供がいなければ、基本的には400~500万円程度の死亡保障が付いた保険で十分ですが、子供がいると教育費などで1,000万円以上の死亡保障が必要になります。

貯金が300万円以下であれば医療保険やがん保険の必要性も高まります。

共済は安価である程度の保障をしてくれますので、費用を抑えたい場合には検討してみることをおすすめします。

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